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白菜の播種・定植・収穫時期や管理のポイントとは? 好適な栽培方法を解説
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白菜の播種・定植・収穫時期や管理のポイントとは? 好適な栽培方法を解説

白菜の播種・定植の時期は、産地や気候によって春播きと夏播き・秋播きの2パターンに分かれており、収量を最大化するためには、作型に応じた栽培管理が大切です。この記事では機械による白菜の定植を前提に、栽培密度と収量の関係や育苗管理・ほ場管理のポイントを解説します。白菜栽培の更なる省力化を目指せる新技術も紹介します。

白菜の需要は冬がピークですが、白菜を使ったレシピが多様化しているため通年での需要が見込まれています。白菜の生産量は茨城県が最大ですが、全国で栽培されているのも特徴です。まずは、地域ごとの白菜の栽培状況から解説します。

地域と季節に応じた白菜の栽培暦

白菜のマルチ栽培

vadoo / PIXTA(ピクスタ)

白菜は冷涼で乾燥した気候での栽培に適した野菜で、播種後約65~95日で収穫期を迎えます。栽培地域の気温に応じて春播き・夏播き・秋播きいずれかの栽培方法が選ばれますが、生育の適温が15~20℃と温度幅が狭いため、年2回の作型がとられます。

外葉の生育期には30℃以上の高温に耐えられるものの結球適温は15~16℃と低く、23℃以上だと軟腐病が多発するため、夏の暑さが厳しい関東地方より西の地域では夏播き栽培が困難です。

また、4℃以下だと結球が止まるため、長野県など標高の高い地域や東北・北海道地方といった冷涼地では降雪期を迎える前に収穫できるよう夏播きが選択されます。

夏播きの収穫期は9月下旬~12月上旬、秋播きの収穫期は10月下旬~12月下旬、温暖な地域だと2月上旬まで収穫が可能です。

春播き栽培では播種期が低温なので、マルチなどを用いて生育適温を保ちます。5月上旬~6月上旬が収穫期ですが、冷涼地では5月に播種し7月下旬に収穫する場合もあります。

春播き

播種時期収穫時期
冷涼地2月下旬~5月下旬5月下旬~7月下旬
中間地2月上旬~2月下旬5月中旬~6月上旬
温暖地1月中旬~2月中旬5月上旬~5月下旬

夏播き・秋播き

播種時期収穫時期
冷涼地7月上旬~8月上旬9月下旬~12月上旬
中間地8月上旬~8月下旬10月下旬~12月下旬
温暖地8月中旬~9月上旬11月上旬~2月上旬
白菜の収穫作業

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白菜の栽植密度と収量について

白菜は、栽培時の株間が広いほど結球重が重くなる一方、総収量が少なくなる可能性があります。反対に、株間を狭くすることで生産性が高まるという考え方もありますが、収穫期の調整などが必要です。

ここでは機械による定植を前提に、収量の目安や栽植密度など白菜の栽培におけるポイントを解説します。

収量の目安

白菜のコンテナ収載

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2019年度の白菜の収量は10a当たり5,240kg、作付面積は年々減少している一方で収量は2012年以降横ばいです。そのため、生産の効率性はわずかながら高まっているといえます。

秋・冬播きの収量は10a当たり4,630kgで春・夏播きと比べると少なめですが、全国各地で栽培されており、出荷量は455,750トンと年間の6割を占めています。

一方、春播き・夏播きでは栽培地域が長野県などに限られており、収量の少なさを裏付けています。また、早生種と比べると栽培期間が長い晩生種が作物の重さが大きくなる傾向です。

したがって、10a当たりの収量は早生種で5,000kg、中生種・晩生種では6,000kg前後が目安でしょう。

出典:農林水産省 作物統計調査「令和元年産野菜の作付面積、収穫量及び出荷量の動向」「令和元年産野菜生産出荷統計」

狙う結球重で株間と栽植本数が決まる

スーパーマーケットのミニ白菜

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白菜1玉あたりの重量は約2.5~3kgですが、消費者のニーズに対応して1玉700~900g程度のミニ白菜も流通しています。

栽植密度と収量は栽培する品種と地域が定める基準に従うのが基本ですが、狙う結球重によって適切な株間、そして10a当たりの収量も変化します。結球重が重くなるほどサイズが大きくなり、収穫できる個数が減るわけです。

