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水稲の水管理を省力化する「パディウォッチ」とは? 導入メリットや価格を紹介!

水稲の水管理を省力化する「パディウォッチ」とは? 導入メリットや価格を紹介!
出典 : ベジタリア株式会社提供

水稲の水管理支援システム「PaddyWatch(パディウォッチ)」をご存知でしょうか。水稲栽培における水管理は品質・収量に関わる重要なポイントの一つです。重要だからこそ、怠ることができない水管理を省力化することができる「PaddyWatch」をさまざまな機能とともに紹介します。

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水稲栽培の水管理

ノンチャン / PIXTA(ピクスタ)

水稲栽培において水管理は安定した収量や等級を維持するためにとても重要です。

しかし、重要であるからこそ、こまめにほ場を確認しなければならず、特に経営拡大を考えている水稲栽培農家にとって時間的にも労力的にも大きな負担になっているケースが散見されます。

そこで、この記事では、水稲栽培における水管理の省力化に貢献するシステムとして注目を集めている「PaddyWatch(パディウォッチ)」について詳しく紹介します。

ベジタリア株式会社が開発した水田センサー「PaddyWatch(パディウォッチ)」とは?

PaddyWatch PW-2400の管理画面

PaddyWatch PW-2400の管理画面
画像提供:ベジタリア株式会社

PaddyWatch(パディウォッチ)は水稲栽培における水管理を支援してくれる「水稲向け水管理支援システム」です。

水田の状況を手元のアプリですぐ確認できる「水稲向け水管理支援システム」

ITベンチャー企業のベジタリア株式会社は、「農業ルネサンス」を理念としており、持続可能な環境と健康社会をテーマにさまざまな事業を展開しています。
ベジタリア株式会社 ホームぺージ

「農業生産者のみなさまと新しい農業の形を作り上げることを目指す」同社のIT技術を駆使して生み出されたのが、PaddyWacth(パディウォッチ)です。

PaddyWacth(パディウォッチ)は、NTTドコモの専用回線を使用し、パソコンおよびスマホから水田の水位や水温を「いつ・どこからでも」確認できるシステムです。

現場へ足を運ばなくてもリアルタイムでほ場の状態を確認できるため、水稲栽培における水管理の大幅な省力化につながることが期待されています。

ベジタリア株式会社「PaddyWatchとは」

PaddyWatch(パディウォッチ)が持つ機能と、今後の可能

PaddyWatch PW-2300の管理画面

PaddyWatch PW-2300の管理画面
画像提供:ベジタリア株式会社

PaddyWatch(パディウォッチ)には水稲栽培の省力化に貢献するたくさんの機能が備わっています。

例えば、センサーを利用して水位や水温を常時測れることはもちろん、「72時間先までの天気予報」や「閾値を超えたときのメール通知機能」などもあります。また、「PW-2400」では土壌温度の測定も可能となっています。

そのほかにも、オプションコンテンツとして測定データに基づく「病害虫予察」「雑草発生予察」「収穫時期シミュレーション」などもあります。オプションコンテンツには開発中のものもありますが、利用する農家の状況に応じて適宜導入できるのは魅力です。

さらに、ベジタリアでは、農業IoT技術を活用した自動水門の開発も進めています。自動水門が実用化されれば、将来的にPaddyWatch(パディウォッチ)との連携で水位の自動コントロールが可能になるかもしれません。

PaddyWatch(パディウォッチ)は現時点でも省力化に十分貢献するツールですが、さらなる将来性を感じさせるシステムとして注目を集めています。

水稲栽培を省力化! 水田にPaddyWatch(パディウォッチ)を設置する2つのメリット

水田の見回り

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

水田にPaddyWatch (パディウォッチ)を設置するメリットは、大きく分けて「省力化に貢献する」「高品質・高収量が望める」の2つです。それぞれ詳しく解説します。

1:見回りにかかる手間や時間を削減できる

水稲栽培では、品質や収量を確保するためには、適切な時期に適切な量の水を水田に張ることが大切です。しかし、人間が行う以上、どうしても労力の面で限界があります。そうした傾向は特に大規模農家ほど顕著で、複数のほ場を24時間常に監視するのは、いくら人手を雇っていても難しいでしょう。

