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【みかん栽培】糖度の高い品種ランキング!事例で学ぶ食味向上のコツ
出典 : Yoshitaka / PIXTA(ピクスタ)
  • 生産技術

【みかん栽培】糖度の高い品種ランキング!事例で学ぶ食味向上のコツ

みかんの味を決めるのは、糖度と酸味のバランスだといわれます。特に基準となるのは糖度です。おいしいみかん栽培には糖度の高い品種を選びましょう。この記事では、高糖度の品種をランキング形式で提示し、さらにみかん栽培のひと工夫についても実例付きで紹介します。

この記事では、農研機構が公表しているデータを基に、糖度が高くおいしいみかんの品種を、栽培時の注意点付きで、ランキング化しました。みかんをより一層おいしくする栽培方法も、実例に基づいて紹介しますので、ぜひお役立てください。

「甘い」と感じるみかんの糖度はどのくらい?

温州みかん ざる

K+K/PIXTA(ピクスタ)

現在出回っている多種多様なみかん。それぞれのおいしさを比較するとき、1つの基準となるのが、甘さです。この甘さを数値化したのが「糖度」ですが、おいしいみかんとして食べてもらうには、どれくらいの糖度が必要なのでしょうか?

一般的なみかんの糖度目安

果樹の場合、糖度は果汁100gの中に含まれている糖分の量で表されます。簡単にいえば%(パーセント)と同じことで、100g中に10g含まれていれば10度、つまり10%です。

糖度は収穫時期によっても変化します。10月に出荷が始まる極早生品種の糖度は10度程度。12月末頃に出荷される晩生品種では、12度程度まで上がります。収穫時期が遅い品種ほど、糖度が高めだといえるでしょう。

一般的に、甘くておいしいと感じられるみかんの糖度は、11度以上です。糖度が13度以上ともなるとかなり糖度が高いといえ、一般的には高品質なみかんとして扱われます。

おいしさには「酸味」も影響

もちろん、みかんの味を決めるのは「甘さ=糖度」だけではありません。甘味に加え、クエン酸などによる適度な酸味が生じることによって、おいしいみかんになるのです。

糖度とは反対に、酸味の強さは夏にピークを迎え、その後減少していきます。つまり、おいしいみかんを栽培するには、寒くなって糖度が増す時期まで、酸味を維持することが重要なのです。

甘くなりやすいのは?品種選びの参考になる、みかんの糖度ランキング

みかんの選果

Fast&Slow/PIXTA(ピクスタ)

ここからは農研機構が公開している資料に基づいて、糖度が高い品種ランキングと、その品種の特徴を紹介します。(糖度は、その品種で計測した最大値を目安にしています。)

第1位 「あすき」(晩生品種)

2017年に新品種として登場しました。標準的な果実は180g程度で、糖度は最高で16.0度を記録しています。これは最高級メロンに匹敵する甘さです。カットしても少量のドリップしか出ないので、カットフルーツに最適です。

樹勢は中程度からやや強めで、とげは短く、また隔年結果性が少ない品種です。成熟期は2月下旬から3月ですので、冬季でも温暖な地域が栽培に適しています。

かいよう病の発生はわずかで、そうか病も適切な慣行防除により抑制が可能です。

第2位 「あすみ」(中生品種)

150g程度と小さめの果実ながら、糖度は15.7度に達し、ほどよい酸味と芳しい香りも兼ね備えているため、とてもおいしいみかんです。栽培方法によっては糖度16度を超えることもあります。

樹勢は中程度、とげが長くて多いのが特徴で、成熟期は2月上旬です。

そうか病には強い抵抗性を持っていますが、かいよう病に弱いため、露地栽培よりも施設栽培に向いています。隔年結果性が中程度ありますので、整枝・剪定などの栽培管理は綿密に行いましょう。

第3位(同率) 「津之輝」(中生品種)

