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スマート農業って実際どうなの?農家のための実例を交えた簡単ガイド。最先端事例も紹介!

スマート農業って実際どうなの?農家のための実例を交えた簡単ガイド。最先端事例も紹介!
出典 : 画像提供 BASFジャパン株式会社

農業経営においてスマート農業が実際にどう役立つのか、どこから始めるのが良さそうなのか、そして今、どんなことまでできるようになってきているのかを簡単に解説。最先端の事例や、そういった情報がどこで得られるかについても紹介します。

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スマート農業のさまざまなサービス イメージ

kiko / PIXTA(ピクスタ)

農業を営む中でスマート農業という言葉はよく目にするものの、実際に「何から手をつけていいのかわからない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

聞き慣れない言葉が多かったり、コストが多くかかりそうだったりと敬遠している方も、まずはどんなものがあって、どう役に立つことがあるのかを知ると、意外に身近に感じられるかもしれません。

スマート農業が注目されているのはなぜ?

スマート農業とは、一言でいえば、「農業」×「先端技術」です。近年、報道やインターネット上でもよく見聞きするようになりましたが、その理由として、農業経営に役立つという利用者にとってのメリットだけでなく、次のような社会的影響・意義が大きいということがあります。

社会的意義①:限られたリソースでいかに生産効率を維持・拡大していくか

農業就業人口の推移

出典:農林水産省「農林業センサス」「農業構造動態調査」よりminorasu編集部作成
※2005年・2010年・2015年・2020年は「農林業センサス」の全数調査による数値、それ以外の年次は「農業構造動態調査」の標本調査による推計値であるため、両者の年次ごとの数値比較はできないことに留意してください。

基幹的農業従事者の数は2015年から2020年の5年間だけで見ても約176万人から約136万人と、実に4分の1に近い40万人も減少しています。

一方で、政府は、2030年度(令和12年度)までに、2020年度に37%だったカロリーベースの食料自給率を45%に、生産額ベースの食料自給率を67%から79%に引き上げる目標を掲げています。

このような中で農業生産の水準を保つためには、生産性を上げる必要があります。

また、生産者の大規模化・法人化も増加傾向で、限られたリソースでいかに効率化・省力化していくかが今後の大きな課題となっています。

そんななか、作業の効率化を支援するさまざまなサービスが、スマート農業として注目されているのです。実際に、ほ場管理や収穫作業など様々な場面で、IoTやAI、ロボット技術を農業に活かしたサービスが出てきています。

社会的意義②:いかに安定した質・収量を確保するか

ベテラン農家と若手農家。新規就農者

プラナ / PIXTA(ピクスタ)・Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

また、質の担保という意味では、農業は常に自然からの影響を受けやすく、作付時期、農薬や肥料の散布タイミングや収穫時期など、その時々に応じた意思決定が収穫物の質や収量に大きく影響すると言われています。また、作物によってはベテラン農家が持つ技術やノウハウを継承・補完していくことも重要です。

この点においても、昨今の高機能なAIは、ベテラン農家が持つ栽培技術や経験に基づく”感覚”などまで、データとして学べるようになりました。

それらの経験・感覚をデータ化し、可視化することで、生産者個人が「いますべき最善の判断は何か」「どんな対策が正しいか」などわかるようになり、スマート農業はより安定した農業経営を実現する新たな手段になりつつあります。

社会的意義③:「持続可能な農業」につながる

スマート農業は効率化や技術面で生産者にとって役立つというだけでなく、様々な形で環境負荷軽減を通じて持続可能な農業にもつながっています。

農林水産省が食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指して策定した「みどりの食料システム戦略」では、スマート農業が重要な役割を果たすものとして位置付けられています。

例としては、可変施肥技術が効率化・二酸化炭素軽減など環境負荷軽減につながることや、自動水管理システム活用により湛水期間が短縮でき、メタンガス発生を抑制できること等が挙げられています。

「みどりの食料システム戦略」とスマート農業の位置づけ

出典:農林水産省「みどりの食料システム戦略」のページ掲載の「みどりの食料システム戦略(具体的な取組み)」よりminorasu編集部作成

農家にとってのスマート農業|実際のメリットは?ハードルは?

