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【2024】みかんの新品種情報一覧! おいしくて人気の種類は?

【2024】みかんの新品種情報一覧! おいしくて人気の種類は?
出典 : 株式会社うめ海鮮@フォト / PIXTA(ピクスタ)

みかんは「品種」により栽培時期や食味が異なります。本記事では、みかんの品種選びで重要な「収穫時期」ごとに人気の新品種を紹介します。各地域での適応性も踏まえて、品種選びの参考にしてください。

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※本記事では中晩柑などの柑橘品種も「みかん」としてお伝えします

これから栽培するなら? みかんの品種選定ポイント

みかん畑

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

みかんの品種を選ぶ際には、まず収穫時期に着目します。需要が高まる年内に出荷できる「早生」、糖度がより高くなる「中生」、ほかのみかんの出荷が終わった時期に市場へ出せる「晩生」など、収穫時期によって特性が異なります。

また、果実の品質や生産の安定性も、品種選びの重要な要素です。品種改良が進んだことによって、高品質で通年の安定生産が期待できる品種や、病害虫による被害の軽減が期待できる品種が新たに開発されています。

消費者人気の高い品種を選ぶことも、安定した売上につながります。各品種の特性を把握した上で経営戦略に合わせて選ぶことが大切です。

▼みかんの品種については、以下の記事も参考にしてください。

【早生】 年内に出荷できるみかんの新品種4選

カットしたみかん

Tiny Nature / PIXTA(ピクスタ)

年内に収穫できる早生みかんの新品種として、「みはや」「津之望」「ゆうばれ(熊本EC12)」「みえ紀南6号」の特徴を紹介します。

主な早生みかん4品種の特性一覧

品種名品種登録年月成熟期樹勢樹姿果実重
(g)
糖度
(%)
クエン酸濃度
(%)
みはや2014年9月極早生中間19512.20.60
津之望2011年5月かなり早生やや弱中間19011.70.74
ゆうばれ(熊本EC12)2019年11月かなり早生やや強中間25112.81.00
みえ紀南6号2017年6月早生中間17312.00.73

出典:農林水産省「品種登録ホームページ」内「品種登録データ検索」などよりminorasu編集部作成

みはや

「みはや」は、11月下旬に成熟する早生品種で、「津之望(つののぞみ)」と「No.1408((アンコール×興津早生)×(清見×イヨカン))」の交配により誕生しました。

「みはや」の樹勢は中、樹姿は中間で、そうか病発生程度はなし、かいよう病発生程度は軽です。

「みはや」は果皮が赤橙色で外観が美しく、糖度が高く(12%程度)、酸味が少なく(クエン酸含量0.6%程度)、食味に優れています。

また、「みはや」は日本国内のほとんどの柑橘栽培地帯に適応しており、愛知県、熊本県、鹿児島県、福岡県、大分県の試験地において有望と評価されています。

津之望

「津之望(つののぞみ)」は、12月中下旬に成熟する早生品種で、「清見」と「アンコール」の交配により誕生しました。

「津之望」の樹勢はやや弱、樹姿は中間で、そうか病抵抗性は強、かいよう病抵抗性は中です。

「津之望」は隔年結果性が低く連年安定生産が容易であり、糖度11%程度、クエン酸含量0.7%程度と食味に優れた品種です。年内に成熟するので、日本国内のほとんどの柑橘栽培地帯に適しています。

ゆうばれ(熊本EC12)

「ゆうばれ(熊本EC12)」は、12月に成熟する熊本県オリジナル早生品種です。「はれひめ」と「あすみ」の交配により誕生した品種で、登録品種名は「熊本EC12」であり、「ゆうばれ」はJA熊本果実連が取得した商標名です。

「ゆうばれ」の樹勢はやや強、樹姿は中間となります。

「ゆうばれ」の果実の外観は良好で、糖度は12%程度と高く、クエン酸濃度は1%程度です。柑橘栽培地域で栽培できる品種であり、温暖で日照条件がよく排水良好な園が栽培に適しています。

