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日本の農業人口はどう推移している? 農業現場へ与える影響とは
出典 : タカス / PIXTA(ピクスタ)
  • 農業市場

日本の農業人口はどう推移している? 農業現場へ与える影響とは

この記事では、日本の農業人口の推移と、農業人口減少により生じる影響について解説しています。これからの農家が考えるべき取り組みや、農業の省力化などに関しても紹介しているので、農業をとり巻く現状と今後の展望について知りたい方は、ぜひ一読ください。

農業人口に関する情報を通じて、農業の現状や将来を把握したいと考える農業関係者に向けて、本記事では、農業人口の推移や、就農人口の減少が現場に与える影響を詳しく解説し、これからの農業はどうあるべきかについて考えていきます。

日本における農業人口の推移

農林水産者の発表によると、2010年の「農業就業人口」は約260万人でした。しかしその後は、毎年10~50万人ほど減り続け、2019年には約168万人にまで減少しました。

農業就業人口 推移 グラフ

出典:農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」よりminorasu編集部作成

農業就業人口のうち、自営農業である「基幹的農業従事者」の人数は、2010年が約205万人だったのに対して、2019年は約140万人でした。農業就業人口全体が減少する中で、基幹的農業従事者が占める割合は約8割で推移しており、大きな変化は見られません。

農業就業人口 基幹的農業従事者

出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」よりminorasu編集部作成

農業人口は減少・高齢化の一途

minorasu(ミノラス)の画像

では、「農業従事者の年齢構成」はどのように推移しているのでしょうか。
2010年の農業就業人口のうち、65歳以上は約160万人で全体の約6割、平均年齢は65.8歳でした。2019年になると、65歳以上は約118万人で全体の約7割を占め、平均年齢は67.0歳でした。
農業就業人口の減少傾向と比べるとゆるやかではあるものの、農業従事者の高齢化が進んでいることが窺えます。

農業就業人口 65歳以上の人口と割合

出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」よりminorasu編集部作成

法人経営体と常時雇用者数は増加傾向

農業就業人口が減少する一方で、法人化して事業を行う法人経営体は近年増加傾向にあります。2005年には8,700法人であった法人経営体数は、2015年には1万8,857法人と約2.2倍に倍増し、その後も増加傾向が続いています。

そして法人経営体の増加に伴い、法人経営体の経営形態の指標とされている常時雇用者数も着実に増加しています。

出典:農林水産省「平成28年度 食料・農業・農村白書」農業経営体の経営状況

近年の新規就農者数とその傾向

新規自営農業就農者と新規雇用就農者、そこに新規参入者を加えた「新規就農者数」は、2013年の約5万人から2015年は約6万5,000人となり、一時的に増加していました。しかし、2017年には5万5,700人となり、再び減少傾向にあります。

「新規就農者の年齢内訳」を見てみると、49歳以下が全体の約4割、44歳以下が約3割を占めており、この年齢比率は2013年から2017年までそれほど大きく変わっていません。全体的な傾向としては、新規自営農業就農者の数は横ばいですが、新規雇用就業者や新規参入者の数は年々増加しています。

このように、農業就業人口はここ10年で大きく減少し、同時に少しずつ高齢化が進行している一方で、法人化が進み常時雇用者数は増加しています。
新規就農者数は増減を繰り返しながらも、毎年ほぼ同じ水準を維持していると言えるでしょう。

出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」

農業の雇用に関する問題点

2018年に農林水産省が行った「農の雇用事業に関するアンケート」によると、「以前に比べて、新規の雇用就農者の確保が難しくなった」と答える農業経営体が半数以上にのぼっています。

厚生労働省の「職業安定業務統計」で比較してみると、農林漁業の有効求人倍率は、2012年度は0.72だったのに対して、2019年度は1.21と上昇し、全業種平均の1.12よりも高い数字になりました。この数字は、農業における人材確保が難しくなったことを表しています。

しかし、2012年度と2019年度とを比較すると、管理的職業でも0.76から1.54へ、サービスの職業でも1.22から2.45に上昇するなど、ほとんどの職業で有効求人倍率が上昇しています。人材不足は農業だけの問題ではないということです。

とはいえ国民の重要な食を守る農業で、今後さらに人材確保が難しくなると、農業そのものが一層衰退してしまう可能性があります。それを避けるためには、将来を見すえた新しい農業のあり方を模索する必要があるでしょう。

出典:厚生労働省「職業安定業務統計」
平成24年度
令和元年度

少子高齢化時代、これからの農業とは

畑の親子

YUMIK / PIXTA(ピクスタ)

少子高齢化による労働力不足を解決して、将来的に農業人口を増やすためには、今後どのように取り組めばよいのでしょうか。最後に、現在考えられる具体的な対策について紹介します。

雇用就農者の確保・定着を図る取り組みは不可欠

これからの農業経営では、規模拡大と経営の効率化が最大の課題です。そのためには、新規雇用就農者の確保と定着を積極的に推進する必要があります。

求人を行う際には近隣のハローワークを利用するだけでなく、民間の求人サイトへの掲載や、自らホームページを作成して募集するなど、インターネットやSNSを活用して全国的に情報発信することが求められるでしょう。

そのうえで、雇用する人材に対しては安定的な収入を保証し、住居の斡旋や休日を取りやすくするなど、受け入れ態勢を整える必要があります。また、インターンシップやトライアル雇用の機会を増やし、農業に興味のある人の受け入れも強化するべきでしょう。

農林水産省の「農の雇用事業に関するアンケート」によれば、働き方改革は必要だとしながらも、具体的な取り組みをしていない農家は半数以上に上ります。今後はそれぞれの農家が積極的に、雇用環境を改善していくことが重要です。


出典:農林水産省「農の雇用事業に関するアンケート 平成31年3月27日」

スマート農業による省力化で人的コスト&作業負担の削減

これからは「スマート農業」として、ロボット技術やICTを活用しつつ、超省力・高品質生産を実現する、新しい形の農業を始めることも必要です。参考となる取り組みを紹介しましょう。

・農業散布用ドローンの導入
福井県の農家では、水稲の農薬散布にドローンを導入したことで、適期防除が可能になりました。結果として、収穫量が増え病害虫の発生は減り、しかも、農薬にかかる費用の削減と防除作業時間の短縮も実現しました。

・パワーアシストスーツの導入
秋田県の農家では、パワーアシストスーツを導入し、すいかの収穫と運搬に活用しています。その結果、作業時間が短縮され、落として割ってしまうなどの事故が減少しました。さらに、農家の身体的負担を軽減することもできました。

単純作業には積極的に機械やICT技術を利用して作業負担を軽減できれば、農業経験者にしかできない人材育成に、より多くの時間を費やすことができます。

農業人口の推移と新規就農者数の動向から、現在の日本の農業が抱える課題が見えてきます。これからの農業を活性化するためには何をすればよいのか、それぞれの農家は必要な知識を得て、前向きに実践していくことが大切です。

勅使川原恵美

勅使川原恵美

ブランドバッグのマーチャンダイジング業務や本格コーヒー店のフロア担当、編集アシスタントなどの実務経験を生かして、幅広い分野に対応可能なライターとして活躍中。夢はいつかコスタリカに行ってナマケモノの記事を書くこと。

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