春夏も脱・手荒れ! 手荒れの原因からハンドクリームの選び方まで徹底解説!
播種や収穫、選果作業など、何かと手を使う機会の多い農業。日々の農作業で、春夏でも手荒れに悩まされているという農家の方も多いと思います。今回は、手荒れの原因から対策法、ハンドクリームの選び方まで徹底解説します。ぜひハンドケアの参考にしてください。
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農家の方は、土や収穫物に触れ、作業の区切りごとに手を洗う機会が多いため、春夏でも手荒れに悩む方が多いのではないでしょうか。
この記事では、手荒れの原因を正しく理解し、対策する方法を紹介します。
手荒れが起こるメカニズムとは?
FUTO / PIXTA(ピクスタ)
もともと、手は皮脂腺が少なく、乾燥しやすいパーツです。手の皮膚の表面を覆っている「皮脂膜」は薄く、皮脂膜の下にある「角質層」が厚くなっており、手や指を保護する役目を果たしています。
ところが、空気の乾燥や水仕事などで皮脂膜が失われると、角質層の水分が蒸発して乾燥しやすくなります。
乾燥した肌はバリア機能が低下し、このような状態で肌が刺激を受けると、手荒れが起きてしまうのです。摩擦によっても手荒れは進行します。
農家の方は、ほ場での作業以外にも選果などで常に手を使い、作業の区切りごとに手を洗うことになるので、刺激が重なって手が荒れやすい傾向にあります。
YUMIK / PIXTA(ピクスタ)
手荒れを引き起こす生活習慣とは?
手荒れを引き起こす肌への刺激は、身近な日常の生活のなかに潜んでいます。下記のような生活習慣がある人は、特に手荒れを起こしやすいので要注意です。
手荒れのNG習慣
dorry / PIXTA(ピクスタ)
1. 手に日焼け止めを塗らない
→肌が直射日光にさらされ、ダメージを受けやすい状態です。
2. 手袋をはめるのがあまり好きではない
→特に秋冬は乾燥した外気にさらされるため、手の水分が奪われて乾燥しやすくなります。
3. 手洗いは薬用せっけんでしっかりと。手指の消毒もこまめに行う
→肌への刺激が強く、手指の脂を必要以上に奪ってしまいます。
4. 濡れた手をすぐに拭かないことがある
→手を濡れたままにすると、手指の水分まで一緒に蒸発してしまいます。
5. 高温のお湯で水仕事をする、熱いお風呂につかるのが好き
→熱いお湯は皮脂を奪い、肌のバリア機能を壊しやすくなります。
6. 外出先でハンドドライヤーを使う
→肌の乾燥が進みます。
手荒れが悪化すると手湿疹になる
誰でも起こりやすい手荒れでも、悪化すると炎症を起こして「手湿疹」という病気にまで進行してしまうケースがあります。
手湿疹は日々家事をおこなう機会の多い20代~60代の女性がかかりやすく、別名「主婦湿疹」とも呼ばれています。手湿疹の症状は下記の2タイプに分かれます。
ジュクジュクタイプ
・皮膚がカサカサし、ひび割れになる
・指紋が消える
・皮膚が硬くなる
・利き手の指先から発症し、だんだん手のひら全体に広がる
カサカサタイプ
・小さな発疹や水ぶくれができる
・指の腹や手のひらから発症することが多く、手の甲に症状が出ることもある
症状が手湿疹まで悪化すると、ハンドクリームを使用しても改善しません。肌が炎症を起こしているので皮膚科を受診し、ステロイド軟膏などを処方してもらいましょう。
ステロイド軟膏を適切に使用すれば、1週間ほどで症状は治まります。変化がない場合は、再度医師の診断を受けた方がよいでしょう。
手荒れを改善・予防するには?
