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アザミウマ類から作物を守る!天敵や赤色LEDを使った防除方法を解説

アザミウマ類から作物を守る!天敵や赤色LEDを使った防除方法を解説
出典 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

アザミウマ類は繁殖力が強く、ときに深刻な被害をもたらします。農薬による早期防除と、天敵や生物農薬による生物的防除、資材による物理的防除を組み合わせた総合的な防除が有効です。この記事ではアザミウマ類の種類と生態、具体的な防除方法を解説します。

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アザミウマ類は数多くの作物で発生し、吸汁加害するうえにウイルス病を媒介するため、発見が遅れると被害が深刻になりがちです。

一方、アザミウマ類にはいくつかの弱点があり、早期に発見し生態に応じた適切な方法で防除することで、被害を最小限に抑えられます。この記事では、アザミウマ類の生態や天敵・性質を利用した防除方法を紹介します。

アザミウマ類の生態

アザミウマ類成虫(体長1.2mm)

アザミウマ類成虫(体長1.2mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アザミウマ類は植物内に産卵し、卵からふ化した幼虫は植物を吸汁した後に土中に潜り、さなぎの時期を経て直径0.8~1.7mmほどの成虫となります。

温暖な時期ほど発育が早まる傾向です。国内では40種類以上のアザミウマ類が確認されていますが、農作物に深刻な被害を及ぼす5種類の特徴を紹介します。

(1)通年で増殖するもの

ミナミキイロアザミウマ

ミナミキイロアザミウマ雌成虫(体長1.2mm)

ミナミキイロアザミウマ雌成虫(体長1.2mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

雌・雄ともに体色は黄色、翅の毛は黒色です。施設野菜では通年で発生し、室温が高い状態で栽培するメロン・ナス・ピーマンなどで多発する一方、トマトではほとんど発生しません。露地野菜では5~10月に発生します。

ネギアザミウマ

ネギアザミウマ成虫(体長1.2mm)

ネギアザミウマ成虫(体長1.2mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

体色は雌・雄ともに黄色から褐色まで変異し、夏期に淡色・冬期に暗色となる傾向です。ニラ・ネギ・タマネギに加え、イモ類や花き類・ウリ科などの野菜類にも発生します。

ミカンキイロアザミウマ

ミカンキイロアザミウマ成虫(体長1.4mm)

ミカンキイロアザミウマ成虫(体長1.4mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

体色は雌が淡褐色から褐色まで変異し、冬期には暗色化します。雄は通年で淡黄色です。柑橘類や桃・ブドウなどの果樹類をはじめ、トマト・イチゴなどの野菜類・雑草など発生する植物は多岐にわたります。

(2)日が短い時期には休眠するもの

ヒラズハナアザミウマ

体色は雌が暗褐色から黒色まで変異、雄は黄色です。花粉を餌に成長し、雌は1匹約500個の卵を産みます。菊・ガーベラ・バラなどの花き類だけでなく、ピーマン・ししとうなどの野菜類でも発生します。

チャノキイロアザミウマ

チャノキイロアザミウマ成虫(体長0.8mm)

チャノキイロアザミウマ成虫(体長0.8mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

体色は雌・雄ともに淡黄色から淡黄褐色です。柑橘類やブドウ・柿・茶などの農産物、サザンカ・マサキなどの樹木にも発生します。近年ではピーマン・トウガラシ類への発生も確認されています。

アザミウマ類が作物にもたらす被害

メロン黄化えそウイルスによって黄化えそ病を発病したきゅうり

メロン黄化えそウイルスによって黄化えそ病を発病したきゅうり
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アザミウマ類は野菜類、果樹類をはじめ、茶・花き類、さらには水稲・雑草にも発生するなど寄主範囲は非常に広範囲に及びます。

発生当初は、葉に白斑・褐変が出現したり花が脱色したりといった、日常に起こり得る変化に似た現象が発生します。体長が小さいために花の中や葉の裏に潜みやすく、さなぎになる前に地上・土中に移動するため農薬だけでは防除が難しいのが実情です。

卵のふ化から成虫までのサイクルは10日~20日程度で、気温や栄養分などの環境が整っていると爆発的に増殖します。そして、果実の食害や落葉など作物への深刻な被害を及ぼすのです。雑草にも発生するため、周辺からほ場・施設にアザミウマ類が飛来する可能性も少なくありません。

さらに「トマト黄化えそウイルス」や「「メロン黄化えそウイルス」アイリス黄斑ウイルス」「トウガラシ退緑ウイルス」などを媒介し、「黄化えそ病」や「退緑黄化病」のようなウイルス病の原因となります。

ウイルス病は発病すると治すことが出来ず、作物の生育が阻害され、最悪の場合は壊死に至ってしまいます。ハウス内で1株でも感染株を見つけた際は、被害拡大を最小限に食い止めるために、やむなく周囲の株を100株以上も抜くこともあり、売り上げ減少は免れません。

