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【玉ねぎの施肥設計】時期や施肥量など、効果的な栽培のポイントを解説

【玉ねぎの施肥設計】時期や施肥量など、効果的な栽培のポイントを解説
出典 : kiki / PIXTA(ピクスタ)

玉ねぎの栽培期間は長いため、生育不良を防いで品質の高い作物を収穫するためには、産地の施肥基準をベースに状況によって調整するきめ細かな施肥計画が欠かせません。この記事では玉ねぎの基本的な作型・栽培暦や、玉ねぎの施肥管理の重要性と作型別の施肥設計・タイミングについて解説します。

玉ねぎの栽培では肥料が多すぎても少なすぎてもトウ立ちしやすくなり、食味が低下する原因にもつながります。追肥が遅れると球の成熟も遅れて貯蔵中の病害リスクが高まるので注意が必要です。まずは、玉ねぎの栽培における施肥管理の重要性について考えてみましょう。

肥料過多がトウ立ちにつながることも。玉ねぎ栽培における施肥管理の重要性

抽苔した玉ねぎ

m0skit - stock.adobe.com

食味が良く、貯蔵性の高い玉ねぎを栽培するためには、必要な時期に過不足がないように施肥を行うことが重要です。

玉ねぎの追肥は結球が始まるまでに終えるのが基本となりますが、基肥の肥効の長さ、品種の早晩性や作型、その年の気温などによって調整しなければなりません。

例えば、一般的な化学肥料だと施肥後1ヵ月半~2ヵ月ほど効果が続きますが、気温によって肥効の長さは変化します。また、中生・晩生系の品種については12~2月頃にかけての休眠期間には追肥が必要ありません。

施肥量が少なすぎるとトウ立ちの原因になるほか、球に糖分が十分に蓄積されず食味が劣ります。追肥のタイミングを誤った場合も同様です。

一方、施肥量が多すぎると肥料が効きすぎてトウ立ちが発生する恐れがさらに高まります。特に、肥大期に追肥を行うと球の肥大が遅れるだけでなく、貯蔵性も悪くなり、病害虫の発生リスクも高まります。

玉ねぎ 乾腐病 土壌伝染病害で、土壌の状態や肥料成分量が発生に影響するといわれている

玉ねぎ 乾腐病 土壌伝染病害で、土壌の状態や肥料成分量が発生に影響するといわれている
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

さらに、土壌内の過剰な窒素が地下水や大気に流出するなど、環境汚染の原因にもつながります。環境を守りながら品質のよい玉ねぎを栽培するために、地域や営農団体の施肥基準をベースに木目細かな施肥計画を立てるようにしましょう。

玉ねぎの基本的な作型・栽培歴と施肥のタイミング

玉ねぎは気温によって施肥の効果が異なるため、季節や発育状況に応じて施肥量の調整が必要です。ここでは、玉ねぎの基本的な作型や、栽培体系・品種に応じた施肥のタイミングについて解説します。

基本的な作型

玉ねぎの作型は、春蒔き栽培と秋蒔き栽培の2通りがあり ます。どの作型でも発芽適温は20℃前後、生育適温は15~25℃が目安です。作型の目安を地域ごとに紹介します。

玉ねぎの主要作型 地域別・作型別の栽培暦

出典:JA全農営農販売企画部「東北以南における玉ねぎの冬春まき栽培マニュアル」、サカタのタネ園芸通信「タマネギの育て方・栽培方法」よりminorasu編集部作成

生育適温が15℃を下回ると玉ねぎの生育が止まるため、北海道では積雪期を避ける春播き栽培が採用されています。

本州でも春播き栽培が主流でしたが、近年では夏から初秋にかけて出荷する冬春播き栽培が採用され始めました。

西日本や四国・九州といった温暖な地域では、暑さの影響を受けにくい秋播き栽培が取り入れられています。

北海道の春播き玉ねぎ 8~9月に収穫される

北海道の春播き玉ねぎ 8~9月に収穫される
kiki / PIXTA(ピクスタ)

暖地の秋播き栽培玉ねぎ(佐賀県)麦秋(初夏)に収穫される

暖地の秋播き栽培玉ねぎ(佐賀県)麦秋(初夏)に収穫される
野村詩朗 / PIXTA(ピクスタ)

