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【九州地方-長崎県】集落営農法人が意見を出し合って選んだ園芸産地への道
長崎県では、中山間地や離島など、ほ場が分散せざるを得ない地域が多く、水田の大規模化が進みにくいことや、単収が低いことが課題となっています。その課題解決のための施策の1つとして、米麦大豆などの土地利用型作物に地域にあった園芸作物を取り入れることが挙げられています。
長崎県は、1経営体当たりのほ場が小さいこと、担い手の減少、温暖化の影響もあり米麦の単収が低いことなどが農業の大きな課題となっています。
さらに近年は、水田を利用した加工・業務用野菜の産地づくりに取り組んでいます。
長崎県の水田農業高収益化推進計画
長崎県の「令和5年度水田収益力強化ビジョン」では、以下の3点が挙げられています。
- 水稲を基幹作物として、麦・大豆・飼料作物と高収益作物を導入して儲かる農業の実現を目指す
- 水田農業の所得向上のため、集落の農家の意向を確認しながら、農地の集積や団地化を図り、水田フル活用を目指す
- 担い手に農地を集め、基盤整備や畑地化を進め、生産性向上を図る
出典: 長崎県「農業|経営所得安定対策|2.長崎県水田収益力強化ビジョン」 所収「令和5年度長崎県水田収益力強化ビジョン」
「水田収益力強化ビジョン」の作付面積の予定・目標を見ると、水稲では主食用米と加工用米、高収益作物では野菜と果樹の作付を増やそうとしていることがわかります。
2021年度 実績 | 2022年度 予定 | 2023年度 目標 | 2023年度と 2021年度の 差分 | |
---|---|---|---|---|
主食用米 | 27,100 | 26,851 | 27,534 | +434 |
備蓄米 | 178 | 178 | 250 | +72 |
飼料用米 | 2,002 | 2,113 | 1,600 | -402 |
米粉用米 | 131 | 131 | 130 | -1 |
新市場開拓用米 | 158 | 174 | 110 | -48 |
WCS用稲 | 415 | 445 | 400 | -15 |
加工用米 | 308 | 310 | 500 | +192 |
麦 | 3,290 | 3,290 | 3,200 | -90 |
大豆 | 1,450 | 1,478 | 1,470 | +20 |
飼料作物 | 1,349 | 1,370 | 1,350 | +1 |
┗子実用とうもろこし | 0 | 5 | ||
そば | 127 | 127 | 145 | +18 |
なたね | 0.2 | 0.2 | 3 | +3 |
地力増進作物 | 0.5 | 41 | 78 | +78 |
高収益作物 | 1,618 | 1,651 | 2,590 | +972 |
┗野菜 | 1,273 | 1,300 | 1,850 | +577 |
┗花き・花木 | 98 | 102 | 140 | +42 |
┗果樹 | 247 | 249 | 600 | +353 |
┗そのほか | ||||
その他 | 118 | 118 | 190 | +72 |
┗雑穀 | 118 | 118 | 190 | +72 |
畑地化 | 93 | 93 | +93 |
出典: 長崎県「農業|経営所得安定対策|2.長崎県水田収益力強化ビジョン」 所収「令和5年度長崎県水田収益力強化ビジョン」
「水田農業高収益化推進計画」では、推進品目に、多くの土地利用型から施設野菜まで多くの野菜類が挙げられており、地域の特性に合わせた品目を、地域で話し合って決めてほしいという意向が見て取れます。
平成30年度に策定した「チャレンジ園芸1000億推進事業」では、令和7年度に、水田への園芸品目作付面積を500ha拡大(畑地化面積300haを含む)することを目標にしています。
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