【アシストスーツ】農業に最適なおすすめ6選!価格やメリットも解説

アシストスーツは、農業で身体的負担を軽減するために活用できます。本記事では、メーカー別のおすすめ製品と価格、アシストスーツのメリット・デメリットを解説します。導入時に活用できる補助金制度について解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
現代農業が抱える大きな課題「労働力不足」
農家の人口は年々減少し、労働力不足が問題になっています。仕事として自営農業に従事している基幹的農業従事者数は約20年間で半減しており、2000年の240万⼈から2024年は111.4万⼈にまで減少しています。
また、高齢化も現代の農業が抱える大きな問題です。2024年の65歳以上の基幹的農業従事者数は79.9万⼈で全体の71.7%を占め、平均年齢は69.2歳と⾼齢化が進⾏しています。

出典:農林水産省「農林業センサス」よりminorasu編集部作成
今後も高齢化が進むと、農作業の担い手不足がより深刻になるでしょう。農業人口減少によって生じる影響について書かれた次の記事も、ぜひご覧ください。
アシストスーツ活用が農業の課題解決の一手に

まめつん / PIXTA(ピクスタ)

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
アシストスーツとは、着用することで身体的負担を軽減する補助機器です。労働力不足や高齢化が顕著な農業では、アシストスーツを活用することで、作業者の負荷軽減や作業の効率化につながることが期待されています。
製品にもよりますが、例えば20kgのコンテナを持ち上げるときには、10~30%の力をパワーアシストスーツによって補助することが可能です。
さまざまなメーカーが農作業用のアシストスーツを展開しており、機能や価格で選ぶことができます。例えば、腕に装着するアシストスーツは2.5万~150万円、腰に装着するものは6万~12万円が相場です。
農業で使えるアシストスーツの製品一覧(特徴・価格)
具体的な製品を提示しながら、機能や価格について解説します。着用方法や軽減できる作業内容についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【ジェイテクト】 J-PAS Agri~(ジェイパス アグリ~)
株式会社ジェイテクト「パワーアシストスーツJ-PAS」 YouTube公式チャンネル「【機能を理解し快適に使う!】J-PAS Agri~導入インタビュー」
株式会社ジェイテクトの「J-PAS Agri~」は、農作業特有の動きに対応したパワーアシストスーツです。
身体をひねる、かがむといった農作業でよく行う複雑な動作にも柔軟に対応し、必要なときに必要なだけ力をサポートするのが特徴です。装着しても軽量で、背中が暑くなりにくく、圧迫感もありません。長時間の作業でも快適に使用できるように設計されています。
また、着用したまま普通に歩いたり、椅子に座ったりすることができるため、作業の合間や移動時にも装着を外す必要がなく、作業効率を損なうことがありません。J-PASシリーズは用途ごとに特化した設計がされており、J-PAS Agri~は特に農業現場での使用に最適化されています。
出典:株式会社ジェイテクト 「J-PAS Agri~」
J-PAS Agri~ | |
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サイズ | ワンサイズ |
重量 | 約2kg |
税込価格 | 327,800円 |
補助力 | ー |
【イノフィス】マッスルスーツ エブリィ

「マッスルスーツ エブリィ」を着用したイチゴの定植作業。中腰になる頻度が高い定植作業や収穫作業では身体負担が軽くなり、作業中の腰伸ばし動作の時間が大きく減少する
出典:株式会社PR TIMES(株式会社イノフィス ニュースリリース 2022年2月3日)
株式会社イノフィスの「マッスルスーツ エブリィ」は、空気の力を利用したアシストスーツです。空気圧で作られた「人工筋肉」が作業者の動きに合わせて動作をアシストします。
電気やモーターなどは使われていないので、本体重量が3.8kgと軽く、女性や高齢者も使いやすいという特徴があります。着用方法はリュックサックのように背負ってベルトを締めるだけで、10秒もあれば簡単に装着できるのもメリットです。
重いものを持ち運ぶ作業に適した「ソフトフィット」と、中腰で行う作業に適した「タイトフィット」の2種類があります。
出典:株式会社イノフィス「製品について」
マッスルスーツ エブリィ | |
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サイズ | S-Mサイズ(身長150~165cm向け) M-Lサイズ(身長160~185cm向け) |
重量 | 約3.8kg |
税込価格 | ソフトフィット:149,600円 タイトフィット:149,600円 |
補助力 | 25.5kgf |
【クボタ】アシストスーツラクベスト
株式クボタ Youtube公式チャンネル「【ラクベスト】梨の摘蕾や花粉交配作業をしっかりアシスト!:三浦雅明さん」
株式会社クボタの「ラクベスト」は、農作業で腕を上げたままの作業をサポートするためのアシストスーツです。人間の腕は3~4kgほどの重量があり、上げたままで作業をすると腕自体だけではなく、肩にも大きな負担がかかります。
ラクベストは肘を支えるので、腕や肩の負担を軽減することが可能です。ブドウや梨の棚上げ作業など、長時間腕を上げる作業でも疲れにくく、効率的に作業が継続できます。また、リュックサック感覚で装着でき、高齢の方も着脱しやすいように設計されています。
ラクベスト | |
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サイズ | ワンサイズ |
重量 | 3.8kg |
税込価格 | 150,700円 |
補助力 | ー |
【ダイドー】アシストスーツ TASK AR TypeS シリーズ

