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【土作り】心土破砕の効果とは? 畑の排水性を効率的に改善する方法

【土作り】心土破砕の効果とは? 畑の排水性を効率的に改善する方法
出典 : Solarsis / PIXTA(ピクスタ)

農地に一定の間隔で切り込みを入れ、水はけをよくすることを心土破砕(しんどはさい)といいます。心土破砕はどのようなときに必要な作業なのか、排水性を高めるためにはどのように実施すればよいのかについて見ていきましょう。また、排水性をより高める弾丸暗渠(だんがんあんきょ)についても解説します。

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心土破砕(しんどはさい)は器具などを用いて農地に切り込みを入れ、排水性を高める作業のことです。どのようなほ場や状況で求められるのか、どのように実施できるのかについて解説します。また、心土破砕の効果を高める方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

心土破砕(しんどはさい)とは?

サブソイラ

Panos - stock.adobe.com


心土破砕とは、農地に切り込みを入れて排水性と保水性に優れた土壌を作る作業のことです。心土破砕をした際に水はけをよくする疎水材を土中に混ぜ込み、さらに栽培に適した土地へと改善することもあります。

農作業に機械を用いることにより、作業効率の向上と作業量の削減が実現しました。また、人手不足問題の解決にもつながっています。

しかし、機械による作業を繰り返していると、地表から30cm程度は柔らかくて栽培に適した状態に保つことができますが、その下に硬い土の層(耕盤層)が形成され、排水性と保水性が下がってしまうことがあります。

排水性が下がると根腐れの原因になり、保水性が下がると根の伸長を妨げ、結果的に作物の生長を阻害することになるでしょう。収量減や収益減を招き、多大な損害を受けかねません。適時に心土破砕を行い、栽培に適した土作りを行う必要があるといえるでしょう。

心土破砕による排水対策が求められる場面

水害で倒伏した水稲

sammy_55 / PIXTA(ピクスタ)

心土破砕を適時実施することで、土地の排水性と保水性を改善し、栽培に適した土作りをすることができるでしょう。また、次の2つを目的として心土破砕を行うことがあります。

●水田から転換したほ場の湿害対策

●ゲリラ豪雨など、頻発する異常気象への対応

水田転換畑の湿害対策

水田は、もともと排水性が低いことを利用して稲作を可能とした農地です。稲作だけを行う場合には問題がありませんが、果樹や野菜類の栽培に切り替える場合、あるいは麦や大豆などを輪作する場合には、排水性の低さが収量の低下や作物の品質低下につながることもあります。

水田から用途を変えたほ場は、心土破砕を実施して排水性を改善する必要があるでしょう。心土破砕を行うことで土中の通気性も改善され、根が生育しやすくなります。

ゲリラ豪雨など、頻発する異常気象への対応

近年、局所的な豪雨が発生しやすくなっています。2020年7月には記録的な大雨が降るなど、異常気象が頻発するようになってきました。農業の現場では土壌の浸食や流亡、灌水・滞水日数と頻度の増加、それに伴う湿生雑草の増加などのトラブルが起こる可能性が高くなっています。

心土破砕などの排水対策を行って排水性を高めた土壌を整備できていれば、局所的な豪雨などにあっても、作物への被害が甚大になるリスクを低減できます。

また、土壌の浸食や流亡を防ぐ効果もあるので、長期的な観点でも地力の維持につながっていきます。

効果的なやり方は? 心土破砕で畑の排水性を改善する方法

サブソイラによる心土破砕

ESPER / PIXTA(ピクスタ)

現在栽培中の作物を守るためにも、また、土壌そのものを守って流亡を防ぐためにも心土破砕は必要です。心土破砕を効果的に実施する方法について見ていきましょう。

心土破砕に必要な作業機

心土破砕は、トラクターにサブソイラなどの作業機を取り付けて実施されることが一般的です。作業機の主な種類と特徴、使い分け方を紹介します。

心土破砕に用いる主な作業機の特徴と使い分け

心土破砕に用いる主な作業機の特徴と使い分け

作業機の中には、サブソイラとスタブルカルチの両方の機能を併せ持つものも誕生しています。

スタブルカルチとは海外では切り株を掘り起こす際に用いられる作業機ですが、日本では粗起こしや田起こしに用いられることが一般的です。作業スピードが早く、ひねりの入った板が付いているので、掘り起こした土が片側に寄らないというメリットがあります。

サブソイラとスタブルカルチの機能を持つ機種では、心土破砕を行いつつ同時に粗起こしが可能です。労力の必要な土作りを1回の作業で終えられるので効率が上がり、時間の有効活用が実現できます。

施工方法と深さの目安

畑作地の場合は、作業幅を75cm程度に調整して心土破砕することが一般的です。しかし水田の場合は、作業幅を倍の150cm程度にして作業量が減る分、毎年実施することになります。

心土破砕の深度・作業頻度・施工方法

心土破砕の深度・作業頻度・施工方法

サブソイラへの弾丸装着で「弾丸暗渠」を同時施工

心土破砕を実施する際に、サブソイラに弾丸の形をしたモールドレーナを取り付けることによって、弾丸暗渠も同時に施工することが可能です。弾丸暗渠を実施すると、排水性を高める効果がさらに強まります。

暗渠とは、地下に設けた水路のことです。サブソイラに取り付けた弾丸を使って暗渠を作ることで水はけが高まり、なおかつ保水性を高めることもできます。

より効果の高い「有材心土破砕」という方法も

排水性が著しく悪い粘土質や重粘土質の土壌では、有材心土破砕(ゆうざいしんどはさい)を行って土質を改善することがあります。有材心土破砕とは、心土破砕によって土に切り込みを作り、その切り込み部分から排水性の高い資材(疎水材)を投入する作業法です。

例えば、堆肥や粗粒火山灰、チップ、貝殻などの高い排水性を持つ資材を疎水材として投入します。また、心土破砕を行う際、作業機にオプナーと呼ばれる溝切りを付け、大量の疎水材が土中に入りやすくすることが一般的です。

土壌や目的に応じて心土破砕を進めていこう

大豆ほ場の心土耕

田舎の写真屋 / PIXTA(ピクスタ)

排水性の低い農地では作物が根腐れしやすく、生育を妨げることがあります。また、土そのものや下層部が硬いときも、根や作物の生長が阻害されるでしょう。作物の生育には土作りが大切です。適度に心土破砕を実施し、排水性と保水性の高い土壌を作りましょう。

心土破砕は、土を掘り起こして排水性と保水性を改善する作業です。下層部が硬くなった土地や水田から転換したほ場などでは、機械を用いて定期的に心土破砕を実施して土壌を改善する必要があります。トラクターにサブソイラやハーフソイラ、パラソイラなどの作業機を取り付けることで実施できるため、農地が広い場合でも比較的短時間で作業を完了することが可能です。

特に、泥炭や粘土層などの著しく排水性が低い土地や、集中豪雨の被害によく遭う地域では、心土破砕による土作りが必要になります。土壌や目的に合わせた作業機を用い、場合によっては弾丸暗渠や疎水材の投入なども検討していきましょう。

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林泉

林泉

医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。

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