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カブの間引きのやり方&タイミング解説! 品質を上げる効率的な栽培のコツ
出典 : MIYAG/PIXTA(ピクスタ)
  • 生産技術

カブの間引きのやり方&タイミング解説! 品質を上げる効率的な栽培のコツ

カブの栽培では、実割れや生育不良を避けるため、適切なタイミングでの間引き作業が必要です。適切な間引きをすることにより、商品としてのカブの品質も向上します。間引きの仕方を中心に、土作りや追肥の方法、病害虫管理の仕方なども併せて紹介しましょう。

カブは、春の七草の1つである「すずな」の別名を持ち、日本では古くから親しまれている野菜です。千葉県が全国最大規模の産地で、秋播きが中心ですが春播きでも栽培されています。

この記事では質の高いカブ作りに適した、間引きの方法や土作り、追肥のやり方などを解説します。

カブ栽培で品質を上げるポイント

カブの歴史は、奈良時代に僧が世に広めたといわれるほど古く、長い間日本人に愛されてきました。

カブは冷涼な気候を好む野菜なので、生育適温は15~20℃とやや低めです。この気温条件よりも高くなると、生育に影響が出るため注意が必要です。

特に根の部分の品質が商品価値を左右するため、基本的に土作りで排水性と保水力を高め、乾燥と過湿を避けることが重要です。ここでは、栽培上の5つのポイントを紹介します。

土作り

根菜の代表であるカブは、土作りが品質に直接かかわってきます。土作りのポイントは、播種の3週間前に完熟堆肥を投入し、2週間前に石灰を入れてpHを5.2~6.8(弱酸性〜中性)程度に保っておくことです。

これにより、保水性に富みながら排水性・通気性もよい「団粒構造」(注)の土壌を発達させることができます。

(注)団粒構造:粒子がある程度まとまった状態の土が持つ構造で、微生物の分泌物やミミズの糞などによって形成されます。

その後、播種の1週間前に元肥を投入します。カブは生育初期から肥料を吸収するため、「窒素(N)12:リン酸(P)16:カリウム (K)12」を基準にして、通常よりもリン酸を多めに施肥すると、根が肥大しやすくなります。

また、土壌が硬かったり土の塊があったりすると、カブの根がきれいに球形に肥大しないので、よく耕してから畝を立てて播種の準備を整えておきましょう。

栽培時期・気温

品種にもよりますが、カブ栽培の生育適温は15~20℃ほどの比較的冷涼な気温です。寒さには強いので心配はないのですが、高温と乾燥には注意しましょう。気温が高すぎると葉の生育はよくなるものの、肥料の効果が低下して根の肥大が悪くなります。

地域によっては春播きでも栽培できますが、品質がよく、病害虫の発生も抑えられる秋播きのほうがおすすめです。

水分管理

カブの栽培においては、水分管理が非常に重要です。まず、播種時には土壌に充分な水分がある状態で種をまくようにします。生育中も晴天が続く際には灌水(かん水)を行うなどして、土壌中の水分量を一定に保つことがポイントです。

土壌が乾燥すると肥大不足や実割れが起きたり、肌ツヤが悪化したりすることがあります。一方で、灌水が過剰になると、根の伸長が悪くなり、枝分かれして「又根」になったりするので、根の形を球型に整えるためにも水分管理に留意してください。

病害虫防除

カブの品質は、見た目でも左右されます。そのため「キスジノミハムシ」の食害には特に注意しましょう。キスジノミハムシは体長3mm程度の小さい甲虫で、アブラナ科野菜のみを食害し、成虫は葉を、幼虫は根を食べます。食害によりカブ表面がざらつき、商品価値に影響します。


対策としては播種時に、土壌混合タイプの殺虫剤を使うとよいでしょう。ほかにも「アオムシ」や「ヨトウムシ」「コナガ」「アブラムシ」といった害虫による食害が多いので、適宜殺虫剤を使うか防虫ネットを利用します。


カブがかかりやすい病害には、「白さび病」「根こぶ病」「べと病」「モザイク病」などがあります。様子を見ながら、殺菌剤などで防除する必要があります。病害予防のためには、同じほ場での連作を避けることも効果的です。

