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4Hクラブ(農業青年クラブ)とは?未来を担う、若手農家の取り組み例
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4Hクラブ(農業青年クラブ)とは?未来を担う、若手農家の取り組み例

4Hクラブ(農業青年クラブ)とは、若手農家が運営する組織です。全国の農家が交流を持ちながら、農業が抱える課題の解決方法を話し合ったり技術を磨き合ったりすることを目的としています。ここでは海外との交流も盛んな4Hクラブの活動について詳しく解説します。

農業は地域との関係が深い反面、横のつながりを持ちにくい職業です。

身近な課題を克服して技術を研鑽する場を必要としている若手農家にとっては、同じ志を持つ農家や海外と交流できる4Hクラブは有意義な集まりです。

この記事では4Hクラブの具体的な活動を詳しく紹介します。

若い農家が集まる「4Hクラブ(農業青年クラブ)」とは?

4Hクラブの四つ葉クローバーは「Head」「Hand」「Heart」「Health」を表す

4Hクラブの四つ葉クローバーは「Head」「Hand」「Heart」「Health」を表す
出典:imacoconut / PIXTA(ピクスタ)

4Hクラブは、全国の20~30代の若い農家が運営する組織です。その歴史は長く、戦後の復興真っ只中の1951年、当時のアメリカの農業を参考にして発足した農業改良普及事業の一役を担う組織として設立されました。全国各地で農林省(当時)による4Hクラブ活動の指導が実施され、続々とグループが組織されました。

4Hクラブの目的は、横のつながりを持ちにくい農業において、若者が交流をしながら身近な課題の解決方法を話し合ったり、農業の技術を磨き合ったりすることです。

課題ごとにプロジェクトを立ち上げて取り組むほか、消費者や全国のグループとの交流、地域ボランティア活動、外国の4Hクラブとの国際交流などの活動も行っています。

なお、4Hとは「頭脳(Head)」「技術(Hand)」「心(Heart)」「健康(Health)」の頭文字を表し、それぞれを磨いて農業のよりよい未来を築いていくことに主軸を置いています。

4Hクラブは世界中で共通する呼称で、海外の4Hクラブ視察や国際連携の活動も盛んです。日本には2020年現在、全国に約850クラブがあり、約1万3,000人が所属しています。

「全国農業青年クラブ連絡協議会」の主な活動内容

日本の4Hクラブ「全国農業青年クラブ連絡協議会」

4Hクラブは、クラブ員の健全な発展や日本農業への貢献を目的として、1955年に「全国農村青少年クラブ連絡協議会」として結成されました。

同協議会は年に1度の会議を開催するなど、全国の4Hクラブの交流を図る活動を続け、1973年に現在の名称「全国農業青年クラブ連絡協議会」となりました。

現在は栽培活動や販路開拓といったプロジェクトの推進や、全国の4Hクラブ間で視察研修や懇親会を行う全国農業青年交換大会を開催しています。そのほか、小中学生の農作業体験や地域イベントへの参加もしています。

農業者会議では何をしている?討議されているテーマの例

第58回全国青年農業者会議「先進技術アワード農業2.0」表彰の様子

第58回全国青年農業者会議「先進技術アワード農業2.0」表彰の様子
出典:ソーシャルワイヤー株式会社

全国青年農業者会議では、全国予選を勝ち抜いた4Hクラブ員によってプロジェクト活動や意見が発表され、優秀な発表には農林水産大臣賞が授与されます。2020年は新型コロナウイルスの関係で中止となりましたが、2019年の会議では全国から約300人が参加しました。

会議では優れた発表に対して表彰が行われており、例えば「プロジェクト発表」では園芸・特産部門、畜産部門、土地利用型部門、地域活動部門の4部門で受賞者が発表されます。

そのほか、「農業青年の意見発表」や「優良農業青年クラブ表彰」に対し、農林水産大臣賞、経営局長賞、全国農業青年クラブ連絡協議会会長賞の3賞が授与されます。

2019年の会議では、奥能登で水稲を中心に複合農業を営む実家にUターン就農(注)し、地元の若手と協力しながら意欲的に農業経営に取り組む意見交換や、七飯のネギのブランド化プロジェクト発表もありました。

