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【2021最新】梨の新品種を一覧紹介! 食味や収量に優れ栽培しやすいのは?
出典 : やたがらす / PIXTA(ピクスタ)
  • 生産技術

【2021最新】梨の新品種を一覧紹介! 食味や収量に優れ栽培しやすいのは?

梨には続々と新しい品種が登場しており、多様性のある展開を見せています。そこで今回は、日本梨(和梨)の新品種を一覧で紹介します。それぞれの味や栽培における特性も記載しているので、改植や園地拡大の際の品種選びの参考にしてください。

そもそも梨にはどんな品種がある?日本梨の種類について

かおり(青梨) あきづき(赤梨)豊水 (赤梨)

かおり(青梨) あきづき(赤梨)豊水 (赤梨)
出典:株式会社 PR TIMES(松戸市役所 ニュースリリース 2021年7月28日)

日本梨(和梨・以下日本梨と表記)には皮の色が黄褐色の「赤梨」と、皮の色が淡黄緑色である「青梨」の2種類があります。まずはこの2種類の特徴や、代表的な種類について詳しく解説します。

「赤梨」の特徴と代表的な品種

豊水(赤梨)

豊水(赤梨)
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皮はざらざらとしていて、果肉は甘みが強いのが魅力です。また後発の品種になるほど硬くかつ大玉で、日持ちすることも特徴です。代表的なものとしては「幸水」や「豊水」などの品種が挙げられます。

「幸水」は1959年に命名・登録された歴史ある品種で、赤梨ではあるものの、緑の果皮にうっすらと茶色が混じる中間色タイプです。果肉は軟らかく、甘みが強くなっています。「豊水」は幸水を親に持つ品種で幸水よりもやや大きく、優しい酸味と甘みのあるジューシーな果肉が味わえます。

幸水、豊水のほか、豊水よりやや晩生の「あきづき」、大玉の「新高」「新興」、主に長野県で栽培されている「南水」、茨城県のオリジナル品種「恵水」など、赤梨にはさまざまな品種があります。

大玉の「新高」と豊水よりやや晩生の「あきづき」

大玉の「新高」と豊水よりやや晩生の「あきづき」
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「青梨」の特徴と代表的な品種

二十世紀(青梨)

二十世紀(青梨)
ララ / PIXTA(ピクスタ)

果皮がつるつるしており、果肉も赤梨に比べてなめらかでさっぱりとした甘みがあります。過去に日本で一世を風靡した「二十世紀」などが代表的な品種です。

「二十世紀」は1888年に千葉県で偶然発見された品種で、鳥取県を代表する果実でもあります。大きさは300gほどでかつ果肉は果汁を多く含みやわらかで、甘みのなかにさわやかな酸味があります。また派生品種として「ゴールド二十世紀」や「おさ二十世紀」、「瑞秋(二十一世紀)」などが生まれている人気の品種です。

ゴールド二十世紀(青梨)

ゴールド二十世紀(青梨)
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日本梨の生産量と取引価格は?

次に日本梨がどこでどの程度生産されており、いくらで取引をされているかなど流通の現状について詳しく見ていきましょう。

日本梨の生産量 都道府県ランキング

日本梨の収穫量を都府県別にみると、2019年産は茨城県が第1位で千葉県が第2位になっています。(2018年産までは千葉県が長らく第1位でした)

上位6県まで、全国合計の約5割を占めています。また以前は二十世紀などの青梨が中心でしたが、表を見てわかるとおり現在は、幸水、豊水など赤梨が主流となっています。

日本梨の収穫量 都府県ランキング

出典:農林水産省 作物統計 果樹生産出荷統計、及び、各県公式ホームページよりminorasu編集部作成

栃木県のオリジナル品種「にっこり」

栃木県のオリジナル品種「にっこり」
出典:株式会社 PR TIMES(東京スカイツリータウン ニュースリリース 2020年10月29日)