サイズに合った株間隔の確保

カブを大きく分類すると、根の部分が直径5cm程度の小カブ、12cm程度の中カブ、15cmを超える大カブに分けられます。生育に合わせて各サイズに最適な株間隔をとることで、形がよく大きさのそろったカブが収穫できます。


種は畝に直播きします。小カブは約15cm、中カブは約20~25cm幅で溝を作り、2cm間隔で条播きします。大カブは25~30cm間隔で播き穴を作り、そこに5~6粒ずつ播種します。栽培密度を高くせず、適切な株間隔を設けることで、病害の発生を抑えることもできます。

カブの正しい間引き方法と効率化のコツ

カブ 発芽

トマト大好き/PIXTA(ピクスタ)

カブの栽培で最も重要な作業の1つが「間引き」です。ここからは基本的な間引きのやり方と追肥のタイミングについて紹介します。

発芽後の間引きは3回

カブの間引きは3回に分けて行い、最終的にサイズに合った株間隔に揃えます。間引きは次のタイミングで順番にすすめましょう。

1.間引き 1回目
本葉が1〜2枚ほど出たタイミングで、1回目の間引きを行います。小カブと中カブの目安は3cm間隔ですが、大カブは1ヵ所につき3株残します。

2.間引き 2回目
本葉が3~4枚になったところで、2回目の間引きをします。間隔は5~7cmが目安で、大カブは2株を残します。

3.間引き 3回目
本葉が5~6枚になったら、最後の間引きをしてください。それぞれ小カブは10cm程度、中カブは15cm程度の間隔にします。大カブは最後の1株を残します。

間引きの際には葉の形と色つやがよく、中くらいのサイズのカブを残します。間引いた葉は、間引き菜として漬物などにして食べることができます。

間引き後の追肥タイミング

小カブは収穫までの期間が短いため、追肥の必要はありません。中カブと大カブは2回目と3回目の間引き後に、追肥と中耕を行います。根から少し離れた位置に追肥してから、最後に株もとに土寄せをします。

大カブは生育後半に急激に肥大しやすく、追肥が遅れると変形や実割れの原因となります。追肥のタイミングは特に注意しましょう。

間引きを1回で済ませる作業時期

作業の効率化のため、間引きを1回で済ませたい場合には、本葉が2~3枚になったタイミングで、除草作業と同時に行うとよいでしょう。

ただし間引きを実施すると肥大が加速して、実割れの原因となる場合があります。肥料を調整するなどの対策を取るようにしましょう。

カブ栽培の省力化

カブ 機械化

StockStudio/PIXTA(ピクスタ)

1. 播種機を使って間引き作業を省略

播種時に一定の株間隔を確保してしまうことで、間引き作業を省略している農家もあります。この場合は粒揃いがよく、発芽率の高い品種を選ぶことが大切です。

例を挙げると、夏播き品種の小カブ「碧寿」を栽培している農家では、露地栽培で播種機の「クリーンシーダー」を用い、条間隔15cm・株間隔を12~13cmにして、1粒落としで播種しています。この方法ならば、間引きの必要がありません。

出典:武蔵野種苗園「武蔵野交配「碧寿」小カブを生産して」

2.施肥~畝立ての同時作業

富山県の産地では、「耕うん同時作業機」を使った大カブの栽培に取り組んでいます。

この取り組みでは水田転換畑を有効活用するため、耕うん同時作業機を用いて、「施肥・根こぶ病防除のための農薬散布・耕うん・畝立て」という4つの工程を、1回で行っています。

この方法を用いた背景には、水稲の収穫時期とカブの播種作業時期が重なることや、畝立てなどの時期の天候が不安定になりやすいことが挙げられます。

丸一日晴天の日があれば、播種前の準備が完了するので、タイミングを見極めながら計画的な播種が可能になります。同時に播種機を使えば、間引き作業の省力化にもなり、さらに生産効率がアップします。

出典:富山県農林水産総合技術センター園芸研究所「大カブ規模拡大のための畝立て・播種時の省力栽培技術の開発」

カブは、栽培がやや難しい野菜ともいえますが、適切な間引きの時期を見極められれば、品質のよいカブの栽培は可能です。
省力化事例を参考にしながら省力化と良品率の向上の両方を目指しましょう。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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