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【2022年版】農機具の耐用年数は?中古で買ったらどうなる? 減価償却の基礎知識

【2022年版】農機具の耐用年数は?中古で買ったらどうなる? 減価償却の基礎知識
出典 : tsukat / PIXTA(ピクスタ)

青色申告で特別控除を受けるために必要な複式簿記では、減価償却処理が必須です。減価償却は複雑ですが、しくみを理解すれば仕訳も難しいものではありません。中古の農機具を購入した場合や途中で売却した場合など、ケース別の処理方法も説明します。

帳簿上、農機具や設備などの固定資産は「減価償却」処理を行います。減価償却の計算は、資産の耐用年数をもとに行われるので、その正確な割り出しが重要です。この記事では、減価償却の具体的なやり方や耐用年数の割り出し方について詳しく解説します。

※本記事は2022年2月10日現在、国税庁「令和3年分の確定申告に関する手引き等」および「令和3年度 所得税の改正のあらまし」を基本に、一般社団法人全国農業経営専門会計人協会など農業財務の専門サイトへ掲載された情報を参照し執筆しております。詳細はお近くの税務署や公認会計士、税理士にご確認ください。

農家の確定申告で知っておくべき、減価償却の考え方

財務諸表と減価償却費の計算用紙

CORA/PIXTA(ピクスタ)

複式帳簿において、事業のために長く使用していく高額な農機具や設備を固定資産といいます。これらの資産は土地などと違って購入時は高額ですが、長い間資産として活用するうちに資産価値が減少していきます。

そのため、帳簿上は取得した年に購入費用を一括して経費計上せず、資産ごとに定められた耐用年数にわたって分割し、毎年経費計上しなければなりません。その会計手続きを「減価償却」といい、その手続きを行う資産を「減価償却資産」といいます。

減価償却資産に該当する農機具や設備などは、資産の耐用年数にわたって処理するので、その期間が重要です。なお、農業における減価償却資産は、使用可能期間が1年以上、取得価格が10万円以上の農機具や設備とされています。

その条件に満たないものは資産とせず、取得金額全額をその年の経費として処理します。

農機具の耐用年数は「一律7年」!

ビニールハウス 構築物

Vega/PIXTA(ピクスタ)

減価償却資産は、それぞれ法定耐用年数が財務省令の別表により定められています。農業に使うトラクターや草刈機、運搬車といった主な農機具は、平成20年度の税制改正により一律で7年となりました。

リアカーなどの運搬用機具や、選果機・選別機などの処理加工用機具、収穫機(コンバイン)や洗浄機・乾燥機など収穫調製用機具、噴霧器などの防除用機具、心土破砕機、溝掘機などの耕土造成改良機具、耕うん機やトラクターなど、ほとんどの耐用年数は7年とされています。

なお、ビニールハウスは「構築物」とされ、耐用年数は骨格部分の構造によって異なります。主要な骨格部分が鉄管造など金属造のものは14年、木造のものは5年、それ以外のものは8年とされています。

また、耐用年数の短いものとしては、精米機や精麦機、乾燥用バーナーなどは5年、きのこ栽培用のほだ木の耐用年数は3年です。

国税庁「確定申告書等作成コーナーよくある質問」「耐用年数表」を参照し、わからない場合は最寄りの税務署に確認してください。

中古で購入した農機具の耐用年数はどうなる?

大型農機 減価償却資産

ttn3 /PIXTA(ピクスタ)

既に償却期間の一部が過ぎている農機具を中古で購入した場合、その資産の耐用年数は法定耐用年数では考えません。その資産を事業用に使用し始めた時点から、使用可能な期間として合理的に見積もられる年数を耐用年数とします。

ただ、合理的に使用可能な期間を見積もることができるケースはそれほど多くありません。ほとんどの場合、以下の簡便法によって耐用年数を算出します。

1. 法定耐用年数を全部経過している資産の場合は、法定耐用年数の20%とします。ただし、算出された耐用年数が2年未満の場合は2年とし、2年以上の1年未満の端数は切り捨てます。

