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アグリツーリズムとは? 注目される理由やメリット、成功事例

アグリツーリズムとは? 注目される理由やメリット、成功事例
出典 : daisai / PIXTA(ピクスタ)

近年、農業の新しいビジネスモデルとして、都市部の人々が農村との交流を楽しむアグリツーリズムが注目を集めつつあります。アグリツーリズムの概要や成功事例について紹介します。

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農業所得向上のためにはいろいろな方法があります。農家にとって本業である栽培作物の高品質化・多収化をめざすことは基本ですが、それ以外の付加価値を消費者に提供して収益を上げるのも1つの方法です。

そこで、農業の付加価値を消費者にわかりやすく提示する新しいビジネスとして、アグリツーリズムが注目されており、国内外を問わず人気が高まっています。この記事では新たに経営の多角化を検討している農家に向けて、アグリツーリズムの概要や成功事例について紹介します。

アグリツーリズムとは?

ヨーロッパのアグリツーリズム ワインヤードのサイクリング

pkazmierczak - stock.adobe.com

アグリツーリズムは、英語の「Agriculture(農業)」と「Tourism(旅行)」を掛け合わせた造語です。主に農山村部など自然豊かな場所に滞在し、周囲の環境や文化、そこに住んでいる人々との交流を楽しむ余暇活動のことを指します。

似たような言葉にグリーンツーリズムがありますが、こちらは農山村部に加えて漁村で体験する形式を含めた用語として使われます。

アグリツーリズムはもともとヨーロッパを中心として始まった休暇の過ごし方の1つでした。しかし、地域活性化に貢献する側面もあることから、近年では日本でも農林水産省を中心に積極的に推進されています。

特に日本の農山村部には、そこでしか体験できない伝統や文化が残っている場合も多く、日本国内はもちろん海外からのニーズも高まっています。

農家にとってのメリット

アグリツーリズムを実施する農家にとっての大きなメリットとして、「本業以外での収益の確保」が挙げられます。

アグリツーリズムを利用する消費者の主な目的は、地域の特徴を体験することです。地元に根差した文化や食べ物に興味を持つことが多く、そうした消費者をターゲットにして民宿やレストラン、体験農園などを開設すれば、作物の出荷以外での収益確保をめざせるでしょう。

また、それらの施設で自らの農園や地元産の作物のおいしさや魅力を知ってもらうことで、本業の収益アップに効果的なプロモーションにつながる点も魅力です。

中には、都市部の商店街と農村部が協力して地域の新たな魅力を発信することで、地域全体の活性化につながった事例もあります。そのほか、アグリツーリズムの環境を整備する過程で空き家や休耕地などを活用すれば、休眠資源問題も解決できるなど多くのメリットをもたらしてくれます。

アグリツーリズムが注目される理由

農村の古民家 夜景

まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

なぜ近年になって、アグリツーリズムが日本で注目を集めるようになったのでしょうか。ここからはアグリツーリズムが日本で注目され始めた理由について詳しく解説します。

アグリツーリズムを推進する政策

アグリツーリズムは農家のみならず地域全体の活性化につながることから、過疎化や高齢化が進展する地方の問題を解決する切り札になることが期待されており、政府も法律の整備などを通じて支援しています。

具体的には、1994年に制定された「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」や2005年に改正された「農山漁村余暇法」など、農林漁業体験民宿の登録の制度化や対象の拡充が図られてきました。

農林水産省の資料によると、アグリツーリズムに関わりの深い農山漁村振興基金(農泊推進対策)の全国の支援対象地域は2018年度の352地域から、2020年12月には554地域まで増加しました。
その後、2021年には599地域、2022年には621地域、2023年には656地域となっており、数値としては増加傾向となっています。

農泊支援地域の採択状況

出典:農林水産省「農泊推進のあり方検討会資料一覧」所収「農泊推進の現状と課題について(平成30年12月)」
農林水産省「農泊の推進について」所収「農泊をめぐる状況について(令和7年1月10日時点)」よりminorasu編集部作成

農泊地域の延べ宿泊者数

出典:農林水産省「「農泊」の推進について」所収「農泊をめぐる状況について(令和7年1月10日時点)」よりminorasu編集部作成

こうした政策によって政府のお墨付きを受けたアグリツーリズムは普及が拡大し、宿泊施設や利用者数は増加傾向にあります。

コロナ禍以前を上回るインバウンド需要の増加や、若者世代の農業への関心の高まりもあり、今後もさまざまな地域でアグリツーリズムがより一層身近な存在となる可能性が高まっています。