施肥のタイミング

玉ねぎ栽培の場合、定植と同時に基肥を施用するのが基本です。追肥の有無やタイミングは、地域や作型によって異なり、都道府県の施肥基準を参考にするとよいでしょう。

例えば、北海道の春播き栽培では、4月下旬~5月中旬にかけて定植あるいは直播時に基肥を施しますが、その後4週目と8週目に窒素のみを追肥するよう示されています。

暖地の佐賀県の露地栽培では、11月中旬の定植位に基肥を施し、1月上旬に窒素とカリウムの追肥、3月上旬に窒素のみの追肥がスケジュールされています。

また、マルチ栽培やトンネル栽培では追肥を実施しません。追肥が必要な場合は、遅くても球の肥大が始まる前までに止め肥を施用するようにします。球の肥大が始まってから追肥すると、収穫後の貯蔵性や食味に悪影響が出るので注意が必要です。

玉ねぎの定植作業

kiki / PIXTA(ピクスタ)

具体的な施肥量や追肥回数とは? 玉ねぎの作型別の施肥設計

玉ねぎの栽培では、窒素(N):リン酸(P):カリウム(K)をほぼ均等に施肥するケースが多く見られますが、目標収量を確保するためには土壌環境や堆肥などの使用状況によって配合比を変化させることが大切です。

品種の早晩性によっても、追肥の回数は変わってきます。中間地・暖地の秋播きで、極早生・早生の早出し栽培の場合の追肥回数は2月中旬までに2回、中生・中晩生の貯蔵栽培では3月上旬までに3回というのが一般的です。

例として、都道府県の施肥基準から、北海道の春播き栽培と暖地の秋播き栽培の施肥設計を紹介します。

北海道の春播き栽培の施肥設計

北海道の施肥基準によると、春播き栽培では、10a当たりの基準収量を移植栽培で5.5t、直播栽培で4.5tに対し、いずれも全体の基準施肥量を窒素(N)15kg・リン酸(P)15kg・カリウム(K)15kgとしています。また、土壌診断の結果に基づいた増減例も示されています。

リン酸とカリウムについては基肥全量ですが、窒素については以下のように分肥割合が示されています。

窒素の分肥移植栽培直播栽培
基肥10kg5kg
追肥5kg10kg
追肥の実施時期定植後4週間目播種後8週間目

出典:北海道「北海道のクリーン農業」所収「北海道施肥ガイド2020(令和2(2020年)年10月)~Ⅳ.園芸作物 たまねぎ <春まき(移植、直播)>」

暖地の秋播き栽培の施肥設計

暖地の秋播き栽培の施肥設計として、福岡県の施肥基準を例示します。10a当たりの目標収量6.0tに対し、全体の基準施肥量を窒素(N)17kg・リン酸(P)15kg・カリウム(K)22kgとし、基肥・追肥の割合について以下のように示されています。

分肥割合窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)
基肥67%85%65%
追肥33%15%35%

出典:福岡県「福岡県 施肥基準一覧」所収「福岡県野菜施肥基準(平成31年3月)」内「たまねぎ」

マルチ栽培の場合

マルチ栽培の場合は一発肥料を施用するのが主流ですが、生育状況によって追肥が必要な場合はマルチの穴1ヵ 所ごとに化成肥料をひとつまみずつ施用します。

基肥・追肥とも量が多すぎても少なすぎても収穫後の食味や貯蔵性に影響が及ぶので、施肥基準を参考にしながら必要な時期に必要量を施肥するようにします。

玉ねぎ マルチ栽培

chi-bi-tan / PIXTA(ピクスタ)

玉ねぎの栽培期間は長期にわたるため、生育途中に肥料不足が生じないよう地域ごとの施肥基準を参考にしたうえで過不足なくを施肥することが大切です。追肥を行う場合は、食味や貯蔵性の低下を避けるために球の肥大が始まる前までに止め肥を行います。

ポイントを押さえた施肥設計で収量や食味のよい玉ねぎづくりをめざしましょう。

舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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