みえ紀南6号

「みえ紀南6号」は、12月中旬から収穫可能な三重県オリジナル早生品種です。「早香」に放射線を照射した突然変異育種によって育成された品種で、樹勢は強、樹姿は中間です。

「早香」の種子ができやすい短所を改良しており、「みえ紀南6号」は「早香」に比べて種子が少ないという特徴を持ちます。

「みえ紀南6号」は、皮がむきやすく糖度12%程度で安定しています。ポンカンに準じた管理で栽培できて、よく結実するので連年安定生産が可能です。三重県が育成者権を持つオリジナル品種なので、「みえ紀南6号」の生産には三重県の許諾が必要です。

出典:
農研機構「品種詳細|みはや」
農研機構「品種詳細|津之望(つののぞみ)」
熊本県所収「カンキツ新品種「熊本 EC12」の特性」
JA熊本果実蓮「ゆうばれ®(熊本EC12)」
三重県所収「三重県育成品種」

【中生】 甘くておいしいみかんの新品種4選

みかん農園

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

甘味が強い中生みかんの新品種として、「あすみ」「はるき」「にじゅうまる(佐賀果試35号)」「きゅうき」の特徴を紹介します。

主な中生みかん4品種の特性一覧

品種名品種登録年月成熟期樹勢樹姿果実重
(g)
糖度
(%)
クエン酸濃度
(%)
あすみ2014年9月やや早生中間15115.71.03
はるき2021年10月中生やや強直立18013.0~14.01.0~1.3
にじゅうまる
(佐賀果試35号)
2017年8月早生中間32912.20.7~0.9
きゅうき2014年2月やや晩生開帳12813.50.92

出典:農林水産省「品種登録ホームページ」内「品種登録データ検索」などよりminorasu編集部作成

あすみ

「あすみ」は、1月下旬~2月上旬に成熟する中生品種です。「カンキツ興津46号(スイートスプリング×トロビタオレンジ)」と「はるみ」の交配によって開発されました。

樹勢は中、樹姿は中間で、そうか病発生程度はなし、かいよう病発生程度は中です。露地栽培も可能ですが、かいよう病に弱いことから、施設栽培向けの品種です。

「あすみ」の果実重は約150gで、糖度が極めて高く(15%程度)、芳香があり食味に優れる特徴があります。

機能性成分のβ-クリプトキサンチン含量が果肉100g当たり1.66mgと多い点も特徴で、大分県、宮崎県、長崎県、福岡県の試験地において有望と評価されています。

はるき

「はるき」は、和歌山県のオリジナル品種で、3月に成熟する中生みかんです。「清見」と「中野3号ポンカン」の交配により誕生した品種で、樹勢はやや強、樹姿は直立で、かいよう病の発生は比較的少ないです。

「はるき」の果実重は180g程度で外観が良好なうえに、13〜14%程度の糖度を誇る良食味が特徴です。さらに、「さくさくとした食感」も「はるき」の大きな特徴の1つです。

和歌山県の新たなブランドとして、凍害を受けにくい温暖な地域での普及が見込まれています。

にじゅうまる(佐賀果試35号)

「にじゅうまる(佐賀果試35号)」は、佐賀県のオリジナル品種で、12月下旬~1月に収穫される中生みかんです。品種登録名は「佐賀果試35号」であり、その中から基準をクリアしたみかんを「にじゅうまる」のブランド名で販売します。

「にじゅうまる」の樹勢は中、樹姿は中間です。

「にじゅうまる」は、食べ応えのある大きさ(果実重250g~300g程度)と爽快な香りが特徴で、豊かな甘み(糖度12%程度)とほどよい酸味があります。収穫後、1~2カ月ほど貯蔵施設で保管される間に、甘さを濃縮し酸味を低くして出荷されます。

きゅうき

「きゅうき」は、「向山温州」の1樹変異個体として発見され、和歌山県のオリジナル品種として2014年2月に品種登録された中生みかんです。12月中旬以降が収穫期の目安であり、樹勢は中、樹姿は開帳です。

