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ブロッコリーの病気(病害)の種類や対策とは? 症状や防除法・代表的な農薬を紹介

ブロッコリーの病気(病害)の種類や対策とは? 症状や防除法・代表的な農薬を紹介
出典 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

ブロッコリーは細菌が原因の病害にかかりやすいので、ほ場の徹底した土壌管理が求められます。一度病害が発生すると食味や収量の低下が長期化するため、生育段階に合わせた防除が重要です。この記事では、主な病害の原因や防除方法・効果的な農薬を紹介します。

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ブロッコリーに発生しやすい病害として、「ベと病」「根こぶ病」「軟腐病」「黒腐病」「黒斑細菌病」「菌核病」の6種類が知られています。それぞれの病害の発生時期・症状などを理解したうえで、適切な対策をとりましょう。

ブロッコリーがかかるさまざまな病害

ブロッコリーがかかる病害の見分け方や発生原因・収量などへの影響について説明します。

地中海沿岸原産のブロッコリーは高温多湿が苦手

ブロッコリーの湿害

ブロッコリーの湿害
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ブロッコリーは、地中海沿岸部が原産地のアブラナ科の野菜です。高温多湿の日本ではカビや細菌性の病害にかかりやすい傾向があります。そのため、栽培にあたって、ほ場の温度・湿度の十分な管理が求められます。

発芽適温は25℃前後ですが、生育適温は16~20℃です。生育段階で25℃以上になると徒長しやすくなり、病害が発生する恐れが高まります。土壌が多湿になっても徒長しやすくなるため、水はけのよい土壌作りが大切です。

ブロッコリーの主要病害一覧

ブロッコリー栽培で発生する可能性がある病害の症状や影響などを以下にまとめました。病害の発生時期や要因となる病原菌についても確認しておきましょう。

ベと病

・病原菌…ペロノスポラ菌(Peronospora parasitica 糸状菌)
・多発期…気温10~15℃前後で、降雨が続く春や秋
・症状…発病初期は葉に暗緑色の病斑が発生、その後黄色・茶色に変色
・影響…風や水によって胞子(分生子)が別のほ場に運ばれ、感染が拡大。種子に病原菌が付着し、育苗初期に発病する可能性もある

根こぶ病

・病原菌…プラスモディオフォラ菌(Plasmodiophora brassicae 原生生物)
・多発期…気温・地温が18~25℃前後で、定植1ヵ月後前後の時期
・症状…根に大小のこぶが形成され、水分・栄養の吸収が困難になり葉がしおれる
・影響…生育途中で枯死する可能性がある。収穫できた場合でも食味が劣る

軟腐病

・病原菌…ペクトバクテリウム カロトボラ菌(Pectobacterium carotovora 細菌)
・多発期…定植後50日頃の時期。強風・大雨の後に感染しやすい
・症状…地面に接した部分から黄褐色に変色、茎や花蕾も病変
・影響…葉や茎が軟化・腐敗し悪臭を放つ

黒腐病

・病原菌…ザントモナス(Xanthomonas campestris pv. campestris 細菌)など
・多発期…初秋から晩秋。強風・大雨の後に感染しやすい
・症状…葉に黄褐色のV字形病変が発生し、周辺の葉脈が黒色に変色
・影響…花蕾や茎の維管束も黒色に変色、種子にも感染する

黒斑細菌病

・病原菌…シュードモナス シリンゲ(Pseudomonas syringae 細菌)など
・多発期…厳寒期と盛夏を除き発生
・症状…葉に黄褐色の小さい斑点が発生、水に濡れたように見える。葉の病変部が拡大・融合すると黄褐色に変色
・影響…発育が阻害され、枯死する可能性がある

菌核病

・病原菌…スクレロチニア・スクレロチオールム(Sclerotinia sclerotiorum 糸状菌)
・多発期…春と秋。気温が15~20℃で、多湿な時期
・症状…茎や葉柄・花蕾などに褐色の病斑が発生し、腐敗。病斑部に白色綿毛状のカビも発生
・影響…病原菌を含む胞子が空中に飛散、土壌に入り込むと数年間生存する

ブロッコリーの主要病害|種類別の防除対策

ブロッコリーに発生する病害について、それぞれの発生要因や防除方法、効果的な農薬を紹介します。農薬を使用する場合は、あらかじめラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布してください。

べと病の発生要因・防除方法

ブロッコリー べと病 病斑

ブロッコリー べと病 病斑
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ベと病は、真菌の一種であるペロノスポラ菌の胞子が、葉の気孔から侵入して発病します。春や秋の気温差が大きい時期に発生しやすく、降雨が続いた場合にも発病が多くなる傾向です。通気が悪いと葉が結露して発病・伝染拡大のリスクが高まるので、密植を避けて栽培中の通風を確保するようにします。

