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休耕畑の雑草対策!作業負担を軽減しながら地力を維持する除草のコツ

休耕畑の雑草対策!作業負担を軽減しながら地力を維持する除草のコツ
出典 : テラス / PIXTA(ピクスタ)

休耕畑は、耕作放棄地とは異なり、数年後に作付けを再開する意思のある畑のことを指します。そのため畑の状態をできるだけ良好に保つ必要があります。本記事では、できるだけ省力・低コストで雑草を防除するにはどうすればいいのかについて解説しています。

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休耕畑に雑草が茂ると土壌にダメージを与え、近隣の田畑とトラブルを引き起こす原因にもなります。しかし、休耕畑の除草に時間やコストをかけるのは避けたいもの。省力・低コストでできる休耕畑の除草対策について紹介します。

休耕畑の雑草、放置するとどうなる?除草を怠ったとき発生する問題

ススキや雑草が繁茂する耕作放棄地

大地爽風/ PIXTA(ピクスタ)

休耕畑とは?

休耕地・休耕田・休耕畑という言葉をよく見聞きしますが、厳密な定義はありません。

過去に耕作していたけれど、さまざまな事情から現在耕作していない土地について、農地法では「遊休農地」、農林業センサスの用語では「何も作らなかった田」「何も作らなかった畑」「耕作放棄地」としています。

「耕作放棄地」や「遊休農地」を活用するための地方自治体などの施策では、これらを休耕地・休耕田・休耕畑と呼んでいる場合もありますし、農林業センサスの「何も作らなかった田」「何も作らなかった畑」をさす場合もあります。

本記事では、さまざまな事情から現在は耕作していないものの、数年のうちに作付けする意思がはっきりしている土地で、樹園地・水田だったもの以外を「休耕畑」として取り上げます。(主に農林業センサスにおける「何も作らなかった畑」が該当します。)

農地の分類

農地の分類
出典:農林水産省「荒廃農地の現状と対策について(令和2年4月)」「農地法に基づく遊休農地に関する措置の概要」「農林業センサス等に用いる用語の解説」「令和元年 耕地及び作付面積統計」「平成30年農地の利用状況調査」「令和元年の全国の荒廃農地面積」「2015年農林業センサス」よりminorasu編集部作成

農地法による分類:

(注1)2号遊休農地:利用の程度が周辺の地域の農地に比べ著しく劣っている農地
(注2)1号遊休農地:現に耕作されておらず、かつ、引き続き耕作されないと見込まれる農地

農林業センサスによる分類:

(注3)何も作らなかった田・畑: 災害や労働力不足、転作などの理由で、過去1年間全く作付けしなかったが、ここ数年の間に再び耕作する意思のある田・畑
(注4)耕作放棄地:以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする意思のない土地

休耕畑に起きるトラブル

休耕田・休耕畑は、耕作する意思がなく放棄された耕作放棄地や荒廃農地などと違い、数年後にまた作付けをするために、畑としての地力を維持しなければなりません。作付けの再開間近まで放置してしまうと、わずかな間に雑草が繁茂し、多くのトラブルを引き起こします。

雑草を放置すると、すぐに害虫が発生します。ガの幼虫など植物を食い荒らす昆虫やアブラムシ類など草や実を吸汁する昆虫が大量発生して近隣の田畑に飛んでいき、害虫被害が広がります。

また、雑草が細菌やウイルスの温床となり、近隣の田畑の作物をはじめ、庭木や菜園など多くの植物に病害を伝染させてしまう危険もあります。

雑草以外にも、チャドクガやイラガ、蚊やアブ、マダニなど、人体に有害な昆虫やダニ類などが発生して、近隣住民とのトラブルに発展しかねません。自分の土地だけでなく周囲をも巻き込んで大きな被害をもたらす可能性があるので、休耕畑の除草は欠かせない作業です。

また、雑草は土壌中の水分や栄養分を吸収するので、繁茂すれば土中の養分が不足し、地力が低下します。地力を保つためにも、雑草対策は重要です。

負担をかけずに地力を維持する、休耕畑に有効な4つの雑草対策

トラクターによる除草剤散布

Anesthesia/ PIXTA(ピクスタ)

