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【2022年版】兼業農家でも使える補助金・支援制度をまとめて解説

【2022年版】兼業農家でも使える補助金・支援制度をまとめて解説
出典 : Seaside / PIXTA(ピクスタ)

農業に興味を持っていても、いきなり専業農家になるのはためらわれると考える人は、まず兼業農家として就農する方法もあります。この記事では兼業農家の実情や就農に当たって利用できる補助金や支援制度などについて紹介します。

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住宅地にある畑

Q'ju Creative / PIXTA(ピクスタ)

新規就農には農地の取得や農業機械の購入などで、それなりの資金が必要になるうえ、経営が軌道に乗るまでは収入が不安定になりがちです。そのため、新規就農に当たって、まずはほかの仕事との兼業で農業を始めたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

この記事は兼業農家の実情や活用できる補助金および支援制度などを紹介します。

兼業農家の実状

兼業農家とは「世帯員のうち誰かがほかの仕事で収入を得ている農家」のことです。農林業センサスでは、兼業農家が含まれる個人経営体を「自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員の有無」と「世帯収入における農業収入の割合」で以下の3つに区分しています。

主副業別定義
主業経営体自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいる個人経営体で、
世帯収入における農業収入の割合が50%以上
準主業経営体自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいる個人経営体で、
世帯収入における農業収入の割合が50%未満
副業的経営体自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいない個人経営体
(世帯収入における農業収入の割合は関係ない)

出典:農林水産省「農林業センサスの概要」のページ所収「用語の解説(農林業経営体調査)」

これらの経営体のうち、近年割合が増えているのは副業的経営体です。

農業経営体の主副業別割合推移

出典:農林水産省「農林業センサス|累年統計」及び「2020年農林業センサス 確報 第2巻 農林業経営体調査報告書 -総括編」よりminorasu編集部作成

農林業センサスによると、主業農家の割合は2005年以降約22%で変わっていませんが、準主業農家の割合が減り、副業的農家の割合が増えています。

この統計では世帯員のうち農業従事者全員が 65 歳以上になると収入割合に関係なく副業的経営体にカウントされますが、実際には農産物販売金額1,000万円以上の副業経営体も相当数おり、「副業」という区分が適切でないことを、総務省の統計委員会で指摘されています。

出典:総務省「統計委員会|第110回産業統計部会」所収「農業経営統計調査の審議を契機とする部会長メモ」

個人経営体 103.7万経営体の 販売金額段階別 構成比

出典:農林水産省「2020年農林業センサス 確報 第3巻 農林業経営体調査報告書 ―農林業経営体分類編-」よりminorasu編集部作成

2020年の農林業センサスによる各経営体の数と、2020年の営農類型別経営統計による平均的な農業所得は以下の通りです。

全国の経営体別の数と平均的な農業所得

経営体の種類経営体の数平均的な
農業所得
主業経営体23.1万415.6万円
準主業経営体14.3万60.1万円
副業的経営体66.4万23.8万円

出典:農林水産省「2020年農林業センサス 確報 第2巻 農林業経営体調査報告書 -総括編-」および「営農類型別経営統計 確報 令和2年営農類型別経営統計」よりminorasu編集部作成

兼業農家でも活用できる補助金・支援制度

兼業農家で経営改善や規模拡大、新規就農を検討している方の中には、現状十分な自己資金が確保できない場合もあるでしょう。そのようなときに頼りになるのが、補助金などの公的支援制度です。

兼業農家でも、意欲ある担い手として、「認定農業者」あるいは「認定新規就農者」として市町村に認められれば、公的支援制度を利用できます。

農業次世代人材投資資金(新規就農者育成総合対策)

兼業農家の場合、「農業次世代人材投資資金」の要件を初めから全て満たすのは難しいかもしれません。「認定新規就農者」であることや、人・農地プランでの位置づけなど要件が複数あり、全て満たさなくてはなりません。

就農してから早い時期に、農業への比重を高め規模を拡大するタイミングがくれば「認定新規就農者」の認定を受け、この制度の利用を検討してみてもよいのではないでしょうか。

▼認定新規就農者についてはこちらの記事をご覧ください。

農業次世代投資資金は主に「就農準備資金」「経営開始資金」「経営発展支援事業」の3つから成り立っています。

就農準備資金はこれから就農を予定している人のための制度です。都道府県が認める農業大学校などの研修期間で学ぶ就農希望者に対して、月額12.5万円(年間最大150万円)を最長2年間支援してくれます。

一方、経営開始資金経営発展支援事業は、就農後の経営安定を目的とした制度です。

経営開始資金は、農業を始めてから経営が安定するまでの間、月額12.5万円(年間最大150万円)を最長3年間にわたって定額交付してくれます。

経営発展支援事業は、農業機械や家畜の導入などに利用でき、最大1,000万円のうち特定の補助率を都道府県や国が支援してくれる制度(県の2倍を国が支援)です。

例えば、都道府県の補助率が4分の1の場合は国が2分の1を支援し、残り4分の1は本人負担となります。経営発展支援事業のみ交付型ではなく融資に対する補助制度なので、自己負担がある点に留意が必要です。

出典:農林水産省「就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)」所収「概要(PR版)」

担い手確保・経営強化支援事業

若手農家と農業のIT化

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

担い手確保・経営強化支援事業は、農産物の輸出やITを活用した低コスト化、品目転換などを計画している農家に向けた支援制度です。

対象は「ア.人・農地プランに位置付けられた中心経営体」と「イ.地域における継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者」となっています。兼業農家は「ア」には該当しないので、市町村に意欲ある兼業農家として認められることが必要です。

