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新規就農するために。超えるべきハードルや必要なものとは?
出典 : Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
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新規就農するために。超えるべきハードルや必要なものとは?

これまで別の業界で働いていた人が、心機一転して新規就農を目指すことは、一般的な職業の中途採用とは少し趣がちがいます。本記事では、職業として農業を新たに始める方法や超えるべきハードルなどを、新規就農者の視点から紹介します。

農地という小宇宙を相手にしながら作物を育てる喜びは、農業を体験した人にしかわかりません。

では農業の魅力に引き寄せられて、新規就農を心に決めたとき、まずは何から始めればよいのでしょうか?

職業として農業を始めるためには、会社を設立するときと同様に、準備段階から多くの手順を踏まなければなりません。そのために必要な新規就農の知識や始め方を、ここから手順ごとに解説します。

新規就農の方法

新規就農した家族のイメージ写真

cba / PIXTA(ピクスタ)

新たに農業の世界で生きて行くことを決意したら、進むべき道は大きく2つに分かれます。1つは、会社に就職するように農家の従業員として雇ってもらう方法、そしてもう1つは自分で独立して新規就農を果たす方法です。まずはそれぞれの違いについて比較してみましょう。

1.雇用による就農

農家にもさまざまな経営形態がありますが、比較的大きな家族経営や、法人化して大規模経営を行っているところでは、従業員としての就農者を求めています。

まだ農業経験が不足していて、農業の基礎から実践的に学びたい人や、農業を始めたいが収入に不安がある人などは、しっかりした経営基盤がある農家での雇用による新規就農も、選択肢の1つになるでしょう。

雇用によるメリットは、何よりも安定的な収入が保証される点でしょう。また、仕事をしながら次のステップへの準備として、農業の技術を学ぶこともできます。地域にこだわらなければ、農業の求人は意外に多く、未経験者歓迎のところも少なくありません。

2.独立・自営による就農

一方で、自分のやりたい農業のビジョンを明確に持っている場合は、従業員として指示された作業を続けるだけでは満足できないと感じる方もいるでしょう。

自分がやりたい農業のビジョンを実現したい人には、独立・起業という形の新規就農という選択肢もあります。この場合は、一般社会での起業と同じように、個人事業主として開業するか、法人を設立するかのいずれかになります。

個人事業主として開業した場合は、経営方針や栽培方法などを自由に決められます。しかし、全責任を自分自身で負うことになるため、さまざまな困難を覚悟しなければならないでしょう。

法人を設立して開業する場合には、人材を確保しやすいことや、補助金や資金援助を受けやすいことなどのメリットがある一方、しっかりとした経営管理が求められます。


従業員がいれば収入を保証し、継続して法人としての収益をあげなければなりません。経営者として農業経営に明確なビジョンを持っていないと、経営を安定化させることは難しいでしょう。


新規就農に限らず、農家が次の世代に事業を引き継ぐタイミングで法人化するという流れも広がっています。農業経営の意識を高め、今後の経営拡大につなげるためにも、法人化の検討は重要かもしれません。

新規就農で超えるべきハードル

畑に立つ農家の女性

YUMIK / PIXTA(ピクスタ)

全国農業会議所のデータによると、新規就農者の前に立ちはだかるハードルの中で、農地の確保、資金の確保、営農技術の取得の3つが特に厳しいとされています。

こうしたハードルを準備段階から乗り越えていくため、必要な準備と方法を次に紹介します。

新規就農に必要なもの

コンバインによる米の収穫

Fast&Slow/ PIXTA(ピクスタ)

新規就農を決めた時点で、さっそく準備を始めなければなりません。雇用の形を希望する人は、一般職と同様に就職活動を行いますが、独立型の就農を考える人は一から自分で準備することになります。では、就農に必要な準備とは一般的にどのようなものでしょうか。

知識と技術

作物を安定的に栽培するためには、多くの知識と技術が必要です。それらを磨くには、自治体が開催する研修や、企業がサポートするセミナーなどを利用する方法が便利です。

新規就農者向けのサポート事業は、国や自治体、農業系企業などが推進しているので、積極的に活用するべきでしょう。

また、独立する前に一定期間雇用の形で就農し、実際に働きながら知識や技術を習得することも選択肢の1つとなるでしょう。

農地と住居

農業に絶対欠かせないものは農地であり、さらに農地の近くに住居を設ける必要もあります。新規就農者が農地を購入することは現実的ではないので、まずは農地を借りることを考えるべきでしょう。

このときに重要となるのが、研修などを上手に利用して、地域の農家との間にパイプを作っておくことです。農地や住居を探すときに、地域との関係性が必ず役に立つはずです。

道具と農機

現代農業には各種機械、農業用資材、そして肥料や道具など多くの物資が必要です。自分が栽培する予定の作物に合わせて、これらの物資を準備しなければなりません。
ただし、費用負担が大きい農機や道具類は新品を購入する必要はありません。最初は中古品で揃えてのスタートで充分です。比較的高価な農機はリースを利用するという方法もあります。

経営資金と生活資金

独立を考える場合には、何よりも資金の確保が大きな課題です。

全国新規就農相談センターの調査によると、就農1年目に機械・施設・種苗・肥料などにかかる費用の平均は569 万円となっています。

出典:全国新規就農相談センター「新規就農者の就農実態に関する調査結果(平成28年度)」

加えて、当面の生活資金の用意も必要です。農業は、始めてから収入につながるまでに、想像する以上に長い期間を要します。その間生活を支える資金も非常に重要なのです。

そこでおすすめしたいのが、国が交付する補助金制度の活用です。以下に主な補助金をあげておきますので、気になる人は詳しく調べてみてください。必要だと感じたら遠慮せずに、まずは申請を行ってみてはいかがでしょうか。

・農業次世代人材投資資金
 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html

・経営体育成支援事業
 https://www.maff.go.jp/j/keiei/keikou/kouzou_taisaku/
 ・強い農業・担い手づくり総合支援交付金
 ・担い手確保・経営強化支援事業

・経営所得安定対策
 https://www.maff.go.jp/j/seisaku_tokatu/antei/keiei_antei.html

農業を職業として始める際に必要な準備を解説しました。農業には、農地という小宇宙の中で日々作物と向き合って育てる、という大きな魅力があります。新規就農を決意したら、ぜひ夢に向かって一歩ずつハードルを乗り越え、夢を実現してください。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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