社会的にも注目が集まるスマート農業ですが、農家の視点から見て実際にどれほどメリットがあるのでしょうか?また逆に、導入する上でのハードルはどんなものがあるのでしょうか。

農家が期待できる具体的なメリットは?

時間や人手がかかる作業を省力化できる

自動操舵トラクター

Suwin / PIXTA(ピクスタ)

スマート農業の代表的な特徴は自動化、機械化です。人が実施すると時間がかかったり熟練が必要な作業を自動化・機械化することで、作業時間や農繁期の人件費の削減が可能になります。

トラクターや管理機の直進運転、ドローンでの肥料や農薬の自動散布、水田の水管理、ハウスでの自動灌水や環境制御、出荷前の選果や調整等、非常に広範囲で自動化の技術があり、これらの導入による省力化が可能となります。

例えば、JA鹿児島県経済連の取組みでは、動力噴霧器で1ha当たり約2時間かけていた防除作業をドローンで代行した結果、約15~30分まで短縮できた、といった事例があります。

出典:農林水産省「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」所収「令和2年度 農業分野におけるドローン の活⽤状況」

ドローンによる農薬散布

gyomepome / PIXTA(ピクスタ)

肥料や農薬の使用量を減らせる

リモートセンシング(衛星やドローン等から遠隔で生育状況や地力などの測定をすること)等の技術を活用することで、肥料や農薬を「必要な箇所に必要な量だけ」散布し、肥料や農薬の使用量を抑制することができます。

直近の価格高騰の流れの中で少しでも費用を減らしたいと考えている農家の方にとっては、解決策の1つとなりそうです。

農林水産省の実証プロジェクトでは、可変施肥によって施肥量を10%削減するだけでなく、単位面積当たり収量も8.7%増加という結果が出ています。

出典:農林水産省「肥料関係情報|農業者の皆様へ」所収「肥料のコスト低減事例集(令和3年11月)」(23ページ:リモートセンシングデータを活用した可変施肥技術)

リモートセンシングによる地力マップのイメージ

zapp2photo - stock.adobe.com

見える化が収量アップにつながる

ほ場を見回り、状況によってすぐに手を打つことは農家の重要な仕事ですが、特にほ場が多数で分散している場合は、全体の状況把握が難しい場合があります。

そういった時に、全ほ場の状況を手元で見ることができる管理サービスを活用すると、次に打つべき手を素早く判断でき、追肥や防除、収穫時期などを的確に判断でき、収量アップにつなげることができます。

農家にとって、スマート農業のハードルは?

以上がスマート農業の主なメリットですが、農家にとってのハードルもあります。

最も大きいのがコストの問題。AIを搭載した機器はものによって何十万~何百万円もすることから、なかなか導入に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。

これについては資金の状況に加え、導入コストが得られるリターン(省力化、コスト削減等)に見合っているか、冷静に判断する必要があります。

また、一部の生産管理アプリ等は無料や年間数千円~数万円程度で使えるものもあります(後述)ので、これらから検討してみるのが良いかも知れません。

また、使い方が分からない、本当に役立てられるか分からないといった不安も大きなハードルになります。この点については、導入前に事前に情報収集することも大事ですが、導入後のサポート体制がしっかりしているかも見たうえで判断するとよいでしょう。

何から導入すればよい? 製品・サービスのタイプ別に紹介

それでは、実際にどんなスマート農業の製品があるのでしょうか。代表的なタイプを、導入ハードルが比較的低いものから紹介していきます。

農家にとっての「個別解」を大切に!

