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農業女子プロジェクトとは? 女性農業者増加をめざす、企業コラボの取り組み事例

農業女子プロジェクトとは? 女性農業者増加をめざす、企業コラボの取り組み事例
出典 : プラナ / PIXTA(ピクスタ)・Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)・YUMIK / PIXTA(ピクスタ)

農業女子プロジェクトは、全国各地にいる女性の農業経営者同士をつなげるコミュニティです。さまざまな企業とコラボして、農業女子の声を発信したり、問題解決に取り組んだりしています。本記事ではプロジェクトの概要と、企業とのコラボ企画の具体例について紹介しています。

世界的にさまざまな分野でジェンダーレス化が進む中、農業経営においても女性の進出が目立ちます。本記事では、農林水産省が農業経営者として活躍する女性をサポートし、農業全体の活性化を目的に取り組む「農業女子プロジェクト」について説明します。

「農業女子プロジェクト」とは?

「農業女子プロジェクト」とは?

農業女子プロジェクトは、農林水産省が支援する取り組みです。以前の「○○女子」ブームにちなんで農業に携わる女性を「農業女子」と総称し、女性ならではの視点で、農業の魅力を発信したり、問題点を解決したりしています。

この記事の中でも農業に携わる女性の方々を「農業女子」と呼びます。まずは、農業女子プロジェクトとはどのような取り組みなのか、その概要を紹介します。

女性農業者による、“農業の魅力”発信・向上へ取り組むプロジェクト

農業女子プロジェクトの企業コラボレーションコンセプト

農業女子プロジェクトの企業コラボレーションコンセプト
画像提供:農業女子プロジェクト事務局(農林水産省経営局就農・女性課)

特に注目を集める企業プロジェクトについて、事例を2つピックアップして取り組み内容や成果を紹介します。

農業の機械化や省力化が進み、作業が取り組みやすくなったことで、女性も農業に参画しやすくなりました。女性ならではの視点を活かして、これまで見過ごされてきた農業の魅力を発見したり、問題点を浮き彫りにしたりしています。

SDGsの目標でも5番目に挙げられている「ジェンダー平等」の実現のためにも、農業分野に女性が進出しやすい環境を整備することが欠かせません。

SDGsの目標で5番目に挙げられている「ジェンダー平等」

出典:国連広報センター

農業女子プロジェクトは以下のような取り組みです。

・全国の農業女子同士をつなげる
・農業女子の声を広く発信する
・企業とコラボすることで農業女子の希望を叶える
・農業女子が抱える問題点を解決する

これまでも企業とのコラボによって、農業女子の持つ「生産力」「知恵力」「市場力」という3つの力を活かし、多くの新商品やサービスが登場しています。

こうした活動によって農業女子の社会的な存在感を高め、就農をめざす若い女性の増加を図るとともに、農業全体のイメージアップや活性化にも役立っています。また、消費者との結びつき強化、持続可能な社会の実現といった農業が抱える大きな課題にも積極的に取り組んでいます。

2013年に37名の農業女子メンバーでスタートしたのち、徐々に活動規模が広がり、日本全国で農業女子メンバー886人(2021年12月時点)、参画企業37社、教育機関8校からなる大きなプロジェクトに成長しました。

▼農業女子プロジェクトで活躍されている「ファームいしばし」の石橋正枝さんのインタビュー記事も是非ご覧ください。

誰がメンバーになれる? 農業女子プロジェクトの参加資格

公表されている募集要領(2022年1月末時点)によると、募集対象者は「農業を職業とし、自らの経営や地域とのかかわり方などに志を持つ女性で、本プロジェクトの趣旨に賛同する方」と設定されています。

年齢はもちろん、農家としてのキャリアや規模などの制限はありません。プロジェクトに賛同し、意欲的に農業に取り組む農業女子であれば参加できます。

プロジェクトのメンバーは、基本的に北海道、東北、関東などの地域版グループに所属し、活動に参加します。地域版グループのほか、「農業女子ラボ」として同じアイデアや志を持つ仲間が集まったさまざまな有志のグループが作られ、それぞれが積極的に活動しています。

