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農機具のリースはお得? 購入・レンタルとの違い、導入メリットを解説

農機具のリースはお得? 購入・レンタルとの違い、導入メリットを解説
出典 : nikonmike - stock.adobe.com

新規就農や農家の規模拡大には、新しい農機具の導入が欠かせません。その際に最も気になるのはコストではないでしょうか。なるべく費用を抑えて農機具を揃えるなら、リースの活用を検討してみましょう。リースを利用すれば、比較的少ない初期投資で必要な農機具を調達することができます。より効率的な農業経営のために、リースの特徴とメリット

農家の高齢化や大規模化を背景に、農作業を効率化できる農機具へのニーズが高まっています。一方で、農機具のコストは高く、導入に踏み切れず悩んでいる農家も少なくありません。本記事では、そんな農家のために、リースを活用した賢い農機具調達法を紹介します。

農業の省力化へ 高まる農機具ニーズ

主要農業機械の国内向け出荷数と販売農家戸数の推移

出典:一般社団法人日本農業機械工業会「日農工統計 農業機械の生産・出荷実績」、農林水産省「農業構造動態調査」「農林業センサス」よりminorasu編集部作成

リースの解説の前に、近年の農機具の動向について確認しておきましょう。

農機具の出荷台数は、農家数の減少によって右肩下がりの傾向が続いています。一方で、最新鋭の農機具への需要は根強く、導入ニーズは今後高まっていく可能性があります。

背景には、農作業の省力化・効率化が急務になっていることが挙げられます。農家の担い手は高齢化が進み、人材不足も深刻です。農機具による作業負担の軽減や、人手を補う技術が求められています。

農家の大規模化に伴って、高性能の農機具を求める需要も高まっています。

現役世代の離農や継承者の不在などにより、農地の集約・集積が進んでおり、農家の規模は拡大する傾向にあります。

また、集落営農からの法人化や、一般法人の新規参入などを背景に、大規模経営を行う法人も増加傾向です。

こうした農業経営の規模拡大には、広大な農地管理や大量生産を効率的に行える農機具が不可欠になっています。

作物によっては、機械化がかなり進んでいる分野もありますが、作業効率の改善の余地はまだ残っています。

例えば水稲作では、田植えや除草作業は機械化により労働時間が短縮されているものの、管理作業は他作業に比べ効率化が進んでいません。ドローンなどを活用した生育栽培管理や、収穫作業などを自動化する技術開発も期待されています。

出典:農林水産省「農業機械をめぐる情勢」平成28年3月

農機具の導入にはコスト低減が課題

主な農業機械の平均価格

農作業の機械化が求められている一方で、農機具の導入コストは農家にとって大きな負担になっていいます。農機具の中でも需要の高いトラクターやコンバインの平均価格は300万円以上にのぼり、1千万円近い高額商品もあります。

生産費に占める農機具費の割合

生産費全体を見ても、農機具費の占める割合は少なくありません。令和2年産(2020年)の米の生産費の内訳を見ると、農機具費の割合は22.5%を占めていました。

現役農家の持続的な経営や、新規就農者の拡大には、農機具のコスト低減が求められています。

農機具リースを利用してみよう

コストをできるだけ抑えて農機具を調達するなら、リースを活用する方法があります。リースを利用すれば、比較的安い初期費用で農機具を導入することができます。

リースとレンタルの違い

農機具リースと農機具レンタルの比較

契約の仕組みと特徴を確認しておきましょう。

リースは長期的な貸借契約

リースとレンタルの違い

リースとレンタルの違い

農機具リースと農機具レンタルの比較

農機具リースと農機具レンタルの比較

出典:三井住友カード株式会社「ビジドラ」内「リースとレンタルの違いとは?メリット・デメリットで徹底比較!」株式会社クレディ・セゾン「リースとは?レンタルとの違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介」農林水産省「農業資材審議会農業機械化分科会 第25回(平成28年3月31日)」所収「農業機械をめぐる情勢(平成28年3月)」よりminorasu編集部作成

リースとは、リース会社を通じて長期的に設備や機械を賃借する仕組みです。

利用者は、リース会社と契約を結び、借りたい商品を指定します。リース会社は指定された商品をメーカーなどから買い付け、利用者に貸し出すことでリース利用が始まります。

レンタルも利用者に商品を貸し出すサービスですが、仕組みや貸し出し期間が異なります。レンタルの利用は原則短期間で、利用者はレンタル会社があらかじめ仕入れた商品から借りたいものを選びます。

リースは、実質的にはリース会社に設備機械の購入費用を肩代わりしてもらうものです。金融商品的な性格も、レンタルとの大きな違いといえるでしょう。

リースの期間満了後は、借りた商品はリース会社へ原則返却します。継続して使用したい場合は、再リース料を支払う必要があります。

リースを活用するメリットと注意点

リースを利用する最大のメリットは、初期費用を安く抑えられることです。

リースは、必要な総費用をリース期間に合わせて平準化し、定額を払い続けていくシステムなので、導入時にまとまった金額を用意する必要はありません。資金が十分でない新規就農者も、リースを利用すれば農機具の導入を決断しやすくなります。