(注)都市圏でサラリーマンなどを経験したあと、帰郷して農家を営むこと

また、新たに「先進技術アワード農業2.0」枠が設けられ、農業を支援する先進的なサービスを表彰する試みも始まっています。

※「全国青年農業者会議2020」はオンライン開催されます(2021年2月4日、2月19日、3月4日の3回)。詳細はこちらをご覧ください。

海外の4Hクラブとの国際交流も

現在、4Hクラブは70ヵ国以上にあり、海外の4Hとの国際交流も行っています。特にアジア諸国の4Hクラブとは、海外視察や交換交流、国際会議などを通して親交を深めています。

2019年には台湾との4Hクラブと交換交流をしたり、タイのチェンマイでの4H国際会議に参加するなど、積極的な活動が続けられています。残念ながら2020年は 新型コロナウイルスの影響でこれらの活動は行われていませんが、今後一層の活動が期待されます。

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4Hクラブ全体のセミナー情報のほか、各地域の4Hクラブや、賛助企業・農業者会議の協賛企業のセミナー情報も多数掲載されています。

日本の未来を担う!「強い農業」を作る4Hクラブ会員の取り組み事例

全国各地のクラブ会員による、意欲的な農業経営の取り組み事例を2つ紹介します。

【株式会社アグレス】農業を強くするには強い農家の創出から

株式会社アグレスが自社農園で廃棄されるほうれん草を活用した「野辺山ほうれん草カレーペースト」

株式会社アグレスが自社農園で廃棄されるほうれん草を活用した「野辺山ほうれん草カレーペースト」
出典:PR TIMES株式会社

長野県農業青年クラブ元会長で日本4Hクラブの役員を務めてきた山浦昌浩(やまうら まさひろ)さんは、株式会社アグレスで未来開発室長を務めています。この会社は長野県野辺山高原と山梨県に農場を持ち、ほうれん草を中心に葉菜類を生産・販売する農業法人です。

気候の異なる2つの農場を産地リレーして使い分け、農閑期には埼玉県の出荷組合と業務提携をして出荷作業を行っています。こうして年間を通した雇用を実現し、安定した経営を実現しました。

産地リレーのため出張が多くなる正社員には「アニバーサリー休暇」や「プロポーズ休暇」を取り入れ、外国人実習生や期間パートを含むすべての従業員に休暇の取得を推奨しています。

また、家族で参加できるバーベキュー大会や社内旅行、キャリアパスの実施など、社員を大切にする方針が従業員の意欲を向上させ、2019年には正社員が10名を超えました。

自社の社員だけでなく、海外への農業スタディツアー「農スタ」を企画・運営し、次世代を担う農家の創出にも貢献しています。

株式会社アグレスの「未来開発室」のページはこちら

【せのお果樹園】行政との密な連携と積極的な地域交流で課題解消をめざす

岡山県4Hクラブの会長である妹尾充(せのお みつる)さんは、岡山県倉敷市でブドウやレモンの果樹園を経営しています。同クラブは非常に活発で、9つある地方協議会に600人を超えるメンバーが所属しています。ソフトボール大会や食育活動だけではなく、地域同士の事業交流も盛んで、岡山県協議会とも意見交換会などを通して積極的に交流をしています。

特に大きな強みは、行政との連携が密に取れていることでしょう。そのため活動や情報発信がスムーズに行われ、地域との関係も良好に保っています。

自身の農業は、就農8年目で経営は安定したものの、多発する獣害に悩み、自ら猟銃免許を取得したそうです。そして、地元の猟友会のメンバーとも情報交換をして地域の獣害駆除に協力しています。

また、倉敷は近年頻繁に豪雨による水害を受け、多くの農家が多大な損害を被りました。こうした苦境から、地域全体で協力しながら獣害や農家の高齢化など地域の課題解消に取り組んでいます。

岡山県のぶどうハウス栽培

papa88 / PIXTA(ピクスタ)

4Hクラブに所属する若い農家は、日本の農業を積極的にリードしようとする意欲にあふれ、農業が抱える多くの課題にも前向きに取り組んでいます。日本の農業を担う若い農家が、同じ志を持つ仲間を見つけ大きな力を得るためにも、4Hクラブの活動に参加してみてはいかがでしょうか。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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