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大根栽培の追肥タイミングは?やり方や回数、施肥量を解説
出典 : Rise / PIXTA(ピクスタ)
  • 生産技術

大根栽培の追肥タイミングは?やり方や回数、施肥量を解説

大根栽培で重要なポイントは、土作りとほ場の準備、そして追肥のタイミングと肥料の選び方です。この記事では、大根栽培の基本的な流れと、質のよい大根を生産するための施肥管理について、わかりやすく解説します。

大根は、奈良時代にはすでに記録が残っているほど古くから日本で栽培されてきました。現在でも家庭から飲食店にいたるまで幅広く料理に使用され、季節に合わせて全国で生産されています。

大根は、根がまっすぐな形状のままよく肥大し、傷がなく肌ツヤがよいことで、商品価値が上がり、食味も増します。この記事では、必要な栽培知識と良質な大根を作るコツ、特に重要な追肥の仕方について詳しく紹介します。

大根の栽培時期・スケジュール

大根は品種が多く発芽温度の幅も広いため、春播き・秋播きが可能ですが、大根は本来、冷涼な気候を好むため秋播きが最も適しています。
三浦大根で有名な神奈川県や、大根の生産量で上位を占める千葉県でも、主力品種は秋播きをして冬に収穫するものです。

品種によって違いはありますが、播種から収穫までの平均的な期間は60~100日程度です。また、大根の栽培に最適な気温は、15~20度とやや低めといわれています。秋播きの場合、時期が早すぎると発芽率は下がり、遅すぎると根の肥大が悪くなるため、関東地方のような平地では9月上中旬が播種の最適期です。

基本の栽培方法と間引き・追肥のタイミング

秋播き大根を例にして、基本的な大根栽培の流れと注意点を解説します。土作りと肥料の管理を意識して、播種の準備を始めてみましょう。

ほ場の準備

大根 畑

Tony / PIXTA(ピクスタ)

大根栽培ではほかの野菜以上に、播種前のほ場の整備と土作りが重要です。

注意すべき点は、まず保水性と同時に水はけがよい土にすることが挙げられます。そして、まっすぐに根を伸ばすために土壌中の石や土の塊などを丁寧に取り除き、深くまでよく耕しておくことです。

大根は過湿になると「軟腐病(なんぷびょう)」などにかかりやすくなるため、排水性がよくなるように20cm程度の高畝にするとよいでしょう。

土壌のpHは5.5~6.5の弱酸性から中性が目安です。さらに、土壌中の有効態リン酸が、乾土100g当たり15~30mgになるよう調整します。

大根は肥料分の少ない土壌でも生育が可能なため、即効性肥料の多肥を避け、堆肥などの緩効性肥料を多めにするとよいでしょう。

土作りではまず1a当たり、完熟堆肥約2000kg、苦土石灰約100~150kgを播種の2週間~ 1ヵ月前に投入して、深さ30cm程度までよく耕します。必ず完熟堆肥を用い、場合によっては油粕などを加えましょう。

播種の1週間前になったら化成肥料を10a当たり約150kg投入し、再び深さ30cm程度までよく耕します。

畝は、幅75~95cm程度、高さ10~15cm程度につくり、穴の間隔が25cm~30cm、穴のサイズが4cm程度のポリマルチをかけます。マルチの穴は小さい方が、マルチ内の温度が逃げにくく、根の肥大や空洞症の抑制によいといわれています。

播種~間引き

大根 発芽

freeangle/PIXTA(ピクスタ)

播種時にはマルチの穴ごとに深さ1.5cm程度の穴をあけ、1ヵ所に3~5粒ずつ種子を点まきします。覆土したあと軽く押さえます。


間引きは、3粒まきの際は本葉2~3枚に1回、5粒前後まきの場合は6~7枚の時に2回目を行います。子葉をよく見て、生育がよく奇形やゆがみがない、まっすぐ肥大しそうなものを選びます。

間引きのあとは、地上部のゆれによって根がまがらないよう、丁寧に土を寄せておきます。

追肥と中耕~土寄せ

追肥のタイミングは、間引きのあとです。マルチを敷いている場合は、畝の間、マルチの際に1平方m当たり約50gの化成肥料をまき、中耕しながら除草も行います。中耕すると根に酸素が届きやすくなるため、根の生育を促す作用があります。

品質の高い大根を収穫するための肥料選び

大根 収穫

Tony/PIXTA(ピクスタ)

一般的な青首大根は、播種からおよそ60日で収穫期を迎えます。品種によっても異なりますが、収穫に最適なタイミングを逃すと、大根に「ス(細胞内に気泡が入ってしまうことで生じる隙間のようなもの)」が入ったり割れたりするので注意してください。

高品質な大根栽培で目標にしたいのは、大きくまっすぐで、肌ツヤがよい根に育てることです。そのために、必要な肥料の知識について理解しましょう。

根(可食部)を大きく育てたい

大根栽培では、窒素(N):リン酸(P):カリウム(K)の比率が同じくらいで、バランスのとれた肥料を使用しましょう。これは、粒状肥料でも液肥を使う場合でも当てはまります。

窒素は主に葉を成長させる養分であるため、土壌が窒素過多になると葉が生育しすぎて、根の部分が大きくなりません。毎年の作付けでほ場そのものが窒素過多になっている場合もあるため、注意が必要です。

肥料不足でも根の肥大に影響が出るため、目安としては葉の角度が45度程度に伸びていく状態を保つとよいでしょう。元肥を畝全体にまんべんなくすき込んでおくことも、肥料の効果を長続きさせるために有効な方法です。

まっすぐで岐根(きこん)のない大根にしたい

大根は大きいだけではなく、まっすぐであることで商品価値が上がります。大根は根が成長する途中で異物にぶつかると、曲がったり岐根(きこん)が生じたりします。そこで、土壌中の石や礫(れき)、土の塊などの異物を除去しておくことが大切です。

また、肥料の与え方によっても、大根の形が変わる場合があります。堆肥や油粕・鶏糞などの肥料でも、土壌中で固まりになっている場合は要注意です。

堆肥は必ず完熟堆肥を用い、土全体をよく耕すようにします。未熟堆肥を投入すると、土壌中で発酵しながらアンモニアを発生して、大根の成長を妨げることがあります。

大根の肌ツヤをよくしたい

大根は生育中にホウ素が欠乏すると、肥大が進まず肌ツヤや形が悪くなる場合があります。表面に亀裂が入り、芯部が褐色になったりスが入ったりする「褐色芯腐れ症」にかかることもあります。

これを防ぐためには、ホウ素を含んだ微量要素肥料を、10a当たり4kg程度(ホウ素分として0.2~0.3kg程度)投入するとよいでしょう。

ただし、酸性土壌ではホウ素の水溶性が高くなり、降雨や冠水により流出してしまうことがあります。反対にアルカリ性土壌では水溶性が低くなり、大根がホウ素を吸収しづらくなります。

大根

freeangle/PIXTA(ピクスタ)

土の中にまっすぐ根を下ろす大根にとって、のびのびと成長できる土壌環境は何よりも大切です。大根栽培は播種前の土作りが、成功を左右するといっても過言ではありません。

それに加え、適切な追肥のタイミングと肥料の選び方にも気を配ることで良質な大根栽培が可能になります。土作りや施肥とそのタイミングに注意して、高品質な大根を生産しましょう。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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