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人気ブランド「西宇和みかん」の美味しさの秘密とは?価値を高め、後継者を育成する工夫
出典 : CHU/PIXTA(ピクスタ)
  • 農業経営

人気ブランド「西宇和みかん」の美味しさの秘密とは?価値を高め、後継者を育成する工夫

「西宇和みかん」は、愛媛県の西宇和地域で栽培される100年以上の歴史を持ったブランドみかんです。非常に品質が高く、贈答品としても人気があります。そのおいしさを生み出し続けるために新旧の栽培技術が駆使され、ブランドとしての価値を高めるためにさまざまな試みが行われています。

「西宇和みかん」は、愛媛県の西宇和地域で栽培される100年以上の歴史を持ったブランドみかんです。非常に品質が高く、贈答品としても人気があります。そのおいしさを生み出し続けるために新旧の栽培技術が駆使され、ブランドとしての価値を高めるためにさまざまな試みが行われています。

100年以上の歴史を持つ「西宇和みかん」とは?

西宇和みかん 段々畑

YoshinoriOkada/PIXTA(ピクスタ)

「西宇和みかん」とは、愛媛の最西端に位置する八幡浜市、伊方町、西予市三瓶町の2市1町にまたがるエリアで生産され、JAにしうわ管内から出荷されるみかんの総称です。2度の天皇杯受賞をはじめ、これまでさまざま賞を受賞しており、その品質の高さは全国に知られています。

西宇和みかんは西宇和地域で栽培がスタートした明治28年(1895年)以来、100年以上にわたって栽培され続けてきました。現在では、真穴や八協、川上など、各地の農家をまとめる9つの共同選果部会があります。

この地域はリアス式海岸が続き、内陸部では起伏のある傾斜地が多く、平地も少ないことから農耕向きの土地ではありませんでした。しかし、気候は温暖で日照量が多く、水はけもよいため、みかん栽培には最適だったのです。

そこで西宇和の人々は、山を耕してそこから出る石を積み上げ、段々畑を作り、おいしいみかんを作ることに懸命に取り組みました。遠くまで続いた美しい段々畑からは、現在まで大切に畑とその味を守り続けてきたみかん農家の想いを感じることができます。

西宇和みかんのおいしさの秘密はここにある!

西宇和地区 リアス式海岸

5x5x2/PIXTA(ピクスタ)

西宇和みかんはそのおいしさで全国的に人気を集め、贈答用としても高いニーズがあります。その味の特徴と、高い品質のみかんを生み出す栽培のポイントを解説します。

味わいが舌にダイレクトに届くからおいしい

西宇和みかん一番の特徴は、外皮の薄さです。さらに、果肉が入っている薄皮(瓤嚢・じょうのう)がひときわ薄く、果肉の味わいがダイレクトに舌に届きます。

食べてすぐにおいしさが感じられ、とろけるような柔らかさで、そのまま食べても薄皮が残りません。また、甘いのはもちろん、味わいが濃厚なのも西宇和みかんの魅力です。

伝統を受け継ぎつつ、新技術へも挑戦

そのおいしさを生み出す大きな要素が太陽です。西宇和みかんは「3つの太陽」によって 育まれるといわれています。

1つ目は空からふり注ぐ太陽の光、2つ目は海から反射する太陽の光、3つ目は段々畑の石垣に反射する太陽の光です。この日当たりのよさが、西宇和みかんの甘さの秘訣です。

さらに、海からの潮風がミネラルを運び、水はけがよい石垣づくりの段々畑が果実を引き締めて濃厚なみかんを作り上げるのです。

また、伝統的な栽培技術を大切にしながら、新しい技術も積極的に導入しています。

ほ場の地面全体をシートで覆って雨水などの余分な水分が樹体に入らないようにしつつ、必要最小限の水分と養分を混ぜて根元に点滴灌水(てんてきかんすい)する「マルチドリップ方式」栽培を取り入れています。

