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農業倉庫の設置方法は?申請手続きや補助金について知ろう!

農業倉庫の設置方法は?申請手続きや補助金について知ろう!
出典 : Diziano / PIXTA(ピクスタ)

屋外で自然を相手にする農家にとって、農業倉庫は、農機や備品・資材の保管だけでなく、農作業の活動拠点としての役目も果たす重要な存在です。この記事では農業倉庫を設置・活用するメリットと、設置手続きの具体的な方法などを紹介しています。

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農家の手足ともいえる農機や農具を格納し、収穫した作物や備品・資材を保管する農業倉庫は、農作業の効率化や防犯に大きく貢献します。

設置する際には各種手続きが必要で、コストもかかります。ここでは、設置のための手続きやコスト削減に活用できる補助金などについて解説します。

農業倉庫が持つ役割やメリット

農業倉庫は農家の拠点

decoplus / PIXTA(ピクスタ)

倉庫とは、ふだん使わないものを保管しておく場所であり、あまり活動的なイメージはありません。ところが農業倉庫は保管場所としての機能以外にも、農作業の効率化につながるさまざまな使い方があります。その中から、農業倉庫が持つ特に大きな3つの役割について紹介します。

倉庫に農機や備品・資材を保管する

農作業で使用する備品や資材は、なるべくほ場の近くで管理すると便利です。農薬・肥料・マルチフィルムなどを農業倉庫で一元管理すれば、使用量と残量を効率的にチェックできます。
農作業に関わるスタッフも、どこに備品・資材があるのかを把握していれば、迅速に作業を進められるでしょう。

農業倉庫は、収穫した作物の一時保管場所にも使えます。ネギ、じゃがいも、ニンジンなど、収穫後に皮むきや洗浄などの調整が必要な作物は、泥つきのまま一時的に置いておく場所が必要なので、ほ場の近くに農業倉庫があると非常に便利です。

農機や備品・資材を盗難から守る

農業倉庫とトラクター

kazu / PIXTA(ピクスタ)

農業は規模が大きくなるにつれて、使用する農機の数も多くなります。農業倉庫は、こうした機械類の格納庫になります。風雨から守られるので、機械のメンテナンスがしやすく、寿命も長くなるでしょう。

農業倉庫に農機や備品・資材を格納する大きなメリットは、防犯性を確保できる点です。農機は高価なものが多く、農薬や肥料などもまとまった量になるとそれなりの動産となります。

近年農家をターゲットにした組織的な盗難事件が増加していることも考慮し、シャッターを設置できる農業倉庫を選択するのが安全です。

農作業の活動拠点になる

農業倉庫内での出荷調整作業

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

農業倉庫は、ほ場に向かう前の作業準備の場として、または作業の段取りを決める活動拠点としても役立ちます。実際に屋外で作業するとき、ほ場に近い場所に風雨をしのげる屋内スペースがあると、作業スタッフにとって便利な基地になります。

また、農業倉庫は雨天時には屋内作業場としても使えます。悪天候でほ場の作業が不可能でも、事前に屋内作業の段取りをしておけば、大切な1日を無駄にすることもありません。総合的に作業効率のアップに貢献するはずです。

農業倉庫の設置に必要な手続き

住宅地と隣接している農地

BR01 / PIXTA(ピクスタ)

農地の使用条件については、「農地法」により詳細に規定されています。自分の農地であっても、手続きをせずに農業倉庫を建てることはできません。ここでは、農業倉庫を設置する場合に必要な条件と、どのように申請手続きを進めるかについて解説します。

農地法に基づいた申請手続き

農地を農作物の栽培以外に使用するには、農地法にもとづいて農地転用の手続きを行わなければなりません。無許可で農業倉庫を建ててしまうと、農地法違反となるので注意が必要です。以下に主な農地のケースごとに、申請手続きの方法をまとめます。

自己所有の農地の場合

自己所有の農地に農業倉庫を建てる場合は、農地法4条に従って手続きを行います。

その農地が市街化調整区域のときは、農地法許可申請を行い、市街化区域のときは農地法届出を行います。どちらも農地転用申請書、位置図、計画配置図などが必要ですが、許可申請の手続きのほうが多くの提出書類を必要とします。

ただし、2a(200平方m)未満の農地に農業倉庫を建てるときには、農地法4条での許可は必要ありません。農業用施設証明申請と、都市計画法にともなう手続きをすれば設置できます。