ここからは、みかん糖度ランキング同率3位の4品種を紹介します。

津之輝(つのかがやき)は糖度が13度以上で、露地栽培では180g、施設栽培では250g程度まで大きくなる品種です。

樹勢は中程度でとげは短く少なめ。成熟期は、少加温ハウス栽培で12月上旬からとなり、露地栽培では1月中旬から2月上旬です。

かいよう病には非常に強く、そうか病にも強い特性があります。ただし、へそ果や裂果は発生しやすいので、適切に対策しましょう。

第3位(同率) 「はるひ」(中生品種)

糖度が13度程度と高めで、果実は150g程度の小型の品種です。実がやわらかく、酸味を感じるさわやかな風味を持っています。

樹勢は中程度でとげは少なく、成熟期は1月下旬から2月、地域によっては3月の収穫も可能。冬季温暖な地域での栽培に適しています。

そうか病とかいよう病に強い耐性を持っています。ただし、着果過多により樹自体が衰弱する場合があるため、適時摘果を行いましょう。

第3位(同率) 「西南のひかり」(早生品種)

糖度平均は13度と高く、果実は180g程度です。糖度に比べて酸味が控えめな品種でもあります。12月中旬に成熟する早生品種なので、ほとんどの柑橘類の栽培地帯に適します。

ただし、樹勢がやや弱く隔年結果性もやや高いため、適切な土壌管理や摘果などで対策する必要があります。また、そうか病には強いものの、かいよう病の抵抗性は中程度です。

第3位(同率) 「べにばえ」(早生品種)

べにばえも150g程度と小型の果実。平均糖度は13度と高く、濃厚な食味が特徴です。成熟期が12月下旬から1月までの早生品種なので、ほとんどの柑橘類の栽培地域で栽培できます。

樹勢は中程度で、隔年結果性はやや高めです。そうか病には強い反面、かいよう病にはかかりやすいことを、頭に入れておきましょう。

おいしいみかんはどう作る?事例から見る食味向上のコツとポイント

みかんの摘果

藤/PIXTA(ピクスタ)

糖度が高く高品質なみかんを栽培するために必要なのは品種の選定だけではありません。糖度をあげるための基本的な栽培方法と、出荷調整方法の導入で成果をあげている事例を紹介します。

品質向上に着目した摘果

高品質なみかんの栽培には、適時摘果・適正着果量のコントロールが重要です。

一般には、樹上での着果期間が長くなると糖度は上がり、1樹当たりの果実数が多くなりすぎると糖度は下がる傾向にあります。

また、果実がなる果梗枝(かこうし)が太く上向きだと大玉で糖度が低くなりがちで、果梗枝が細く上向きの果実は高品質になるといわれています。

各産地の地方自治体の営農部署などでは、品種ごとに摘果の適期と摘果割合の目安を示していることが多いので、是非確認してみてください。

水分が足りない状況を作る

みかん栽培では、雨水を遮断し、水分が足りない状態を作ることで糖度上昇を図る「マルチシート栽培」が有名です。

最近は、「マルチシート栽培」と、必要な水分を与えるための点滴灌水である「ドリップ灌水」を組み合わせた「マルドリ方式」という栽培方法が注目されています。

収獲~発送までの衝撃を極力抑えて「打ち痛み」を防ぐ

みかんの味を維持するためには、極力衝撃を避けることも重要です。和歌山県紀の川市の観音山フルーツガーデンでは、収穫時と収穫後の流通過程で起こる「打ち痛み」を抑えることで、おいしいみかんを出荷しています。


収穫から出荷、輸送まで、打ち痛みが起きる工程を洗い出し、徹底して果実への衝撃を避けるためのオペレーションを組んでいます。

具体的には、収穫かごへの入れ方・並べ方を始め、収穫かごからコンテナへの移動、自家選果機にかける前のボックスへの移動、選果機ラインなどの各工程で、果実が受ける衝撃を極力減らすようにしています。また、輸送も最短距離を割り出して出荷しています。

みかんには非常に多くの品種があり、新しい品種の開発も盛んです。今回のランキングでは、糖度が高いみかんを、早生品種から晩生品種まで紹介しました。

いずれも糖度と酸味のバランスがよく、比較的栽培しやすいみかんです。栽培する地域に合わせて、品種選びの参考にしてください。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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