インバウンド需要の増加

農泊地域のインバウンド延べ宿泊者数

出典:農林水産省「「農泊」の推進について」所収「農泊をめぐる状況について(令和7年1月10日時点)」よりminorasu編集部作成

発祥の地がヨーロッパであることから、もともと欧米ではアグリツーリズムが身近な存在として普及していました。そのアグリツーリズムが日本で普及し始めた要因としてはインバウンド需要の増加も挙げられます。

2017年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」に象徴されるように、日本ではインバウンド需要を高めることが政策の1つにもなっていました。コロナ禍で一時的に訪日外国人旅行者数は減少したものの、2025年1月時点では単月過去最高を大幅に更新しており、インバウンド需要がさらに伸びることが予測されます。

日本の観光地にはさまざまな場所がありますが、特に農山村が多い地方部には、都市部ではすでに失われてしまった昔ながらの伝統的な生活様式や郷土料理、自然が残されているケースもあります。

そうした日本でしか味わえない体験を求めている訪日外国人も多く、日本におけるアグリツーリズムのニーズが高まる要因になっています。

訪日外国人にとって昔ながらの伝統的な生活様式や郷土料理、自然が残されている農山村は魅力がある

訪日外国人にとって昔ながらの伝統的な生活様式や郷土料理、自然が残されている農山村は魅力がある
出典:株式会社PR TIMES(株式会社百戦錬磨 ニュースリリース 2019年9月12日)

出典:JNTO(日本政府観光局)「訪日外客統計」所収「月次報告 2025年1月推計値(2025年2月19日発表)」

コロナ禍で国内需要も増加

アグリツーリズムはインバウンド需要の増加とともに利用者数も増加傾向にありました。その状況を一変させた新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって訪日外国人の数は激減し、アグリツーリズムの利用者も減少するのではないかと危惧されました。
一方で、アグリツーリズムは三密を避けられる観光コンテンツとして、コロナ禍でも国内での需要は増加しました。
さらに、コロナ禍以降には外国人利用者数も回復し、2023年にはコロナ前の水準を上回りました。
また、円安を背景とした海外旅行の需要低下によって、国内観光に注目が集まり、国内の利用者数も大幅に増加していると考えられます。

出典:国土交通省環境庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」

アグリツーリズムの課題

アグリツーリズムの課題として挙げられるのは、「事業として採算がとれるかどうか」です。アグリツーリズムは地域活性化のためのボランティアではなく、あくまでも事業者が収益を上げることが目的になります。

しかし、本来観光地ではない農山村部に消費者を多く呼び寄せようとすると、それなりの設備投資や広報活動を行わないと難しいのが現実です。アグリツーリズムの目玉となる農泊においてもまだ認知度が高いとはいえず、国内外におけるそれなりのプロモーションが必要でしょう。

現実には公費による補助に依存しているケースが多いので、「いかにして自らの手で儲ける体制を作れるか」が安定した経営をするための課題だといえます。

また、地域によっては雪などの影響で冬季の作物栽培が難しいケースもあります。最大限の収益化を図るために、冬場も含めた通年利用できるコンテンツの開発を考えることも重要です。

アグリツーリズムの国内事例

経営の多角化を検討している方の中には、実際にアグリツーリズムについてどのような事例があるか知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで、ここからは国内でアグリツーリズムを導入した事例を5つ紹介します。

1.北海道長沼町:特区取得による魅力的な農家体験の提供

札幌近郊の長沼町

HAPPY SMILE / PIXTA(ピクスタ)

北海道夕張郡にある長沼町は車で新千歳空港から約30分、札幌市から約50分程度の場所にあります。都市部からのアクセスがよい立地条件を活かし、都市部と農村部との相互理解を深めることをめざしてグリーンツーリズム特区に認定されました。

県外の学校を招いて体験交流や農業体験、農家民宿を実施するなど、主に子供と農業との触れ合いを増やすイベントが多いのが特徴です。2019年度における農家民宿・体験交流では福井県や広島県など、全国各地から合計で1,000人を超す児童を受け入れています。

長沼町「グリーン・ツーリズム」

2.長野県南信州:地域資源を活用した多種多様な体験プログラム

長野県南部の下伊那14市町村と上伊那1村に加え、民間企業や団体が協力しているプロジェクトが南信州観光公社です。

東には南アルプス、西には中央アルプスがそびえる自然豊かな南信州の特徴を生かして、現地の人々の普段の暮らしや仕事、趣味を体験できます。それらを案内するインストラクターや案内人も現地の人たちなので、より深い体験ができるのが魅力です。

体験できるプログラムには「農家ホームステイ」「味覚体験・食文化」「農林業体験」などがあります。また、近年社会的な関心を集めている環境学習やSDGsに対応したプログラムもあるなど、バリエーションに富んだ内容が用意されているのも特徴です。

