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「農業×サービス業」の考え方とは?今後、日本農業が発展するためのヒント
出典 : Ushico / PIXTA(ピクスタ)
  • 農業経営

「農業×サービス業」の考え方とは?今後、日本農業が発展するためのヒント

農業をより儲かる、魅力的な産業にする方法の1つとして、サービス業の考え方を取り入れる手法があります。ここでは実際の成功事例も交えながら、「農業×サービス業」で「儲かる農業」を実現するための取り組みをみていきましょう。

農業の慢性的な担い手不足を解決するために、農業をサービス業と結びつけて「儲かる農業」を実践していく取り組みが盛んになってきています。

ここでは、日本の農業をより発展させるための第一歩としての「農業×サービス業」の取り組みについて具体的な事例も交えて解説します。

日本農業の現状と課題

日本の農業はさまざまな課題を抱えています。その中でも今回は農業人口の減少と、その要因の1つとなっている農業が儲からないという問題について解説します。

年々減少傾向にある農業就業人口

2019年8月時点で報告されている農林水産省の統計によると、新規就農者は2015年6.5万人、2016年6.0万人、2017年約5.6万人、2018年約5.6万人と毎年6万人前後に留まっています。

新規就農者数の推移

出典:農林水産省「新規就農者調査(平成30年)」よりminorasu編集部作成

そしてこの新規就農者数を離農者数が上回っており、農業就業人口は2015年209.7万人、2016年192.2万人、2017年181.6万人、2018年175.3万人、2019年168.1万人と、毎年10万人前後のペースで減り続けています。

農業就業人口の推移

出典:農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」よりminorasu編集部作成

収益化の難しさが、農業人口減少に拍車をかけている

平成28年度(2016年度)に、一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターが就農後約10年以内の新規就農者1万3,282名に対して就農についてのアンケートを実施しました。

このアンケートの結果によると、就農後、「おおむね農業所得で生計が成り立っている」と回答している新規就農者は全体の24.5%にとどまり、残りの75.5%は農業所得だけでは生計が成り立っていないという現状が明らかになりました。

出典:一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センター「新規就農者の就農実態に関する調査結果ー平成28年度ー」

新規就農者のうちおおむね農業で生計が成り立っている者の割合

出典:一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センター「新規就農者の就農実態に関する調査結果ー平成28年度ー」よりminorasu編集部作成

就農後に農業所得だけで生計を立てることが難しいという問題は、新規就農後の離農に影響を与えています。

2019年3月の総務省の調査報告によると、農業次世代人材投資事業や農の雇用事業を利用した新規就農者のうち就農後数年で離農した人たちの離農理由は、経営の継続困難、低収入・収入不安定などの経済的な事情が多いことが明らかになりました。

出典:総務省行政評価局「農業労働力の確保に関する行政評価・監視-新規就農の促進対策を中心として-(平成31年3月)」

新規就農者の離農理由 調査結果

出典:総務省行政評価局「農業労働力の確保に関する行政評価・監視-新規就農の促進対策を中心として-(平成31年3月)」よりminorasu編集部作成

6次産業化も視野に?「農業×サービス業」の考え方

農業が儲からないことが就農者不足の一因となっていることから、日本の農業を発展させるためには「儲かる農業」への転換が不可欠だといえるでしょう。

その方法の1つが、顧客ニーズを調査し、ニーズに合ったサービスや商品を提供するというサービス業の考え方を取り入れた新たな農業の実践です。

例えば「農業×サービス業」の代表的な取り組みの1つとして「6次産業化」が挙げられます。6次産業化とは、1次産業である農業と2次産業の製造業・加工業、3次産業の流通業・サービス業のすべてを農家が行う産業形態です。

6次産業化により、従来は1次産業のみに従事していた農家が「農業×サービス業」の考え方を取り入れることで作物や農産物の価値を上げ、儲かる農業を実現することができるでしょう。

観光農園は6次産業化の代表例

sasaki106 / PIXTA(ピク

【事例紹介】「農業×サービス業」は現状の課題を解決する1つの鍵となるか?

農業とサービス業を掛け合わせることで、儲かる農業を実現した事例を紹介します。サービス業の考え方が、どこに活かされているのかに注目してみてください。

農事組合法人和郷園:マーケットインの発想を農業にも導入

千葉県にある農事組合法人和郷園(わごうえん)は、6次産業化で成果を上げています。組合員の農家が生産した野菜をカット野菜や冷凍野菜などに加工し、契約先である大手スーパーや生協に出荷する事業体をとっています。

綿密なマーケットリサーチをもとに農家が主体となって生産する商品のアイデアや価格を決定し、契約先のスーパーなどに提案しています。また、2006年にオープンしたオリジナルのスーパー「OTENTO」でも、安全・安心野菜の販売をしています。

6次産業化のメリットの1つとしては、農家主導で農産物の値段を決定できる点が挙げられます。これにより、価格を市場にゆだねて安価で取引されていた作物や農産物を正当な価格で営業できるようになり、「儲からない農業」から「儲かる農業」への転換が可能になります。

ただし、農家主導で値段を決める際には、マーケットリサーチで消費者のニーズを把握することが大切です。実際に和郷園では、丁寧なマーケットリサーチをもとに、消費者ニーズに応える商品を安定供給する体制を維持するコストも加味した上で、適正な価格を設定しています。

さらに、和郷園では消費者の求める安全・安心に応えるため、農薬の使用量を厳格に管理し、トレーサビリティを徹底して消費者が求める情報を積極的に発信しています。6次産業化の成功のためには、商品の信頼性確保もポイントの1つだといえるでしょう。

農事組合法人和郷園・株式会社和郷のホームページはこちら

冷凍野菜への加工は6次産業化の1つ

manoimage / PIXTA(ピクスタ)

農業人口は年々減少しており、その大きな理由の1つが「農業は儲からない」という実態です。

農業の未来を明るくするためにも、まずはマーケティングを適切に行い消費者ニーズを掴むサービス業の考え方を取り入れて「儲かる農業」をめざしてみてはいかがでしょうか。

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