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静岡県で農業を始めるには? 地域の特徴と、活用できる補助制度

静岡県で農業を始めるには? 地域の特徴と、活用できる補助制度
出典 : まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

静岡県の農業は、温暖な気候と大都市への近接性が特徴です。本記事では、静岡県での新規就農を検討している方に向けて、農業産出額や農産物、課題、そして活用可能な支援制度を紹介します。

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【静岡県】農業の特徴

静岡県は、温暖な気候と変化に富んだ自然環境を生かして数多くの農産物を生産しており、農業が盛んな地域です。

静岡県の立地の特徴としては、南の海岸線に沿って細長く平野が広がり、北部には、そびえ立つ日本一の富士山や南アルプスなどの3,000mを越える山々が連なることが挙げられます。

また、東京や名古屋のような大都市に近いため、流通面においても地の利があります。

静岡県の耕地は、傾斜地が多く変化に富んでいることが特徴です。耕地面積は県土の7.6%である59,400haで、全国の耕地面積の1.4%を占めています。

静岡県の平均降水量は1,800〜2,300mm前後、年平均気温は15〜16°Cで、全般的に温暖な海洋性気候です。

特に冬期は乾燥して晴天が多く、平地での降雪はほとんどないため、年間日照時間は全国でも上位となっています。冬期でも温暖な気候は、静岡県で多種多様な農産物の栽培が行われている要因の1つだといえるでしょう。

出典:静岡県のJA「県内の農業概況」

【静岡県】農業産出額と有名な農産物

茶畑で茶葉を摘む手

静岡県は全国有数の茶葉の産地
Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)

2,000億円以上、全国15位の農業産出額

静岡県の2022年度の農業産出額は2,132億円で、全国15位です。

静岡県の代表的な農産物としては茶が挙げられ、生茶の農業産出額は鹿児島県に次いで132億円です。これは全体の28%を占めており、全国で2位にランクインしています。生葉と荒茶を合計すると産出額は244億円で全体の31%を占め、全国1位を誇ります。

静岡県内には20を超える茶産地があり、それぞれの地域特性を反映したブランド茶が確立されています。また、淡い緑色の普通煎茶や濃い緑色の深蒸煎茶だけでなく、近年は抹茶原料である碾(てん)茶や紅茶などのような幅広いお茶の生産が行われています。

出典:
農林水産省「令和4年(2022年)農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)」
静岡県「静岡県茶業の現状」

全国シェア上位を占める19品目の特産品

静岡県の代表的な特産品は、茶だけではありません。以下の19品目の農産物が、令和4年(2022年)の農業産出額において全国7位までにランクインしています。

全国1位

  • わさび
  • ガーベラ

全国2位

  • チンゲンサイ
  • セロリ・ばら・みかん・観葉植物(鉢)

全国4位

  • レタス・メロン
  • 生姜
  • 花木類

全国5位

  • イチゴ・切り枝

全国6位

  • ジャガイモ(馬鈴薯)

全国7位

  • ネギ
  • 玉ねぎ
  • 里芋

出典:静岡県JAグループ「静岡県のJA|県内の農業概況」

静岡県が茶に加えて、わさび、ガーベラ、みかん、メロン、イチゴなど、多様な農産物を栽培していることが伺えます。

【静岡県】農業の課題と取り組み事例

静岡県での就農を検討しているのであれば、現状を踏まえて将来の見通しを考慮することが重要です。そこで、現在の静岡県の農業が抱えている課題と、その解決へ向けた県の取り組みを紹介します。

傾斜地が多く、大型機械の導入が進まない

山のお茶畑

傾斜地に集まるお茶畑
Satoshi§ / PIXTA(ピクスタ)

静岡県が抱える農業の課題として、まず、最大の特産品である茶の産出額が減少傾向にあることが挙げられます。

静岡県では多くの茶畑が山の斜面や台地といった傾斜地に分散しているため、大型機械の導入が難しいという問題があります。このことが、茶の産出額減少の一因と考えられています。

静岡県ではこの対策として、乗用型茶園管理機を効率的に稼動できるように、中心的な担い手に農地を集約する整備を進めています。また、分散茶園を効率的に管理できるよう、スマート農業技術を推進しています。

さらに、先端技術を活用した研究開発にも注力しており、これから茶園の農作業の効率化が続々と実現する可能性があります。

全国的な「高齢化・担い手不足」の影響も

担い手の減少や高齢化問題は日本農業の大きな課題であり、静岡県も例外ではありません。前項で触れた茶の産出額の減少も、担い手不足が要因のひとつになっています。

担い手不足の対策として、静岡県では「静岡県食と農の基本計画(2022~2025)」に基づき、次代を担う農業経営体の育成を進めています。

農林環境専門職大学でプロフェッショナル人材の育成に力を入れているほか、新規就農者や農業経営者への支援を積極的に行っています。

2022年の静岡県の新規就農者301名のうち、非農家出身は253名と8割以上を占めており、学生や社会人を対象としたイベントや就農相談会の実施など、県のさまざまな取り組みが功を奏している傾向が見られます。

