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IT導入補助金を活用して農業のシステム化を始めよう

 IT導入補助金を活用して農業のシステム化を始めよう
出典 : zon/ PIXTA(ピクスタ)

IT導入補助金は、業務の生産性向上に効果的なソフトウェアなどを導入する費用を支援する制度です。農家も所定の要件を満たせばIT導入補助金を活用できます。この記事では、IT導入補助金で導入できるITツールや補助金の上限額・補助率、農業におけるIT導入補助金の活用事例について解説します。

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「IT導入補助金2022」の通常枠の公募は、2022年12月22日で締め切られました。しかし、令和4年度第2次補正予算の成立に伴い、中小企業庁での準備が整い次第、公募が再開されます。

スムーズな申請手続きに向けて、まずはIT導入補助金2022の概要について解説します。

農業経営者も活用できる! IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、生産性の向上を目指す中小企業・小規模事業者に対して事業の課題やニーズに合ったITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。

IT導入補助金の対象となるITツールは主にソフトウェアとクラウドサービスで、農業分野では営農支援システムやセンシングサービスなどがあてはまります。ITツールを導入する際のコンサルティング費用や使用方法の講習費用も補助金の対象となります。

そのため、これからスマート農業に取り組もうとする農業経営者でもスムーズにITツールを導入できるのが特徴です。

IT導入補助金の申請区分は、通常枠・デジタル化基盤導入枠・セキュリティ対策推進枠の3つに分かれています。

・通常枠:生産性の向上に効果的なITツールの導入費用を補助
・デジタル化基盤導入枠:インボイス制度の開始を踏まえて企業間取引のデジタル化を推進するITツールの導入費用を補助
・セキュリティ対策推進枠:サイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールの導入費用を補助

この記事では、農業経営者からの多くの活用が予想される通常枠での申請について述べていきます。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022|補助対象について」

IT導入補助金を利用する場合は、IT導入支援事業者と打ち合わせて導入するITツールを決めたのちに交付申請手続きを行います。

ITツールの発注・契約や代金の支払いは、補助金の交付決定が出た後に行うしくみです。IT導入補助金事務局に事業実績報告を提出した後に、補助金が支払われます。

引き続き、IT導入補助金の主な申請条件や申請スケジュールについても解説していきます。なお、IT導入補助金に関する最新の情報は、以下の公式サイトでご確認ください。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022」

IT導入補助金の対象事業と対象事業者

補助金 申請 交付

CORA / PIXTA(ピクスタ)

IT導入補助金は、ITツールを導入する中小企業や個人事業主・小規模事業者を対象とした補助金です。対象となる事業は製造業・サービス業をはじめ、小売業・旅館業など多岐にわたります。

農家も、資本金・出資金の総額が3億円以内または常勤の従業員が300人以内であれば、その他の業種としてIT導入補助金の交付申請が可能です。また、農事組合法人や農業協同組合・農業協同組合連合会もIT導入補助金の申請対象で、交付決定を受けた実績もあります。

IT導入補助金の申請に当たっては、以下の条件なども満たす必要があります。
・国内で事業を行っている
・申請者が営む事業場内最低賃金が、地域別最低賃金を上回っている
・「gBizIDプライム」のアカウントを取得済である
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の、一つ星または二つ星の宣言が済んでいる
・1年後の労働生産性の伸び率が3%以上、かつ3年後の労働生産性の伸び率が9%以上である数値目標を作成している(過去3年間に類似の補助金交付を受けた事業者の場合は、1年後の伸び率4%以上、3年後の伸び率が12%以上である数値目標を作成)
・売上、従業員数、給与支給総額、事業場内最低賃金等の生産性向上に関わる情報を事務局に報告する

通常枠B類型で申請する場合は、上記に加えて、以下の条件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明することも求められます。
・事業計画期間内の給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
・事業計画期間内の事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする
・上記の賃金引上げ計画を、申請時点で従業員に表明しておく

出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022|補助対象について」

補助の上限額・補助率

IT導入補助金の補助率と上限額・下限額は、申請区分ごとに以下のように定められています。クラウドサービスを導入する場合は、最大2年分の利用料金が補助対象です。

なお、通常枠のA類型とB類型の違いは、補助金の申請額です。B類型の場合は、前述のように賃上げ要件など申請条件にいくつかの違いがあります。

補助額補助率
通常枠(A類型)5~150万円未満2分の1以内
通常枠(B類型)150~450万円以下2分の1以内
デジタル化基盤導入枠50万円以下4分の3以内
デジタル化基盤導入枠50万円超~350万円3分の2以内
セキュリティ対策推進枠5~100万円2分の1以内

※交付の額が50万円超の場合の補助率は、当該交付の額のうち50万円以下の金額については3/4、50万円超の金額については2/3
出典:中小企業庁「中小企業対策関連予算」所収「IT導入補助金PR版(令和4年12月時点版)」よりminorasu編集部まとめ

令和4年度第2次補正予算の成立に伴い、通常枠(A類型)の補助金の下限は30万円から5万円に引き下げられました。デジタル化基盤導入枠の補助金の下限も撤廃されています。

そのため、低コストで農作業や営農管理のシステム化を推進したい農家も、IT導入補助金が申請できるようになっています。

IT導入補助金で導入できるITツール

IT 栽培管理

Carbondale / PIXTA(ピクスタ)

IT導入補助金の対象となるITツールは、IT導入補助金公式サイトの「IT導入支援事業者・ITツール検索」で検索できます。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022|IT導入支援事業者・ITツール検索」

