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【牛糞・鶏糞】堆肥施用量の目安と算出方法! 質&収量を上げる土作りとは

【牛糞・鶏糞】堆肥施用量の目安と算出方法! 質&収量を上げる土作りとは
出典 : CRENTEAR / PIXTA(ピクスタ)

味がよく消費者に選ばれる野菜は、作物にとって最適な条件が整っているほ場で育まれます。その土作りに欠かせない成分が堆肥です。そこで、土壌改良の元肥として堆肥を使用しようとしている農家に向けて、牛糞・鶏糞などの家畜ふん堆肥の効果や使用量、化成肥料との使い分け方など、堆肥の基本について紹介します。

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近年、農業分野の発展は凄まじく、野菜の品質が著しく向上しています。その中で消費者に選ばれる野菜を生産するためには、土壌改良は欠かせないステップです。

そこで、土壌改良の元肥として堆肥を検討している農家に向けて、牛糞・鶏糞などの家畜ふん堆肥の種類や使用量、効果的な使い方など、堆肥の重要なポイントについて解説します。

野菜栽培における、よい土の条件

土壌作り 団粒構造

Mac/PIXTA(ピクスタ)

野菜栽培においてよい土壌の条件とは、作物の根がストレスなく伸長し、必要な養分を十分に吸収できる土壌環境が整っていることです。具体的には、通気性や排水性が高く、同時に保水性にも優れ、不純物がなく清潔で有用微生物が多く含まれている、ということになります。

特に土質(どしつ)は重要で、根の伸長範囲を決定する主な要因の1つです。例えば、粘土のように密度の高い土壌は根の伸長を物理的に阻害してしまいますし、サラサラとした軽い土壌は保水性が低く、作物が育ちにくい傾向があります。

野菜栽培では、これらの土質の中間に位置する「壌土(小石を除いた土壌中に粘土をある程度含む土)」が適しています。壌土は水分と酸素、有機物、多様なミネラルをバランスよく含ませることができるので、根を張りやすく、必要な栄養分が常に供給される土壌環境を作りやすい条件を備えています。

ほかの土であっても、根を張りやすく、必要な栄養分が常に供給される土であれば、野菜栽培における「よい土」といえます。

元肥としての堆肥がもたらす土壌改良効果

毎年継続的に作物を栽培したほ場の土は、一般的に特定の成分が不足、もしくは過剰になりがちで す。実際に、日本の畑作農地は全般的にリン酸・カリ・石灰(カルシウム)が過剰傾向にあると農林水産省が報告しています。また、化学肥料を用いた栽培では、土壌の栄養分やマグネシウムなどの微量要素、有用微生物が不足する傾向にあることも知られています。

土壌成分以外では、特に土の「団粒(だんりゅう)構造」が重要な役割を担います。 団粒構造とは、粒子がある程度まとまった状態の土が持つ構造で、微生物の分泌物やミミズの糞などによって形成されます。

団粒構造のメリットは、土壌内部の隙間が多いので養水分や酸素を保持する力が高く、作物が養水分や酸素を適切に吸収できる環境を提供する点です。また、この構造を持つ土は柔らかく、根が伸長しやすいのも特徴です。

しかし、トラクターなどの大型作業機械による踏圧や、プラウといった耕起農具の使用などで、団粒構造は容易に破壊されてしまいます。大規模農家は大型作業機械を採用しているため、団粒構造が壊されやすい環境にあるのです。

そこで、作付けをする前には堆肥による土壌改良を行います。堆肥には「物理性」「化学性」「生物性」の3方向から土壌を改良する効果があります。

まずは物理性の改良効果。堆肥を栄養分とする微生物が増殖し、団粒構造の形成が促進されます。その結果、通気性と透水性、保水性が向上します。

同時に化学性の効果として、堆肥が土壌に栄養分を補給するため、保肥力の向上も見込むことが できるのです。結果的に有用微生物の増殖と多様化によって土壌内の生態系が改善されるという、生物性の効果が期待できます。

このようにバランスの崩れたほ場の土に、元肥として堆肥を投入することで、新たに野菜栽培に適した土壌に改良することができます。

【種類別】堆肥の特徴と成分比率

堆肥

Sunrising/PIXTA(ピクスタ)

堆肥は大きく動物性と植物性に分類できます。主に動物性堆肥は肥料成分が多いため作物の成長促進効果が高く、植物性堆肥は土壌改良効果が高いといわれています。

実際にほ場の土作りを行う場合は、この2種類の堆肥を適宜混ぜて施用します。ここでは堆肥の種類ごとに成分の構成や、成分比率の大まかな目安を解説します。

牛糞堆肥

畑に積まれた牛糞堆肥

あんみつ姫/PIXTA(ピクスタ)

通常は、牛糞におが屑や稲わらなどを混ぜたものを堆積発酵させて作ります。牛糞堆肥は鶏糞よりも速効性のある肥料成分が少ないものの、作物の3大栄養素である窒素・リン酸・カリがバランスよく含まれています。繊維質も多く含有するため、土壌改良成分として長期的に効果を発揮します。

