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eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)とは? その概要・目的から使い方までをわかりやすくご紹介!

eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)とは? その概要・目的から使い方までをわかりやすくご紹介!
出典 : DREAMNIKON / PIXTA(ピクスタ)

農業への新規参入を検討する人にとって、高いハードルの1つが農地の確保でしょう。知らない土地で求める条件に合った農地を探すのは非常に困難です。そこでぜひ活用したいのが、インターネットで農地情報を得られる「eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)」のサービスです。

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インターネット上で農地情報を検索できる「eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)」をご存じでしょうか。全国の農地を地図上に表示し、さまざまな条件で絞り込むことができる便利なシステムです。そのシステムの目的や概要、便利な使い方などを詳しく紹介します。

農地の拡大をめざすならぜひ使いたい! 「eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)」とは?

全国から農地を探す

すってぃ / PIXTA(ピクスタ)

どういうシステム? eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)の概要

「eMAFF農地ナビ」と呼ばれる農地情報公開システムは、農地法に基づいて、農地情報を地図情報とともに公表しているインターネットサイトです。

誰でも無料で利用でき、パソコンやタブレットなどを使って全国の農地情報を閲覧したり、目的によって絞り込んだりすることができます。登録や入会の必要はありません。

農地の所在や面積、地目などの農地情報は、もともと市町村とその行政の農業委員会が整備する農業台帳にまとめられていました。

2014年の農地法改正により、この農地台帳に記載された情報の一部と地図を公表することが、市町村および農業委員会に義務付けられました。


この改正以降、市町村や農業委員会から委託を受けた「全国農業委員会ネットワーク機構(一般社団法人全国農業会議所)」が、eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)サイトの運営・管理を行っています。

同機構はもともと農業全般に関する調査や情報収集・情報提供を行い、農業を志す人や企業を支援する組織で、サイトには就農の事例集や就農に必要な手続きなどの情報も満載です。

eMAFF農地ナビでは、衛星画像の地図に重ねてほ場区画の境界線をポリゴン(多角形)で示す「筆ポリゴン」や、各農地の登記簿上の⼟地区画の重心を示す「農地ピン」を表記してあり、視覚的に位置を確認できます。

さらに、その位置情報をクリックすることで、そこに紐づけられた農地台帳の記載情報の一部が表示されます。

eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)が整備された目的

意欲のある若い農家

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

eMAFF農地ナビが整備された背景の1つに、農林水産省の農地集積・集約化の推進があります。農地集約化の目的は、農業の維持と生産力の拡大です。

日本の農業の担い手は年々減り続け、人手不足は深刻化する一方です。また、農地も工場用地や宅地などに転用されたり耕作放棄により荒廃農地になったりして年々減少しています。

将来、世界規模の食糧難が懸念される中、農業の維持・活性化と食料自給率のアップは不可避の課題として取り組まなければいけません。

出典:農林水産省「農地の集積・集約化に向けた農地中間管理機構の整備」

その有効な手段として、農地集約化・大規模化で、大型農機の導入を促進して効率的に収量を上げることが期待されています。そのためには、耕作放棄地の有効活用や意欲のある若い農家や企業に農地を集約することが重要です。

新規参入や耕地面積の拡大をめざす農家がより簡単に希望する農地を探せるように、eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)ではクラウドシステムを活用し、全国一元的にデータを整備しています。

【豆知識】農地ナビでも使われている「筆ポリゴン」って何?

入り組んでいるほ場区画境界線

K@zuTa / PIXTA(ピクスタ)

農地ナビで使われている「筆ポリゴン」とは、農林水産省が作成し提供する、ほ場区画の境界線を示すデータです。

まず、全国の土地を北海道は400メートル四方、それ以外は200メートル四方の区画に分けます。その中で耕地を含む約290万区画について、衛星画像など土地の形がわかる画像をもとに、農地を筆ごとの形状に沿って多角形の線で表した区画情報が筆ポリゴンです。

つまり、筆ポリゴンは農地の位置情報を大まかに把握するための参考として画面上で作られた情報で、測量をもとに作られた正確な土地の筆界を示すものではありません。そのため、実際の位置とずれてしまうこともあります。

とはいえ、インターネット上のマップで衛星画像にほぼ重なり、現地を見に行かなくても農地の大きさや形状のほか、周囲の環境などもある程度知ることができる有用なデータです。