また、キャベツを主体とした研究ですが、ハクサイを含む結球性葉菜類は株間が広ければ結球重を大きくできることがわかっています。一方、株間を広げると10a当たりの育苗本数も減るため、狭い株間で収量を上げるには肥料の増施などの対応が有効です。

収量と株間のバランスを考えて栽植本数を決めることが、農業経営の効率化・収益増にもつながるでしょう。

参考として茨城県・長野県の白菜の収量を紹介します。

10a当たりの収量

茨城県長野県
春播き50,900t23,800t
夏播き153,400t
秋・冬播き176,800t55,300t

白菜の栽培管理|育苗から定植までを重点解説

白菜は収量・品質ともに安定した作物ですが、さらに生産性を高めるには育苗段階での温度管理や土壌環境の整備が大切です。機械で白菜を定植する前提で、育苗管理・ほ場の整備や定植前後の栽培管理の流れを説明します。

定植前の育苗管理

発芽適温と育苗期間

白菜の発芽適温は15~30℃ですが、収量を確保するためには播種から発芽・定植までの温度管理が大切です。

発芽後の温度が13℃以下になると花芽分化が発生し、葉数が増えなくなって不結球や抽苔(トウ立ち)の問題が発生します。

春播きの場合は温床育苗を行うなど低温に遭わない環境を整えた上で、本葉6~7枚になるまで育苗します。また、夏・秋播きの場合は10月下旬頃までに十分な外葉を作っておきましょう。

育苗日数は春播きの場合は35日~40日、秋播きの場合だと14日前後が目安です。

播種

白菜のセルトレイ育苗 発芽直後

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育苗日数に応じて、72~128穴のセルトレイまたは25穴・36穴の連結ポットを用意します。

根の切断を防ぎ定植作業をしやすくするために、トレイの下に空間を設ける「エアープルーニング」をおすすめします。育苗が高温期にかかる場合は、白色のセルトレイや連結ポットを使うと土壌温度の上昇や葉焼けを防げるでしょう。

育苗には、1リットルあたりの窒素成分が150~200mg程度の培養土を使用します。含水タイプでない場合は、培養土の重さの1割程度の水を加えてよくかき混ぜてから使用しましょう。

培養土をセルトレイなどに詰めてから、1セルあたり3~4粒播種します。コート種子を使用する場合は、種子の吸水に十分な水分が必要となるため、1セル1粒の播種にとどめます。生長競合によって生育を促進するため、1本に間引くのは本葉が6~7枚になった時点がおすすめです。

播種後の灌水はトレイの下から水が少し落ちる程度にとどめますが、本葉が3枚以上になると生育が盛んになるので多めに灌水するようにします。播種直後からセルトレイなどの上に防虫ネットや寒冷紗をかけておくと、害虫防止に効果的です。

定植直後の白菜の苗

パレット / PIXTA(ピクスタ)

ほ場の準備

白菜の根は細かく、土壌内の広い範囲に伸びていきますが過湿に弱い面もあります。生育を良好にするために、通気性・排水性ともに優れた土作りが大切です。

定植の3週間ほど前からほ場の準備を始めるとよいでしょう。春播きの場合は花芽分化を防ぐため、マルチやトンネル被覆により地温を高めるようにします。

白菜の栽培では、台風や豪雨でも滞水しないよう排水がよいほ場を選びます。

吸肥力が強くないため、最低でも深さ20cm以上になるよう耕し、通気性も確保します。また、根の張りを良くして多くの養分を吸収できるよう、完熟堆肥を10a当たり最低2t以上施用しましょう。

根こぶ病の発生を未然に防ぐため、石灰やリン酸肥料を施用して土壌pHを6.0~6.5程度に調整します。pHが7.0以上になると、カルシウムやホウ素などが吸収されづらくなるため注意が必要です。

根こぶ病や黄化病の発生を防ぐには、最低2~3年は白菜だけでなくアブラナ科の作物の連作を避けるのが無難ですが、連作する場合は農薬を用いた土壌消毒を行うようにします。