基本的には融資を活用して農業用機械や施設を導入した農家に対し、一定の割合を国や都道府県などが支援してくれます。融資を活用した場合の配分上限額は個人1,500万円、法人3,000万円です。

また、市町村が認めるときは、融資を活用していない場合でも100万円を支援してもらえることがあります。

トラクターの購入やハウスなどの施設整備に利用できるのはもちろん、農薬散布用ドローンの導入も支援対象となる場合があり、比較的汎用性に富んでいるのが特徴です。

※「担い手確保・経営強化支援事業」の内容は、各年度の予讃措置によって内容が変わるので、農林水産省または地方自治体の農政部署に必ず確認してください。

出典:農林水産省「担い手確保・経営強化支援事業(令和3年度補正予算)」所収「担い手確保・経営強化支援事業PR版」

スーパーL資金

スーパーL資金は、株式会社 日本政策金融公庫が取り扱う、認定農業者に向けた融資制度です。

兼業農家でも認定農業者になれば、個人は最大3億円(特認6億円)、法人10億円(特認20億円、一定の場合30億円)の融資枠を確保してもらえます。

融資限度額が大きい分、返済期間も25年以内(据置期間10年以内)と長期にわたるので、長期的な事業計画をもとに大規模な設備投資を行いたい人に向いている制度です。

資金の使い道は農地の取得から施設機械の導入、人件費まで農業経営に関わる幅広い用途に対応しています。

また、「人・農地プラン枠」「TPP等対策特別枠」といった金利負担軽減措置が用意されているほか、1回当たりの融資額が500万円以下の場合は無担保・無保証で利用できるクイック融資制度があるなど、利用者に配慮した各種制度が充実している点も魅力です。

出典:株式会社日本政策金融公庫「スーパーL資金」

青年等就農資金

青年等就農資金は、スーパーL資金と同じく、日本政策金融公庫が取り扱う認定農業者に向けた融資制度で、兼業農家でも認定農業者であれば利用可能です。

融資限度額は3,700万円(特認1億円)、返済期間は17年以内(据置期間5年以内)と、スーパーL資金に比べて高額な借入はできませんが、借入全期間にわたって無利子で利用できる点が最大のメリットになります。

資金用途は農業生産用の機械施設や農地の借地料支払いなどが対象です。利用者は認定新規就農者に限られるものの、新たに農業を始める方にとっては利用しやすい制度になっています。

出典:株式会社日本政策金融公庫「青年等就農資金」

▼青年等就農資金についてはこちらの記事もご覧ください。

自治体独自の補助金・支援制度も

宮城県登米市の田植え風景

masy / PIXTA(ピクスタ)

兼業農家への支援制度は国が中心となって実施しているものが多いですが、中には地方自治体が独自に予算を組んで制度化している事例もあります。

例えば、宮城県登米市では令和4年度に「がんばる農家支援事業」を実施しました。

当該事業の対象者は主に水田の作付け面積2ha以上の販売農家で、水稲栽培に使用する農業用機械の購入費(施設は対象外)が対象です。補助要件に当てはまれば、経費のうち6分の1以内の範囲(上限20万円)で補助してくれます。

出典:登米市公式ホームページ「農業担い手の育成に関する支援」

また、岩手県北上市では令和4年12月28日まで、農業用機械共同購入事業費補助金の公募を実施しています。こちらもトラクターやコンバインなど農業用機械の購入費が対象となり、経費のうち4分の1以内(上限100万円)が補助対象です

出典:北上市公式ホームページ「農業用機械共同購入事業費補助金を公募します」

これ以外にもさまざまな制度が実施されていますので、まずは就農を検討している地域の自治体のホームページなどを確認してみてはいかがでしょうか。

岩手県北上市の稲刈り風景

Seaside / PIXTA(ピクスタ)

確定申告とは1月1日~12月31日までに得た所得を計算し、原則的に翌年の2月16日~3月15日の間に税務署などへ報告する手続きです。

農業所得のある兼業農家は源泉徴収で所得税や住民税を納めるサラリーマンと違って、確定申告を行って納める税金を自ら計算しなければいけません。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、主に「保存しておく帳簿の種類」と「受けられる控除額」に違いがあります。

青色申告は複式簿記で日々の取引を仕訳し、貸借対照表や損益計算書を作成する必要があります。

手間がかかる反面、「所得控除最大65万円」「赤字を3年間繰り越して黒字と相殺できる」「農業所得の赤字を給与所得の黒字と相殺することが可能」など、より簡易的な手続きで済む白色申告に比べて節税しやすくなるメリットがあります。

確定申告は最初のうちこそ大変さを感じるかもしれませんが、慣れてしまえば毎年同じ作業の繰り返しになることが多いので、メリットの大きい青色申告を検討するのもよいでしょう。仕訳や計算の仕方を難しく感じる人は、税理士などに相談する方法もあります。

▼兼業農家の確定申告についてはこちらの記事をご覧ください。

農業に魅力を感じて就農する場合も、親の農地を引き継いで就農する場合も、就農直後は、収支の赤字や生活資金の不足などのリスクが伴います。そのようなリスクに備え、兼業農家として農業をしていくのも選択肢の1つです。

この記事で紹介したように、国や各自治体は基幹産業である農業を支援する制度をたくさん用意しています。兼業農家でも農業の担い手として意欲があると認められれば、これらの制度を利用する道がひらかれています。

これから兼業で就農しようという方は是非検討してみてください。

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中原尚樹

中原尚樹

4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。

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