(例)8年間使用した中古のトラクターを購入した場合
トラクターの法定耐用年数 7年×20%=1.4→2年

2. 法定年数を途中まで経過している資産の場合は、その資産の法定耐用年数から経過した年数を引き、その数に経過した年数の20%を足した年数とします。ただし、算出された耐用年数に1年未満の端数がある場合は、端数を切り捨てます。

(例)4年間使用した中古の田植え機を購入した場合
田植え機の法定耐用年数 7年−4年=3年
経過した年数4年の20%=0.8年
3+0.8=3.8→3年

減価償却中に農機具を処分・売却した場合の取り扱い

耐用年数を満たす前の減価償却中に、資産である農機具を処分したり売却したりすることもあるでしょう。その場合は、それぞれどのような手続きが必要かを説明していきます。

農機具が故障し、処分した場合

コンバインのアクシデント

トモヤ / PIXTA(ピクスタ)

耐用年数を経過していないのに、アクシデントにより農機具が故障して使えなくなることもあります。農機具を処分・廃棄した場合、経理上の手続きとしては、帳簿上の未償却残高を「0」にする処理を行います。

具体的には、帳簿において次のいずれかの処理を行ってください。

1. まず、廃棄した月までの使用期間の償却分を「減価償却費」へ計上し、次に廃棄時点の未償却残高を「固定資産除却損」へ計上します。

例えば、運搬に使っていた車両を廃棄した場合、未償却残高が150,000円であれば、借方に「固定資産除却損」、貸方に「車両運搬具」などと記入し、借方・貸方双方の金額に150,000円を記入します。

2. 廃棄した月までの償却分を計上しない場合は、その年の「期首の未償却残高」を「固定資産除却損」で計上します。

1、2のどちらで行っても合計は同じになります。自分でわかりやすい方法を選びましょう。

農機具が不要になり、売却した場合

中古トラクター 売買

msks /PIXTA(ピクスタ)

減価償却期間が終わらないうちに、資産である農機具が不要となり売却した場合は、売却時の未償却残高よりも売却額が高いか安いかによって、記帳する内容が異なります。記帳処理としては、「減価償却資産台帳」と「仕訳帳」への記帳が必要です。

まず、処分の場合と同様に、売却した月までの償却分を減価償却費に計上するか、「期首の未償却残高」を譲渡所得の取得費用とするか、選ぶことができます。売却の処理をする場合、どちらの方法を選ぶかで「売却益」が出るか「売却損」となるかが変わるので、税負担の軽減効果を考えて選ぶとよいでしょう。

なお、売却代金は原則として、事業所得ではなく譲渡所得になります。事業所得の収入金額には含めないよう注意しましょう。

【減価償却資産台帳への記帳方法】
減価償却資産台帳への記帳は、処分した場合と同様に、売却した月までの償却額を「減価償却費」へ計上するか、または売却までの減価償却費を計上せずに「期首の未償却残高(前年末残高)」を売却時の未償却残高とします。

【仕訳帳への記帳方法】
仕訳帳への記帳は、売却益がある場合と売却損となった場合で異なります。

1. 売却益がある場合
売却益がある場合は、売却代金口座への入金を未償却残高分と売却益に分けて入力します。なお、前述の通り、売却益は譲渡所得です。事業所得へ計上してしまうと、所得税の課税対象となるので注意しましょう。売却益の科目は「事業主借」として記帳します。

売却額が事業ではなく個人の口座に振り込まれた場合は、個人の譲渡所得になるため、売却時の「未償却残高」の仕訳のみ入力します。

2. 売却損がある場合
売却損があった場合は、口座への入金を未償却残高として処理し、売却時点の未償却残高に満たなかった売却金額のマイナス分を「事業主貸」として記載します。

売却額が事業ではなく個人の口座に振り込まれた場合は、個人の譲渡所得の損失になるため、売却時の「未償却残高」の仕訳のみ入力します。

事業主貸と事業主借の仕分け

CORA / PIXTA(ピクスタ)

減価償却資産の処理は慣れるまでは大変ですが、しくみを理解すれば仕訳や勘定科目の立て方もスムーズにできるようになるでしょう。今回紹介した経理上の処理は一例であり、勘定科目の立て方などは、ケースバイケースで柔軟に対応してください。

また、農業簿記に対応した会計ソフトを利用すると、減価償却処理も効率的に行うことができます。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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