農家のホームページの作り方~収益化のコツと魅力的でおしゃれな参考事例~
農家にとってホームページの活用は、作物のPRのほか、販売、新規販路の開拓、ブランディングなど、さまざまな効果が期待できる戦略です。農業に強いホームページ制作会社やホームページの成功事例を紹介しながら、収益化できるホームページ作成のコツについて解説します。
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目次
ホームページを農業に活用したいと思う農家は多いでしょう。しかし、実際にホームページを作成している農家はまだ少ないうえに、作成しても効果を上げられない事例が多く見られます。そこで、収益化できるホームページ作成のポイントを、成功事例を挙げながら紹介します。
何ができる?農家がホームページを作るメリット
vvoevale/PIXTA(ピクスタ)
ホームページ作成にあたって大切なことは、農業経営の中でホームページを使って何をしたいのかという目的を明確にすることです。
ただ何となく作ったのでは誰にも見てもらえず、ほとんど効果を得られません。目的を明確にするため、まずはホームページで得られるメリットを知ることから始めましょう。
知名度の向上と販路の拡大が目指せる
ホームページ作成の大きなメリットは、世界中の人に自分の作物を知ってもらえることです。イベントや直売所などを活用してURLやQRコードを知らせれば、より多くの人にホームページを訪れてもらえるでしょう。
ホームページ上で作物や関連商品などを販売することも可能です。通常なら販売対象にならない遠方の顧客への販売も可能なので、販路拡大が狙えます。
ホームページを作ると、潜在顧客への露出も増えます。ホームページは、レストランやスーパーマーケットなどとの直接契約のチャンス拡大に欠かせないツールともいえます。
集客には対策も必要
しかし、つながりのある人々へホームページの存在を知らせ、拡散してもらうだけでは、露出量に限りがあります。
野菜や果実、米や、農家のオリジナルの加工品に興味のあるユーザーが、検索エンジンに入力するであろうキーワードをホームページに盛り込む、といったテクニック(SEO対策(注))も必要です。
(注)SEO:Search Engine Optimization の略で「検索エンジン最適化」と訳される。
(注)SEO対策:GoogleやYahoo!などの検索エンジンからアクセスを集めるための手法のこと。検索エンジンが自分のビジネスを発見しやすいように、事業内容を理解しやすいようにするためのさまざまな施策。
適切なSEO対策を施すことによって、農業や農家のこだわりに共感するユーザーをとらえることが可能になります。
ただし、SEO対策には知識も労力も必要です。できたら専門家に相談した方がよいでしょう。
まずは、Googleの「Search Engine Optimization (SEO) Starter Guide(日本語版)」を読んでみて、ご自分で対策できるかを判断しましょう。
参考:Google「Search Engine Optimization Starter Guide」
情報発信が消費者の安心にもつながる
顧客とのコミュニケーションを図れる点も、ホームページを作る大きなメリットです。
ホームページは、自分の作物のアピールはもちろん、農業法人であれば、企業としてのコンセプトや経営理念の発信、ディスクローズ(経営内容に関する情報を公開すること)などの場として使えます。
ホームページがあれば、遠く離れた人たちにも農園の様子を伝えられるので、消費者や取引先の安心・信頼につなげられます。
ホームページ上に問い合わせ機能やコメント欄を設ければ、閲覧者からの感想や疑問に対してすぐに返信できるようになるので、より信頼関係が深まるでしょう。メディアからの問い合わせを逃すこともありません。
「ホームページを持っている農家は少ない」からこそ作るべき
実際にホームページを作成している農家は、まだまだ少ないのが現状です。ホームページを持っていたとしても情報が乏しく、メリットを活用しきれていないケースが少なくありません。
まだ競合が少ないからこそ、内容が充実したホームページを作れば消費者や飲食店の目にとまり、コミュニケーションや販路拡大の機会を得られやすいといえます。
もちろん、ホームページを開設することですぐに販路が拡がるとは言い切れません。しかし、農家や農園の評判を耳にした人は、まず検索エンジンで調べてみる時代です。その受け皿として、内容がしっかりしたホームページを持っていれば、強みの1つとなるでしょう。
農家のホームページを作る方法とおすすめのサービス
Komaer/PIXTA(ピクスタ)
ホームページを作る場合、一般的には「制作会社に依頼する」か「自分(自社)で作成する」という2つの選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、目的に合わせて最適な方法を選びましょう。
1.ホームページ制作会社へ依頼する
ホームページ制作会社へ依頼するメリットは、労力をかけずにクオリティの高いホームページを持てることです。
更新・管理などの運用を制作会社に任せることができる場合もあります。この場合、閲覧者や購入者のデータを収集、分析して活用する高度なマーケティングを行うことも可能です。
制作会社に依頼するデメリットは、費用がかかることです。ホームページを立ち上げる際の初期投資はもちろん、運用まで任せる場合は月額利用料がかかります。
費用には幅があり、比較的廉価なホームページ制作会社なら初期投資が5万円ほど、月額利用料が4,000円ほどです。高品質のホームページ作成には、初期投資だけで数十万から100万円以上かかることもあります。
ただ、高ければよいわけではなく、農業関連サイトの制作経験の有無、サービス内容などを吟味して依頼先を決めましょう。
制作会社があまりにも多すぎて決められないという方のために、農業関係のホームページに強い制作会社を2社ご紹介します。
