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農業経営にデザインは必要?農業ブランディングを手掛けるファームステッドの取り組みを紹介

農業経営にデザインは必要?農業ブランディングを手掛けるファームステッドの取り組みを紹介
出典 : 株式会社 PR TIMS

農業経営において「デザイン」を駆使したブランディングの重要性と具体的な効果について、株式会社ファームステッドの実例を解説。農産物の魅力を消費者に伝え、売上増加やブランド価値の向上を目指すためのデザイン戦略を紹介します。

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農業にもブランドやブランディングという概念が浸透し、収益アップのための戦略として注目されています。この記事ではブランドにおけるデザインの重要性について、農業のブランド化を多く手掛けるファームステッドの取り組みを紹介しながら解説します。

農作物の価値を高める!「農家のブランド戦略」にデザインが重要な理由

ブランディングの要素

tiquitaca / PIXTA(ピクスタ)

これまで農業は、その生産物である作物について、品質にムラがなく均等であることが求められることが多い産業でした。

しかし、個性が重視される昨今、消費者が農産物やそれを栽培した農家を個別に認識し、それぞれを区別して選ぶことが増えてきました。

そこで、農産物という大きな括りの中で、ほかとは違う「自分らしさ」を客観的にイメージできるように発信することが重要になっています。

そうした特定の個性に対して見た人が抱く客観的なイメージが「ブランド」であり、それをわかりやすく形作り発信する活動や戦略を「ブランディング」といいます。

この記事では、ブランディングの中でも最もわかりやすく大切な「デザイン」について、効果や含まれる要素を詳しく説明します。

よいデザインが農家のブランディングにもたらす3つの効果

農産物や農家そのものをよいデザインを用いてブランディングすることで、次のような効果が期待できます。

・農産物の訴求力が上がり、消費者に注目されたり贈答用の特別な商品として選ばれやすくなる
・見ただけでは伝えきれない農産物の価値をアピールできる
・メディアやSNSでの注目度が上がり、広告宣伝効果が期待できる

こうした効果を十分に発揮するため、デザインは積極的に活用するべきでしょう。

具体的には、農産物(作物や加工品)に付けるシールやラベル、それを詰める箱や段ボール、リーフレット、関係書類などを入れる封筒や袋、ホームページの背景やアイコンなど、1つの対象物に関わるあらゆるものについて、統一したデザインで作成する必要があります。

例えば、同じメロンが並んでいても、ただの文字が印刷された箱に入っているよりも、デザインされた箱やラベルに入っているほうが注目を引き、選ばれやすくなります。一度食べた人には、デザインを見るだけで「あのおいしいメロン」とイメージしてもらえることもあるでしょう。

ブランディングにおける「デザインすべき要素」とは?

作物をイメージしたセットロゴの例

TopVectors / PIXTA(ピクスタ)

デザインを決める際には、対象の持つ個性を見直すことが大切です。

農家そのものであれば、地域的特徴や農家としての歴史、栽培している作物の特徴、理念や目標などを明確にします。

作物や加工品であれば、外見や味の特徴、栽培上のこだわりなどを明確にします。それらの要素をもとにデザインを決めていきます。

つまり、デザインはブランドに込められたあらゆる要素を内包する「看板」や「顔」といえます。デザインに負けないよう作物や加工品の品質維持・向上に努め、イベントやインターネットを活用して効果的な発信を心がけます。

デザインを使ってその作物や加工品をどう見せてどう売るのか、情報収集も含むブランド戦略が必要です。

一次産業をデザインで応援。「株式会社ファームステッド」の取り組み

農家や農作物が持つ要素をデザインとして効果的に表現するためには、プロのデザイナーの手を借りていくことが重要です。ここでは、農業のデザイン・ブランディングを多く手掛ける「株式会社ファームステッド」を紹介します。

株式会社ファームステッドはどんな企業?

ホームページにある言葉を借りれば、株式会社ファームステッドは「地域と一次産業をデザインを使って活性化することを目標に掲げるデザイン・ブランディングカンパニー」です。

作物や商品だけではなく、農家や地域そのものを対象にデザインやブランディングを手掛け、地域ブランドの価値を高めて広く伝えるサポートをしています。

これまでに手掛けたデザインは、ポップなものや伝統的なもの、素朴なもの、スタイリッシュなものなど、驚くほど多様性に富み、農家それぞれがどれほどの個性を持つのかよくわかります。

シンボルのデザインだけでなく、商品開発、パッケージ・ユニフォームのデザイン、売り場デザイン、Webサイトの制作など、ブランディングに関する一連の活動にも対応しています。

■ファームステッドのホームページはこちら

2017年9月の「AGRI × DESIGN × FOOD EXHIBITION」での展示

2017年9月の「AGRI × DESIGN × FOOD EXHIBITION」での展示
出典:株式会社 PR TIMS

ストーリーを伝えるロゴマークデザインで、生産者のブランディングをサポート

ファームステッドでは、ブランディングを引き受けるとどんなに遠方でも必ず現地を訪れます。現地の景色や空気を目で見て肌で感じ、依頼者と直接顔を合わせて語り合い、ときには酒を酌み交わしながら地元の自慢の食事を味わうことで、イメージを引き出すことを大切にしているためです。

現地の様子に直接触れるからこそ、依頼者のイメージを的確に捉えてデザインし、真に必要で効果的な戦略をアドバイスすることができるのでしょう。

代表取締役でクリエイティブディレクターでもある長岡淳一(ながおかじゅんいち)さんにとって忘れられない事例として、北海道美瑛町にある本山農場からの依頼がマイナビ農業のインタビュー記事で紹介されています。

依頼者は原生林を切り開いて興した畑作農家の4代目で、現地を訪ねて話を聞いた際、依頼者が祖父への思い出を大切にしていることが強く印象に残ったそうです。

そこで、祖父が愛用していたハンマーをシンボルとし、柄に施されていた特徴的な刻印をもとにロゴをデザインしました。そのデザインは依頼者に非常に喜ばれ、「毎日、仕事が楽しくてしょうがない」と、感謝されたとのことです。

■ファームステッドホームページ内 本山農場のプロジェクト事例はこちら

■インタビュー記事
マイナビ農業 農業は見た目で変わる?デザインからサポートする「ファームステッド」

ワークウェアブランド「FARMSTEAD APPAREL」やレストランも展開

デザイン・ブランディング以外にも、農業を応援する取り組みがあります。その1つが、「FARMSTEAD APPAREL(ファームステッドアパレル)」というワークウェアブランドの展開です。農家が元気で楽しく仕事をできるように、かっこいいワークウェアを届けたい、という思いのもとに、おしゃれなオリジナルウェアを製作・販売しています。

FARMSTEAD APPAREL(ファームステッドアパレル)のホームページはこちら

もう1つが、レストラン「FARMSTEAD TABLE」のプロデュースです。

全国の農家をはじめ一次産業の生産者と触れ合いながら構想を練り、「生産者と一緒に作り上げるまったく新しい形のライフスタイル・ショールーム」をコンセプトに、訪れた人が「ファン」になる心地よい空間を目指しています。

ただし、新型コロナウイルス感染防止などの影響で、2020年3月12日から当面の間休業しています。

これからの農業は、個性を目に見える形にして発信するブランディングが重要になってくるでしょう。

農業への思いや展望、自分の作る作物の特長などを改めて見つめなおし、プロのデザイナーの手を借りながら形作ることは、自らのモチベーションアップにもつながります。

地域全体でも家族だけでも、他とは違う「自分らしさ」を見直すことからブランディングを始めてみましょう。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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