除草剤の散布や草刈りなど、除草は農作業の中でも特に時間と労力を費やす作業です。別の場所で農業を営みながら休耕畑の管理をしているのであれば、なおさら効率よく雑草防除を済ませたいものです。

ここでは、負担を軽減できる4つの雑草対策とそれらのメリットについて解説します。

酸性土壌は雑草の楽園?! 雑草が生えにくくなる土作り

雑草対策で重要なことは、まずは雑草が生えにくい土壌環境にすることです。雑草のなかでも、オオバコやスギナなど防除が難しい雑草は、酸性で排水性の悪い粘土質の土を好む傾向があります。雑草が生えにくい土壌環境とは、この逆を意味します。

雨は酸性であるため、土壌は放っておくとだんだん酸性に傾きます。そこで、土壌のpH値を定期的に測りながら適量の石灰を散布して、雑草の生えにくい中性~弱アルカリ性に保つとよいでしょう。

ただし、雑草の種類によっては必ずしも酸性寄りを好むとは限らず、中性を好むものもあります。作物を作付けていたときに多発していた雑草や、休耕してからの状況をみて判断してください。

広い休耕畑の雑草対策には「除草・防草シート」がおすすめ

除草シートを施した休耕地

田舎の写真屋/ PIXTA(ピクスタ)

除草シートとは、雑草の生長に必要な太陽光を遮断することで、雑草が生えないようにするシートです。シートを土の上に敷くだけで対策が完了し、シートが物理的に破れたり剥がれたりするまで、何年も防草できます。

シートを購入するだけで対策でき、定期的な作業も不要なため広い休耕畑でも作業時間やコストを大幅に軽減できます。

農地に適した、幅4m・長さ100mのサイズがあり、屋内約7年・屋外約5年と耐久性に優れています。織込布で透水性が高いので、雨が降っても水が溜まる心配はありません。

クローバーなどのグランドカバープランツで地力の増強をめざす

グランドカバープランツの1つ クラピア

田舎の写真屋/ PIXTA(ピクスタ)

グランドカバープランツとは、地表を這うように広がる「匍匐(ほふく)性」という性質を持つ植物のことです。農地だけでなく公園や住宅地などの景観や雑草対策、堤防や開拓の法面補強、都心のビルの壁面緑化、ガーデニングなど幅広い場所で、最近注目されています。

グランドカバープランツには、ハーブの一種のタイムや、日本生まれのクラピア、公園や河川敷にも使われるクローバー、観賞用として有名なシバザクラなど、多くの種類があります。

花や葉の美しいものは景観用、土壌流出防止や法面の崩壊防止など役割はさまざまで、いずれも背丈が低く地表を密に覆い土壌中にある種の発芽を抑制することができる点が特徴です。

中でも、クローバー、特に赤い花のクリムゾンクローバーなどマメ科の植物は、窒素成分豊富な緑肥でもあり、休耕畑を含む農地のグランドカバープランツに向いています。

草刈りは「根を残す」のがポイント!

草刈り機による除草

all2014 / PIXTA(ピクスタ)

手作業で草刈りができる範囲の休耕畑であれば、根を残して刈る方法がおすすめです。根を残すことで、休耕畑の土壌が硬く締まったり、畦畔の場合は崩れたりするリスクを抑制できます。

生長点が高いところにある広葉雑草の場合は、草刈り機の刃を土に入れるように動かして刈り取る「地際刈り」を行います。

生長点が低いところにあるイネ科などの雑草の場合に地際刈りを行うと、生長点が刺激されてかえって繁茂してしまうため、地表から10~15cmの位置で刈り取る「高刈り」のほうがよいといわれています。

休耕畑の管理は、作付け再開をスムーズに進めるために、そして近隣の農地や住宅に迷惑をかけないためにも、省力化を図りながら適切な雑草の管理を行ってください。除草シートやグランドカバープランツを活用するのもよい方法です。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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