南信州観光公社

飯田市、南信州観光公社はAirbnbの日本法人とパートナーシップを結び、農家ステイや観光コンテンツのオンライン化、地域コミュニティの育成などに取り組んでいる

飯田市、南信州観光公社はAirbnbの日本法人とパートナーシップを結び、農家ステイや観光コンテンツのオンライン化、地域コミュニティの育成などに取り組んでいる
出典:株式会社PR TIMES(Airbnb Japan株式会社 ニュースリリース 2021年11月16日)

3.福井県坂井市:農業体験×宿泊×レストランを組み合わせた複合施設

心にやさしい、スローフード・スローライフ・スロートラベルをモットーにアグリツーリズムに取り組んでいるのが、福井県坂井市にある「アグリツーリズモNora」です。

イチゴ狩りやミニ動物園、還元陶板浴といった若者にも受け入れられやすいコンテンツを展開し、気軽に田舎暮らしができる泊まれるレストランとして運営しています。

レストランでは地元産の食材を使った料理や平飼いしたニワトリから採れる「のらたまご」を使ったデザートなどが人気です。ミニ動物園を楽しんだあとでイチゴ狩りをして帰るなど、手軽にアグリツーリズムを楽しめるスポットとして愛されています。

株式会社グリーンフィールド「アグリツーリズモNora(ノラ)」

4.宮崎県児湯郡新富町:農業を観光資源とする持続可能なビジネスの創出

宮崎県児湯郡新富町にある一般財団法人こゆ地域づくり推進機構は、地域の主要産業である農業を盛り上げるために大々的にプロモーションを行っています。

地元産の野菜に「しんとみ野菜」という名前を付けてブランド化を図り、その広報活動の一環としてブランドムービーを作成するなど積極的に情報発信を実施しているのが特徴です。

また、主にインバウンドをターゲットとして漬物づくりやオリジナル抹茶づくりなど、新富町の食と農の価値を発信する農業体験も実施しています。持続可能な農業をめざし、地元産作物の付加価値向上とインバウンド需要による観光ビジネスという双方のテーマに対応しているケースです。

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)

5.大分県安心院町:農村での温かい交流を目指した農泊のロールモデル

1996年からスタートし、日本におけるグリーンツーリズム発祥の地として知られているのが大分県宇佐市の安心院町地域(旧・宇佐郡安心院町)での農村民泊です。事業開始当初は8軒からスタートしましたが、現在では60軒もの家庭が参加し、多いときには年間で1万人以上が利用しています。

安心院町地域のグリーンツーリズムの特徴として挙げられるのが、1日1組の宿泊受け入れを原則としている点です。事業に参加しているそれぞれの家庭の空いている部屋に宿泊してもらうことで、より密度の濃い体験ができます。

現地の家庭になじんで農作業や料理作り、食事をとる方式は「安心院方式」と名付けられ、グリーンツーリズムのロールモデルとして確立されています。

NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会

宇佐市 Youtube公式チャンネル「はじめての農泊【~農泊発祥の地~大分県宇佐市】」

海外でのアグリツーリズムの事例

海外ではアグリツーリズムは長い休暇を過ごすための選択肢の1つであったため、以前から身近な存在でした。近年ではアグリツーリズムを提供する事業者側と、利用したい消費者側を結びつけるマッチングプラットフォームが誕生するなど、より手軽に利用できる体制づくりが進められています。

例えば、欧米の中でもアグリツーリズムの歴史が深く利用が盛んなイタリアでは、「オルチア渓谷」や「フィレンツェ」「アルベロベッロ」など、観光客に人気のあるエリアで地域の伝統や文化を体験できるサービスをセットにした日本人向けのプランも用意されています。

トスカーナ「アグリツーリズモ・レ・ガロッツォーレ」

トスカーナ「アグリツーリズモ・レ・ガロッツォーレ」
出典:株式会社PR TIMES(Booking.com Japan K.K. ニュースリリース 2018年5月22日)

アグリツーリズムは農業と観光を上手く融合させた新しいサービスで、日本でも徐々に参加する事業者が増えつつあります。

ネットワーク環境の発達によって知識を手軽に得られるようになった現代でも、実際に体験することは現地でなければできません。そうした、自らの経験による思い出作りをしたい人たちを中心にアグリツーリズムのニーズは高まっています。

安定して継続的な事業を行うための課題はありますが、本業以外での収益を確保できる点は既存農家にとって大きな魅力でしょう。経営の多角化を検討している方は、アグリツーリズムへの参入も検討してみてください。

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中原尚樹

中原尚樹

4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。

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