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無人トラクターでスマート農業を実現! メリットやメーカーごとの特徴・価格を解説

無人トラクターでスマート農業を実現! メリットやメーカーごとの特徴・価格を解説
出典 : Scharfsinn / PIXTA(ピクスタ)

無人トラクターは営農の省力化を実現し、次世代のスマート農業を推進するロボット農機の1つとして注目されています。この記事では、無人トラクターの機能や導入するメリット、スマート農業におけるロボット農機の活用事例を解説します。同時に、農機具メーカー3社が販売する無人トラクターの特徴や価格も紹介します。

スマート農業の普及に向けて、無人トラクターをはじめとするロボット農機の開発が進んでいます。スマート農業のしくみや、実用化されているロボット農機の一部を紹介します。

スマート農業に向けたロボット農機の開発が進行中

コンバイン 自動運転

Scharfsinn / PIXTA(ピクスタ)

国内の農業現場では、高齢化の進行や後継者不足による労働力不足が深刻化しています。一方、熟練者の手作業でなければできない作業も多く、省力化も営農上の重要な課題です。農業現場の課題を技術革新によって克服するために、スマート農業の推進が始まりました。

スマート農業では、ロボット農機の導入による作業の自動化やICT技術を活用した情報共有によって、省力化だけでなく農産物の品質向上も実現可能です。

人工知能(AI)で気象データや作物・病害虫の画像データなどを解析して農業経営の高度化につなげたり、熟練者が持つ技術・ノウハウをシステム化して若手農家に継承したりする動きも見られます。

また、無人トラクターをはじめとする、GNSSの測位情報を利用して自動走行するロボット農機(スマート農機)を活用する農家も増えています。実用化されているロボット農機の一部を紹介します。

ロボット農機の種類と概要

無人トラクターとは

トラクター 自動運転

Suwin / PIXTA(ピクスタ)

無人トラクターとは、専用のタブレットPCで登録した作業エリアと走行モードに基づき、自動で走行するトラクターです。無人走行に対応するため、レーザーや超音波ソナーで障害物を検知するしくみや、ほ場の外周に合わせて旋回できる自動操舵機能も搭載しています。

無人トラクターの位置は、GNSSから受信する位置情報と地方自治体・JAなどが設置する基地局から受信する補正情報により高精度で特定され、誤差は数センチ以内です。GNSSとは衛星測位システムの総称で、GPSも含まれます。

現状では、ほ場周辺での有人監視下における自動走行に対応しています。将来的には、遠隔監視による無人走行やほ場間の移動にも対応できる予定です。なお、2020年に道路運送車両法が改正され、灯火装置や反射器の装着など一定の条件を満たしたトラクターであれば、作業機を装着したままの状態で道路を走行できるようになりました。

無人トラクターにできること・導入メリット

無人トラクター 機能

hiro / PIXTA(ピクスタ)

無人トラクターは遠隔操作での運転だけでなく、作業者が乗った状態での自動運転にも対応しています。あぜ際の回り耕など有人での操作が必要な工程は残るものの、熟練者でなくても精度の高い作業ができるので、農作業の省力化につながるのがメリットです。

無人トラクターと有人トラクターとで協調作業を行ったり、別の農業機械を操作しながら無人トラクターの作業状態を監視したりできるので、作付面積が広い農家でも効率よく作業を進められます。

また、従来の有人トラクターと同様に耕うん・耕起用のロータリーなどの作業機も接続可能です。作業機の動作も専用のタブレットPCでコントロールできるトラクターもあります。

メーカーごとの無人トラクターの特徴・価格

トラクター 無人

Scharfsinn / PIXTA(ピクスタ)

主な農業機械メーカーから発売されている、無人トラクターの特徴や価格を紹介します。

井関農機株式会社

井関農機株式会社では、有人監視型の「TJV-R3」と有人搭乗型の「TJV-M1」2種類のロボットトラクターを発売しています。

GNSSでの位置情報の受信に加え、携帯電話などのインターネット回線によって位置補正データを受信する「VRS(Ntrip)」にも対応しています。さらに傾斜補正用IMUセンサーを搭載し、運転中に揺れや傾きが生じても高い精度で位置補正できるのが特徴です。機体4ヵ所にカメラが装着されており、運転状況をタブレット画面で確認できます。