「きゅうき」は、「向山温州」に比べて浮皮の発生が少ない特徴を持ちます。糖度は13%程度であり、「向山温州」とほぼ同等です。

出典:
農研機構「品種詳細|あすみ」
和歌山県「カンキツ新品種『はるき』」
佐賀県「佐賀県の新ブランドかんきつ「にじゅうまる」情報」
和歌山県所収「温州ミカン新品種‘きゅうき’の 品種特性と導入にあたっての注意点」

【晩生】 出荷時期を伸ばせるみかんの新品種3選

完熟みかん

mao / PIXTA(ピクスタ)

収穫後の保存性が高いことから、出荷時期を長くできる晩生みかんの新品種として、「あすき」「紅プリンセス(愛媛果試第48号)」「植美」の特徴を紹介します。

主な晩生みかん3品種の特性一覧

品種名品種登録年月成熟期樹勢樹姿果実重(g)糖度
(%)
クエン酸濃度
(%)
あすき2022年6月中生やや強開帳18115.61.37
紅プリンセス
(愛媛果試第48号)
2022年6月中生中間24914.71.05
植美2019年11月晩生やや弱開帳10710.00.71

出典:農林水産省「品種登録ホームページ」内「品種登録データ検索」などよりminorasu編集部作成

あすき

「あすき」は、「カンキツ興津46号」と「はるみ」の交配から育成され、2022年6月に品種登録されました。

3月頃に成熟する晩生品種で、樹勢はやや強、樹姿は開帳、かいよう病発生程度とそうか病発生程度は「あすみ」より少なくなっています。

「あすき」の果実は180g程度で、糖度が16%程度と極めて高く食味がよいのが特徴です。また、果実はナイフでカットしたときのドリップが少なく、カットフルーツに適しています。

栽培適地は冬季が温暖な地域で、福岡県、長崎県、鹿児島県において有望品種として評価されています。

紅プリンセス(愛媛果試第48号)

「紅プリンセス(愛媛果試第48号)」は、「愛媛果試第28号」と「甘平」の交配から育成され、2022年6月に品種登録された愛媛県のオリジナル品種です。

登録品種名は「愛媛果試第48号」であり、「紅プリンセス」は愛媛県の商標です。「愛媛果試第48号」の中から、糖度12%以上、クエン酸濃度1.2%未満など一定の基準を満たしたものが「紅プリンセス」として販売されます。

「紅プリンセス」の成熟期は3~4月、果実重は250g程度、樹勢は中、樹姿は中間です。栽培は愛媛県内に限定され、栽培適地は温暖で冷気の停滞がなく、冬季の季節風の影響を受けにくい島しょ部や沿岸部の無霜地帯です。

植美

「植美(うえみ)」は、晩生みかん「尾張系」の一樹変異個体で、2019年11月に品種登録された和歌山県のオリジナル品種です。12月に収穫適期を迎える晩生みかんで、樹勢はやや弱、樹姿は開帳です。

果実重は110g程度、糖度は10%程度、クエン酸濃度は0.8%程度です。

同じ晩成品種の「林温州」「尾張系」と比較して、「植美」は腐敗や貯蔵性低下を引き起こす浮皮の発生が少ない傾向があります。また、枝が下垂しやすく大木になりづらいので、収穫や剪定がしやすいという利点があります。

出典:
農研機構「品種詳細|あすき」
愛媛県所収「‘愛媛果試第48号’の品種特性」
和歌山県所収「枝変わり探索により選抜した晩生みかん‘18-2’」

【番外編】 注目度上昇中! 近年人気のみかん品種3選

富士山近くのみかん畑

富士山をバックにするみかん畑
Yoshitaka / PIXTA(ピクスタ)

番外編として、新品種ではないものの、みかん栽培を検討するなら候補に入れたい近年の人気品種を紹介します。日本農業新聞が2024年1月に公表した「農畜産物トレンド調査」の果実期待値ランキングでTOP10に入り、今注目を集めているみかん3品種です。

