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大豆の最適な収穫時期や目安は? さらに収量をアップさせる新技術も紹介!

大豆の最適な収穫時期や目安は? さらに収量をアップさせる新技術も紹介!
出典 : PHOTO NAOKI / PIXTA(ピクスタ)

大豆の栽培工程の中でも、作業負担が大きく重要な作業が「収穫」と「脱穀」です。今回は、収穫時期を見極める目安やコンバインの効率的な使い方など、収穫ロスを減らすためのポイントをご紹介します。また収量をアップさせるための新技術についても解説します。

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大豆の収穫に最適な時期や目安とは?

大豆畑 収穫

川村憲司/PIXTA(ピクスタ)

大豆を収穫する際に一番重要なのは、最適な時期を見極めることです。一般的に大豆の収穫は稲刈りがひと段落した10月下旬頃とされていますが、実際の収穫日は大豆の状態をよく観察して決定します。

収穫に最適な状態の判断のポイントとなるのが水分量です。まだ葉がついた状態で水分量が多いと、コンバインに目詰まりしてしまい収穫ロスが増えてしまいます。葉や莢(さや)が黄色くなって完全に葉が落ちた状態になる、落葉後7~10日頃が収穫に最適です。

莢の水分量は20%前後が収穫に適しています。莢を振ったときに中で豆がカサカサと乾いた音を立てることが目安となります。また、茎部分の水分は60%以下が最適で、茎が手でポキッと折れる状態が目安です。茎の水分は、子実用として利用されている「高周波容量式水分計」を使用し簡易測定することも可能です。

大豆収穫コンバインの方式や使い方のコツは?

コンバイン 大豆収穫

Scalatore59/PIXTA(ピクスタ)

コンバインを使用した大豆の収穫が、年々増加傾向にあります。大豆生産の工程の中でも、最も手間がかかるのが収穫と脱穀の作業です。コンバイン収穫の普及が、大豆生産の効率化に大きく貢献しています。

大豆収穫に使用される主要なコンバイン

大豆収穫に使用されるコンバインには、大きく分けて「大豆専用コンバイン」と「汎用コンバイン」の2種類があります。

大豆専用コンバイン

「大豆専用コンバイン」は、その名の通り大豆収穫のために開発された普通型コンバインです。汚粒発生を抑える「ローラーコンケーブ」(注)や、大豆茎の揺れを抑えロスを低減する「専用刈刃」など、大豆をムダなく収穫・脱粒できるよう工夫されています。

(注)ローラーコンケーブ:コンケーブは脱穀した大豆子実を受ける網。汚粒の主な原因は水分の残った茎や莢から出る汁などです。そのために茎や莢を通さないように開発されたコンケーブがあり、そのうち回転式のものをローラーコンケーブといいます。主なメーカーでは標準装備しています。

汎用コンバイン

「汎用コンバイン」は、水稲、麦類、大豆など幅広い作物の収穫を目的に開発された普通型コンバインです。

作物の違いには、水稲、麦類の籾や豆類の莢を茎からこそぎ落とす「こぎ胴」の回転速度を変えること、わら屑や茎などのごみを取り除く「送塵弁」の角度を変えることで対応します。

刈り取り部分であるリールに装着するヘッダを大豆専用ヘッダに交換できる機種もあります。

コンバインの効率的な使い方のポイント

収穫スピードをアップするコンバインも、効率的な使い方をしなければ、汚粒や機械トラブルの原因となり、収穫ロスが増えてしまうことになります。

まず大切なのは、汚粒の原因となる雑草を確実に防除・除草することです。

特に水田から転換したほ場は土壌水分が多く、大豆の播種時期である6~7月には雑草が大量に発生する可能性があります。除草は播種後すぐに始め、収穫まで通して雑草が少ない状態を維持することが重要です。まず播種後に除草剤散布を行い、その後も中耕タイミングでの除草など、適切な栽培管理を行います。

収穫期前には除草を行い、「青立ち株」(注)を確実に除去することもポイントです。

(注)ほ場全体としては収穫期に達しているのに、成熟が遅れ落葉せず茎に緑色が残ったままの株が残ることがあります。これを「青立ち株」といいます。原因は、害虫被害や子実が充実する時期の高温、土壌ストレスなどとされています。

実際の収穫作業に入る前には試し刈りを実施しましょう。最初に数10m収穫作業を実施したら、コンバインの取り出し口から大豆を取り出し、汚粒がないか確認します。

汚粒を発見した場合は、原因を特定し、コンバインの各部分を調整してから本格的な作業に入ります。作業途中も随時汚粒がないかチェックしましょう。

作業開始時、中間、終了時に大豆の水分量を確認することも効率的に作業を進めるポイントです。大豆の水分状態は1日の中でも大きく変化します。収穫に適した気候・時間帯は晴れた日の午前11時から午後4時です。この時間帯に作業を完了できるよう、余裕を持って作業計画を立てる必要があります。

コンバイン収穫に適した品種や栽培のポイントは?