「株式会社クチトテ」は、ブランディングを得意とするホームページ制作会社です。
農家、特に酪農家や、食品を扱う店舗の顧客も多く、農業の魅力を引き出すホームページ作りに強みがあります。無駄の省かれたホームページのデザインは、洗練されたセンスを感じさせます。
「株式会社クチトテ」のホームページはこちら
もう1つは、ホームページ制作だけでなく通販サイト構築の経験が豊富な「株式会社アプリコットデザイン」です。
農家の顧客も多く、作物をネット上で本格的に販売したい場合は、効果的・機能的なホームページ作りを提案してくれるでしょう。もちろん、ブランディングにも対応しています。
「株式会社アプリコットデザイン」のホームページはこちら
どちらの会社も、コンテンツの管理システムとして広く普及している「WordPress」での納品に対応しています。作成後の維持管理を考えると、初心者でも扱いやすく、コストも抑えられるWordPressに制作会社が対応しているかどうかは要チェックです。
2.自分で作成する
ホームページの作り方を知る人材がいる場合は、サーバーにWordPressなどをインストールして、ホームページを作成してもよいでしょう。自力で作成すればコストを抑えられ、ページの更新やプログラムの変更が必要なときにも速やかに対応できます。
ただし、ホームページの運営に必要なのはスキルだけではありません。常に閲覧者のニーズを読み取り、情報発信をする意識が必要です。また定期的な更新も欠かせません。
ホームページの定期的な更新や維持管理には労力がかかります。ホームページの作成、サーバーの構築から維持運営まで自ら行う場合は、専任のスタッフを確保する必要があります。
サーバーを選ぶ際は、コストはかかっても有料のレンタルサーバーを利用しましょう。無料サーバーは制約が多く、セキュリティにも不安があるほか、商用利用できない場合もあります。
「ロリポップレンタルサーバー」には、レンタル料月額250円~の「ライト」、500円~の「スタンダード」や「ハイスピード」、そして2,000円~の「エンタープライズ」などのプランがあります。わかりやすいマニュアルも充実しているので初心者におすすめです。
「さくらレンタルサーバー」には、月額524円の「スタンダード」、1,571円の「プレミアム」など個人向けプランのほか、月額2,619円~利用可能なビジネス向けのプランが3種類用意されています。
業界で最も有名なレンタルサーバーで、信頼度も高く、値段と内容のバランスが取れています。
どのサーバーでも、高額なプランであれば商品販売や決済などの機能が利用できます。コストを抑えたい場合は定額のプランを契約し、販売関係のページだけ「BASE(ベイス)」などの無料ネットショップ作成サービスを利用するのもおすすめです。
ロリポップレンタルサーバーのホームページはこちら
さくらレンタルサーバーのホームページはこちら
BASE(ベイス)のホームページはこちら
収益化するには?ホームページ制作時に重視すべきポイント
sasaki106/PIXTA(ピクスタ)
ホームページで収益を上げるためにはブランディング戦略が必須です。ブランディングとは、農業でいえば作物や農園の優れたイメージを消費者に印象づける取り組みのことです。
ホームページを訪れた人に好印象を与えるためには、以下のような要素を盛り込むといいでしょう。
・作物や農家、農園の画像
・ブログなど、こだわりや魅力を発信できる場
・問い合わせフォーム
・よくある質問(FAQ)
これらは、信頼感の醸成や新規の取引先を開拓するのに欠かせない要素です。
参考にしたい!魅力的でおしゃれな農家のホームページ事例
実際に、魅力的でおしゃれなホームページ作りに成功し、売り上げを伸ばすことに成功したホームページを2つ紹介します。
たくさんの写真からこだわりが感じられる「清六ファーム」
上質な写真集のような「清六ファーム」ホームページ
写真提供:「清六ファーム」ホームページ
「清六ファーム」のホームページは、まるで上質な写真集を眺めているかのような雰囲気で、訪れた人の心を掴みます。作物や人、農村風景の写真に添えられた詩のような文章も、清六ファームの魅力を十分に伝え、品質の高さを印象づけています。
コンテンツは、お米、さくらんぼ、ブドウとドライフルーツが買えるネットショップがメインです。ブログでは作物の生長過程をこまめに伝えているので、農家を身近に感じられます。ホームページ全体にあふれる親近感に、購買意欲をそそられてしまう人も多いのではないでしょうか。
「清六ファーム」のホームページはこちら
栽培作物が一目瞭然!ポップなデザインが印象的な「たかしま農園」
ホームページを開いた途端、目に飛び込んでくる真っ赤なトマトに心を奪われます。すべてのページがポップなトマトのイラストで統一され、楽しい印象が伝わってきます。
メインコンテンツはネットショップで、4種のフルーティトマトと、それらを素材として開発されたカレーなどの食品や、イラストが入ったオリジナル農園グッズなどを購入可能です。
農園や各商品の魅力を伝えるページやファンクラブのページもあり、ブランディングのうまさが感じられます。
なにより、各ページの下に流れる農園で働く人たちのとびっきりの笑顔は、たかしま農園のイメージと信頼性の向上に、大きく貢献していることは間違いありません。
「たかしま農園」ホームページはこちら
たかしま農園のトマトはminneなどで購入できる
写真提供:株式会社PR TIMES
農業にホームページを活用することで、農家の宣伝や新たな販路の開拓、ブランディング、売り上げなどにおいて、さまざまな効果が期待できます。コンセプトや予算を明確に組み立て、魅力あるホームページを作成しましょう。
ホームページを開設するなら、ライバルの少ない今がチャンスです。
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大曾根三緒
ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。