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ジャガイモ(馬鈴薯)栽培で重要な土作り! 品質を上げるpH調整のポイント

ジャガイモ(馬鈴薯)栽培で重要な土作り!  品質を上げるpH調整のポイント
出典 : 川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)

ジャガイモ(馬鈴薯)栽培の最初の作業として大切な土作り。栄養に富んだ膨軟な土であるかどうかが、ジャガイモ(馬鈴薯)の品質や収量に大きく影響します。土作りのポイントとして、工程や作業時期、pH調整などを解説します。

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質のよいジャガイモ(馬鈴薯)栽培のために大切な土作りの工程

収穫のため掘り起こされたジャガイモ(馬鈴薯)

ヨシヒロ / PIXTA(ピクスタ)

ジャガイモ(馬鈴薯)は、地下茎からわき芽がのび、それが生長したもの。当然ながら、土作りの是非が品質を大きく左右します。

よい土壌の条件は、「物理性」「化学性」「生物性」を兼ね備えていることです。

「物理性」とは、空気の通りがよく、排水性も高いこと。膨軟(やわらかくふかふかしている)で適度な保水性があり、湿った土を握ると跡が残るのが目安です。

「化学性」とは、ちょうどよい肥料養分を含み、成分のバランスがとれていること。加えて土壌が酸性かアルカリ性かを示すpHの値をジャガイモ(馬鈴薯)に適切な範囲に調整することが求められます。

「生物性」とは、有機物を分解する微生物が適度に繁殖していること。微生物が餌とする有機物も豊富に含まれていることが必要です。

物理性がよい土壌 膨軟で団粒構造が形成されている

ヒトネコデザイン研究所 / PIXTA(ピクスタ)

ジャガイモ(馬鈴薯)の土作りを行う時期と流れ

ジャガイモ(馬鈴薯)の土作りは、種イモの植え付け作業の開始から逆算し、計画的に進める必要があります。土作りの主な流れを順に説明していきます。

【2週間~1ヵ月前】耕うん・畝立て

プラウアタッチメントを装着したトラクター

プラウアタッチメントを装着したトラクター
出典:株式会社PR TIMES(ヤンマーホールディングス株式会社 ニュースリリース 2020年6月2日)

しっかりと耕すことで土壌の下部の層へ空気にふれた土が入り、下層の土は表面に出て風化されるため、土壌が空気を適度に含み、根が伸びやすい状態になります。

また、土壌の深い層に潜む病原菌が日光にさらされて、死滅することも期待できます。

畝幅は、十分に土寄せができ、茎葉が過密にならないように70~75cmを目安にします。水はけの悪い畑では、種イモが腐ってしまったり根腐れを起こしてしまったりするため、畝を高めにして水はけをよくするのもポイントです。

耕うん後のジャガイモ(馬鈴薯)ほ場

toshiharu_arakawa / PIXTA(ピクスタ)

【2週間前】堆肥・基肥の散布

種イモの植え付けの2週間前に、堆肥と基肥を施します。畝立てを予定している場所の中央部分に15cmほどの深さの溝を掘り、その溝に堆肥、化成肥料を散布し、溝の半分となる8cmほど土をかぶせます。

堆肥・基肥の施用量は、土壌分析を行い、その土の肥沃度などを分析したうえで決定するのが理想的ですが、難しい場合には標準量を目安にします。

10a当たりの標準的な施肥量目安は、窒素8~9kg、リン酸18~20kg、カリウム13~16kgとされています。

家畜糞堆肥や窒素の施用量が多いと、イモの中心部に空洞や褐変ができてしまうため、完熟堆肥を使用し、リン酸、カリウムを中心に施用します。

出典:
一般財団法人日本土壌協会「野菜の栽培特性に合わせた土づくりと施肥管理Ⅱ」
JAいがふるさと「馬鈴薯栽培指針」

※お役立ち情報:馬鈴薯でも可変施肥が可能です。ご興味のある方は以下のザルビオの可変施肥をぜひご覧ください。

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大森様
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pH調整が土作りの最も重要なポイント

pHスケール

ATZ / PIXTA(ピクスタ)