出典:ソーシャルワイヤー株式会社(株式会社ダイドー ニュースリリース 2021年5月18日)
株式会社ダイドーのアシストスーツ 「TASK AR TypeS シリーズ」は、腕を上げるとアシストが発動する仕様です。腕を上げたままの作業に適しており、棚上げ作業や収穫の際に活用できます。
肘と腰に取り付けて使用するので、フルハーネス状態でも無理なく着用可能です。また、電力を使わないため、雨天時や屋外でも安心して利用できます。
肩装具なしの「TASK AR Type S2」と、肩装具ありの「TASK AR Type S3」の2タイプがあります。
出典:株式会社ダイドー「アシストスーツ TASK AR TypeS シリーズ」
TASK AR TypeS シリーズ | |
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サイズ | フリーサイズ |
重量 | 1.6kg(S2)、1.7kg(S3) |
税込価格 | ー |
補助力 | 1.5kgf~3.0kgf |
【パワーアシストインターナショナル】パワーアシストスーツ PAIS-M100
パワーアシストインターナショナル株式会社の「PAIS-M100」は、4.7kgと軽量ながら、電動モータで身体の動きを支えるパワーアシストスーツです。重い荷物の上げ下げや作業中の中腰の姿勢、荷物を運びながらの歩行時など、多用途に使えます。
パワーアシストインターナショナル株式会社 YouTube公式チャンネル「パワーアシストスーツ建設」
農業分野では、出荷時や収穫時、棚上げ作業など幅広い用途で活用可能です。ものを下ろすときにはブレーキサポートもあるので、腰に負担がかかりにくくなります。
リュックサックを背負うように肩ベルトに腕を通し、腹部のベルトを締め、肩ベルトの長さを調整し、大腿部のベルトを締めて着用します。
出典:パワーアシストインターナショナル株式会社「PAIS-M100」
PAIS-M100 | |
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サイズ | ワンサイズ |
重量 | 4.7kg |
税込価格 | 1,200,000円 |
補助力 | 持ち上げ時には腰を10~15kg分アシスト |
【ユーピーアール】サポートジャケット Bb+PROⅡ

ユーピーアール株式会社のサポートジャケット「Bb+PROⅡ」
出典:PR TIMES株式会社(ユーピーアール株式会社 ニュースリリース 2020年9月1日)
ユーピーアール株式会社のサポートジャケット「Bb+PROⅡ」は、腰全体を包み込む形の腰ベルトで高い安定性を実現したアシストスーツです。
姿勢を矯正する効果もあり、腰や膝など、身体に負担がかかりにくい体勢維持に活用できます。Sから3Lまで5つのサイズ展開があり、重量が軽いこともBb+PROⅡの特徴です。
肩ベルトに腕を通して腰ベルトと膝のサポーターを締め、肩ベルトの長さを調整したあとにチェストベルトを留めて着用します。慣れれば30秒程度で装着できるでしょう。
出典:ユーピーアール株式会社「サポートジャケットBb+PROⅡ」
サポートジャケットBb+PROⅡ | |
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サイズ | Sサイズ(身長155~165cm向け) Mサイズ(身長162~172cm向け) Lサイズ(身長168~178cm向け) LLサイズ(身長174~186cm向け) 3Lサイズ(身長180~192cm向け) |
重量 | 約0.6kg |
税込価格 | 41,800円 |
補助力 | ー |
アシストスーツで農業経営の課題を解決した好事例
パワーアシストスーツを導入することで農作業の負担を軽減することが可能です。また、農業経営の課題も解決できることがあります。実際の事例をいくつか見ていきましょう。
怪我を防いで経営安定! サツマイモ(甘藷)農家の導入事例
あるサツマイモ(甘藷)農家では、長年悩まされていた腰痛を改善することを目的として、イノフィスが開発したマッスルスーツ エブリィのソフトフィットタイプを導入しました。収穫時には30kgのコンテナを1日に約400回も上げ下ろししますが、負担が大幅に改善され、健康に対する不安も軽減したようです。
出典:株式会社イノフィス「農作業の省力化を実現。個人農家を支えるマッスルスーツのメリットとは?【さつまいも農家 飛田様】」
生活の安定には健康維持が欠かせません。いつまでも健康で働きたい方も導入を検討できるでしょう。
株式会社イノフィス Youtube公式チャンネル「【マッスルスーツ導入事例】さつまいも農家【農業】」
摘粒作業の作業負荷を軽減! ブドウ農家の事例
ブドウの摘粒作業は、品質の良し悪しを決める重要な工程です。しかし、1日中腕を上げて繊細な作業を行うことになるため、多くのブドウ農家が疲労や負担を抱えているのが現状です。
あるブドウ農家では、ダイドーのTASK AR TypeSを導入したところ、アシストスーツ着用の違和感がなく、作業の快適性が上がりました。作業中は腕を預けることができ、腕の上げ下げが自然に行える柔軟なアシスト力を評価しています。
摘粒作業以外にも、袋掛けやシベレリン処理、剪定作業、収穫作業など、ブドウの栽培は1年中腕を上げての作業が中心になるため、作業効率が向上したという結果が得られています。
出典:株式会社ダイドー「導入レポート ブドウの摘粒作業」
アシストスーツの導入には補助金が使えることも
アシストスーツ導入の際には、補助金が利用できるかどうかを確認してみましょう。例えば、国の「働き方改革推進支援助成金事業」では、労働能率の増進につながる機器を導入する際に、導入費用の最大5分の4を上限として補助金申請が可能です。
アシストスーツを販売しているメーカーのホームページでは、利用できる補助金に関する情報も公開していることがあります。ぜひチェックしてみてください。

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
アシストスーツを導入することで、農作業時の身体的な負担を軽減するだけではなく、業務効率が向上し、作業時間を短縮できることもあります。
また、身体的な負担が軽減されると、健康を損ねて働けなくなるのではないかという不安が軽減される点もアシストスーツのメリットといえるでしょう。条件によっては補助金を利用できることもあるので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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林泉
医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。