次は手荒れの具体的な改善・予防策について詳しくみていきます。
ハンドクリームを使って補修&保湿
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基本的に手を洗ったらすぐにハンドクリームを塗るように習慣づけましょう。ほ場近くの手洗い場や休憩所など、場所ごとにハンドクリームを置いておくのをおすすめします。
寝る前にハンドクリームをたっぷりと塗ると、軽い手荒れであればひと晩で改善します。適量を正しい塗り方で塗ることがポイントです。
1. ハンドクリームを人差し指の第一関節分(約0.3~0.5g)をめやすに指にとります。
2. 甲にのせて軽く伸ばします。両手の甲を重ねて、少しずつ広げましょう。
3. 反対の手のひらを使い、スライドさせながら、手全体に伸ばします。
4. 指の1本1本にクリームを伸ばします。指を握ってつけ根から指先に向かって引っ張るようにします。
5. 両手を組み、指と指の間も十分になじませます。
水仕事前はワセリンで手をガード
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ワセリンは肌を油で保護する性質があり、水仕事前に使用すると水を強力に弾きます。化粧水など水分を補給したうえでワセリンを塗ると、肌にフタをした状態になり、保湿成分を閉じ込めて、水分の蒸発を防ぎます。
同時に肌に水がしみこむのを遮る作用があり、洗剤などに含まれる界面活性剤の刺激から肌を守ってくれます。
ワセリンは天然成分のため、他の化粧品と一緒に使っても化学反応を起こしにくいので安心して使えます。塗りすぎると肌が乾燥するので、塗る量は米粒大くらいで十分です。
家の中での水仕事はぬるま湯で、洗剤もやさしいものを
Ks photo / PIXTA(ピクスタ)
農作業を終えて、家の中でする水仕事の際も、少しの工夫で肌を守ることができます。
まず、お湯はぬるま湯を使いましょう。水温が高すぎると皮脂がとれやすくなり、バリア機能が低下します。極力肌が水に触れる時間を短くするよう心がけます。
洗剤選びにも気をつけましょう。食器洗い洗剤は油汚れをしっかり落とすために、肌に刺激が強い界面活性剤が入っています。洗剤を選ぶ際には、肌にやさしいものを選びましょう。
洗うときは、洗剤を入れた水に食器をつけてから洗うと、肌への負担を軽減できます。
手袋で手を摩擦から守る
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手荒れは刺激を日常的に受けることで進行します。農作業の際は作業用のゴム手袋をはめて、収穫物や土に直接触れないようにしましょう。
ゴム手袋にかぶれやすい人は、作業用の手袋の下に、綿の下履き手袋(インナーグローブ)を使用してみましょう。綿の手袋は適度に空気を通してムレを防いでくれます。
以前は、手首までのインナーグローブがほとんどでしたが、最近では腕までしっかり覆う長さのインナーグローブも開発されています。
就寝時のハンドケアとして、ハンドクリームや軟膏を塗ってから綿の手袋をはめると、保湿効果が期待できます。
▼農作業用の手袋の選び方については、こちらの記事もご覧ください。
症状&目的別・ハンドクリームの選び方
Totallypic / PIXTA(ピクスタ)
ハンドクリームは、抱えている手荒れの症状によって有効成分が異なり、選び方を間違えると手荒れを悪化させることもあります。ここでは、症状ごとに有効な成分について学びましょう。
手が乾燥している
手の乾燥を感じる軽度の手荒れや予防には、保湿成分を配合したものが有効です。ヒアルロン酸、セラミド、シアバター、グリセリン、コラーゲンなどを選びましょう。粉ふき状態の肌にもおすすめです。
ひび割れ・あかぎれ・しもやけができた
乾燥が進み、肌表面の溝から亀裂が入った状態を「ひび割れ」といい、症状が悪化し、血がにじんでいる状態が「あかぎれ」です。
このような症状が現れたら、ビタミンE、ビタミンC配合のものを選びましょう。血行を促し、皮膚の再生を促進します。
寒さなどで血行が悪くなり、手指などの末梢部分がうっ血した「しもやけ」にも有効です。
かゆみを起こしている
肌が炎症を起こしている可能性が高いため、血行を促進して肌の再生を促し、炎症を鎮めるヘパリン類似物質がおすすめです。
皮膚が固い・角質がガサガサ
尿素が配合されているものや、グリセリン配合のものを選びましょう。角質化した皮膚を柔らかくするはたらきがあります。
角質化した肌が改善されガサガサした感じがなくなってきたら、ビタミン系のハンドクリームに替えてみましょう。
YUMIK / PIXTA(ピクスタ)
農家は手荒れを起こしやすい職業であるからこそ、日々のメンテナンスは大切です。ぜひ、症状が軽いうちからケアする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
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上澤明子
ブドウ・梨生産を営む農家に生まれ、幼少から農業に親しむ。大学卒業後は求人広告代理店、広告制作会社での制作経験を経て、現在フリーランスのコピーライターとして活動中。広告・販促ツールの企画立案からコピーライティング、取材原稿の執筆などを行う。農業専門誌の制作経験があり、6次産業化や農商工連携を推進する、全国の先進農家・農業法人、食品会社の経営者の取材から原稿執筆、校正まで携わったことから農業分野のライティングを得意とする。そのほか、食育、子育て、介護、健康、美容、ファッションなど執筆ジャンルは多岐にわたる。