農作業で大活躍する作業用手袋には、軍手以外にも背抜き手袋、全面コート手袋、耐切創手袋など用途によっていくつかの種類があります。手袋の種類ごとに適した作業や選ぶ際のポイント、長持ちさせるメンテナンスなどについて解説します。
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作業用の手袋は農作業に欠かせない消耗品の1つです。その機能はさまざまで、用途によって使い分ければ日々の農作業が快適になるでしょう。
通気性がよい、水に強い、丈夫など、特長の異なる手袋を紹介し、選び方やお手入れについても解説します。
農作業用手袋の種類
農作業用の手袋は用途に応じた性能を備えています。手袋の種類ごとの特徴と適した農作業について説明します。
通気性が良く使いやすい「背抜き手袋」
nopgraphic / PIXTA(ピクスタ)
背抜き手袋は、伸縮性に優れた繊維で作られており、手のひら側と指先だけに樹脂や、ゴムなどをコーティングした手袋です。コーティング部分は水を通さず滑り止めにもなりますが、手の甲側はコーティングされていないので通気性がよくムレを防ぎます。
多くの種類の商品があり、デザイン性も高く若者や女性にも人気です。色は黒など、色が濃いものを選べば紫外線を通しにくいので、日焼け対策にもなるでしょう。
通常の軍手などよりも使用されている繊維が細く、編み目も細かいので土などが入り込みづらいので農作業にも向いています。また、しなやかで手の形にフィットするので素手とのズレが少なく細かい作業がしやすいことも特長です。
水に強い「オールコート手袋」
mits / PIXTA(ピクスタ)
手袋全体が樹脂やゴムなどでコーティングされた手袋で、防水性・保湿性に優れています。水場の作業や手を汚したくない作業に向いています。裏地がないものは乾きが早く、裏地があるものはムレや密着を防ぎます。
素材は主に天然ゴムや合成ゴム(ニトリル)で、天然ゴムのほうがやわらかくて強度や耐久性も高いのですが、耐油性がないので農薬散布や油を使う作業には向きません。
合成ゴムは耐油性や耐摩擦性に優れているので農薬散布に向きますが、農薬によっては手袋をしないほうがよいものもあるので、必ず農薬のラベルを確認しましょう。
安全面に優れた「耐切創手袋」
刈り払い機など刃の交換時や、鋏などの鋭利な道具を扱う場合は、切創事故を防ぐために耐切創対応の手袋を使用するといいでしょう。素材に高強度ポリエチレン糸や合成繊維を使用し、鋭利な刃ものに対する強度を高めた手袋です。
各メーカーからさまざまな強度のものが開発されており、中には防弾チョッキにも使用される特殊な繊維を使用した手袋もあります。
農作業用手袋の選び方
ホームセンターなどの手袋コーナーには多種多様な手袋が並び、どれを選んでよいか悩むほどです。手袋選びの時に気をつけたいポイントを以下に紹介します。
じろきち / PIXTA(ピクスタ)
手袋の厚さで選ぶ
厚い手袋は、フィット感は落ちますが、衝撃には強くなるため、モノの運搬や機械の操作に向いています。
薄い手袋は、細かい作業に向いている反面、耐衝撃性が低く、手への負担が大きくなってしまいます。
そのため、手へのダメージを防ぐなら、外からの刺激や摩擦や静電気にも強い厚手の手袋を選ぶと安心です。
通気性の良さで選ぶ
手袋をして作業をすると、ムレや肌への密着感が苦手という人も多いでしょう。また、長く使っていると臭いが気になることもあります。このようなストレスを防ぐには通気性が重要です。
背抜き手袋であれば、通気性を確保したうえで、ゴム手袋の防水性を得られます。ゴム手袋が苦手な人も、通気性のある手袋を着用してできるだけ安全に作業してください。
安全面を考慮するなら「耐切創レベル」にも注目
耐切創手袋には、ラベルに「耐切創レベル」が表記されている商品があります。強度の参考にはなりますが、信頼できる数値かどうか、慎重な判断が必要です。
耐切創レベルに「EN 388:2003」など、欧州規格を示す「EN」で始まる表示があれば、欧州規格に沿った評価であることを示しています。
欧州規格は、保護手袋の機械的物性強度について、耐摩耗性、耐切創性、引裂強さ、突刺強さなど6項目で評価するヨーロッパの規格です。項目ごとに決められた試験を経て、レベル1~5またはレベルA~Fで表示されます。
出典:株式会社重松製作所「耐切創レベル」
欧州規格は信頼性の高い数値ですが、これを基にしたメーカー独自のレベル表記をしている場合もあります。よく説明を読んで、信頼性と値段が見合ったものを購入しましょう。
最近はおしゃれなデザインの手袋も登場
decoplus / PIXTA(ピクスタ)
最近は作業用品にもファッション性が重視されるようになりました。機能性と、豊富なカラーバリエーションや、おしゃれなデザインを兼ね備えた手袋も多数販売されています。
手袋は小ものとして個性を活かせるポイントでもあります。同じ機能であれば、好みに合った色や柄の手袋のほうが気分も明るく作業できます。スタッフでカラーをそろえればチームとしての意識も向上するなど、デザインのもたらす効果はあなどれません。
作業用手袋のお手入れ方法
作業用手袋は消耗品ではありますが、お手入れ次第で長く使うことが可能です。この項では、手袋を長持ちさせるお手入れのポイントを紹介します。
ぬるま湯・手洗い・陰干しが基本
作業したあとの洗い方は「ぬるま湯・陰干し」が基本です。
手袋の洗浄に洗剤を使うと、安定剤が流れてしまい、劣化させてしまう場合があります。汚れはぬるま湯で軽く手洗いして落ちる程度にしてください。
ごしごし擦ったり、直射日光に当てたりすることも、機能を劣化させてしまう恐れがあるので要注意です。
作業用手袋も日々のメンテナンスが大切
手袋の劣化を防ぐためにも濡れたままにしたり、直射日光の当たる場所に保管したりしないことが基本です。
臭いが気になる場合は、雑菌が増殖しないように裏返しにして洗って干したり、殺菌効果のある消臭剤をかけたりするなど、こまめなメンテナンスが大切です。
はやけん/ PIXTA(ピクスタ)
農作業用手袋は近年多様化してきており、機能・デザインともにさまざまな商品が並ぶようになりました。
身近で欠かせない道具である手袋は、十分な知識と明確な目的をもって適切な商品を選びましょう。お気に入りの商品を購入したら、少しでも長持ちするようにメンテナンスも大切です。
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大曾根三緒
ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。