BASF We create chemistry
生産履歴とは?記録に使える便利なシステム・アプリをご紹介
出典 : kou / PIXTA(ピクスタ)
  • 農業経営

生産履歴とは?記録に使える便利なシステム・アプリをご紹介

「生産履歴」とは、作物の品質証明書のようなものです。ある作物が誰によって、どのように栽培されたのかを詳細に記録することにより、消費者に安全と安心とを届けることができます。この生産履歴の記録方法と、ITを利用した新しい生産履歴システムについて紹介します。

消費者の健康意識の高まりにより、もっと安全で安心できる農産物への需要が高まっています。そのニーズに応えるためには、「生産履歴」の管理が非常に重要です。

生産履歴は納入先への品質保証書になり、同時に農家にとっては次の栽培に向けた貴重なデータになります。この記事では生産履歴についての基礎的知識と、現在普及が進むIT化した生産履歴システムについて解説します。

生産履歴・栽培履歴とは

生産履歴(栽培履歴)とは、1つの作物を栽培する期間中に、生産者がどのような作業を行ったのかを確認するための作業管理データのことです。

生産履歴を記録しておけば、農家にとっては栽培ノウハウの蓄積になり、今後農業を続けていくうえでの非常に重要で役立つデータとして活用できます。

しかも、生産履歴は農家だけが利用するものではありません。近年は消費者の食品の安全性への関心の高さに応じて、小売店などが、食品の安全性を消費者に示すために生産履歴を求めることも増えてきました。

農家にとっては、JAへの出荷時や、直売所やスーパーなどでの販売時に生産履歴を提供することが、その作物の安全性を証明することになります。

また、トレーサビリティ(追跡可能性)が向上するため、万一食品問題が起きたときでも早期解決が可能になります。

生産履歴を正しく管理することによって、消費者に農産物についての安心を届けると同時に、農家と産地を守ることもできるのです。

生産履歴として記録すべき内容

有機栽培や特別栽培など、作物を栽培するときには一定の基準があり、使用する肥料や農薬についても詳細な規定があります。例えば特別栽培農産物として認められるには、特定の化学合成農薬の使用回数を制限内に抑える必要があります。これらも含めて、どのような内容を生産履歴に書き込めばよいのでしょうか。記録すべき主な内容について紹介しましょう。

・ほ場の記録(水田や畑の場所に関する内容)
・生産者の記録(誰が責任者として作物を生産したのか)
・作物の記録(栽培した作物の種類、品種、銘柄など)
・日付の記録(各種作業を行った日時に関する内容)
・作業内容の記録(作業手順とその履歴など)
・資材の記録(栽培中に使用した肥料、農薬、その他資材に関する内容)

こうした記録は、栽培前の土作りの段階から始めなければなりません。また使用した肥料や農薬については、品名や使用量だけでなく使用時期や使用方法についても詳細に記録する必要があります。

人の履歴書と同じく、作物の生産履歴も間違いや記入ミスは許されません。正しい情報を公開することが、農産物の品質と信頼性を高めることにつながります。

生産履歴をクラウド管理するメリット

タブレットで栽培管理・生産管理をする稲作農家

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

これまでの生産履歴は手書きが一般的でしたが、技術の進歩に伴って生産履歴のクラウド化が進んでいます。その最大のメリットは、記入作業の効率が大幅に改善されることです。

手書きの場合、または既存のパソコンソフトを使う場合、生産履歴の記録は事務所や自宅でしかできませんでした。さらに記録にはかなりの時間を要し、管理データとして保存する場合にも多くの手間がかかりました。

一方、クラウド型の管理システムでは、場所を選ばず入力でき、入力の煩雑さも軽減されています。スマートフォンと連動したシステムであれば、ほ場にいながら生産履歴の記録や確認も可能です。

しかも入力したデータは、システム側で自動的に整理してくれるので、生産履歴を資料として提供するときも、栽培方法の参考にする場合も、すぐに必要なデータを取り出すことが可能になります。

特に農薬の使用状況やほ場での作業履歴など、これらのシステムを使うことによって履歴データの精度が向上し、長期的に見ると管理コストの低減につながります。

生産履歴の記録・管理が便利になるシステム・アプリ

栽培管理・生産管理を支援するシステムの利用で生産履歴の記録が楽に

Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)

現在、さまざまなメーカーが農業の生産履歴の記録・管理を支援するシステムを提供しています。その中から汎用性の高いシステムを3つ紹介しましょう。

「栽培ナビ」(パナソニック株式会社)

「栽培ナビ」はクラウド型の農業管理システムで、生産者のスタッフ間だけでなく、生産者と取引先やJAとの間でも、生産履歴の情報を共有できます。GAP取得への対応や農家の経営力アップにも活用できます。

農業現場の声を生かしたシステムなので、生産履歴を見やすく活用しやすい形で表示でき、作物の栽培状況を写真で記録することも可能です。情報の入力がしやすいうえに、使いたいデータがすぐに呼び出せるため、もう生産履歴で悩むことはなくなるでしょう。

「栽培」ナビホームページはこちら

「facefarm(フェースファーム)」ソリマチ株式会社

「facefarm」は農作業に関わるさまざまな情報を、一元的にしかも簡単に管理できるシステムです。生産履歴についても、日々の記録と作業の進捗状況を入力すれば、いつでも自由な書式で出力できます。

また生産履歴をもとにした、栽培計画の作成やほ場ごとの作業管理も可能です。GoogleMapと連動したシステムにより、ほ場の管理全般や農薬の適正な使用を可視化でき、農作業の省力化にも力を発揮します。

「facefarm(フェースファーム)」ホームページはこちら

「トレサPRO」株式会社テクノネットワーク

生産履歴と農薬適正診断を、クラウド上でシステム化したのが「トレサPRO」です。基本アプリの使用料が無料なので、初めて生産履歴システムを運用する農家にとっても、導入しやすいというメリットがあります。

農家が記録した生産履歴情報を、直接パソコンに取り込むことができ、同時に農薬の適正使用診断を作成することも可能です。システムを連携すれば、JA・直売所・道の駅などと情報を共有することもできます。

「トレサPRO」のホームページはこちら

生産履歴を記録することは、農家にとって栽培管理や作業のデータベースを構築するようなものです。それは次のシーズンに、より高品質な作物を栽培するための貴重なノウハウにもなります。
農家が積極的に安全性をアピールする意味でも、今後はさらに生産履歴の活用が必要になってくるでしょう。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

recommended