被害を受けた株を発見した場合は除去し、ほ場外で焼却するか土壌深くに埋めたのち、ほ場全体に農薬を散布します。

「レーバスフロアブル」や「ライメイフロアブル」「ダコニール1000」「ランマンフロアブル」などが有効です。

土壌の窒素過多を避け、連作も避けるようにしましょう。

根こぶ病の発生要因・防除方法

ブロッコリー 根こぶ病 発病株

ブロッコリー 根こぶ病 発病株
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

根こぶ病は、カビの一種である病原菌の遊走子が、土壌内の水分と一緒に根毛に侵入して発病します。地温が20℃前後となる春から初秋にかけて発病する可能性がありますが、多湿な土壌や土壌pHが6.0以下の酸性土壌で発病が多くなる傾向です。

高畦栽培などで排水対策を十分に行い、土壌に石灰を施用してpHを中性近くに整えるようにします。

根こぶ病の防除には、定植前に「オラクル顆粒水和剤」や「フロンサイドSC」「ネビジン粉剤」などを土壌全面に散布して土壌混和します。ほ場で根こぶ病が発生した場合は、「ランマンフロアブル」の株元灌注が有効です。

軟腐病の発生要因・防除方法

ブロッコリー 軟腐病 発病株の花蕾 発病部が窪む

ブロッコリー 軟腐病 発病株の花蕾 発病部が窪む
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

軟腐病は、葉にできた傷から土壌に常在する菌が侵入して発病します。生育中期から収穫期にかけて発生しやすく、曇天・雨天が多く高温多湿になりやすい時期や台風・大雨の後に発病が増える傾向です。

肥料が多すぎても発病可能性が高まるため、肥料を分施して土壌の窒素が多くなりすぎないようにします。害虫の食害痕も病原菌の侵入原因となるため、害虫の防除も徹底しましょう。

軟腐病の被害が見つかった場合は、被害を受けた株を除去した後に「スターナ水和剤」や「ナレート水和剤」をほ場全体に散布します。

生物農薬である、「マスタピース水和剤」や「バイオキーパー水和剤」も有効です。

黒腐病の発生要因・防除方法

ブロッコリー 黒腐病 発病株

ブロッコリー 黒腐病 発病株
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

黒腐病は、葉・茎の傷や水孔から病原となる細菌が侵入して発病しますが、土壌や種子に病原菌が含まれている場合にも発病します。温度が低くなる初秋から晩秋にかけて発生しやすく、土壌の水分が多くなった場合や雨天などで葉・茎に水滴が多く付いた場合にも発病が多くなる傾向です。

降雨で溜まった水は早めに排水させ、台風や大雨の後は、「カスミンボルドー」「カッパーシン水和剤」「カセット水和剤」のようなカスガマイシン・銅水和剤の予防的散布を行います。

定植前に「オリゼメート粒剤」を土壌混和したり、定植時に「オリゼメート顆粒水和剤」を灌注したりすることも、黒腐病の防除に効果的です。

種子消毒を行い、イネ科・マメ科の作物と輪作する耕種的防除をあわせて行うのも、黒腐病の予防には効果的です。

被害が見つかった場合は、罹病株を除去してから「ヨネポン水和剤」や「キノンドー水和剤40」などをほ場全体に散布します。

黒斑細菌病の発生要因・防除方法

黒斑細菌病は、土壌に含まれる病原菌が水や雨によって付着することで発病します。春や秋の、曇天や雨天が続き気温が低い時期に発生しやすくなる傾向です。

病原菌に感染した残さが土壌に含まれていると、翌シーズンも黒斑細菌病が発生するリスクがあります。黒斑細菌病が多発した場合は、アブラナ科作物の連作を避けましょう。

定植から出蕾初期にかけては、「Zボルドー」などの殺菌効果が高い農薬を散布します。また、出蕾期以降は有機銅水和剤の「キノンドー水和剤40」やオキソリニック酸水和剤の「スターナ水和剤」といった薬害リスクが低い農薬を散布します。黒斑細菌病が多発すると防除が難しくなるため、収穫まで防除を継続することが重要です。

菌核病の発生要因・防除方法

ブロッコリー 菌核病 発病株

ブロッコリー 菌核病 発病株
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

菌核病は、病原となるカビの胞子が風で飛散し、葉などの傷に侵入して発病します。春と秋に発生しやすく、気温が15~20℃前後の時期に大雨や長雨があると発病が増える傾向です。

胞子内の菌核は土壌で2~3年生存しますが、水田転換畑の場合は、夏季の湛水処理でほぼ死滅させることができます。

多発してからの防除は難しいため予防的な農薬散布に努めましょう。「アフェットフロアブル」や「カンタスドライフロアブル」「シグナムWDG」「トップジンM水和剤」などが有効です。

また、密植や窒素過多も避けるようにします。

ブロッコリーの病害を抑えるには密植を避ける

いがぐり / PIXTA(ピクスタ)

ブロッコリーに病害が発生すると、収量に影響が出るだけでなく、種子や土壌を通じた病原菌の感染拡大の恐れがあります。

農薬による防除とあわせ、連作をなるべく避けほ場の排水を十分に行うことや、窒素過多を避けることなど、耕種的防除にも努めましょう。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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