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値段は一房数千円! 高級品種ナガノパープルのブランド化戦略

値段は一房数千円! 高級品種ナガノパープルのブランド化戦略
出典 : 株式会社 PR TIMES(合同会社GOEN ニュースリリース 2021年10月20日)

おいしさだけでなく食べやすさを求めるなどブドウへの消費者ニーズの多様化に対応するため、長野県では「ナガノパープル」の栽培に力を入れています。この記事では、ナガノパープルの開発経緯やブランド化戦略、高収益化につながる果樹栽培の技術について紹介していきます。

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ナガノパープルは、ブドウの高級品種としての認知度が高く、大玉で豊かな甘みが消費者に好評です。栽培技術の向上も相まって、長野県内のブドウ出荷量は年々増えています。

ナガノパープルの特徴

高級品種として知られる「ナガノパープル」

コテッチャン / PIXTA(ピクスタ)

ナガノパープルは、種がない大粒のブドウ品種の育成をめざし、巨峰とリザマートを交配・育成して生まれたブドウの品種です。

2004年に長野県で品種登録がなされましたが、市場での優位性を保てるとの判断から、2018年度以降は他の地域でもナガノパープルの栽培が許諾されました。

ナガノパープルの糖度は18~21%、酸度は0.4%~0.6%で甘さと酸味のバランスが取れた食味です。また、種がなく皮ごと食べることができるため、ポリフェノールを摂取できる点でも消費者に支持されています。

高級品種としても知られており、通販サイトでは1kg(2~3房)あたり3,000~5,000円前後で取引されているようです。

収穫期を迎えたナガノパープルの園地

収穫期を迎えたナガノパープルの園地
出典:ソーシャルワイヤー株式会社(株式会社JR東日本商事 ニュースリリース 2021年8月24日)

ナガノパープルの栽培にあたっては、厳冬期を過ぎた2月下旬~3月上旬に剪定を行って樹形を整えます。6月上旬の開花前にはブドウの房形を決める房切り、花の満開日から15日後にかけて2度、ブドウを無核化するジベレリン処理を行います。1房あたり35粒程度に調整する摘粒とあわせて、ブドウの品質を決める大切な作業です。

長野県果樹試験場のある須坂市の場合だと、9月上旬から10月中旬にかけて収穫を迎えます。

出典:長野県果樹試験場「ぶどうの品種育成」

ナガノパープルの成功要因から学ぶブランド化戦略のポイント

JA全農長野が2016年10月に実施した「くだものおもてなしフェア」 写真は「ナガノパープルフェア」

JA全農長野が2016年10月に実施した「くだものおもてなしフェア」 写真は「ナガノパープルフェア」
出典:ソーシャルワイヤー株式会社(JA全農長野生産販売部果実課 ニュースリリース 2016年9月15日)

長野県ではナガノパープルをはじめ、消費者のニーズに応えたオリジナル品種を導入するブランド化戦略を推進し、成功を収めています。果樹生産の高収益化を目指して、新技術の導入にも積極的です。農業の経営力強化に向けたポイントについても解説します。

品種の特性を活かしたブランディング

ナガノパープルとシャインマスカット

Bonjour / PIXTA(ピクスタ)

長野県では、標高による気候の違いや傾斜地・平坦地といった地理的な特性に応じた果樹栽培が展開されています。長野県オリジナルの品種も積極的に導入し、長野県営業本部・果樹試験場と連携して国内はもちろん、海外展開を見据えたブランディング戦略を推進しているのが特徴です。

ナガノパープルも長野県オリジナル品種の一つで、「皮ごと食べられる無核大粒」という強みを活かして高品質を訴求、高価格を維持できる品種としてブランディングしています。

JA全農長野では、信州大学・長野県との産学官連携のもと果物として初の機能性表示食品の届出を行い、2020年から「毎日グレープ(ナガノパープル)」という名称で販売を開始しました。毎日グレープにはGABAが含まれており、高めの血圧を抑える効果が期待できると販売時に訴求しています。

JA全農長野「『毎日グレープ(ナガノパープル)』機能性表示食品の届出受理について」(2019年11月12日)
日本経済新聞「ナガノパープル・長野県産エノキ、機能性食品に」(2019年11月12日)
長野県「しあわせ信州」サイト内「全国初!ぶどうときのこの機能性表示食品がデビューします!」(2019年11月20日)

ナガノパープル以外のブドウでは、既に知名度の高い「シャインマスカット」を巨峰に代わる主力品種として位置づけ、生産拡大を図っています。

また、長野県初の赤系ブドウとしてクイーンルージュが、2021年に市場デビューを果たします。ナガノパープル・シャインマスカット・クイーンルージュのセット販売によるブランド力向上に期待がよせられています。

産地づくり

ナガノパープルの園地

ナガノパープルの園地
出典:株式会社 PR TIMES(株式会社JR東日本商事 ニュースリリース 2021年8月24日)

長野県は、オリジナル品種を軸に、食味の良い「うまいくだもの」を安定生産するための産地づくりを推進する方針も打ち出しています。

県の農政部や果樹研究会など行政と、JAや果樹種苗協会などの関係団体が連携して、県内統一の基準で栽培管理や技術指導を実施しているのが特徴です。産地ぐるみで、基本技術の励行や土壌診断に基づく土作りなど、気候変動に左右されずに高収量を確保する取り組みを実践しています。

栽培基準の統一を図るとともに、施設の整備事業も推進しています。ブドウでは、生育期の水分調整や裂果防止のための雨よけ・潅水施設や、出荷の平準化・長期化のための冷蔵施設などの整備を進めています。

ブドウ園地の雨よけ(シャインマスカットの園地)

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

収益性を高めるための技術導入

長野県では、生産者と県の果樹試験場などとの連携で多くの技術が開発され、果樹栽培の高収益化を実現しています。

剪定・仕立て技術

例えば「ぶどう平行整枝短梢せん定栽培」は、主枝をH型あるいはWH型に仕立てて樹勢を落ち着かせる技術です。裂果発生や糖度低下を防いで果実の品質を確保するだけでなく、摘粒や花穂整形時などの作業時間も短縮しています。


りんごの高密植・新わい化栽培や、疎植低樹高仕立てによる桃の生産安定化など、適地適作を踏まえた技術活用も積極化する方針です。

剪定作業後のブドウ園地

POPO / PIXTA(ピクスタ)

スマート農業の導入

最近では、ロボットやドローン・ICT技術を取り入れたスマート農業技術も登場しています。農作業の省力化につながるだけでなく、後継者への技術継承が容易になるのがメリットです。

長野県では、農政部が2019粘度から「スマート農業導入加速化事業」として、スマート農業機器を無償で貸し出す「お試し導入」やる知識や情報不足を補う研修会などの開催を行っています。

果樹では、アシストスーツ、非破壊糖度計、施設園芸ほ場モニタリングシステムで「お試し導入」の実績があります。

詳細は、長野県農業試験場「スマート農業」のページをご覧ください。

ブドウ農家でのアシストスーツ活用事例

ブドウ農家でのアシストスーツ活用事例
出典:ソーシャルワイヤー株式会社(株式会社ダイドー ニュースリリース 2021年1月28日)

ナガノパープルは「皮ごと食べられる無核大粒」という強みはもちろん、食味の良さにより高級品種としての地位が確立されました。

長野県では「うまいくだもの」を安定生産するために、農家・行政・関係団体と連携した高収量確保への取り組みや、高収益化を実現するための新技術の導入を推進しています。企業的経営感覚の定着と労働環境の改善を通じて農家の持続的発展を実現できれば、果樹産地全体の活性化にもつながるでしょう。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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