鶏糞堆肥

鶏糞を堆積発酵させて作りますが、牛糞よりも窒素の含有比率が高く、根や葉の生長においては化学肥料と同程度の肥料効果が見込めます。その反面、土壌中で分解されやすいため、肥料効果は長続きしません。また、繊維質がほとんど含まれておらず、土壌改良効果は限定的です。

豚糞堆肥

牛糞と同じようにおが屑や稲わらなどを混ぜ、堆積発酵させて作ります。牛糞よりも窒素の含有量が高めで、繊維質もある程度含まれています。一般的に、ほかの畜種由来の堆肥に比べて銅や亜鉛が多く含まれています。牛糞と鶏糞の中間的存在です。

稲わら堆肥

稲わら堆肥

東北の山親父/PIXTA(ピクスタ)

刈り取った稲わらに、米ぬかと水を加えて発酵させて作ります。ガスが発生するため、しっかりと完熟堆肥にしてから施用します。ほかの植物性堆肥に比べて窒素分が少ないので、化学肥料(硫安や石灰窒素)を加えます。石灰窒素を使用する場合は必要ありません。石灰やリン酸といった成分が少ない堆肥です。

バーク堆肥

広葉樹・針葉樹の樹皮に鶏糞などを加えて、3ヵ月〜1年かけて堆積発酵させて作ります。窒素やリン酸、カリは少ないものの、土壌改良効果に優れていて、良質でふかふかとした土が作れます。材料となる樹皮には、広葉樹と針葉樹がありますが、広葉樹のほうが堆肥化しやすく、タンニンなどの有害物質が少ないとされています。

効率的な土作りのための施肥方法

トラクターに取り付けられた堆肥散布機

masy/PIXTA(ピクスタ)

堆肥を有効活用するためには、施用量をはじめ、施肥のタイミングやほかの肥料とのバランスなど、正しい施用方法を知ることが重要です。堆肥施用の基本的なポイントをまとめておきましょう。

ほ場の平米数から見る施用量の目安と計算方法

堆肥には適正な施用量の目安と施用法があり、ただ単に量を増やせば効果が出るというわけではありません。まずは、施用量と施用時期を決定するため、定期的にほ場の土壌診断を行いましょう。そして、土壌診断の結果によって、施用するべき堆肥の種類や量を決定します。

堆肥施用量の目安は、1,000平方m(10アール:1反)あたり1.5~2.0tの全層施用が一般的です。ただし、栽培する作物によって必要な肥料成分は異なり、堆肥の種類によって効果が変わるため、正確な施用量は地方自治体などが提供する「堆肥施用量の計算支援ソフト」を使用して、丁寧に算出することをおすすめします。

日本の畑作農地は酸性化する傾向が強いため、場合によっては石灰などを投入して酸度を調整する必要もあります。農業の経験が浅い場合や、どうしてもほ場の土壌改良がうまくできない場合は、各地方自治体が提供している土壌分析から施肥設計まで含めた農業改善指導の利用も検討するとよいでしょう。

多量施用によるデメリット

堆肥を多量施用して作物を栽培していると、作物が養分とする成分と、堆肥で供給される成分のバランスが崩れていきます。その結果、作物に吸収されない成分が土壌に蓄積されていきます。

堆肥散布と施肥を作付けごとに行っていると窒素過多になりがちです。また、例えば、ジャガイモ(馬鈴薯)と白菜の輪作体系では、牛糞堆肥の連続施用によってリン酸とカリが蓄積する傾向があります。

こうした成分が過剰に蓄積されると、作物の生育を阻害したり、病害虫の発生に影響したりする危険性があるため、やはり定期的な土壌診断と施肥設計が欠かせません。

施肥のタイミング

土作りは土壌消毒、堆肥投入、石灰投入の順番で行います。施肥のあとで土壌消毒を行うと増殖した有用微生物まで死滅し、石灰と同時に施肥すると化学反応が起きて窒素成分がガス化して失われてしまいます。土壌改良は必ず、正しい順番で行うことが大切です。

施肥のタイミングは作付けの2~3週間前が基本です。また、高温期前の施肥は土壌に害を与える可能性があるので、春夏作ではなく秋冬作に向けたタイミングで投入するとよいでしょう。

化学肥料との使い分け

堆肥には、土作りと肥料の役割がありますが、含まれている成分に偏りがあります。そのため、作物が生長する過程で不足する窒素・リン酸・カリを適切に補わなければなりません。

特に窒素成分は堆肥だけでは不足するため、全体の50~70%を化学肥料で補う必要があります。また、未熟な堆肥は作物にとって有害になるケースがあります。堆肥は必ず完熟したものを施用するようにしましょう。

堆肥を適切に施用することで、作物の質と収量を改善させることができます。また、トータルで施用する肥料の量を削減できるので、コスト削減にも貢献します。特に大規模農家にとって堆肥を適切に使用するメリットは大きいといえるでしょう。

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大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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