トマトに適した発芽温度は?発芽率を上げるコツと上手な栽培管理方法
トマトの発芽には、温度管理が密接に関わっています。自家育苗に取り組む場合、上手に発芽させて揃いのよい苗にするには、何よりも温度管理を徹底しなければなりません。ここではトマトの発芽と温度の関係や、具体的な発芽作業の進め方について解説します。
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目次
トマトの自家育苗を行う場合、播種~一次育苗~接ぎ木~二次育苗まで育苗管理に細心の注意が必要です。その負担から、JAなどの育苗センターや苗生産企業から苗を購入する農家が増えているといわれています。
しかし、地域の苗の供給状況や栽培する品種によっては、自家育苗を採用している農家も多くあります。
この記事では、揃いのよい苗を作るためにカギを握る発芽温度や播種~発芽前後の栽培管理について解説します。
トマトの発芽・育苗に適した温度の目安
トマトの主な作型と播種時期
トマトの播種時期は、作型によって大きく違い、外気温・ハウス内の気温も大きく異なります。自家育苗する場合、トマトの発芽適温・育苗適温にあわせ栽培環境を整えなければなりません。
出典:株式会社サカタのタネ「詳しく知りたい、取り入れたい 自然の力・有機の力 〜実践編〜【第2回】トマト」、タキイ種苗株式会社「農業列島 産地ルポ JAうつのみや~CFハウス桃太郎とCF桃太郎はるかの利点」、株式会社武蔵野種苗園 商品紹介「有彩014(ありさ014)」よりminorasu編集部作成
トマトの発芽適温・育苗適温
トマトの発芽に適した温度は25℃~30℃です。発芽のタイミングを揃えてよい苗に生長させるためには、この温度を保つことが重要です。
発芽してからの育苗に最適な温度は、日中が20℃~25℃で、夜間は8℃~13℃が目安です。育苗可能な温度帯は5℃~35℃なので、その範囲から外れないように温度管理をする必要があります。
出典:長野県 佐久農業農村支援センター 技術情報所収の「主な果菜類の発芽適温と育苗温度(生育適温)のめやす」
トマトの発芽のポイントは「短期間で一斉に発芽させる」こと
kelly marken/PIXTA(ピクスタ)
播種時に重要なことは、発芽までの日数と発芽のタイミングです。短期間で一斉に発芽させることに成功すれば、育苗管理や栽培管理がしやすくなります。
トマトの発芽にかかる日数
トマトの発芽は、播種された培地の地温に大きく左右されます。地温が高いと発芽が早まり、地温が低いと発芽が遅くなります。この特徴をもとにして、トマトの発芽までの日数は積算地温で計算することができます。
発芽が可能な地温は15℃~35℃の間で、播種後の地温に日数を掛けることで積算地温が得られます。この積算地温が100℃に達したときが発芽の目安です。
例えば、1日を通して地温20℃で管理した場合、発芽は播種から5日後、25℃で管理した場合には4日後と予想されます。ただし、培地の温度が一定に管理されることと、十分な水分が供給されることが条件です。
「プライミング処理」された種子は発芽が早く管理しやすい
種子の発芽を揃える方法の1つに、プライミング処理された種子を使うことが挙げられます。
プライミング処理とは、種子に一定量の水分を吸収させてから乾燥し、発芽直前の状態にする種子加工で、播種後の一斉発芽を可能にしています。
この方法には、発芽のタイミングが揃う、発芽までの日数が短くなる、不良環境での発芽率が向上するといった多くのメリットがあります。ただし、種子の劣化がやや早いので購入後の保管には注意が必要です。
発芽のタイミングを揃えるには? 播種~育苗までの上手な栽培管理方法
四季写彩/PIXTA(ピクスタ)
発芽のタイミングを揃える要件
トマトの発芽には「培地の適度な水分」と「高めの地温」、そして光の当たらない「暗い環境」という3つの要件が重要です。発芽のタイミングを揃えるためには、この3つの要件を適切に管理する必要があります。
播種時から発芽するまでは均一な水やりを心がけ、培地の湿度も一定に保ちます。播種時には覆土の厚さを均一にして軽く鎮圧し、暗い環境を作り出しましょう。その上で発芽に最適な25℃~30℃の地温を保ってください。
播種量の目安は10a当たりの種子が60ml程度です。栽培中の栽植密度は10a当たり2,100~2,400本になるため、予備を考慮して2,200~2,500本分を播種することになります。
大規模産地の自家育苗で播種機を用いる場合は、取扱説明書に従ってください。
出典:こうち農業ネット「トマト栽培方法-育苗管理-」
発芽しないのはなぜ? よくある失敗原因と発芽率を上げるコツ
Ilike.adobe.com
トマトが正常に発芽しないときは、培地の水分・地温・暗い環境という3つの要件のいずれかを満たしていないことがあります。発芽での失敗を防ぐためには、発芽要件を守ることが重要です。
トマトの種子は「乾燥」と「光」を嫌う
トマトの種子は、乾燥を嫌います。発芽のタイミングには水分が重要な役割を果たすので、乾燥しないよう、かつ、過湿にならない程度に均一な水やりを心がけましょう。
また、光については、覆土が薄過ぎると適度な暗さを保てず、発芽がうまく進行しません。目安としては深さ1cm程度に播種して、上から5mmほど覆土するとよいでしょう。セルトレイを使って播種する場合は、上から同じセルトレイで鎮圧すると適度な覆土が保てます。
水分量は「トレイの重さ」で管理するのもアリ
培土の水分管理は、トレイ全体の重さで適切かどうか判断できます。まず播種後に灌水をして、適切な水分量になったところでトレイ全体の重さを量ります。この重さが水分管理の基準です。
その後は定期的にトレイの重さを量り、基準の重さの半分ほどになったら灌水を行います。これを繰り返すことで、継続的に適切な水分量を管理できます。
liaison/PIXTA(ピクスタ)
トマトの自家育苗に取り組む農家のために、発芽のタイミングを揃える要件とコツを紹介しました。
発芽のタイミングが揃えばその後の栽培管理全体がスムーズに進むでしょう。培地の水分・地温・暗い環境という3つの発芽要件に気を配り、上手に発芽をコントロールしてください。
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