茨城県が育成したオリジナル品種「恵水」

茨城県が育成したオリジナル品種「恵水」
出典:株式会社 PR TIMES(茨城県営業戦略部販売流通課 ニュースリリース 2020年9月5日)

日本梨の生産量 推移

農林水産省の作物統計 によれば、2019年産の日本梨の収穫量は20万9,700tで、前年産に比べて約10%減少しています。果実肥大期の低温や日照不足、一部位地域の台風による落果被害などが影響しています。

2020年産については、2021年7月現在速報ですが、17万500tと発表されています。大産地の茨城県、千葉県、栃木県において、開花受粉期の低温で着果数が減少し、さらに、夏季の天候不順で生育障害の「みつ症」が多発したことが影響しています。

日本梨の収穫量推移

出典:農林水産省 作物統計 果樹生産出荷統計よりminorasu編集部作成

結果果樹面は1万1,100haで、前年比では3%減少しています。高齢化による栽培農家数の減少に伴い減少傾向が続いており、1995年の1万7,900haの約6割になっています。

日本梨の結果果樹面積推移

出典:農林水産省 作物統計 果樹生産出荷統計よりminorasu編集部作成

各産地では、老木の改植と新しい方式の仕立て(例:主枝を連続的に接ぎ木で連結するジョイント方式)による早期成園化などで生産性向上を図ろうとしています。

ジョイント方式の梨の園地(千葉県)

kuro3 / PIXTA(ピクスタ)

日本梨の取引価格は?

出荷前の梨

KY / PIXTA(ピクスタ)

この表は東京都卸売市場が発表している市場統計データの中から、日本梨の主な品種の月別取引数量と平均価格を抜粋したものです。それぞれ品種ごとに出荷の始まる月の取引価格が高く、そこから徐々に価格が下がっていることがわかります。

主要な日本梨の市場取扱量と平均価格

出典:東京都卸売市場 市場統計情報よりminorasu編集部作成

まだ名前の決まっていないニューフェイスも! 赤梨の新品種5選

赤梨

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

次にまだ商用出荷が始まってから間もない、あるいは、本格出荷前の赤梨の新品種を5種類紹介します。

気温が低い南東北でもお盆前に収穫可! 極早生品種「はつまる」

農研機構果樹研究所で育成され、2014年12月に公表された品種です。幸水よりも20日ほど早く成熟する極早生で、南東北地域でも、需要の高まるお盆前の収穫が可能です。交配の組み合わせは筑水と筑波43号で、樹勢は幸水よりやや強くなっています。

糖度と酸味は幸水と同程度、果肉は幸水よりも軟らかく肉質のよさが魅力です。果重は約330gと幸水よりもやや小ぶりです。

黒斑病に抵抗性あり。大玉品種「なるみ」

農研機構によって育成され、2015年11月に公表された品種です。人工授粉の省力化ができる日本梨の品種として普及が期待されています。人工授粉による自家結実が68.3%と高く、無受粉での結実率も50%以上あります。人工授粉なしでも十分に結実するため、省力化が可能な品種として期待されています。

交配組合せは、新高×豊水の系統とおさ二十世紀×豊水の系統で、樹勢は豊水と同程度、豊水より若干酸味が少なく、糖度と果肉の軟らかさは豊水と同程度となっています。黒斑病に抵抗性がありますが、黒星病が多発するとの報告もあるため徹底した防除が必要です。

黒斑病 発病葉

黒斑病 発病葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

食味や見た目の品質も高い早生品種「玉水(ぎょくすい)」

福岡県農林業総合試験場によって育成され、2018年4月に公表された品種で、福岡県において露地で7月下旬から収穫できるように作られました。あけみずと喜水を交配してできた品種で、樹勢は幸水と同程度です。

