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【2020年版】農業の市場規模調査の最新データから見る日本の農業経営の実態

【2020年版】農業の市場規模調査の最新データから見る日本の農業経営の実態
出典 : i-flower / PIXTA(ピクスタ)

農林水産省が公表している「令和3年農業構造動態調査結果」のデータをもとに、日本の農業経営の実態と今後の展望について解説する記事です。農業経営体が減少するなか、近年では法人化と営農規模の拡大が進んでいます。スマート農業の普及も相まって、今後は少数精鋭での農業経営が進んでいくと予想されます。

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自営で農業を始める人は平成27年度をピークに減少していますが、法人などに雇われる農業従事者は年間1万人前後で推移しています。農業経営の法人化や農作業の機械化やICT技術の進展に伴い、1農業経営体あたりの農地面積や農産物販売金額も増加傾向です。農業経営に関するデータを数字で確認していきましょう。

全国の農業経営体数とは?全体で減少するなか法人化が加速

農業 法人化

NOV / PIXTA(ピクスタ)

2021年2月時点での農業経営体数は103万0,900経営体で、前年度と比べて4.2%減少、2017年度と比べると18%減少しています。

一方、法人経営体は3万1,600経営体で、2017年度と比べて約30%増加しました。法人別にみると農事組合法人が7,500経営体、株式会社や合同会社といった会社法人は2万0900経営体でした。なお、団体経営体には法人のほか、農協や法人化していない団体も含まれます。

農業経営体の推移

農業経営体数個人経営体団体経営体(うち法人経営体)
2017年125.8万122.3万3.5万2.2万
2018年122.1万118.5万3.6万2.3万
2019年118.9万115.3万3.6万2.3万
2020年107.6万103.7万3.8万3.1万
2021年103.1万99.1万4.0万3.2万

主に自営で農業に従事している人(基幹的農業従事者)は2021年2月時点で130万2100人、農家や法人・団体に雇われて農業に従事する人は14万7,700人で、ともに前年度より減少しています。

農業労働力

基幹的農業従事者常雇い数(※)
2017年150.7万人24.0万人
2018年145.1万人24.0万人
2019年140.4万人23.6万人
2020年136.3万人15.7万人
2021年130.2万人14.8万人

(※)農業経営のために、7ヶ月以上の期間を定めて雇った人の数

出典:農林水産省「令和3年農業構造動態調査結果」(令和3年2月1日現在)

したがって、自営で農業に従事する人が減っているなかで農業経営体の法人・団体化が進んでおり、組織的な農業経営が定着しつつあるのが現状です。

農地の面積は農業経営体の半数以上が「1ha以上」

広い農地

YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)

経営耕地面積規模別の経営体数(2021年)

北海道構成比都府県構成比
1ha未満0.3万8.7%53.1万53.3%
1~5ha未満0.4万12.8%38.7万38.8%
5~10ha未満0.4万11.0%4.5万4.5%
10~20ha未満0.6万17.4%2.1万2.1%
20~30ha未満0.5万14.0%0.6万0.6%
30ha以上1.2万36.0%0.7万0.7%
合計3.4万100.0%99.7万100.0%

出典:農林水産省「令和3年農業構造動態調査結果」(令和3年2月1日現在)

経営耕地面積の規模別でみると、全国の農業経営体のうち約半数が1ha以上の耕地面積で農業を経営しています。一方、北海道では10ha以上の耕地面積を持つ農業経営体が約7割で、50ha以上の耕地面積で経営する農業経営体も約6.5%あります。

都府県では5ha以上の耕地面積を持つ農業経営体数が増えており、10~20haの耕地面積を持つ農業経営体が前年度と比べて5.1%増えました。また、北海道では100ha以上の耕地面積を持つ農業経営体が21.4%増えました。

1農業経営体あたりの経営耕地面積

北海道都府県全国
2010年23.5ha1.6ha2.2ha
2015年26.5ha1.8ha2.5ha
2020年30.2ha2.2ha3.1ha
2021年30.8ha2.2ha3.2ha