ジャガイモ(馬鈴薯)の好適pH

ジャガイモ(馬鈴薯)の土作りの重要なポイントがpH調整です。

pH(ピーエイチ)とは、物質がどのくらいのレベルで酸性かアルカリ性かを表す指標で、0~14の段階で表されます。

ジャガイモ(馬鈴薯)は弱酸性の土を好みます。最適なpH値は5.0〜6.2が目安でpH7.0以上になると「そうか病」の発生リスクが高くなります。

石灰資材の施用では、pH値が高くならないよう注意が必要です。極力使用は避け、投入する場合は土壌診断やpH計測を行い、その結果に基づいて施用します。そうか病の予防には、植え付け前に土壌消毒することも有効です。

そうか病についてはこちらの記事をご覧ください。

土壌pHの簡易測定方法の活用

ジャガイモ(馬鈴薯)栽培のための適切な土壌管理を効率化するため、農研機構中央農業研究センターなどの研究グループでは、pHの測定方法の研究も進んでいます。

農研機構中央農業研究センターが開発した「土壌pH(KCl)簡易測定法」では、KCl(塩化カリウム)溶液を使ってpHを測定することを提案しています。市販の器具と試薬だけで簡単に正しいpH測定が可能です。

依頼分析より安価で、現場での即時測定もできるため、今後ジャガイモ(馬鈴薯)産地での土壌診断における基本的な測定項目としてpH(KCl)を定着させ、広く活用することが検討されています。

出典:農研機構中央農業研究センター「バレイショのそうか病対策のための土壌酸性の簡易迅速診断手法」

市販のpHメーター

Oleksandr / PIXTA(ピクスタ)

膨軟(ふかふかでやわらかい)な土壌で品質障害を防ぎ丸くキレイなジャガイモ(馬鈴薯)に

ジャガイモ(馬鈴薯)の土作りにおいて、肥料やpH調整は最も大切なことですが、土の中の石や土塊を取り除くことも気を付けておきたいポイントです。

形質が整ったジャガイモ(馬鈴薯)を生産できるのはもちろん、品質障害を防ぐことにもつながります。ジグザグいも、くの字いも、ダルマいも、ワレいもなどと呼ばれる変形の品質障害は、土壌中の石や土の塊が原因の1つとされています。

ワレいも

ワレいも
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

コブいもとくの字いも

コブいもとくの字いも
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

土壌中の石や土の塊が多い場合は、石礫除去機の導入を検討するのもよいでしょう。

従来の石礫除去機は、回転ふるい方式でけん引抵抗が大きく、作業速度も遅かったため普及していませんでしたが、近年は広い作業幅で高速作業ができるコンベア方式の石礫除去機が開発・販売されています。

既存のものに比べて作業能率が約2倍になり、全長が短く小回りが効くのが特徴です。

ジャガイモ(馬鈴薯)の植え付け

川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)

ジャガイモ(馬鈴薯)は土の中で深く育つからこそ、土作りは重要な作業であるといえます。

膨軟で、適切な肥料が十分に行きわたった、最適なpHバランスの土壌を目指しましょう。石礫除去機や簡易的なpH測定の導入でより土壌の調整がしやすくなります。

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酒井恭子

酒井恭子

テレビ番組制作会社、タウン情報誌出版社での取材・編集・ライティング業務などを経て、2018年からライターとして活動。農業、グルメ、教育、ビジネス、子育て情報など、幅広いジャンルの記事を執筆している。特に、食べることに興味があり、グルメ情報を自身のメディアでも発信中。美味しい料理の素材となる野菜や果物についても関心を持ち、農家とつながる飲食店で取材するなど、日々知識を深めている。「自分の文章で感動を多くの人と共有したい」が信条。

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