出典:
静岡県「令和4年(2022年)度新規就農者の実態調査結果」
静岡県「静岡県食と農の基本計画2022〜2025」

静岡県で農業を始めるには? 活用できる独自の支援制度

新規就農者

静岡県は新規就農者を積極的に支援している
mits / PIXTA(ピクスタ)

先述のとおり、静岡県は農業の課題を解決するべく、新規就農者の支援に力を入れています。

新規就農者が活用できる主な支援制度としては下記のものがあります。

  • がんばる新農業人支援事業
  • 短期農業インターン受入事業
  • 新規就農者育成総合対策(各種補助金)

がんばる新農業人支援事業

「がんばる新農業人支援事業」は、公益社団法人静岡県農業振興公社が行なっている自立就農を支援するための制度です。

この制度を活用することで、新規就農希望者は1年間、指導農家や関係機関から栽培技術と農業経営を実践的に学ぶことができます。

新規就農者が苦労することの多い「農地の確保」「資金の確保」「営農技術の取得」について全面的にバックアップを受けることができ、就農後も指導農家や関係機関から助言を得やすいというメリットがあります。

2006年度から2023年度まで、がんばる新農業人支援事業を活用した研修生269名のうち213名が就農しており、その定着率は98%と、信頼できる実績を示しています。

出典:公益社団法人静岡県農業振興公社「がんばる新農業人支援事業」

短期農業インターン受入事業

「短期農業インターン受入事業」は、静岡県内で農業を始めたい人に対して、短期間の農業体験の機会を提供しています。

がんばる新農業人支援事業が就農を決定した段階で活用できる制度である一方、短期農業インターン受入事業は就農の検討段階で活用できる制度です。

希望する就農方法が独立就農か法人就職かに関わらず、また、就農の規模の大小を問わず活用することができます。対象者は社会人、大学生、専門学校生、高校生と幅広いことも特徴です。

体験日数は、社会人・大学生・専門学校生は3日~7日間、高校生は1日~7日間で、日を空けての体験も可能です。

体験受入先は、県担当者が申込者の希望に合わせて農家や農業法人を選定します。複数の体験受入先で体験することもできます。ただし、同一の受入先で2回以上の研修を受けることはできません。

参加資格は、以下の2点を満たしていることです。

  • 職業としての農業に関心があり、静岡県内で農業への就業を希望していること
  • 義務教育が修了していること

参加費用は無料ですが、旅費、宿泊費、傷害保険料などは自己負担であり、事前の準備が必要です。

出典:静岡県「令和6年(2024年)度短期農業インターン受入事業について」

新規就農者育成総合対策(各種補助金)

「新規就農者育成総合対策」とは、次世代の農業を担う新規就農者を支援する制度です。就農準備から経営開始後まで、資金面と技術面で手厚いサポートがあり、国と地方自治体が連携して実施しています。

全国的に実施されているため、静岡県でも自治体が交付主体となる各種補助金制度を活用できます。

主な補助制度として、以下の3つが挙げられます。

・就農準備資金
就農準備資金とは、次世代を担う農業者をめざす50歳未満就農希望者に対し、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)を交付する制度です。

前年の世帯全体所得が600万円以下などの要件を満たした場合に、研修期間中の最長2年、1人当たり年間最大150万円が交付されます。

・経営開始資金
経営開始資金とは、次世代を担う農業者をめざす50歳未満の就農希望者に対し、就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を交付する制度です。

前年の世帯全体所得が600万円以下などの要件を満たした場合に、経営開始後の最長3年間、一人あたり年間最大150万円が交付されます。

・経営発展支援事業
経営発展支援事業とは、次世代を担う農業者をめざす原則50歳未満の新規就農者に対して、就農後の経営発展のために必要な機械や施設の導入などの取り組みを支援する制度です。

補助対象の事業費上限は1,000万円で、うち国が2分の1、県が4分の1の合計4分の3を負担します。ただし、経営開始資金の交付対象者は補助対象事業費の上限額が500万円となるため、注意が必要です。

具体的な対象事業としては、機械(軽トラックなど汎用機械を除く)や施設導入、家畜導入、果樹や茶の新植・改植、機械などのリース料などが挙げられます。

出典:静岡県「新規就農者育成総合対策(旧農業次世代人材投資事業)(就農準備資金等)」


静岡県は、温暖な気候や変化に富んだ土地環境、大都市に近いという特性を活かし、農業が盛んな地域です。静岡県での新規就農を検討している方は、自身の立場に合う支援制度をぜひ活用してみてください。

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