りんご防除|ベランティーフロアブルは黒星病と褐斑病の両方を抑えていると思います
ふじりんご発祥の地・青森県藤崎町で活躍する佐藤寿和さんの挑戦に迫ります。実家のりんご農家を継ぎ、新しい栽培技術を取り入れながら10品種を栽培する情熱や、病害防除への取り組みを紹介。黒星病や褐斑病といった病害に対しては、新規殺菌剤を適用し、より品質の高いりんご作りに成功しています。
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佐藤 寿和(さとう としかず)さんプロフィール
「ふじりんご発祥の地」として名高い青森県藤崎町。この地でりんご栽培に従事する佐藤さんは、30代半ばに勤めていた会社を退職し、地元で代々続く実家のりんご農家に就農しました。現在は、ご家族3名で2haの園地で、つがる、きおう、トキ、早生ふじなど、10種類の品種を栽培しています。
取材時の7月末、早生品種が赤く色付き始める。
「ふじりんご発祥の地」での新たな挑戦
就農のきっかけは、「長男として家業を継ぐという使命感」と話す佐藤さん。「親から強い勧めもありましたし、長男なのでいずれは就農するだろうという気持ちはありました」と、当時を回想します。
就農後、佐藤さんは約2年間、青森県りんご協会が運営する研修先に通いながら、栽培技術を磨いてきました。「最初はあまり気が進みませんでしたが、県内各地から同じ立場の新規就農者が集まり、仲間ができたことが大きな励みになりました」と振り返ります。
家業を引き継ぐ中では、ご両親と意見が食い違い、「ときには口論になるときもあった(笑)」と話しますが、今ではご両親のやり方も尊重しながら、時代に合った新しい技術も積極的に取り入れ、独自の栽培スタイルを確立してきました。
褐斑病の初期感染時に合わせて使用したベランティーフロアブル
佐藤さんが「特に忘れられない出来事」として挙げるのが、過去に県内で大発生した黒星病です。
りんごの黒星病
©全国農村教育協会
「就農当初、黒星病はそこまで騒ぐ病気ではなかったですが、ある年に爆発的に発生しました。農薬の散布回数も増え、薬剤費もかさばりましたね。摘果作業の際は、病斑のある果実を全部集めて埋めたりしました」。肥料袋が1日10袋ぐらい、何日も黒星病の果実で埋まってしまうほどの被害があり、「就農してから一番苦労した出来事」と話す佐藤さん。
現在、黒星病の発生は落ち着いているものの、そのときの経験から病害防除への意識がさらに高まったそうです。
また、最近では褐斑病の発生が確認され始めているようで、「まだ大きな被害は出ていませんが、場所によっては収穫後に葉が黄変して落葉してしまった樹もありました」と指摘します。
りんごの褐斑病
©全国農村教育協会
今年、佐藤さんは黒星病と褐斑病を対象に、殺菌剤ベランティーフロアブルを試験的に使用しました。
「褐斑病は夏場に発生する病気ですが、初期感染は5月頃に起こるという話もあり、ちょうど黒星病の防除時期と重なるため試してみました。今のところは(取材時の7月末時点)病気も出ていませんし、効果を実感しています」と、手ごたえを感じている様子です。
今後は、「病気の発生頻度や園地の状況に合わせて使い分けていきたい」と意欲を示します。
りんご栽培への情熱と未来への意欲
佐藤さんは、町内でいち早くわい化栽培を取り入れています。
町内ではいち早くわい化栽培を導入した佐藤さんの自園地。
「もともと父親がわい化主義で(笑)。今は自園地の全てがわい化栽培です。改植の際の労力はコストが負担になることもありますが、丸葉栽培と比べて反収が大きく増える点が魅力ですね」と、その利点を語ります。今後は高密植栽培の導入を検討しており、収量を維持しつつも労力を削減する方法を模索しています。
「世界中で愛されているふじの発祥地として、藤崎のりんごは大きくておいしい。世界に誇れるりんごを作り続けていきたい」と話す佐藤さん。りんご栽培への熱い情熱が、これからも産地を支え続けます。
▼黒星病や褐斑病の防除事例については、以下の記事もご覧ください
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