農家と経営課題 スマート農業

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

低額で導入できる、ほ場管理や生産管理のアプリから、ドローン、自動収穫機、そして自動操舵が可能なロボット農機まで、デジタル技術を活用した今までにないサービスが各社で多数開発されています。

大切なのは多数あるサービスのなかから、自身の経営課題にあった適切なサービスを選択し、導入することです。

どの機械でもサービスでも、導入したからといって、一律に効率化できたり、収量アップできたりするわけではありません。

まずは、あなたが何を課題と考え、どこから解決したいか?という優先順位を振り返ってみましょう。そして導入後に期待できるメリットと導入費用を天秤にかけて購入を検討する必要があります。

ほ場把握・生産管理アプリ

どうしても高価なイメージを持つ方もいるスマート農業ですが、ほ場把握や生産管理等のアプリは手頃な価格や無料で使えるものが多くあり、実際に明日からも始められます。

作業記録、施肥・防除のスケジュール、収量や出荷記録など、各ほ場の状況をひと目で分かるようにするシステム以外にも、AIや人工衛星画像分析を使った最先端な圃場管理システムまで提供されています。

Z-GIS

「Z-GIS」は、Exceで管理しているほ場データとほ場のポリゴン情報を紐づけて管理できる。作物月、収量別に色分けしたり、品種や作業日などの文字情報を載せることも可能。

「Z-GIS」は、Excelで管理しているほ場データとほ場のポリゴン情報を紐づけて管理できる。作物別、収量別に色分けしたり、品種や作業日などの文字情報を載せることも可能。
画像提供:JA全農

Z-GISは、JA全農が提供する、ほ場管理と収量マップに特化した営農管理システムです。サービス内の地図上に表示されたほ場とExcelに入力した栽培記録を紐づけ、各ほ場の面積、品種や移植日などを管理できます。

これまで白地図やノートといった紙媒体で栽培記録を管理していた人は、情報をデジタル管理することで作業の効率化が期待できます。

製品ページ:JA全農「JA全農 営農管理システム Z-GIS」

ザルビオ(xarvio) フィールド・マネージャー

ザルビオ(xarvio) フィールド・マネージャー

ザルビオ(xarvio) フィールド・マネージャー
画像提供:BASFジャパン株式会社

ザルビオ・フィールド・マネージャーはBASFジャパンがJA全農と提携し、2021年4月より日本でサービスを開始した、総合的営農管理システムです。

衛星データからの解析によってほ場内の地力や生育状況を詳細に把握し、AIが栽培・施肥・防除の方法・タイミングなどについて最適なアドバイスをくれるアプリです。その他、作業管理等も可能で幅広く営農管理に役立てられます。

他の機器やサービスとの連携が充実しており、スマート農機と連携することにより、ほ場内の場所ごとの施肥量や農薬散布量を自動的に最適化することができます。また、Z-GISと連携しており、ほ場データ入力の手間を省くこともできます。

その画期的なサービス内容と、無料から始められる手軽さから、サービス開始からわずか1年半で利用者数は3,000人以上と、大きな伸びを示しています。

ドローン

スマート農業といえばドローンを思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。近年、農薬散布の性能向上や登録農薬数の増加を背景に、農業用ドローンの活用は年々増え続けています。

ドローンによる農薬散布面積(ha)の推移

出典:農林水産省「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」のページ所収の「令和3年度 農業分野におけるドローンの活⽤状況(令和3年8月)」よりminorasu編集部作成

導入に費用はかかりますが、最近ではプログラミングによって自動で飛行するものが多く、その省力化効果の大きさを考えると、数ha以上の一定規模の農地経営をされている方にとってはメリットが大きそうです。

直近では播種や施肥も行えるドローンが出てきているのも魅力となるでしょう。

▼農業用ドローンの最新事情については、こちらの記事をご覧ください。

スマート農機・ロボット農機

自動操舵トラクターや高性能のコンバイン・田植機などが各メーカーで開発、販売されています。

スマート農機になると数百万円以上、ものによっては2~3,000万円するものもありますが、少ない人数で広大な農地経営をする必要がある場合などには大きな助けとなってくれる可能性があります。

▼無人トラクターについては、下記の記事で主要メーカーの各機種の特徴や価格目安を紹介しているのでご覧ください。

▼ロボット農機開発の最新事情は、第一人者の北海道大学 農学研究院 野口伸教授のインタビュー記事をご覧ください。

モニタリング(施設栽培、水田の水管理など)

環境制御システムによるイチゴ栽培ハウスの管理

Princess Anmitsu / PIXTA(ピクスタ)

