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C/N比とは?有機物の分解速度から考える効果的な土壌改良方法
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  • 生産技術

C/N比とは?有機物の分解速度から考える効果的な土壌改良方法

C/N比は、有機物に含まれる炭素と窒素との比率を表す指標です。この数値を土作りの参考にすることで、ほ場で栽培する作物に最適な土壌を準備できます。今回はC/N比の求め方と、主な有機資材のC/N比や使用方法を紹介します。

高品質な作物を栽培するためには、土作りが非常に大切です。そのため、堆肥などをほ場に投入するときは、成分と肥料効果を正確に把握して作物に適したものを選ぶ必要があります。

その指標となるC/N比について、基礎知識と使い方を解説します。

土作りで注意すべき、有機物の「C/N比(炭素率)」とは?

有機質肥料による土作り

asobiスタジオ / PIXTA(ピクスタ)

農業で使用する有機質肥料に含まれる炭素と窒素の量を比率で表したものがC/N比(炭素率)です。炭素(C)含有量を窒素(N)含有量で割って計算します。

C/N比は値が低いほど窒素含有量が多く、値が高くなると窒素含有量が少なくなります。C/N比の基準値は20~30で、それを境に高いか低いかを判断します。

値の高低で何が変わる?C/N比が重要な理由

高品質で食味がよい作物を栽培するポイントの1つが、ほ場の準備段階で土作りに力を入れることです。この時期に堆肥などの有機質肥料を投入することで土壌中の微生物の活動を促すことができ、これは土作りをするうえで非常に重要なプロセスといえるでしょう。

堆肥などの有機質肥料には、土壌改良効果と比較的長期間必要となる肥料効果がありますが、C/N比によってその現れ方が異なります。

そのため、有機質肥料を使うときには、C/N比によって異なる、土壌改良効果と肥料効果の現れ方を考慮する必要があります。

C/N比と肥料効果・土壌改良効果

C/N比が低い有機物は、堆肥として使ったときに肥料効果は高くなりますが、土壌改良効果はあまり期待できません。

一方、C/N比が高い有機物は窒素含有量が少ないため、肥料効果は高くありません。しかし、微生物の活動が促進されて腐植が増えるため、土壌の改良効果は高いと言えます。

C/N比と肥料効果の発現速度

また、C/N比が低い場合は有機物の分解速度が速く、C/N比が高い有機物は分解速度が遅いという性質があります。そのため、C/N比が低いと肥料効果が早く現れ、高いときには肥料効果はゆっくりと現れます。

C/N比と堆肥の臭い

C/N比は実際に数値を計測しなくても、慣れれば臭いで判断することもできます。

C/N比が高い稲わらや落ち葉は堆肥化しても強い臭いは発生しませんが、C/N比が低い豚糞や鶏糞を堆肥化すると、アンモニアガスが発生して強い悪臭を放ちます。

C/N比は施肥の目的に合わせて選択を

C/N比が低い、つまり、作物の生長を促す養分である窒素成分が多い有機物は、肥料効果が高いといえます。ただし、窒素過多になると、作物の品質に悪影響を与えることがあるため、C/N比を適切なバランスに調節する必要があります。

有機質肥料を選ぶ際には、なるべく早く肥料効果を出したいなら、C/N比10以下を目安にします。土壌改良もかねて、ゆっくりと土作りをする場合は、C/N比20~30以上を目安にしましょう。

土壌改良効果と肥料効果の両方が必要なときは、C/N比10~20のものが適しています。

堆肥を作る場合、可能であれば材料のC/N比を20~40にして、堆肥として完熟した状態でC/N比が15~20になるのを目安にしてください。

主な有機物資材のC/N比(炭素率)と施用効果一覧

ここからは有機質肥料の材料となる、主な有機物資材のC/N比と特徴を紹介します。実際は、それぞれの資材を単独で使うのではなく、組み合わせて使用することになるでしょう。

C/N比が低い有機物

堆肥材料のうち鶏糞はC/N比が低い

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鶏糞は家畜糞の中で最もC/N比が低く、通常は6~8程度です。ほかに野菜残さや余剰汚泥なども、C/N比が10以下と低いタイプの有機物です。分解速度が速く、1年で60〜80%が分解されます。

これらを堆肥化して使う場合、肥料効果は早く現れます。一方で土壌の物理性の改善には向いていません。完熟させずに生に近い状態で使用すると窒素過多の状態になり、病害虫の原因になります。


また、窒素成分が多いだけでなく、水分含有量が多いという特徴を持っています。

水分含有量が高すぎると、腐敗しやすくなります。堆肥材料にする場合は、十分に乾燥させるか、モミがらやおがくずなどの副資材を混ぜて、C/N比と水分量を調節するとよいでしょう。

C/N比が中程度の有機物

堆肥材料のうち牛糞のC/N比は中程度

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家畜糞でも豚糞・牛糞・馬糞は、C/N比が10~20で中程度のタイプに分類されます。分解速度は中程度で、1年で40〜60%が分解されます。


鶏糞と同じように水分含有量が高いため、堆肥材料にする場合などに腐敗させない留意点は同様です。

C/N比が高い有機物

C/N比が高い落ち葉の集積所

Caito / PIXTA(ピクスタ)

C/N比が30以上の有機物としては、稲わらやおがくず、堆肥化前のバーク、堆肥材料として一般的な落ち葉(腐葉土)などが挙げられます。

稲わらやおがくず、堆肥化前のバークは、C/N比が50~100と非常に高く、落ち葉(腐葉土)や堆肥化後のバークはC/N比が30~50と、比較するとやや低めです。

分解速度は遅く、1年で40%以下にとどまります。

おがくずや堆肥化前のバークのように、C/N比が100以上の有機物は、腐熟のスピードが非常に遅いので、2~3年かけて完熟させてから使用します。未熟な状態でほ場に投入すると、窒素飢餓を引き起こすことがあるので注意してください。

緑肥作物をすき込む場合にも意識したいC/N比

緑肥作物のうちヒマワリのC/N比は高い

naru / PIXTA(ピクスタ)

最近注目されている緑肥にも、ほ場で栽培する作物に合わせてC/N比を考慮する必要があります。

一般的に使用される緑肥植物では、ヘアリーベッチとクローバー、大豆などがC/N比10~20で中程度のタイプに分類されます。とうもろこしやソルガム、ヒマワリなどはC/N比が30以上で、高いタイプに分類されます。

これら緑肥のC/N比と、その後ほ場に投入する肥料のC/N比とを考慮して、栽培する作物に合った土作りをする必要があります。

土壌改良をスムーズに進めるには?高炭素資材の上手な扱い方

C/N比が高い有機物資材は一般に「高炭素資材」と呼ばれています。

高品質な作物を栽培するためにも、C/N比が高い高炭素資材を上手に使って、良質な土作りを心がけたいものです。しかし、高炭素資材を直接ほ場に投入しても、なかなか分解が進まないので工夫が必要です。

まずは高炭素資材を細かく砕いて、微生物による分解を進みやすくしましょう。また、事前にC/N比が低い資材をほ場に投入して微生物の活動を高めておき、次に高炭素資材を投入する方法も効果的です。

ほかには、ほ場で使用する前に、発酵処理を施し微生物による分解を促すという方法もあります。

堆肥化前のバークのC/N比は高い

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現代の農業では施肥設計が重要です。その指標としてC/N比は非常に役に立ちます。

C/N比は堆肥だけでなく、使用する肥料全体で考えるものです。栽培前に肥料効果を予測する目安にもなるので、ぜひ今後の施肥設計の参考にしてください。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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