検索結果に表示されたITツールが、IT導入補助金の対象となります。事務局に登録されていないITツールを使いたい場合は、IT導入支援事業者にITツールの登録申請を依頼してみるのもよいでしょう。

IT導入補助金で導入できるITツールで、農業での有効利用が期待できるものをいくつか紹介します。

・AGRIHUBクラウド
作業記録や出荷状況・作物の売上などをクラウドで管理できるサービスです。AI技術による散布管理機能が搭載されており、農薬管理の適正化・省力化にも効果を発揮します。

株式会社Agrihub「AGRIHUBクラウド」

・リモファーム
衛星データと気象データをもとに、作物の生育状況が把握できるシステムです。稲作だけでなく、露地栽培作物にも対応しています。営農に関するメモが写真付きで残せるため、次年度以降の営農計画もスムーズに立てられます。

有人宇宙システム株式会社「リモファーム」

申請スケジュール

申請 スケジュール 締め切り

たっきー / PIXTA(ピクスタ)

ここでは、IT導入補助金2022の通常枠(A類型・B類型)の申請スケジュールを紹介します。

<交付申請期間>
2022年3月31日〜12月22日
(2023年1月31日現在)

<通常枠の申請の締切回数>
2022年度は9回、2021年度は5回

<締切日>
2022年5月16日から約1ヵ月に1回ペースで12月22日までの期間に9回

<交付決定日>
締切日から約1ヵ月後

<事業実施期間>
交付決定日から
・2023年1月31日17時(5月・6月締切日)
・2023年3月31日17時(7〜9月締切日)
・2023年6月30日17時(10〜12月締切日)

<事業実績報告期限>
各事業実施期間の最終日17時

交付申請はIT導入補助金公式サイトの申請マイページで行います。締切日の17時をもって申請受付が終了するので日程に余裕を持って手続きを取るようにしてください。

交付申請の結果は、各回の締切日から1ヵ月前後で申請マイページに通知されます。交付決定を受けた後にITツールの発注・契約を行い、ITツールを活用した業務が開始できるようになります。

IT導入支援事業者にITツールの代金を支払った後、指定された日時までに事務局に事業実績報告を提出し、問題がなければ補助金が交付されます。交付決定前にITツールの発注・契約をしたり代金を支払ったりすると、補助金が支払われないので注意が必要です。

なお、2023年1月15日時点では公募が停止されていますが、準備が整い次第公募が再開される予定です。最新の申請スケジュールは、IT導入補助金の公式サイトでご確認ください。

農業でのIT導入補助金活用事例

IT導入補助金を活用して、農作業の省力化や第6次産業の活性化につなげている事例を紹介します。

水稲栽培にIoTを使った水管理システムを導入

古川農園が導入した、株式会社笑農和「paditch(パディッチ)」

出典:株式会社PR TIMES(株式会社笑農和 プレスリリース 2020年11月11日)
古川農園が導入した、株式会社笑農和「paditch(パディッチ)」

稲作農家である古川農園(静岡県袋井市)では、スマートフォンやパソコンで水門を開閉できるシステム「paditch(パディッチ)」を導入して、ほ場管理の時間短縮を実現しています。

耕作面積や飛び地の増加に伴い、ほ場の状況把握や水門の開閉に時間がかかるようになり、さらには体力面の負担も課題として浮上しました。ほ場環境や栽培暦に合わせた水管理を実践するためには、ITを活用した省力化が必要だとも認識していました。

そこで導入したのが、株式会社笑農和が開発した水管理システムであるpaditchです。あらかじめ水位・水温を設定しておけば自動で用水路の水門が開閉できます。必要に応じて、遠隔操作での水門開閉も可能です。

paditchを導入した結果、ほ場を往復する時間が削減でき、ほかの作業に充てる時間を増やせるようになりました。

出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022|ITツール活用事例」所収「なぜ、そのITツールを選んだのか--多様な業種15社の横顔と取り組み(H29)」(18ページ)

予約システム導入で農泊事業を活性化

千葉県芝山町 芝山仁王尊・稲作・航空科学博物館

なめ / PIXTA(ピクスタ)・yanpon / PIXTA(ピクスタ)・ himawari / PIXTA(ピクスタ)

一般社団法人みどりと空のプロジェクト(千葉県芝山町)では、コミュニティ運営をサポートするクラウドサービス「evawat」を導入して、農泊体験の予約システムを確立しました。

芝山町の基幹産業である農業を盛り立てるために2017年に農泊プロジェクトをスタートしましたが、集客・予約受付のしくみづくりが運営上の課題でした。予約システム構築の必要性は認識していたものの、コスト面から導入が困難ではないかという思いもあったそうです。

evawatを導入した結果、電話受付や紙ベースの書類の処理から解放され、業務の効率化を図ることができました。アフターコロナを見据えて、インバウンドの集客にも取り組んでいます。

一般社団法人みどりと空のプロジェクト

独立行政法人中小企業基盤整備機構「IT導入補助金 活用事例|予約システム導入で芝山町の農泊事業活性化を狙う。一般社団法人みどりと空のプロジェクト(千葉県山武郡)」

芝山町「農泊体験」

IT導入補助金は農業経営者も申請でき、ほ場管理システムや営農支援システムなどスマート農業の推進に活用できます。農泊などの第6次産業に取り組み、農家全体の生産性や価値の向上にも効果的です。

IT導入補助金の申請期限は複数設定されているため、農業のシステム化を始めようと考えた段階でIT導入支援事業者に相談して、課題・ニーズに合ったシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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