PaddyWatch(パディウォッチ)は、一度設置すれば24時間休みなく水位や水温などを測定してくれるので、複数のほ場を管理しなければいけない農家ほど、見回りの手間を削減するメリットを大きく実感できるでしょう。空いた時間で新しいほ場の作付けに挑戦するなど、さらなる規模拡大を進めることも可能です。

2:病害虫の効率的な防除や、品質・収量の向上が望める

PaddyWatch(パディウォッチ)では水位や水温が閾値を超えたらメールで通知がくるため、タイミングを逃すことなく対応が可能です。複数のほ場をいつでも一度に確認でき、作物にとって最適な栽培管理を実現しやすいことから、品質や収量の向上も望めます。

また、測定したデータを参考にした病害虫発生予察機能がある点もメリットです。

これまで、農業における病害虫の防除は農家個人の経験や勘に頼る部分が大きく、データとしての「見える化」(可視化)が困難でした。しかし、PaddyWatch(パディウォッチ)によって客観的なデータを測定することで、情報の可視化が容易になり、誰でも的確で効率的な防除対策ができるようになります。

PaddyWatch(パディウォッチ)の導入価格とサービス利用料の目安

PaddyWatch(パディウォッチ)の導入に、どれぐらいのコストがかかるか気になる人も多いでしょう。2021年7月現在の価格を紹介します。

「PW-2400(測定項目:水位・水温・土壌温度)」の価格はセンサー本体が76,560円(税込)で、毎月のサービス利用料として月額2,178円(税込)かかります。また、設置のためのステンレスポールは5,940円(税込)です。

購入する場合は、ベジタリア株式会社に電話またはメールでお問合せください。近くに同社の拠点がない場合は、農機を扱っているJAなどを紹介してくれるそうです。

ベジタリア株式会社 コンタクトページ

具体的には何が変わった? 気になるPaddyWatch (パディウォッチ)の導入事例

ここからは、実際の導入事例を2つ紹介します。

6~7時間の見回り時間が2時間に!|千葉県「GREEN GIFT株式会社」

1つ目は、千葉県山武郡横芝光町で20haもの水田を運営している「GREEN GIFT株式会社」の事例です。同社ではそれまで水田の見回りに毎日6~7時間かかっていましたが、遠隔で確認できるPaddyWatch (パディウォッチ)を導入することで、1日当たり2時間の作業時間の短縮に成功しました。

また、同システムを用いたデータの蓄積によって、これまでベテランの経験や感覚に頼る部分が大きかった水稲栽培のノウハウや管理の仕方を、実際のデータをもとに説明、改善に活かすことができるようになりました。その結果、新人や研修生に教えやすくなったり、安定した方法で効率的な米づくりができるようになったことも利点として挙げています。

出典:株式会社NTTドコモ 法人のお客様 導入事例GREEN GIFT様

千葉県山武郡横芝光町の水田

sorakara / PIXTA(ピクスタ)

棚田の水管理の負担を軽減。データ化で若い世代への技術継承も|高知県本山町

2つ目は、周囲を1,000m級の山々に囲まれた高知県本山町の事例です。こちらでは地域の特性を生かした棚田で作るお米がおいしいと評判です。しかし、農家の高齢化が進み、坂道のある棚田の水管理を毎日行うのが大変だという悩みを抱えていました。

そこで、PaddyWatch (パディウォッチ)を導入して見回り回数を減らすことに成功したほか、栽培管理のデータ化によって水稲栽培マニュアルの作成にも成功し、若い後継者のために役立てています。

導入前は高齢者がシステムを使いこなせるかを心配していたようですが、実際には70代の農家でも問題なく使えており、とても助かっているとのことです。

出典:株式会社NTTドコモ 法人のお客様 導入事例 高知県本山町様

高知県本山町吉延の棚田

めいおじさん / PIXTA(ピクスタ)

農業の大規模化・法人化が進む昨今では、従来通りの水管理では労力がかかりすぎ、作業が追い付かない場合もあるでしょう。

しかし、そうした農業の変化をビジネスチャンスだと捉える企業もたくさんあります。特に農業はIT化が遅れている産業でもあるため、さまざまなシステムが日夜開発されており、PaddyWatch(パディウォッチ)もその1つとして注目されています。

将来的にはIoTを活用してさらに進化する可能性も秘めているので、IT技術導入による収量・品質向上に興味がある人は、利用を検討してみてください。

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中原尚樹

中原尚樹

4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。

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