借地の場合

自己所有ではない借地の場合は、土地の広さにかかわらず農地法5条に従った手続きを行います。市街化調整区域と市街化区域による違いや、提出書類は自己所有の土地の場合に準じます。

出典:行政書士南部事務所「農地法4条・5条許可申請・届出とは」

いずれの手続きも、管轄する自治体の農業委員会が対応しています。詳細については農業委員会に相談するとよいでしょう。

建築計画についての建築確認申請

農業倉庫は、建築基準法の規定を満たす必要があります。そのため、建築主は建築計画についての建築確認申請を行わなければなりません。建築主は地元自治体か、民間の建築確認検査機関に申請して、農業倉庫の設置前と設置後に確認済証を交付してもらうことになります。

農業委員会への申請

農業倉庫の設置が完了したら、地目変更登記に必要な手続きのため、転用確認証明申請書を農業委員会に提出します。この手続きは農地の所有者が行い、申請書が受理されれば倉庫として使用できることになります。

もしも農地の一部に農業倉庫を設置した場合には、その部分だけを農地転用することはできないので、そのときには農地を分割する分筆登記を行わなければなりません。

法務局への申請

農業倉庫の設置後、1ヵ月以内には地目変更登記申請書を法務局に提出します。不動産登記法により、手続きを行わないと過料を課されるおそれがあるため注意が必要です。

農業の補助金について

補助金の申請手続き イメージ

pp7 / PIXTA(ピクスタ)

現在さまざまな補助金事業が実施されていますが、主に設備投資、人材雇用、新規就農などの支援を目的としたものが多くあります。農業倉庫設置の場合は、このうち設備投資や物品購入に関する補助金・助成金に該当するかを調べてみましょう。

原則として助成金は要件を満たせば交付されるものであり、一方の補助金は要件を満たした上で申請し、審査によって認められれば交付されるものです。農業関連で国が行う補助金事業には、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」や「農の雇用事業」、「農業次世代人材投資資金」などがあります。

農業倉庫の設置は農機の導入と同じく、まとまった金額の設備投資です。全額を自己資金でまかなうよりも、公的な援助を検討したほうがよいでしょう。活用できる補助金または助成金があれば、一度申し込んでみることをおすすめします。

補助金を活用して施設を充実化させよう

では、実際に補助金を活用する場合には、どのようなタイプを検討すればよいのでしょうか。ここでは2種類の補助金について、その概要を紹介します。

地域担い手育成支援タイプ

農家が経営基盤を強固にするため、さらには経営規模拡大に向けて農機や施設を導入するときに、資金の一部を支援するのが「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の中の「地域担い手育成支援タイプ」です。

補助金の上限は300万円で、農業倉庫の場合設置費用の10分の3以内の交付を受けることができます。申請先は各地域の農政局にある、生産部生産振興課が窓口になっています。

出典:農林水産省 「強い農業・担い手づくり総合支援交付金(先進的農業経営確立支援タイプ・地域担い手育成支援タイプ)(令和3年度)」下部

先進的農業経営確立支援タイプ

同じく「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の中の「先進的農業経営確立支援タイプ」は、個人では最大1,000万円、法人なら1,500万円の範囲内で、費用の10分の3以内の補助金を受けられます。

このタイプは、高い目標をもって地域農業の発展に貢献するような経営体に対して、農業用機械や施設の導入を支援するものです。申請に関する相談は、地域農政局の経営・事業支援部経営支援課に問い合わせてみましょう。

出典:農林水産省 「強い農業・担い手づくり総合支援交付金(先進的農業経営確立支援タイプ・地域担い手育成支援タイプ)(令和3年度)」上部

農機具倉庫の前の家族

cba / PIXTA(ピクスタ)

毎朝農作業が始まる前、1つの拠点にスタッフが集まってから仕事にかかるか、それとも直接ほ場でそれぞれに仕事を始めるか、実際に体験して比べてみると、この違いは思った以上に大きいものです。

農業倉庫は農機や備品・資材の安全な保管場所になりますが、同時にほ場に出る前の基地としての役目も果たします。規模拡大や新たな人材確保を今後計画しているなら、手続きにかかる期間なども考慮し、なるべく早期に農業倉庫設置の検討を始めるのが望ましいでしょう。

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大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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