出典:農林水産省「2020年農林業センサス結果の概要」

1農業経営体あたりの経営耕地面積も年々増加傾向で、2010年と比べると全国で約30%増、北海道だけでみると約35%増となっています。後継者不足の問題を解決する方法の一つとして、近年では農業でもM&A事例が出始めており、農業経営の集約化が年々進んでいると考えられます。

農産物販売金額は年間1,000万円以上の層が増加

農業 収支

artswai / PIXTA(ピクスタ)

農産物の販売金額規模別でみると、年間100~500万円未満の農業経営体が全体の約3割ですが、販売金額が1,000万円以上規模の事業体が前年度よりも増えています。特に、5,000万円~1億円の層と1億円以上の層では約6%の伸び率です。

農産物の販売金額規模別の経営体数(2021年)

経営体数構成比増減率
50万円未満35.5万34.5%-7.6%
50~100万円未満17.0万16.5%-3.4%
100~500万円未満28.7万27.8%-3.1%
500~1,000万円未満8.8万8.6%-3.8%
1,000~3000万円未満8.7万8.5%1.5%
3,000~5,000未満2.1万2.0%4.0%
5,000~1億円未満1.4万1.3%6.1%
1億円以上0.8万0.8%6.3%

出典:農林水産省「令和3年農業構造動態調査結果」(令和3年2月1日現在)

農産物販売金額1位の部門別農業経営体数の構成割合

部門2020年2021年
稲作55.5%54.6%
果樹類13.2%13.3%
露地野菜10.7%10.8%
施設野菜6.2%6.6%
畑作(※1)5.6%5.5%
肉用牛2.9%2.9%
酪農1.3%1.4%
その他(※2)4.7%4.8%

※1 麦類作、雑穀・いも類・豆類、工芸農作物
※2 その他の作物・畜産
出典:農林水産省「令和3年農業構造動態調査結果」(令和3年2月1日現在)

農産物販売金額1位が稲作の農業経営体が1.1%減少していますが、他の部門では概ね横ばいです。農業経営体のうち約8割が単一部門で経営している一方、販売金額がなかった経営体も約8万事業体でした。

技術導入も進展。特にドローンによる農薬散布ソリューションとロボット農機が普及

農業 ドローン

kazuki / PIXTA(ピクスタ)

農機具などの各種機器の性能向上や新技術の開発をはじめ、インターネット・モバイル通信網の高速化に伴い、農業への先端技術の導入が進み始めています。作物の栽培データを活用し、低コストで収量の最大化を目指す「精密農業」という考え方も登場しました。

株式会社矢野経済研究所のプレスリリース(2021年1月18日)によると、スマート農業の国内市場規模は2019年度で約180億円ですが、2026年度には500億円市場への成長が見込まれています。特に、経営支援・販売支援といった、農業の高収益化を目指すシステムを導入する農家が大幅に増えるでしょう。

2019年以降、水稲栽培におけるドローンでの農薬散布が本格的に普及しており、野菜・果樹農家での播種や肥料散布への応用も期待されています。リモートセンシングによるほ場管理の最適化技術の研究も進んでおり、将来的には少ない人数で広大な面積のほ場を管理できるようになるでしょう。

さらに、農業データ連携基盤(WAGRI)の運用も2019年4月からスタートしており、2021年度からはソフトや農業用機械などを共通のプログラムでつなぐAPIも整備されます。環境計測システムとともに自動運転のトラクターやロボット農機などの普及も進むでしょう。

WAGRIと連携した農業情報基盤「RightARM(ライトアーム)」の実証プロジェクト

WAGRIと連携した農業情報基盤「RightARM(ライトアーム)」の実証プロジェクト
出典:株式会社PR TIMES(テラスマイル株式会社 ニュースリリース 2020年5月27日)

農業従事者の減少に伴って専業農家は年々減少している一方で、法人や団体が農業を営む事例が増えてきました。会社法人化する農家も2017年と比べると約3割増えています。営農規模や収益の伸びも、大規模農家ほど大きくなる傾向です。

農業用ドローンやほ場管理システムといったスマート農業への取り組みもスタートしました。初期投資は高めですが農業従事者の減少対策につながるだけでなく、作業の効率化や安全性の向上、さらには収益向上にもメリットを発揮するでしょう。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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