有名企業も続々参画! 農業女子プロジェクトの主な活動内容

農業女子プロジェクトとしての主な活動は、農業女子メンバーとプロジェクトに参画する企業が協同して実施します。具体的には、以下のようなものです。

・女性の希望を取り入れた農作業着や農具、農機の開発
・農業のイメージ向上
・親近感を醸成できるサービスやイベントの開催

先述のとおり、プロジェクトに参画する企業は2021年12月現在で37社です。

井関農機株式会社やダイハツ工業株式会社、株式会社サカタのタネなど、農業と関係の深い企業から、株式会社東洋ハウジング、大日本印刷株式会社、株式会社バンダイナムコアミューズメント、楽天グループ株式会社など、農業との接点が少ない企業まで、多岐にわたります。

「農業女子プロジェクト」内「企業別プロジェクト」のページ

また、高校・大学などの教育機関とは「チーム“はぐくみ”」を結成し、学生に職業選択の1つに農業を選んでもらえるよう、農業インターンシップや授業での講義、学祭でのコラボカフェ出店などの活動を行っています。

「農業女子プロジェクト」内「チーム“はぐくみ”」のページ

農業をもっと魅力的に。 女性視点が活きる企業プロジェクトの具体例

「モンベル」や「しまむら」とコラボ! 気分が上がる“かわいいフィールドウェア”の開発

モンベル

品質の高いアウトドアブランドとして世界的に有名な「株式会社モンベル」とコラボしたプロジェクトがあります。これは実用性とファッション性を兼ね備えたフィールドウェア(農業用作業着)を開発し、農業に関心を持つ若い女性を増やすことを目的としたものです。

開発にあたり、農業女子がフィールドウェアのモニターになりました。日々の作業で使用し、気づいた点やアイデアをフィードバックしたのです。その結果、現場で働く利用者の希望に沿った製品開発につながっています。

「農業女子プロジェクト」内「フィールドウェア開発プロジェクト(株式会社モンベル)」

しまむら

また、手頃な価格のおしゃれなオリジナルファッションを取り扱う「株式会社しまむら」は、アパレル製造の「クロスプラス株式会社」が農業女子プロジェクトに参加する形で、寄せられた声を活かしたコラボ商品を開発し、全国の店舗で販売する企画を行いました。

ポケットからものが落ちにくい工夫がされ、ものがひっかけられるDカンもついたストレッチカーゴパンツや、しゃがんだときに背中が見えないように着丈が長く、袖にペン挿しポケットがついたシャツなど、農業女子のこだわりの詰まった商品が多数展開されました。

「農業女子プロジェクト」内「女子のほしいを実現!『農業女子のまいにち服』開発・販売プロジェクト(クロスプラス株式会社)」

就業環境を改善! 農業の「困った」解決をめざす“女子的トイレ開発プロジェクト”

農業に携わる女性にとって大きな悩みの1つが、トイレの問題でしょう。女性にとっては、周りの目を気にせずに使える清潔なトイレはぜひとも欲しいものです。

こうした農業女子の切実な願いに取り組んだのは「株式会社レンタルのニッケン」の「女子的トイレ開発プロジェクト」です。2014年に完成した農業女子的トイレは、女性がトイレに求める要素を丁寧に聞き、それらを実現させた理想の空間です。

おがくずを利用したバイオトイレのシステムを採用し、においが少ないうえ、おがくずの交換は1年に2~3回程度と手入れも楽で、使用後のおがくずは有機肥料にもなります。

2t吊りトラックに積めるサイズで、明るい壁紙の室内には温水洗浄便座はもちろんのこと、フィッティングボードやドレッサー、収納棚など女性にうれしい設備が揃い、エアコンも完備されています。

コストの問題などがあり、2022年1月末現在でも実用化には至ってはいません。しかし廉価版の開発を進めつつ、多くの農業女子の「困った」を解決する農業女子プロジェクトの広告塔的存在として活用されています。

株式会社レンタルのニッケン Youtube 公式チャンネル「農業女子的トイレ完成発表会」

農業の現場で働く女性は多くの問題と向き合いながら、明るく元気に日本の農業を支えています。彼女たちがより快適に楽しく働ける農業環境を作ることは、持続可能な農業の実現や明るい次世代農業への展望につながるといえるでしょう。

農業女子プロジェクトは規模拡大を続け、新規メンバーの募集も随時行っています。興味がある人は公式サイトから申し込んでみてはいかがでしょうか。

農業女子プロジェクト「新規メンバー募集」

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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