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黒曜石パーライトの使い方は?種類と効果、目的に合わせた使い方を解説

黒曜石パーライトの使い方は?種類と効果、目的に合わせた使い方を解説
出典 : ERI / PIXTA(ピクスタ)

土壌改良資材の1つである黒曜石パーライトは、「パーライト」「ビーナスライト」などの商品名で売られています。しかし、農業資材専門店には異なる種類のパーライトや似た名前の資材もあって、違いがわかりにくいのではないでしょうか。そこでこの記事では、黒曜石パーライトの基礎知識や効果、使い方について解説します。

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農業で最も大切なことの1つが土づくりです。土壌の状態は、作物の質や収量にも影響します。

よい土とは、水をよく通すために(透水性)水はけ(排水性)と水もち(保水性)のバランスがよく、有機物を適度に含んだ肥えた土と言えるでしょう。そこで土壌の構造を改善するために使われるのが土壌改良資材です。

この記事では代表的な土壌改良資材の1つである黒曜石パーライトについて、他の資材との違いも含めて解説します。

黒曜石パーライトとは

黒曜石パーライトを説明する前に、主な土壌改良資材の種類と効果について触れます。

土壌改良資材とは

その名のとおり、土壌を改良するもの全てを言います。

肥料の目的が作物に養分を与えることであるのに対し、土壌の通気性や保水性を改善したり微生物を増えやすくすることで、土壌の構造や環境を整え作物の生育に適した状態にするのが土壌改良資材です。

ただし中には堆肥など、土壌改良資材と肥料の両側面を持つ資材もあります。

土壌改良資材には、鉱物などを加工して通気性・保水性などの役割を持たせたものや、動植物またはそれに由来する有機物を堆積・発酵させたものなどがあります。

また、何か1つの効果しかない、というものより、例えば保水性と保肥力の改善、通気性と排水性の改善など複数の効果を併せ持つものが多くあります。

主な土壌改良資材と期待される効果を下記の表にまとめました。土壌改良の目的によって使い分けます。

主な土壌改良資材と期待される効果

出典:農林水産省「土壌改良資材品質表示基準(平成12年8月31日)」よりminorasu編集部作成

パーライトとは

パーライトはガラス質の火山岩を高温加熱し、急激に水分を蒸発させて作られたものです。岩の内部に含まれる水分が蒸発して気体になるため、水分のあった部分が空洞になり多孔質の構造になっています。

多孔質のため軽く、空洞部分に水や空気を含むので、排水性や保水性、通気性を改善します。

黒曜石パーライトと真珠岩パーライトの違い

パーライトには黒曜石から作られるものと真珠岩から作られるものの2種類があります。

火山岩を加熱して作る過程や見た目は似ており、通気性を改善する効果も共通していますが、大きな違いは黒曜石は「水はけ(排水性)をよくする」ために、真珠岩は「水もち(保水性)をよくする」ために使われる点です。

黒曜石は真珠岩よりも含まれる水分量が少ないため、製造時の加熱の過程で内部には小さな空洞がいくつもでき軽石のような形状になります。このため排水性と通気性に優れ、水はけが悪い粘土質の土壌の改善などに使われます。

一方、真珠岩は含まれる水分が多いため、製造時の加熱の過程で水分が膨張してスポンジのような多孔質構造になり、より内部まで水が染み込む形状になります。このため保水性に優れるという特徴があります。砂質分が多い土壌などの保水性を高めるために使われます。

黒曜石パーライトの使い方

黒曜石パーライトの利用場面と効果、使い方を見ていきましょう。

黒曜石パーライトの用途と効果

黒曜石パーライトは、「土壌の水はけが悪い」「根の発育が悪い」といった場面で利用します。

土壌の水はけ(排水性)や通気性がよくなると根が酸素を取り込みやすくなり、根腐れ防止の効果を生みます。また土中の微生物の活動が活発になるため、植物の生育も促進されます。

黒曜石パーライトは土壌の排水性や通気性を改善する

ヒトネコデザイン研究所 / PIXTA(ピクスタ)

黒曜石パーライトの使い方

土に入れるタイミングは作物によって異なりますが、次の作付前の耕起時が一般的です。

野菜類や花きでは作条施用(注)、果樹では植穴施用が一般的です。

(注)畝または畝間に溝を作り、そこに肥料などを施し、土と混和または土を埋め戻す施用方法

施用量は作土の1~2割がよいとされています。野菜類などの作条施用では10a当たり300~900L、果樹では定植時の植え穴に30~40Lずつが目安です。

※この施用量は一般例です。施用の際には土壌診断を行い、作物に適した量を検討してください。

黒曜石パーライト使用時の注意点

黒曜石パーライトは園芸用土の軽量化にも使われるほど軽くて水に浮きやすいため、灌水量が多いとパーライトだけがほ場の地表面に浮き上がってくる場合があります。

また、量を入れすぎると土全体が軽くなってしまい、作物自体が浮き上がってくる可能性もあります。適量(作土の1~2割程度)を守り、土によく混ぜて施用してください。

黒曜石パーライトの購入方法

購入先はJAや農業資材専門店のほか、ホームセンターやネット通販でも取り扱っています。商品名は「ビーナスライト」「ホワイトローム」「パーライト」などですが、パーライトには真珠岩性のものもあるので、購入時によく確認するようにしてください。