筆ポリゴンの元データは農林水産省がオープンデータとして提供しており、誰でもダウンロードして使うことができます。

個人経営の農家も、データを活用して自分や地域の農地の位置確認をしたり、耕作・栽培管理や耕地拡大などのプランニングをしたりなど、営農プラン作りに役立てられるでしょう。

出典:農林水産省「農地の区画情報(筆ポリゴン)の提供」

農地情報を簡単入手!eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)でできること

農地ナビののイメージ

and4me / PIXTA(ピクスタ)

eMAFF農地ナビは、全国の農業委員会が現地で丁寧に調査し作成した農業台帳に記載されたデータの一部を、インターネットを使って無料で誰でも閲覧でき、全国から希望に合う農地を探すことができる点が大きな魅力です。

しかも、面積や遊休農地かどうかといった土地の条件的な情報だけでなく、農地を貸したいか、売りたいかなど所有者の意向もわかります。

希望の農地を探す際には、地域が決まっている場合は地図や地番から農地を絞り込むことができますし、地域を限定せず、地目や面積、所有者の意向(貸したいか、売りたいかなど)、遊休農地かどうかなどの条件で絞ることもできます。

就農や農地の拡大を考えている人にとっては希望の農地を探す際に役立つほか、知らない土地の農地を相続した場合にも、地番さえわかれば簡単に地図上の位置や周りの様子、農地の条件を知ることができます。

具体的な活用方法は?eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)の使い方

それでは、実際のeMAFF農地ナビのホームページから「地図から探す」「条件から探す」それぞれの方法で農地を絞り込む手順を見てみましょう。

希望の農地が一目で見つかる! 「地図から探す」方法

地番や大体の場所がわかっている場合は、eMAFF農地ナビのトップページ右上のハンバーガーメニューで、「地図から探す(ホーム)」をクリックします。

すると、日本地図と都道府県名が列記されているので、希望する都道府県を選択、さらに市区町村名、大字と選択していくと、該当する地域の地図が表示されます。そこに、筆ポリゴンや農地ピンが重ねて表示してあります。

地図は、航空写真(衛星画像)と地形図に切り替えることもできるので、見やすい形で表示しましょう。

また、地図の右側に「ラベルの設定」「色分けの設定」のメニューがあり、ラベルの設定をすると農地ピンにカーソルを合わせたときに設定をしたラベルが表示されたり、地目や面積など設定した項目によって農地ピンが色分けされたりします。これらの機能を活用すれば、より希望の条件の土地が見つけやすくなるでしょう。

細かい希望も指定可能な「条件から探す」方法

次に、条件から農地を探す方法を簡単に紹介します。

同じくeMAFF農地ナビのトップページのメニューから、「条件から探す」をクリックします。

すると入力フォームが表示されたページに遷移する ので、「所在・地番から検索」するか「地目・面積から検索」するかを選択し、すべての条件を入力したら検索ボタンを押します。

この方法では、場所や面積だけでなく、例えば「遊休農地かどうか」や「農地に対する所有者の意向」などから条件を絞り込んで検索できるため、「1年以内に借りられる農地が知りたい」「なるべくまとまった場所にある遊休化している農地を借りたい」「現在も耕作されている農地を借りたい」など、より具体的な要望に合う農地を探せます。

条件設定でピンの色が変えられる「農地ナビシミュレーション」

地域が絞り込めれば「農地ナビシミュレーション」を実行できるようになります。「面積」「地目」「所有者の意向」「遊休農地かどうか」などの条件設定で、その条件に合う農地ピンが色分けされるので、希望の農地がより見つけやすくなります。

※使い方の詳細はこちらをご覧ください。
eMAFF農地ナビ「農地ナビシミュレーションとは」

この機能により、例えば自分が住んでいる地域周辺の農地情報を視覚的に知ることができ、広さや地目など自分の探している条件に合った近くの農地を簡単に見つけられます。

農地ナビでは、自分が住んでいる地域の農地情報を知ることもできる

t.sakai / PIXTA(ピクスタ)

日本ではこれまで、新たな農地を入手することは非常に困難でした。しかし、eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)を活用することで、誰にでも気軽に希望の条件に合う農地を探すことができるようになり、農業への新規参入や耕作地拡大がよりしやすくなっています。便利なシステムを積極的に活用し、農地の集約化、規模拡大をめざしてみましょう。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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