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6次産業化プランナーとは?前提知識から徹底解説!
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  • 農業経営

6次産業化プランナーとは?前提知識から徹底解説!

近年注目されている「6次産業化」とは、第1次産業従事者である生産者が第2次産業である加工、第3次産業である流通・販売までを一体的に行う産業形態のことです。生産物の付加価値が高まり収入が安定的に増えるというメリットがあります。ここでは6次産業化と6次産業化プランナーを活用しながら効果的に取り組みを進める方法を解説していま

6次産業化に興味があっても、経験の少ない商品開発や販路開拓を行うことに不安を感じる農家もあるでしょう。そこで頼りになるのが国や自治体の支援による「6次産業化プランナー」の存在です。その依頼方法や効果について、具体的な事例も交えて紹介します。

農林漁業の6次産業化とは

6次産業化とは、2010年に「六次産業化・地産地消法」が公布されて以降、国が推進している産業形態です。6次産業は、農業者が主体となって従来の1次産業に加えて2次産業と3次産業を掛け合わせることを意味します。

6次産業化の目的はいくつかあり、まずは、生産者の高齢化や後継者不足といった問題を抱える農業や林業、漁業において生産物の価値を高めて所得を向上させる狙いがあります。そして、所得の向上によって若手の雇用を増やし、最終的には、地域の再生と活性化を目指しています。

その目的を実現する方法が6次産業化で、1次産業で作られた生産物を2次産業である製造業者が加工し、3次産業である流通・販売業者が消費者の手元に届けるといった複数の業者が担ってきたプロセスを生産者が一括して行います。ここでは、6次産業化によって生産者、特に農家にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

農産物 加工

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6次産業化を行うメリット

ここでは6次産業化を行うメリットを3つ解説します。

・所得の向上
6次産業では農家が主体となって加工や販売、生産物の価格設定にも関わるので、加工業者や販売業者が得ていた利益も獲得できます。また、農産物の加工・販売まで担うので、目的に応じた付加価値をつけられます。地域で生産したものを自ら発信し販売することで、その土地や農場のブランド力がつけば、農産物の価値が高まり所得の向上が大いに期待できるでしょう。

・収益の安定化
農家は作付けの時期や収穫期が最も忙しく、それ以外の時期は閑散としているケースがあります。6次産業化によって閑散期に加工業や商品開発を行えれば、労働力を持て余すことはないでしょう。ほかにも、市場出荷よりも価格変動が少ないため、加工や加工品の販売などを行えば、別の事業で損失が出てもそれをカバーできるので、現在よりも収入が安定します。

・雇用の創出と地域活性化
6次産業化は基本的に地産地消とセットで推奨されるため、地域に新たな産業やブランドが生まれ、地域の活性化につながります。また、農産物の生産から加工、販売までを同じ地域で行うため、雇用が増えることも大きなメリットです。雇用により地域に人が増えれば、地域活性化が促進されるでしょう。

農業における年間販売金額の推移

農林水産省統計部が毎年報告している「6次産業化総合調査」によると、農業生産関連事業における過去5年の年間販売金額は平成26年度(2014年度)の1兆8,672億円から平成30年度(2018年度)の2兆1,040億円まで年々上昇しています。

農業生産関連事業とは、農産加工、農産物直売所、観光農園、農家民宿、農家レストランに分けられますが、中でも農産加工と農産物直売所の販売金額は着実に伸びています。6次産業化が推進されるに伴って農家の所得向上が実現されつつあるといえるでしょう。

参照元:農林水産省「6次産業化総合調査」

6次産業化を助ける「6次産業化プランナー」とは

大根 寒干し 干し大根

june./PIXTA(ピクスタ)

6次産業化を進めるためには、農家が新たに事業を立ち上げる必要があります。
しかし、これまで農業一筋できた農家にとって、新規事業の立ち上げはハードルが高いため、6次産業化に取り組む生産者の相談窓口として各都道府県に1ヵ所、6次産業化サポートセンターが置かれています。

このサポートセンターに登録された6次産業化プランナーと呼ばれる専門家が、地域サポートセンターに寄せられた相談内容に応じて的確なアドバイスをしてくれます。ここでは6次産業化サポート事業と6次産業化プランナーについて解説します。

6次産業化サポート事業の内容と支援の受け方

6次産業化サポート事業を利用する際は、まずは各都道府県のサポートセンターに相談します。サポートを受けるには事業を支援対象として認定してもらう必要があるので、最初に認定申請を行います。

申請の仕方については地域サポートセンターのアドバイスを受けると間違いがありません。
認定申請をすると地域支援検証委員会が申請内容を検証し、支援対象か否かを決定します。

支援対象者であると認定された場合、企画推進員や6次産業化プランナーによる支援チームが結成され、6次産業化に向けた総合的なサポートを受けられます。

ちなみに、東京都には全国組織の中央サポートセンターもありますが、こちらに登録された6次産業化プランナーは個別の生産者に対応していません。中央サポートセンターは、あくまで地域サポートセンターで不足している人材をカバーし、どの地域でも均質なサポートを提供できるよう各地のサポートセンターを支援する機関です。

6次産業化プランナーへの相談例

実際のプランナーの経験によれば、相談内容で最も多いのは販路開拓が約60%、ついで商品開発が約30%、販売準備や許認可などそのほかの相談が約10%と公表されています。

相談できる内容は多岐にわたり、例えば「思うように販路が広がらない」という相談や「商品はいいのに売り上げが伸びない」といった相談も可能です。ほかにも商品開発やバイヤーが求める有利な条件、商談会の進め方、許認可申請や見積書といった書類の作成、商品に必要な検査や表示項目のアドバイス、同行営業などについても相談できます。

6次産業化プランナーの支援を受けた事例

北海道富良野市の有限会社井上農産による「富良野るるる牡丹そば」は、6次産業化プランナーの支援を受けてブランド化に成功した好事例です。この事例では、富良野地域で獲れるそばの付加価値を高めて「そばブランド」を構築し、地域活性化を目指しました。

取り組み当初から6次産業化プランナーに相談し、プランナーが自身の人脈を活用してデザイナーやコピーライターを集めてプロジェクトチームを作りました。その結果、井上農産はパッケージデザインやキャッチコピーなども含めて効果的な商品企画を推し進められたのです。

また、販路の確保に対しては、同じ地域で6次産業化に取り組む生産者と「富良野ファーマーズネットワーク」を構築。情報交換をしながら各地の商談会やイベントに共同で参加して効果的に販路を拡大しています。

こうした取り組みの結果、2011~2017年の6年間で売上高は6,700万円から7,800万円に向上し、雇用者数は5名から6名に増加しました。そばの生産面積も50haから60haと順調に成長を続け、生産者同士が協力することで地域全体が活性化しています。

トマト ジャム

CORA/PIXTA(ピクスタ)

国が推進する6次産業化にはさまざまな支援策があり、多くの取り組み事例で着実な成果を上げています。ただし、マーケティングや販路開拓の知識が不十分のまま6次産業化を始めても思うような成果は得られません。6次産業化プランナーの支援を受けて、戦略を練りながら着実に6次産業化を目指しましょう。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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