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ブロッコリー栽培のアオムシ(害虫)防除! 農薬と防除法を紹介

ブロッコリー栽培のアオムシ(害虫)防除! 農薬と防除法を紹介
出典 : fox☆fox/ PIXTA(ピクスタ)

ブロッコリーはアオムシやアブラムシなどの害虫が付きやすい作物です。害虫の特性を知り、早期に適切な防除対策を行えば、被害を最小限に食い止めることができます。この記事では、主な害虫の特徴、防除に有効な対策や農薬について詳しく解説します。

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ブロッコリーの生産農家にとっては、アオムシをはじめとした害虫が悩みの種になることも多いでしょう。大切な作物を守るには、害虫の特性を知り、適した時期に適切な対応をすることが肝心です。この記事では、ブロッコリーに適した防除対策や農薬について解説します。

ブロッコリーに付く主な害虫の種類と被害の特徴

ブロッコリーは害虫が非常に付きやすい作物です。主な害虫について、特徴や見つけ方を学び、早期発見に努めましょう。

アオムシ(モンシロチョウの幼虫)

ブロッコリーを加害するアオムシの老齢幼虫

ブロッコリーを加害するアオムシの老齢幼虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アオムシはブロッコリーをはじめキャベツ、小松菜、カブなどアブラナ科の野菜の大敵です。モンシロチョウの幼虫で、卵は葉裏に点在して産み付けられ、若齢幼虫は葉裏から食害し小さな穴を開けます。

成長すると葉の表裏にかかわらず食害し、多発すると花蕾も食害します。3月から11月にかけて寒冷地で2~3回、暖地で4~5回発生しますが、成虫はこの期間、常に飛び回っているので絶えず注意が必要です。

アブラムシ

ブロッコリー モモアカアブラムシの被害葉

ブロッコリー モモアカアブラムシの被害葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

幼虫・成虫ともに葉、茎、花、花蕾、実など、どこにでも付いて吸汁します。

数が増えると分泌物で野菜がべとべとになり、すすで覆われたように葉や茎が黒くなる「すす病」を引き起こしたり、厄介なウイルス病を媒介したりするので、早めの防除が必要です。

ほぼ一年中発生し、暖地では成虫のまま越冬することもあります。

ヨトウムガ(ヨトウムシ)

ブロッコリーに産み付けられたヨトウガの卵

ブロッコリーに産み付けられたヨトウガの卵
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アオムシと並んで主にアブラナ科の野菜に付く芋虫で、葉を食害します。夜行性で、昼間は株元に潜み夜間に食害するのが特徴です。

卵は葉裏に数十~数百個の塊で産み付けられ、若齢幼虫は葉裏に群棲し、裏から葉表の薄皮を残して食害します。成長すると花蕾まで食べ荒らし、食用にできなくなることもあります。

ヨトウガの仲間でもあるシロイチモジヨトウやハスモンヨトウは、薬剤抵抗性を持つ難防除害虫です。

また、ヨトウガは春と秋の2回発生し、ハスモンヨトウは初夏から秋にかけてずっと発生し続けます。

コナガ

ブロッコリー コナガの食害痕

ブロッコリー コナガの食害痕
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

淡緑色をした老齢幼虫で体長1cmほどの小さな芋虫です。葉裏に付き表の薄皮を残して食害します。多発すると花蕾も被害を受けます。幼苗に付くと芯葉に潜り込み、成長を止めてしまうこともあるので注意が必要です。

卵は葉に1つずつ産み付けられ、ふ化直後の幼虫は葉肉の内部に潜り込んで食害します。ふ化から成虫まで約2週間という短期間で成長するので、暖地では春から秋にかけて10回以上発生します。

また多くの農薬に対して抵抗性を持っており、非常に厄介な害虫です。

ハイマダラノメイガ

ブロッコリー ハイマダラノメイガ幼虫による被害

ブロッコリー ハイマダラノメイガ幼虫による被害
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

古くからダイコンシンクイムシとして知られる害虫で、近年、西日本を中心に多発するようになったガの幼虫です。高温小雨の年に多く、8~10月の高温期に多発します。

1株当たり数十個の卵を株元の茎や葉に産み付けられることもあります。ふ化すると芯葉や茎や葉脈に潜り込んだり、糞と一緒に葉をつづり合わせたりして食害します。芯に入り込むと作物の成長が止まるため、被害が大きくなります。

ブロッコリーの場合は幼苗の新芽を食害し、株が枯れたり生育不良になったりするので非常に厄介です。

耕種的防除

害虫の被害を最小限に抑えるには卵を産み付けさせないこと、発生した場合には若齢幼虫のうちに防除することが重要です。予防対策・早期防除に有効な耕種的防除・生物的防除について紹介します。

防虫ネット・寒冷紗を取り付ける

防虫ネットで覆われたブロッコリー

KY / PIXTA(ピクスタ)