リースは、税や保険料などの事務処理がいらない利点もあります。

農機具を所有した場合に必要な固定資産税の納付や保険料の支払いは、リース会社が手続きを行ってくれます。

また、購入した場合は確定申告時に減価償却費の計算などが必要になりますが、リースなら定額の費用をリース料として計上するだけで済みます。

ただし、リースは原則中途解約をすることはできません。また、リース料にはリース会社の手数料などが上乗せされるため、リースにかかる総額は購入費用よりも高くなる場合もあります。

契約する際は、リースする農機具の使用頻度や、購入した場合の耐用年数などと見比べて、リースが適しているのか見極めておくことが大切です。

トラクターやコンバインのリース契約

tsukat / PIXTA(ピクスタ)

リースで利用できる農機具

農業分野でリースできる設備や機械は、トラクターやコンバインなどの農業機械、トラックなどの車両、農作物の加工・貯蔵設備などがあります。

利用者側がリース会社へ借りたいものを指定することができるので、最新鋭の農機具などを選べる可能性もあります。

提供している農機具の種類や機種はリース会社によって異なるので、契約を検討する際は事前に確認しておきましょう。

リースにかかる費用

リース料金は、商品の購入価格に、金利、固定資産税、保険料、リース会社の管理費や利益などを加えて算出されます。一回の支払い料金は、リース期間の年数や月数などで均等割するため、契約期間によって変動します。

リース期間は、設備機械の耐用年数に応じて一定期間以上の年数を指定するよう税務上で定められています。法定耐用年数が10年未満であれば、リース期間はその70%以上、10年以上であれば60%以上となる期間を設定しなければなりません。

リースの費用をできるだけ安く抑えたい場合は、残価設定型リースを活用する方法もあります。

残価設定型リースとは、リース契約が満了した時点での商品価値を「残価」として設定し、定価から残価を差し引いた金額をリース料として支払う仕組みです。

例えば、300万円の農機具を5年間リースする場合、残価は5年後の市場売却価格から設定されます。

将来の売却価格が50万円とすれば、残りの250万円がリース料の対象となります。

プランによっては、購入するよりも費用を抑えられる場合もあるようです。対応機種やリース期間などの条件が限定されていることもあるため、契約内容はよく確認しましょう。

この方式は、一部各県のJAが提供するリースサービスや、ヤンマーホールディングス株式会社の農機リースなどで採用されています。

ヤンマーでは、保守点検サービスと残価設定リースを組み合わせた「サブスクあんしんパック」を提供しています。保険料のほか、メンテナンスサービス料も含んだ定額料金設定が特徴です。田植え機、トラクター、コンバインが対象で、月額49,500円(税込)から利用することができます。

ヤンマーホールディングス株式会社「サブスクあんしんパック」

シェアリースでさらにコストを削減

近年は、農機具のコストをさらに削減する試みとして、リースする農機具を共同利用する「シェアリース」が注目されています。

JA三井リース株式会社が企画したもので、農機具の利用時期が異なる複数の農家が、リレー方式で農機具をシェアする仕組みを構築しました。これにより、農家は稼働率の低い農機具を有効活用でき、格納整備費用なども節約することができます。

対象機種は、6条刈りの自脱型コンバインで、年間の基本料金は235万円(税別・2021年度料金)です。この金額は、購入した場合の年間費と比較すると、30万円以上安いといわれています。(価格1,300万円・耐用年数7年のコンバインの場合。整備費用は年間110万円で計算)。

2020年には、農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト」で採用され、キャベツの自動収穫機をシェアリースする実証実験も行われています。

シェアリースは他者と共同利用する仕組みのため、利用条件は細かく定められています。天候不順で農機具が使用できなくてもリース期間の変更ができない、などのデメリットもあります。サービスの普及には、シェアリースできる農機具の充実や、利用者がより柔軟に利用できる仕組みが求められるでしょう。

収穫機で収穫されたキャベツ

瑞鳳 / PIXTA(ピクスタ)

高額な大型農業機械や新型の農機具の購入を検討する際は、リースの活用を視野に入れてみましょう。初期投資のハードルを下げ、新規就農や生産規模の拡大、スマート農業の導入へ弾みをつけられます。

残価設定型リースやシェアリースなどを利用すれば、生産コストの削減につながる可能性もあります。農機具の調達手段としてだけでなく、賢い農業経営術として、リースの知識や活用法を覚えておきましょう。

西岡日花李

西岡日花李

大学在学中より東京・多摩地域の特産・伝統文化などを取材し、街のローカルな魅力を発信するテレビ番組制作・記事を執筆。卒業後は大学院でジャーナリズムを学び、神奈川県のミニコミ紙記者として勤務。マスメディアでは取り上げない地域の課題を幅広く取り上げ、経験を積む。現在はフリーライターとして主に農業をテーマにした記事を執筆。農業の様々な話題を通して、地方都市の抱える問題や活性化への手立てを日々考察している。

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