西宇和みかんのブランド化への取り組み

西宇和みかんみかん断面

CHU/PIXTA(ピクスタ)

高く評価されてきた西宇和みかんですが、その価値をさらに高めるために、JAにしうわでは、八幡浜市、伊方町、西予市三瓶町エリアで生産された温州みかんを西宇和みかんとして統一ブランド化しました。その具体的な取り組みや新たな試みを紹介します。

品質を保証する「Nマーク」の表示

まず、ブランド化のために開始したのは、品質を保証する「Nマーク」の表示です。西宇和の頭文字である「N」の字をかたどったNマークを、平成30年度(2018年度)の出荷分から、段ボールや店頭販売の袋、店頭ツールなどに表示しました。

西宇和みかんのおいしさや品質の高さをNマークによりわかりやすく伝え、手に取ってもらうことをめざしました。

スイーツのレシピで魅力発信!限定コースも提供

西宇和みかんの魅力を発信する取り組みとして、スイーツやデザートレシピの提案も行ってきました。ブランドサイトやJAにしうわの広報誌などで、マフィンやプリン風ケーキ、ブラウニーなど、消費者がトライしやすいメニューの詳しい作り方を紹介しています。

西宇和みかんのブランドサイトはこちら

さらに、平成30年11月には目黒のレストラン「kabi(カビ)」で、西宇和みかんを主役にしたスイーツのコースを期間限定で提供しました。

パティシエールの中村樹里子さんが考案した五感全てで味わうオリジナルメニューは話題を集め、多くの人に西宇和みかんの魅力を知ってもらうきっかけとなりました。

オフィスでの需要を開拓する新たな試みがスタート

また、新しい試みとして「働くひとの西宇和みかん」もスタートしました。働き方のシーンに合わせて分類した西宇和みかんを、オフィスで配りやすいオリジナルみかん箱に入れて産地から直送するサービスです。

栄養士の監修の元に、会議用には酸味と甘みのバランスが取れたもの、休憩用には甘みたっぷりのもの、デスク用には口当たりのやさしい味わいのものをセレクトしています。ビジネスシーンでの糖質や栄養素の補給をサポートするのが狙いです。

主に家庭用として消費されるみかんの需要を、オフィスで新たに開拓する画期的な試みといえるでしょう。

「働くひとの西宇和みかん」の購入サイトはこちら

次世代の担い手を育む「西宇和みかん支援隊」

西宇和みかん

CHU/PIXTA(ピクスタ)

長期間にわたり安定して美味しいみかんを提供することが産地を守り、西宇和みかんのブランド価値を向上させるとの考えから、後継者不足を解消するための取り組みにも力を入れています。

次世代の担い手を育む活動として「西宇和みかん支援隊」を実施しており、柑橘農家をめざす人や柑橘農家での援農に興味がある人への総合的なサポートを実施しています。

具体的には、柑橘栽培に関する座学講座や、実際の施設での研修制度など、地域と連携したさまざまな支援策を用意しています。

西宇和みかんは100年以上の長い歴史を持ち、高い品質で人気のブランドみかんです。

伝統を守りながら、新しい技術も取り入れ、おいしいみかんを作り続ける一方、その魅力を多くの人に伝え、ブランド価値をより高める取り組みにも力を入れています。後継者の育成にも積極的に取り組んでおり、西宇和みかんは新しい世代に引き継がれていくことでしょう。

作物のブランド化を考えている産地の方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

酒井恭子

酒井恭子

テレビ番組制作会社、タウン情報誌出版社での取材・編集・ライティング業務などを経て、2018年からライターとして活動。農業、グルメ、教育、ビジネス、子育て情報など、幅広いジャンルの記事を執筆している。特に、食べることに興味があり、グルメ情報を自身のメディアでも発信中。美味しい料理の素材となる野菜や果物についても関心を持ち、農家とつながる飲食店で取材するなど、日々知識を深めている。「自分の文章で感動を多くの人と共有したい」が信条。

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