施設栽培の分野では、環境制御装置がもっとも知られており、成功事例も多く紹介されています。

最近は、施設栽培だけでなく、水田の水管理や果樹作でもモニタリング技術を活用して、省力化や品質向上に役立てている事例があります。
▼minorasu記事でも紹介しているのでご覧ください。

ここまできている!最先端のスマート農業事情と、国内スマート農業の今後

ここまでスマート農業の役割や事例を見てきましたが、農業におけるデジタル化・データ活用の流れはまだ進化を続けています。

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)
画像提供:BASFジャパン株式会社

前述したザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)は、その機能が極めて多岐に渡りますが、基本的には「データを活用することによって、管理の手間を極限まで減らし、かつ最適の成果が出るようにする」ということを実現するためのプラットフォームになっています。

従って、作業管理、施肥の管理、防除の管理、収穫の管理と、それぞれにおいて必要な情報をサービス内で蓄積し、最適なタイミングで最適な情報が届く形になります。

25年以上かけて集めた生育データや画像データを集積し、AIに学習させることでこのようなことが精度高く実施できるようになっています。

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)の「圃場マップ解析」サービス

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)の「圃場マップ解析」サービス
画像提供:BASFジャパン株式会社

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)の「AIによる栽培管理支援」サービス

ザルビオ・フィールド・マネージャー(xarvio FIELD MANAGER)の「AIによる栽培管理支援」サービス
画像提供:BASFジャパン株式会社

既にヨーロッパでは大手農機メーカーと協業し、xarvioのデータとスマート農機の連携による農作業自動化・最適化を強く推進しています。

それにとどまらず、ザルビオ・フィールド・マネージャーのデータをもとに農薬散布を全て引き受け、目標とする成果を保証するサービス(ザルビオ・ヘルシー・フィールド)まで開始しています。

BASFジャパンは、日本国内においても、ザルビオ・フィールド・マネージャーを活用して世界最先端の取組みが日本のニーズに適合した形で展開できるよう、各分野との協業も含めて検討を行っているところです。

スマート農業の最先端を知ろう!10/12~14は「農業Week」が開催!

農家の経営課題ニーズを満たし、社会的意義も大きいスマート農業ですが、その姿は日々進歩しています。

最新のスマート農業の状況を知るために、インターネット検索やSNSの情報で概要を知ることは有効ですが、最新情報はインターネット以外でも得る手段があります。

2022年10月12日(水)~14日(金)に幕張メッセで開催される「第12回農業Week」は、日本最大の農業・畜産の総合展。だからこそ、スマート農業の主要企業の多くが、最新の取組をアピールすべく集う場所となります。

第12回 農業Week

ザルビオ・フィールド・マネージャーを展開するBASFジャパンも「スマート農業EXPO」コーナーに出展し、最新情報を紹介しています。
ブース番号は【4-48(ホール7内)】です。

14日(金)10:30~11:30には特別講演「JA全農と世界のBASF社が取り組むスマート農業 衛星画像とAI解析による農業デジタルイノベーション」がJA全農とBASFジャパンの共同発表として予定されているほか、開催期間中は毎日展示ブースにて、実際の操作方法や事例を、初級者向け、中級者向け、上級者向けにわけて解説するミニセミナーも開催されます。

初心者向け「xarvio基本機能の紹介」

   10月12日(水)10月13日(木)10月14日(金)
午前11:00 -11:1511:00 -11:15
午後14:00 -14:1514:00 -14:15
午後14:45 -15:00
午後16:15 -16:3016:15 -16:30

中級者向け「AI分析による病害予測機能」

   10月12日(水)10月13日(木)10月14日(金)
午前11:45 -12:0011:45 -12:00
午後14:45 -15:0014:45 -15:00
午後15:30 -15:45

上級者向け「スマート農機連携による可変施肥で収益アップ」

   10月12日(水)10月13日(木)10月14日(金)
午後14:00 -14:15
午後15:30 -15:4515:30 -15:45
午後16:15 -16:30

場所・時間の都合がつく方は、最新のスマート農業をのぞきに、訪問してみてはいかがでしょうか。

※来場には事前登録(無料)が必要です。入場チケットはこちらから登録できます。
第12回 農業Week e-招待券(入場チケット)

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