大豆畑 大豆栽培

川村憲司/PIXTA(ピクスタ)

国内で生産されている主要な大豆の品種は、収穫時期を迎えると自然に莢がはじける性質があり、コンバイン収穫時に実がこぼれ落ちることが多くあります。中には収穫時の損失が20%近くになるものもあります。

近年はコンバイン収穫が主流となっているため、収穫時にはじけにくい「難裂莢性(なんれっきょうせい)」や、倒れにくく収穫しやすい「耐倒伏性(たいとうふくせい)」を持つ大豆の品種開発が行われています。

機械化が進む北海道では、「ハヤヒカリ」や「ユキホマレ」などの難裂莢性を持つ新品種の開発に成功しています。本州以南でも栽培可能な品種の開発が進み、難裂莢性を強化した「フクユタカA1号」や、耐倒伏性を持つ「里のほほえみ」などの新品種の普及が期待されています。

また、収穫ロスを減らすために栽培時の工夫も必要です。倒伏が多いと減収したり刈り取り方向や速度が限定されたりするため、中耕や培土など適切な栽培管理を行いましょう。

収穫作業時にコンバインが左右に傾かないよう、条間を適度に空けて栽培することも効率アップにつながります。

大豆収穫後、出荷までの作業の流れ

大豆 収穫作業

Carbondale/PIXTA(ピクスタ)

大豆の子実は、脱穀したままの状態では出荷できません。製品として出荷するまでには、さらに下記のようなさまざまな工程が必要になります。

乾燥

循環式乾燥機や平型乾燥機を利用して、子実水分を12.5%以下までに乾燥させます。タンク内のムレや穀粒の循環不良などにより乾燥ムラが生じないように注意し、乾燥終了後は全体の水分を均一化させるために、12時間以上機械内に放置した後、排出します。

調製・選別

大豆選別・選粒機を使用し、莢、茎、石、屑粒や被害粒(注)を取り除き、検査規格に適合するよう大豆の粒の大きさを大・中・小・極小に選別して製品にします。

被害粒のなかでも、病害などによる着色は選別機で対応できないため、必要に応じて色彩選別機を使用して除去します。

(注)被害粒:病害によって着色している、虫の食害痕、砕けている、皮の破けやしわ、発芽している、などの異常がみられる子実のこと

貯蔵

大豆は豆腐や納豆、味噌の加工原料として年間を通しての出荷を求められるので、貯蔵庫に収め需要に応じて出荷していきます。

収穫後の経過期間が長くなるほど、カビ、害虫の発生、水分含有量の変化、油脂分の酸化、大豆たんぱく質の変性などの品質劣化リスクが高くなります。

大豆は温度管理が重要で、貯蔵庫の温度は15℃前後に一定に保つことで品質劣化を抑えられます。特に夏季から新大豆の収穫期までの期間、高温にならないよう管理することが重要です。

大豆・水稲農家 スマート農業活用事例ザルビオ導入で実現した「記録の蓄積」で作業効率が大幅アップ!

愛知県 都築様

■栽培作物
米・小麦・大豆

導入の目的

▷記録の蓄積による作業効率化
▷タスクの管理

課題・悩み

▷農作業の記録や情報伝達に不足を感じていた
▷記録の蓄積がないことで、作業や計画の効率化が図りにくかった

成果

▷紙のマップで管理していた雑草防除などの作業効率が大幅にアップした
▷写真付きのメモを残せるので、ほ場で異変を後で振り返りやすくなった
▷タスク入力ができることでPDCAサイクルが回しやすくなった

詳しくはザルビオサイトへ

新技術で収穫量アップ!「大豆300A技術」とは?

収穫した大豆 大豆をすくう手

shige hattori/PIXTA(ピクスタ)

大豆のさらなる収穫量アップのため注目されているのが「大豆300A技術」です。大豆栽培で問題視されていた、湿害による発芽不良を解決するための新技術の総称で、「300A」は「単収(単位面積当たり標準的収入額)300㎏、品質Aクラスの生産を実現する」という意味から名付けられています。

「大豆300A技術」は、気象や土壌の条件に応じて適用できるいくつかの技術に分類され、主なものに、耕起を行わずに播種し密植により雑草抑制する「不耕起狭畦密植播種技術」や、トラクターに取り付けるロータリの回転方向・爪配列を変えて耕うん・砕土しながら畦成形し、施肥・播種を同時に行う「耕うん同時畦立て播種技術」などがあります。

これらを導入することで大幅な省力化や、発芽以降の生育が良好になり、その結果、収量の安定・増加が期待できます。

収穫作業のステップごとに収穫ロスが発生するポイントを把握し確実に対処すること、収穫後の調整・貯蔵を適切に行うことが収益向上につながります。さらなる単収アップ・良品率アップのためには「大豆300A技術」に代表される新技術の情報収集と導入検討にも取り組みたいところです。

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酒井恭子

酒井恭子

テレビ番組制作会社、タウン情報誌出版社での取材・編集・ライティング業務などを経て、2018年からライターとして活動。農業、グルメ、教育、ビジネス、子育て情報など、幅広いジャンルの記事を執筆している。特に、食べることに興味があり、グルメ情報を自身のメディアでも発信中。美味しい料理の素材となる野菜や果物についても関心を持ち、農家とつながる飲食店で取材するなど、日々知識を深めている。「自分の文章で感動を多くの人と共有したい」が信条。

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