希望小売価格

井関農機 ロボットトラクター 価格

※TJV755は75馬力エンジン、TJV985は98馬力エンジンを搭載

井関農機株式会社「ロボットトラクタTJVシリーズ」

井関農機株式会社 公式YouTubeチャンネル「【公式PV】 ISEKI トラクタ T.JapanX 3 シリーズ」

株式会社クボタ

株式会社クボタでは「アグリロボトラクタ MR1000A」を発売、有人仕様・無人仕様の2種類のラインアップを展開しています。

手動運転でほ場の形状を一度認識させ、その後作業条件を登録するだけで、効率的な作業ルートを自動で作成してくれます。有人運転時は直進オートステアリング機能を使用でき、熟練者でなくても高い精度での肥料散布などの作業が可能です。

また、自動運転適応インプルメント(作業機)を装着することで、耕うんや代かきなどの作業を無人運転で実施できます。100馬力の大出力エンジンを搭載、メーカー希望小売価格は1237万1700~1564万9700円(税込)です。

株式会社クボタ「MR1000Aアグリロボ|トラクタ」

株式会社クボタ YouTube公式チャンネル「クボタアグリロボトラクタMR1000A」

ヤンマーホールディングス株式会社

ヤンマーホールディングス株式会社のトラクター「YTシリーズ」では無人運転に対応したロボットトラクターをラインアップし、他社製の自動操舵装置を搭載した農業機械との協調作業にも対応しています。

有人運転時には枕時直進モードを利用でき、ロボットトラクターモードと合わせると、ほ場の作業の9割をカバーできるのが特徴です。後輪にクローラーを装着した「エコトラデルタ」は接地圧がホイルトラクターの3分の1、軟弱な地面でも走破性が高く、安定した作業姿勢も保てます。

エンジンは88馬力・98馬力・104馬力・113馬力の4種類から選べ、メーカー希望小売価格は1235万8500~1759万4500円(税込)です。

ヤンマーホールディングス株式会社「ロボット/オートトラクターYT488A・YT498A・YT4104A・YT5113A」

ヤンマーアグリジャパン株式会社 YouTubeチャンネル「ヤンマーのロボットトラクター・オートトラクターが大きく進化」

ロボット農機の活用事例

ロボット農機を活用して、営農規模の拡大や熟練者並みの作業効率を実現した事例を紹介します。

無人トラクターで1人当たりの作業面積が拡大し大規模化が可能に

北海道大学では、北海道岩見沢市の農家や農機具メーカーなどと共同で、無人トラクターと有人トラクターとの協調作業に関する実証実験を行いました。前を走行する無人トラクターが耕うん・整地を行い、後ろを走行する有人トラクターが施肥・播種を行う方式でした。

実験の結果、2018年には無人トラクターでの協調作業が実用化され、栽培面積の規模拡大の道が開かれました。

さらに、2019年6月からはNTTグループも参加して、5G通信を活用した農業機械の遠隔監視やほ場間の自動走行に関する実験もスタートしています。広範囲で安定した通信が実現することで、さらなる営農規模の拡大もめざせるでしょう。

自動田植機で熟練者並みの直進精度を実現

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)などでは、田植え作業の省力化や人手不足の解消を目指して自動運転田植機を開発しました。

独自の自動操舵システムによって高い直進性能が得られ、田植機の最高速度で作業する際も熟練者並みの精度で植え付け可能です。無人運転が基本なので、苗の補給と田植え作業を1人で実施可能です。有人の田植機との協調作業にも対応しています。

2020年10月に発売された自動田植機では、機械が走行距離を把握してほ場ごとの苗の使用量や施肥量を管理する機能を搭載しています。前年度の食味・収量のデータを参照して施肥量をコントロールする機能もあり、情報を駆使したスマート農業の推進にも効果的です。

田植え 自動運転

IYO / PIXTA(ピクスタ)

無人トラクターの導入により、労働力不足や農業技術の承継などの課題を克服しながら、ICT技術を活用したスマート農業を実現できます。有人運転の農業機械と協調作業を行うことで作業効率が高まり、営農規模を拡大できた農家もみられます。

無人トラクターの価格は最低でも1000万円台前半と高価ですが、省力化や収益拡大など機械の導入によって得られるメリットは大きいでしょう。

舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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