ブロッコリーの苗の植え付け直後から防虫ネットや寒冷紗を取り付ければ、成虫が飛来して卵を産み付けるのを物理的に防ぐことができます。
ほとんどの害虫対策として効果的で、しっかり隙間なく覆うことで害虫との戦いがぐっと楽になります。

フェロモントラップを用いた早期防除

害虫が発生してしまったら、被害が深刻化する前の若齢幼虫のうちに対策するのがポイントです。

アオムシの場合、モンシロチョウが飛び回っているのを確認したらすぐさま葉の裏などを確認し農薬を散布するのが基本ですが、一部の害虫には「フェロモントラップ」も有効です。

夜間に産卵し、幼虫は昼間隠れて見つけにくいため、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウなどのヨトウムシ類やコナガには、「フェロモントラップ」を仕掛けるのが効果的です。

フェロモントラップとは、雌のフェロモンのニオイで雄のガを引き寄せて捕獲する仕掛けで、成虫を減らすことで産卵されにくくし、多発を防ぐことができます。

ブロッコリーの害虫防除におすすめの農薬

農薬を使用することで、害虫の発生を未然に防ぎ、また発生した害虫を取り除くことができます。ここでは、発生後の害虫に対する農薬の使用法や種類、使用時期を紹介します。

農薬を使用する際には、ラベルに記載された使用方法に記載された使用方法をしっかり読み、不明な点はJAやメーカーに問い合わせるなどして、適用となる作物や害虫をよく確認し適切に使用しましょう。

プリンス(R)フロアブル

有効成分:フィプロニル(PRTR・1種) 5.0%
適用害虫:ブロッコリーに付くハイマダラノメイガ・コナガ

ブロッコリーには2,000倍に希釈し、10a当たり100~300ℓを散布します。定植前の処理と定植後の散布が可能です。使用は収穫前30日までとし、それ以降は使用できません。

モスピラン(R)粒剤

有効成分:アセタミプリド 2.0%
適用害虫:ブロッコリーに付くコナガ・アオムシ・アブラムシ・アザミウマ類・ハイマダラノメイガ

ブロッコリー苗の定植前日~定植当日、ハイマダラノメイガに対しては1株当たり0.5g、それ以外の害虫には1株当たり0.5~1gを株元に散布します。

また、定植時に植穴に土壌処理をすることで、コナガ、アオムシ、アブラムシ、アザミウマ類の発生を長期間抑制します。作用機作がほかの薬剤と異なるため、薬剤に抵抗性を持つ害虫にも効果を発揮します。粒状であるため、ハチなど害虫の天敵への影響も少ないのが特長です。

土壌処理に使用する場合は、コナガに対しては1株当たり1~2gを、アオムシ・アブラムシ類には1株当たり1gを、植穴の土壌に混和させます。

カスケード(R)乳剤

有効成分:フルフェノクスロン10.0%、補助成分:メチルナフタレン(PRTR・1種)15.9%
適用害虫:ブロッコリーに付くコナガ・アオムシ・ハスモンヨトウ・アザミウマ類

ブロッコリーへの使用は4,000倍に希釈し、10a当たり100〜300ℓを散布します。収穫7日前まで使用できますが、それ以降は使用できません。

コテツ(R)フロアブル

有効成分:クロルフェナピル10.0%
適用害虫:ブロッコリーに付くコナガ・アオムシ・ヨトウムシ・ハスモンヨトウ

ブロッコリーへの使用は、2,000倍に希釈し、10a当たり100〜300ℓを散布します。収穫3日前まで使用できますが、それ以降は使用できません。

チューンアップ顆粒水和剤

有効成分:バチルスチューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素(BT)10.0%
適用害虫:野菜類に付くアオムシ・コナガ・オオタバコガ・ハイマダラノメイガ・ヨトウムシ・ウリノメイガ

ミツバチ・マルハナバチ等の有用昆虫や天敵に対する安全性が高く、有機農産物生産や特別栽培農産物生産に使用できます。また、薬剤抵抗性の付いたコナガにも効果があります。

野菜全般について、同じように使用できます。ウリノメイガには3,000倍、ヨトウムシには2,000倍、その他の適用害虫には2,000~3,000倍に希釈し、10a当たり100〜300ℓを散布します。

害虫の発生初期に、収穫前日まで使用できますが、収穫当日は使用できません。

ブロッコリーの幼苗 害虫防除は早期からの耕種的防除が基本

YNS / PIXTA(ピクスタ)

ブロッコリーは、キャベツなどケールを祖先とする他の葉菜類と同様に、害虫が付きやすく、常に対策を講じる必要があります。

早期から耕種的防除を行い、害虫が発生してしまったら速やかに化学的防除を行うことが大切です。防除のポイントをおさえ害虫被害を最小限に抑えて収量を確保しましょう。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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