近年人気のみかん3品種の特性一覧

品種名品種登録年月成熟期樹勢樹姿果実重
(g)
糖度
(%)
クエン酸濃度
(%)
紅まどんな
(愛媛果試第28号)
2005年3月かなり早生中間27212.01.00
ゆら早生1995年9月極早生開帳11012.0---
せとか2001年10月やや早生中間23712.0~13.01.24

出典:農林水産省「品種登録ホームページ」内「品種登録データ検索」などよりminorasu編集部作成

紅まどんな(愛媛果試第28号)

みかんの品種 紅まどんなの外観

出典:株式会社PR TIMES(井上商事株式会社 ニュースリリース 2023年12月6日)

「紅まどんな(愛媛果試第28号)」は、日本農業新聞が実施した2024年「農畜産物トレンド調査」の果実期待値ランキングで堂々の1位を獲得した注目の品種です。

「南香」と「天草」の交配から生まれたタンゴール(みかん類とオレンジ類をかけあわせたもの)の一種で、2005年3月に品種登録されました。

愛媛県のオリジナル品種で、品種登録名は「愛媛果試第28号」です。「紅まどんな」はJA全農の登録商標で、一定の品質基準をクリアした「愛媛果試第28号」が「紅まどんな」として出荷されます。

「紅まどんな」の成熟期は12月で、同じく愛媛県で人気の「甘平(成熟期2月)」や、「紅まどんな」と「甘平」の交配から育成された新品種「紅プリンセス(成熟期3月中旬~4月)」よりも成熟期が早い特徴を持ちます。

「紅まどんな」の樹勢は強、樹姿は中間、果実の糖度は12%程度、クエン酸濃度は1%程度です。「紅まどんな」の果汁たっぷりの果肉はゼリーのようになめらかなので、カットフルーツに最適です。

ゆら早生

「ゆら早生」は、日本農業新聞が実施した2024年「農畜産物トレンド調査」の果実期待値ランキングで4位を獲得した極早生品種です。

「宮川早生」の枝変わりとして発見され、1995年9月に品種登録されました。品種登録から約20年が経過しても、糖度が上がりにくい極早生種の中で食味のよさや安定した品質が高い評価を受けています。

「ゆら早生」の成熟期は9月下旬~11月上旬、樹勢は中、樹姿は開帳、糖度は高くは12%程度です。

せとか

「せとか」は、日本農業新聞が実施した2024年「農畜産物トレンド調査」の果実期待値ランキングで6位を獲得したタンゴールです。

「育成系統清見×アンコールNo.2」に「マーコット」を交雑して育成し、2001年10月に品種登録されました。成熟期は2月で、樹勢は中、樹姿は中間、そうか病とかいよう病への耐性が高い特徴を持ちます。

「せとか」の果実は200~280gと大きく、糖度は12~13%程度です。高糖度で香りがよく、果汁が豊富なことから、消費者からの人気が高い品種です。

出典:
日本農業新聞「[農畜産物トレンド調査]売れ筋1位 果実「紅まどんな」、野菜はサツマイモ
愛媛県所収「愛媛果試第28号 (紅まどんな) 愛媛県育成品種」
近畿農政局所収「「ゆら早生発祥の地」のみかん、今年も味は抜群!」
農研機構「品種詳細|せとか」

みかんとみかんの葉

mao / PIXTA(ピクスタ)

栽培するみかん品種を選ぶ際には、栽培地域の気象条件に適したものを選定することがポイントです。成熟期に十分考慮して複数の品種を栽培すれば、長期間の収穫と売り上げ確保が可能になります。

本記事の品種情報を参考にしつつ、需要の高いみかんを安定的に生産するための品種選びを進めてください。

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沢城アツシ

沢城アツシ

フリーランスのWebメディア編集者・ライターとして活動中。大学では農学を専攻し、大手・ベンチャー企業で研究職として15年勤務した経験を生かした、農業を中心とする科学系全般の記事執筆が得意です。その他にも、飲食店経営・不動産投資・金融サービスなどのWebメディアから企業のプレスリリースまで幅広い分野の執筆を手掛けています。

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