特に根こぶ病原菌は土壌内で5~10年生存するといわれており、土壌の移動によっても汚染が拡大するので要注意です。

土壌の整備が済んだら、畝幅70~75cm・高さ30cm程度の高畝を作ります。

1条植えが一般的で株間は40cm、10a当たり4,000株が目安です。2条植えにする場合は、条間(苗の横)を45~50cmほど確保するようにします。また、春播きのトンネル栽培では3条植えにして、条間を40cmほど確保しましょう。

白菜 2条植えの畝

いちご / PIXTA(ピクスタ)

定植

定植は手作業でも行えますが、自動移植機を利用するとカップに苗をセットするだけで、等間隔に定植できるので効率的です。

定植前日までに病害虫の防除を済ませておきましょう。セルトレイで育苗した場合は本葉3~4枚、ポットで育苗した場合は本葉5~6枚が作業の目安です。

定植作業は天候の良い日を選び、定植当日はトレイに直射日光が当たって土が乾燥しないよう作業直前まで日陰に苗を置いておきます。

高温期・乾燥時は日中の作業を避け、夕方に定植を行うようにしましょう。定植直後の急激な乾燥や過湿を防ぐため、トレイ内の土を湿らせた上で定植作業を行います。

アオムシやダイコンハムシなどの害虫による食害を防ぐため、定植後すぐに防虫ネットを張ると効果的です。気温が低い時期には、霜よけとしての効果も発揮します。

野菜の自動移植機(ヤンマー乗用全自動野菜移植機PW20R)

野菜の自動移植機(ヤンマー乗用全自動野菜移植機PW20R)
出典:株式会社PR TIMES(ヤンマー株式会社 ニュースリリース 2015年11月11日)

定植後の栽培管理

定植後は、外葉が十分に育って結球するよう追肥作業を行います。甘みの多い白菜を生産するためには欠かせない作業です。

1度目の追肥は定植後20~25日後を目安に、中耕と除草を兼ねて実施します。中耕によって通気性・通水性が高まるため、降雨後など土が締まったタイミングで行うと効果的です。

1回の栽培で必要な施肥量は、10a当たり次の分量が目安です。
・窒素:20~25kg
・リン酸:15~20kg
・カリウム:20~25g
別途、力ルシウム・マグネシウム・ホウ素などを含む化成肥料も施します。

※地域によって施肥基準は異なります。自分の地域の施肥基準を確認してください。

1度目の追肥とは別に、苗が土壌にうまく定着するように定植から7~10日後に窒素肥料を施す場合もあります(根付き肥え)。

2度目の追肥は1度目の追肥から20日ほど後に行います。畝の肩に肥料を施しますが、葉に肥料が付着すると肥料焼けを起こすため、慎重な作業が必要です。

マルチやハウス・トンネルを活用した栽培では追肥しなくてもかまいませんが、結球開始までは最高気温が33℃以下になるよう温度調整を行います。

外葉が15枚前後になった段階でトンネルを除去しますが、除去が遅れると結球が進まなくなるので注意しましょう。また、結球の始まりから中期にかけて4~5日灌水すると、収量が増えるでしょう。

白菜栽培の省力化・軽労化を実現する新技術

越冬白菜の頭部結束(個別結束)

Yoshi / PIXTA(ピクスタ)

白菜栽培では定植や防除・収穫などの機械化が進んでおり、10a当たりの延べ労働時間は90~100時間ほどといわれています。

一方、秋播き栽培での頭部結束作業など一部の作業では、いまだ手作業を余儀なくされているのが現状です。

白菜栽培のさらなる省力化を目指し、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)では埼玉県産業技術総合センターと民間企業との協働で越冬白菜用の頭部結束機を開発しました。

機械の運転者1名で結束作業を行うことができ、腰や膝を曲げずに済むので大幅な省力化を実現しているのが特徴です。機械の試験結果は良好で、早ければ2021年11月にモニター販売が始まる予定です。

出典:農研機構・東洋精機株式会社「越冬ハクサイの頭部結束機を開発」

越冬白菜の頭部結束(連続結束)

蕎麦喰亭 / PIXTA(ピクスタ)

白菜栽培では、地域や気候に応じて春播き・夏播き・秋播きによる栽培が選ばれますが、育苗中の温度管理や定植時の株間の取り方、施肥や灌水といったほ場管理によって収量が違ってきます。

頭部結束機など新たな省力化技術も取り入れながら、適切な栽培管理を実践し、収量の拡大を目指しましょう。

舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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