価格は10~20Lで600~1,400円、50Lで3,000~4,000円程度が相場です。重量は50Lで5~7kgが目安です。粒が小さいほど土に混ぜやすいですが、その分価格は高くなります。

通販でも購入できますが、初めての場合は、JAや農業資材専門店などで土壌改良の目的に合ったものを相談・確認して購入することをおすすめします。

【用途別】土壌改良資材の選び方

前述したように土壌改良資材にはさまざまな種類があり、目的に応じて数種類を混ぜて使うこともよくあります。

例えば、黒曜石パーライトとバーミキュライトを混用する、堆肥を入れた後にパーライトを入れる、といった使い方をします。

記事の補足として、土壌改良資材の選び方を目的別に紹介しますので、資材選びの参考にしてください。

※それぞれの資材には複数の土壌改良効果がありますが、この記事では「政令指定土壌改良資材の用途」をもとに補足を加えました。

排水性・保水性の改善

水はけ(排水性)や水もち(保水性)をよくする土壌改良資材には、パーライトのほか、バーミキュライトや木炭があります。

バーミキュライト

バーミキュライト

エジ / PIXTA(ピクスタ)

バーミキュライトは名前も用途もパーライトと似ていますが、日本や中国、オーストラリアなどで採取される「苦土蛭石(くどひるいし)」が原料で、これを高温で焼き細かく砕いたものです。

多孔質でその孔げき率(注)は9割以上と高く、土壌の透水性の改善に用いられます。また、空気や水分、肥料を貯めておける構造なので保水性・保肥力の改善効果も期待できます。

(注)岩石、土壌などにおける総体積に対する隙間の体積割合

木炭

木炭は、木くずを低温でじっくりと蒸し焼きにして作られます。微細な穴が無数にあるため、透水性・排水性・通気性がよく、土壌を膨満にする(軟らかくふかふかにする)効果が期待できます。

保肥力の改善

保肥力を改善する資材には、堆肥、ピートモス、ゼオライトなどがあります。

堆肥

堆肥はよく知られているとおり、植物残さ(わらや枯れ葉など)や動物由来の有機物(鶏糞、牛糞など)を堆積させ、微生物の働きで発酵させたものです。土中の有効な微生物が増えるので土が軟らかくなり、保肥力・保水性を改善します。

ピートモス

ピートモス

エジ / PIXTA(ピクスタ)

ピートモスは水苔などが堆積し腐植化した泥炭を脱水・粉砕したものです。土壌の保肥力・保水性を高め、土壌を膨軟にする効果があります。

ゼオライト

ゼオライト

東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)

ゼオライトは火山灰が固まってできた岩石です。加熱すると岩石内部の隙間から空気や水分が出てくるため沸石(ふっせき)とも呼ばれます。

微細な穴にさまざまな成分を吸着するため、保肥力に優れ、通気性も改善します。天然のほか、石炭灰などを加工した人工ゼオライトも普及しています。

土壌酸度(pH値)の調整

土壌酸度(pH値)の測定

だいち ゆうと / PIXTA(ピクスタ)

多くの作物は中性から微酸性の土壌を好みますが、降雨や作物の栽培自体によってより酸性に傾きやすくなります。そこで次の作付の前に土壌酸度(pH値)の調整が必要になります。

pH値の調整には、苦土石灰などの肥料が使われることが多いのですが、土壌改良資材ではゼオライトや、無調整のピートモス(注)が使われます。

ゼオライトは自身が塩類を含んでいるので、緩やかな酸度調整に役立ちます。

ピートモスを酸度調整に用いる場合は「無調整」(注)のものを使用します。

(注)無調整のピートモスは強い酸性ですが、市販のものの多くはph6.0程度の微酸性に調整されています。

ゼオライトの散布

東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)

黒曜石パーライトの特徴と使い方、補足として土壌改良資材の選び方を紹介しました。

土壌改良資材は肥料のような即効性はないものの、作物が生長する環境を整え、土壌の状態を徐々に改善するのに役立ちます。

栽培する作物や土壌の状態によって適するものを選び、作物がよく生長する土づくりに役立ててください。

土壌改良資材についてはこちらの記事もご参照ください。

土壌改良資材の特性を知って土づくりに役立てよう!

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柳澤真木子

柳澤真木子

父の実家が農家で母も生活協同組合を活用していたことから、農業や食料に関心を持ち、 大学卒業後の5年間をJAの広報部門で、以後5年を食品小売会社の広報として働く。 消費者向け農業メディアの企画執筆経験や、JAグループ・農林水産省の広報紙の記事執筆経験がある。 その後、出産・育児を経て、2019年からライターとして活動を開始。 ライフスタイル、ヘアケア、農業など複数ジャンルでの記事執筆を手がけている。

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