果皮の色は赤褐色で果実の形がよくそろっているのも魅力です。糖度も平均15度と幸水よりも2度高くなっています。

苗木は福岡県内の農業者に限定して販売され、2022年の出荷を見込んでいます。

苗木の新梢成長が旺盛。早期の収量確保が期待できる「瑞月(ずいげつ)」

愛知県農業総合試験場によって育成され、2019年10月に公表された新しい品種です。早生であり、幸水出荷後の需要に期待できます。交配の組み合わせは築波50号と歓月で、幸水よりもやや樹勢が強く苗木の新梢成長が旺盛であるため、早期の収量確保が期待できます。

糖度が高く、酸味が少ない消費者の好みにあった品種で、特に糖類のなかでも甘みを感じやすいスクロースやフルクトースの割合が高いことも魅力の1つです。

苗木は、2020年から愛知県内に限定して販売されています。2025年頃からの本格出荷を見込んでいます。

2021年に誕生したばかりの新品種!公募した名称選定中の「南農ナシ6号」

長野県南信農業試験場で育成された中生の品種で、長野県が2021年3月まで名称を公募していました(2021年8月現在、まだ名称の発表はありません)。

交配の組み合わせは日の出と南水で、黒斑病に抵抗性、黒星病には耐病性があります。

果実の大きさは400~500gで、果皮は黄赤褐色です。果肉はみずみずしく、糖度15度のすっきりした甘みとシャキシャキした食感が魅力です。

黒星病 幼果病斑

黒星病 幼果病斑
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

見た目や収穫時期に特徴あり! 青梨の新品種3選

青梨

dekoboko / PIXTA(ピクスタ)

赤梨ほどではありませんが、青梨も2000年代に新しい品種がいくつか登場しています。次にそれぞれの品種の特徴を紹介するのでぜひチェックしてください。

特徴的な外観でも食味は抜群! 「秋麗(しゅうれい)」

特徴的な外観の梨「秋麗」

特徴的な外観の梨「秋麗」
出典:株式会社 PR TIMES(松戸市役所 ニュースリリース 2019年9月2日)

農研機構果樹研究所が育成した中生の日本梨品種であり、栽培が簡単で収穫前の落果が少ないのが特徴です。幸水と筑水を交配して育成した実生から選抜された青梨で、2001年3月に公表されました。

中程度の樹勢があり、枝梢の発生も多くなっています。皮は洋梨のように褐色と黄緑のまだらがあり、糖度は13度前後と高く、酸味も少ないため食べやすいのが魅力です。

果面のさびが少ない、早生でも大玉な「なつしずく」

 なつしずく

なつしずく
出典:写真AC

農研機構果樹研究所が育成した早生の日本梨品種です。果面のさびが少なく無袋栽培でも外観が美しく仕上がるため、省力化が期待されています。幸水×菊水の系統と筑水の交配から生まれ、2006年3月に公表されました。

樹勢はやや強め、枝梢の発生は若干少なくなっています。平均果重は326gと早生にしては大玉で、幸水に近い大きさになります。糖度は12度ほど、酸味が弱く果汁も多いのが魅力です。

8月上旬に収穫できる極早生梨「夏さやか」

鳥取県のオリジナル品種で収穫期が8月上旬と極早生の梨です。鳥取県果樹野菜試験場(現・鳥取県園芸試験場)において、八雲とおさ二十世紀をかけ合わせて生まれ、2008年2月に品種として登録されました。

樹勢はあまり強くありませんが、果皮の仕上がりがいいため半無袋栽培ができるのが魅力です。果重は300g、糖度は12度程度で香りが強く、果汁もたっぷりある品種です。

収穫期の梨の園地

やたがらす / PIXTA(ピクスタ)

現在日本では赤梨が主流となっていることから、赤梨で多くの新品種が生まれています。また、青梨にも新しい品種がいくつかあります。

今回は、開発されて比較的日が浅い梨の新品種の特徴を、赤梨と青梨にわけて紹介しました。是非、改植や園地拡大を検討する際の参考としてください。

百田胡桃

百田胡桃

県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。

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