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白菜栽培をするなら知っておくべき害虫対策

白菜栽培をするなら知っておくべき害虫対策
出典 : sotopiko / PIXTA(ピクスタ)

野菜の栽培において害虫は天敵です。とりわけ白菜は葉が幾重にも重なるため、虫が潜みやすい構造をしており被害に遭いやすいのです。害虫対策をして良質な白菜を栽培することができれば、収量の増加や売上の向上にも繋がります。この記事では、白菜を栽培するうえでの害虫対策について紹介します。

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白菜を栽培する際に最も頭を悩ませられるのが、「害虫」による作物への影響です。できれば害虫が一切つかないような防虫対策を行いたいところですが、白菜は葉の構造上どうしても虫を寄せつけやすく、害虫の発生を完全に防ぐことが難しい野菜といえるでしょう。

そこで今回は、白菜につく害虫の種類や対策方法を知り、できるだけ被害を拡大させずに良質な白菜を生産する方法をご紹介します。

白菜の栽培で避けられない害虫

「害虫」は野菜栽培において避けて通れない存在です。特に白菜を栽培する場合、主に5種類の害虫がしばしば発生します。種類に応じた対策を行い、被害を最小限に抑えることが大切です。

白菜の害虫対策が必要な理由

白菜の栽培において、害虫対策は必要不可欠です。葉を食い荒らされる被害のほか、害虫を経由してウイルスが蔓延する場合もあります。
これらの害虫被害にあうと、出荷できない作物が増え収量が減少します。策を講じないまま翌年も栽培を続けると更に被害が拡大する場合もあるので、害虫対策は必ず行いましょう。

白菜につく害虫の種類

白菜に発生しやすい害虫は主にアオムシ、コナガ、アブラムシ、ヨトウムシ、ダイコンハムシの5種類です。いずれも気候の穏やかな春から初夏、晩夏から秋に大量発生するため、そうした季節には特に注意が必要です。それぞれの特徴や引き起こされる病害についてご紹介します。

アオムシ(モンシロチョウの幼虫)

葉菜類に飛来するモンシロチョウ

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

アオムシはチョウ類の幼虫で体毛のないものを指し特定の幼虫をさすものではありませんが、ここでは、モンシロチョウの幼虫について解説します。

体調は3cmほどで、葉の裏などに隠れながら葉を食害します。対策をしないと葉だけでなく、葉脈以外の株全体が被害に遭ってしまいます。

そのためアオムシが発生してしまった場合には早期の防除が大切です。農薬散布の際は葉裏に十分付着するよう留意して作業します。

コナガ

白菜の葉上のコナガ老齢幼虫(体長8mm)

白菜の葉上のコナガ老齢幼虫(体長8mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

コナガはアオムシとよく似ていますが、蛾の幼虫です。体長は1cmほどと少し小さめです。

コナガは葉の表皮を薄く食べるため、コナガの潜む作物は葉が白く見えるのが特徴です。幼苗期などに大量発生してしまうと、内部まで被害が拡大するため生理障害が起こり、収量が減ります。できる限り早期の防除が必要です。

アブラムシ

アブラムシはカメムシの仲間で、体長は1〜2mmほどととても小さいです。しかし、小さくても1つの作物の葉にたくさん群がるため、発見するのは難しくありません。

アブラムシは作物の葉を食べるのではなく、葉の汁を吸い、同時にウイルスを媒介します。ウイルス自体に効く農薬はないため、有翅のアブラムシの飛来自体を防ぐことが大切です。苗の時期・定植後は、寒冷紗のトンネルをかけるなどしてウイルス感染を防ぎます。

ヨトウムシ

白菜の葉上のヨトウムシの老齢幼虫(体長20mm)

白菜の葉上のヨトウムシの老齢幼虫(体長20mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ヨトウムシとは、漢字で「夜盗虫」と書き、その名の通り夜行性の害虫です。体長4cmほどで、若齢期には緑色をしていますが、成長とともに灰黄~灰黒色などに色が変わるのが特徴です。

ヨトウムシによる被害はとても大きく、短期間で葉脈だけを残してすべてを食いつくされてしまうことも多々あります。葉裏に密集していることが多いため、農薬散布の際は葉裏に十分かかるよう留意して散布します。

ダイコンハムシ

ダイコンハムシ

よっちゃん / PIXTA(ピクスタ)

ダイコンハムシはテントウムシやコガネムシの仲間で、体長4mmほどととても小さく、山際のほ場で発生することが多く、成虫幼虫ともに葉を食害します。

夏場はあまり発生しませんが、本来害虫が発生しにくい冬でも、暖かい日は活動するので注意が必要です。ダイコンハムシの食害は、葉に2〜5mmほどの穴がポツポツと空くことが特徴です。ダイコンハムシも、葉脈だけ残してすべてを食べつくしてしまうため、被害の拡大を防ぐためには早期の防除が必要です。

白菜の害虫対策

白菜 防虫ネット

千和 / PIXTA(ピクスタ)

白菜の害虫対策は害虫の飛来と繁殖を防ぐ予防策と、発生後の早期の防除策に大きく分けられます。

害虫の飛来を防ぐ

多くの害虫は、防虫ネットや寒冷紗で作物にトンネル掛けをすることで、侵入を未然に防除することが可能です。
侵入を防ぐことができれば害虫の産卵を防止できます。産卵により害虫が大量発生してしまうと、そのあとの防除は大変困難になります。未然の防除は最も重要な害虫対策と言えるでしょう。

雑草の繁殖をおさえる

害虫は雑草にも寄生し繁殖するため、雑草を防除し、害虫の生育場所をなくすことが、害虫防除につながります。ほ場周縁での雑草防除には、除草剤の散布が有効です。ほ場内ではベッド(床)自体にマルチングを行って雑草の繁殖をおさえましょう。畝間雑草の防除も重要な害虫対策の1つです。

白菜 農薬散布

天空のジュピター / PIXTA(ピクスタ)

商品価値の高い白菜を栽培するには、害虫対策が欠かせません。本記事で解説した白菜につきやすい害虫の種類や、害虫対策を参考に、質のよい白菜の収量が増やせるように努めていきましょう。

発生してからの農薬散布が主な対策にはなりますが、害虫の飛来を防ぐ対策、ほ場の除草・整備によって、害虫が発生しにくい環境をつくることも重要なポイントです。

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鎌上織愛(かまがみおりえ)

鎌上織愛(かまがみおりえ)

北海道出身。両親は北海道で農業を営む現役の農業者で、自身も幼少期より農作業を行う。農作物はもち米・人参・アスパラガス・とうもろこしを中心に、ハウス一棟を自家菜園として様々な種類の野菜を育成する。現在は食生活アドバイザーとして、ライターなどの執筆活動の傍ら、こどもの食育などに力を入れている。

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