農業経営×SNSの可能性!集客から収益化につなげる、ファンづくりと直販を実現する方法
農産物の販売ルート拡大を目指し、SNSやブログでの集客・収益化に成功した事例を紹介します。ファン獲得やブランド化のポイント、SNSとブログの使い分け方、また集客を続けるためのコンテンツ作成法など、農家に役立つ情報を解説します。
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高収益の農業をめざす農家は、自ら集客して農産物を直販するルートを開拓しています。そのサポート役として頼りになるのがSNSやブログです。これらを上手に使い分けて集客を図る新しい農業の形と、具体的なSNSやブログの活用法を紹介します。
なぜ必要? SNS・ブログが農業経営にもたらすメリット
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
農家がインターネットで農産物を販売することは、経営方法の1つとして広く定着しています。しかし、インターネットショップを開設する、食品のネット通販大手に委託する、といった方法だけでは集客につながらないことも事実です。
そこで注目したいのが、SNSやブログのように、自ら情報発信する方法です。
では、どのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
ファン獲得や他社農産物との差別化によるブランド化がめざせる
SNSやブログを閲覧する人は、基本的には自分が知りたい情報や、興味があることについてインターネット上で検索して訪問しています。
美味しくて高品質な農産物を探している人が、インターネットで農産物を選ぶ際に参考にするのは、農家のこだわりや人柄など、農産物の背景となるストーリーがわかる情報です。
農家の情報を知りたいというこの消費者のニーズを満たせれば、農家は自分が栽培した農産物のファンを獲得でき、農産物のブランド化と収益化にもつなげられます。
直接販売を含む販路拡大につながる
現在主流になっているSNSは、Facebook、Instagram、Twitterなどで、これらのメディアは、最新情報の発信が得意分野です。例えば旬の作物の販売スタートを知らせるなど、消費者の興味をひく宣伝に向いています。
一方、ブログが得意とするのはストーリーです。日々継続して発信されるブログでは、農産物の生育状況や、農家の仕事の様子を消費者に伝えることができます。これはSNSのように一過性の情報にはないメリットです。
どちらか一方だけではなく、SNSとブログの両方をうまく使い分けて、運営するネットショップとリンクさせれば、新規顧客と販売ルートの開拓につながるでしょう。
農家として伝えたい情報をそのまま発信できる
SNSの効果は消費者の興味を引く以外にも、フォロワーというファン層の獲得にもつながります。「いいね」を獲得できれば、そのファンのフィードに継続的に自分が発信した情報が流れるため、一時的ではない固定ファンをつかめるメディアともいえます。
また、フォロワーは横方向のつながりを持っているため、新たなファンを集めるチャンスでもあります。
一方、ブログではより深く農家のこだわりを伝えられるので、SNSに比べてより「濃いファン」を獲得できる可能性があります。ホームページやネットショップでは伝えきれない、農家としての真の姿を見てもらえるのがブログの魅力だといえます。
SNSやブログを活用したマーケティングの成功事例
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
では実際にSNSやブログを活用して、経営拡大に成功した事例を2つ紹介しましょう。
Instagramをフル活用して自社ブランドの売り上げを3倍にした事例
農業を継ぐことになった女性が何とかしてほかの野菜と差別化したいという想いから、野菜のブランド化を決意しました。
主にSNSで積極的に情報発信をし、中でもInstagramに力を入れています。野菜を収穫する様子を写真にして発信していますが、若い女性らしくインスタ映えすること、ときには農家である自分の顔を出すことも心がけているそうです。
その結果、SNSを通じて顧客層が広がり、以前の3倍もの売上アップに成功しました。ファンの獲得が、成功の大きな要因といえます。
ブログの活用でレストランとの直接契約を獲得した事例
京都府のある農家では、ブログを活用することで出荷の約95%をレストランとの直接取引にすることに成功しました。ブログを始めたきっかけは、インターネット販売先の顧客から、農園のブログ発信をすすめられたことでした。
現在はSNSの発信のほうに力を入れていて、栽培した野菜を、いかに質の高い写真にして配信できるかにこだわっているそうです。ほかにもテレビの力を上手に使い、メディアがとりあげる野菜について、先行して情報発信することで、SNSへのアクセス数を伸ばしています。
結果的にこの農園では、ほとんど営業活動をすることなく、レストランという安定した顧客の開拓に成功しています。
今から始めるには? SNS・ブログの開設&運用方法
weerachat / PIXTA(ピクスタ)
実際にこれから農家がSNSやブログを始めるに当たり、注意すべきポイントをいくつか紹介しましょう。
サービスの選び方と農家におすすめのSNS・ブログ
現在、SNSとして活用できるメディアには、Twitter、Instagram、Facebook、YouTubeなどがあります。スマートフォンを使って手軽に情報配信ができるので、作物の生育状況などをリアルタイムで発信するとよいでしょう。
ブログにもnote、アメーバブログ、ワードプレスなどの種類があります。ブログで読者を増やすポイントは、やはり継続して情報を発信することです。
ブログとSNSは何が違う?それぞれの使い分け方
SNSには最新情報を伝えやすいというメリットがありますが、過去の情報はすぐに読者の興味の対象から外れてしまいます。
ブログは検索上位に入りやすく、また、過去の記事を含めて時間経過のあるストーリーを見てもらえる反面、読者層を広げるのにかなりの時間がかかります。記事の企画・制作には一定の時間が必要なので最新情報を瞬時に伝えるには不向きです。
しかし、SNSとブログの両方をうまく活用できれば、双方のメリットでお互いのデメリットを埋めることができます。これら2つを適切に使い分けて連携させていくことが、情報発信で成功するための大きなポイントだといえるでしょう。
何を書く?「集客できるコンテンツ」の内容
SNSやブログを作成するときは、農産物へのこだわりや栽培状況以外にも、農家だからこそ伝えられる情報を盛り込むことがポイントです。
自分が栽培している農産物を使った料理や、おいしくて質のよい農産物の見分け方など、読者にとってためになるの情報をプラスすると、ファンの層が広がるかもしれません。
マーケティング効果を高めるポイントは「継続」
SNSやブログでファンや顧客を増やすには、「とにかく継続して発信する」ことを徹底してください。こうしたメディアでは情報が滞ると、すぐに関心を持たれなくなってしまうからです。継続するポイントは、自身も楽しみながら情報発信することだといえるでしょう。
msv / PIXTA(ピクスタ)
農業をしながらのPR活動は大変かもしれません。しかし積極的な情報発信を続けることで、経営拡大や高収益化へのチャンスが広がります。
初めから全てを満たすコンテンツを作ろうとせず、少しずつ楽しみながら、情報発信の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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大澤秀城
福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。