アザミウマ類が多発してしまうと完全な防除が困難になるため、ほ場をこまめに観察して発生初期の段階で防除を実施することが重要です。

アザミウマ類の防除方法

アザミウマ類の防除は、基本的に農薬を用いて実施します。病害虫が発生しにくい環境を整えたうえで、農薬が届かない部分を補う形で天敵による防除を取り入れるのも有効です。アザミウマ類の防除方法を具体的に解説します。

農薬による防除が基本

アザミウマ類による作物への被害を防ぐには、農薬による防除が基本です。アザミウマ類の種類や成長段階によって有効な成分が異なるため、発生状況を見極めた上で適切な農薬を選びましょう。アザミウマ類の防除で多く用いられる農薬を紹介します。

※農薬を使用する前にラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布してください。

ネオニコチノイド系の農薬

昆虫の神経伝達を阻害して殺虫効果をもたらす水溶性の薬剤で、植物の葉や茎に浸透しやすいのが特徴です。効果が長続きするうえに適用害虫の種類が幅広く、アザミウマ類のような小さな害虫にも薬効があります。

国内では「ダントツ水溶剤」「アドマイヤーフロアブル」などの農薬が登録されています。

カスケード乳剤

昆虫の表皮を構成するキチン質の合成を阻害する昆虫育成阻害剤です。幼虫の脱皮阻害作用と雌成虫処理による産下卵ふ化抑制作用という特異的な殺虫作用を有します。また若い卵齢の卵には殺卵活性を示します。

効果発現に時間を要しますが持続性に優れ、天敵類や訪花昆虫類への影響が少ないため総合的害虫管理(IPM)に有効です。

コテツフロアブル

有効成分のクロルフェナピルによって害虫の呼吸を阻害する薬剤で、農薬登録のある害虫や作物が幅広いのが特徴です。殺虫剤として唯一のピロール系呼吸系阻害剤であり、既存の農薬では防除が難しかった害虫に対しても高い殺虫効果をもたらします。

天敵を利用した防除

ククメリスカブリダニの放飼

ククメリスカブリダニの放飼
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

天敵を利用した防除は「生物的防除」とも呼ばれ、特定の害虫にとって脅威となる昆虫や微生物を放飼・定着させ、捕食・寄生による殺虫を促進する方法です。

総使用回数の制限を受けずに利用でき薬剤耐性を避けられるメリットがある一方、防除効果が現れるまでには時間がかかります。そのため、農薬での防除と併用されることが多くあります。

ただし、使用する農薬によっては、天敵も殺虫してしまうおそれもあるため農薬の使用方法や使用時期、天敵の放飼タイミングには注意が必要です。

微生物農薬

微生物農薬を使う場合は、通常の農薬と同様に薬液または粒剤を散布します。「ボタニガードES」は葉の裏や花などアザミウマ類が生息する場所に散布して使いますが、薬剤耐性が発達している場合でも効果を発揮するのが特徴です。

また「パイレーツ粒剤」は、アザミウマ類の幼虫が土中に潜る性質に着目して、土壌表面でメタリジウム菌に感染させる形で殺虫効果を発揮します。

昆虫(生物農薬)

昆虫(生物農薬)を使う場合は、施設内の作物にパック状の製剤を吊り下げたり、緩衝材と共に直接振りかけたりして放飼します。低温に強いリモニカスカブリダニ剤の「リモニカ」やククメリスカブリダニ剤の「メリトップ」「ククメリス」をあらかじめ定着させておくのも、アザミウマ類の発生を抑制するには有効です。

「タイリクヒメハナカメムシ」は飛翔能力が高く、一度ほ場に定着すると長期にわたりアザミウマ類を捕食する効果が期待できます。タイリクヒメハナカメムシ剤には、「リクトップ」「オリスターA」などがあります。

※微生物農薬や生物農薬は、化学合成農薬ではありませんが、農薬取締法にもとづき農薬として登録されています。使用する前にラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布・設置してください。

物理的防除

ハウスの開口部には赤色ネットを張る

sammy_55 / PIXTA(ピクスタ)

アザミウマ類が持つ性質に着目して、有効な資材を駆使した物理的な防除方法を取り入れるのも有効です。アザミウマ類の外部からの進入を防ぐ効果や、成虫への繁殖を阻害する効果も期待できます。防除に有効な資材と活用方法を確認しておきましょう。

0.4mm目合い防虫ネット

施設やハウスの開口部に防虫ネットを張ることで、外部からのアザミウマ類の侵入を防止できます。ミカンキイロアザミウマのような細長い体型の害虫にも対応できるよう、目合い0.4mmネットの使用をおすすめします。赤色ネットを用いると、アザミウマ類の侵入防止効果が高まるでしょう。

反射シート

アザミウマ類は光の乱反射を嫌う性質を持っているため、銀色または白色の反射シートでうね面をマルチすると農作物への定着を防止できます。土壌を覆うことで幼虫の土壌への侵入を防ぎ、アザミウマ類の繁殖を防ぐ効果も期待できます。

近紫外線カットフィルム

紫外線の透過をカットして、施設ほ場内でのアザミウマ類の活動を抑制すると同時に、外部からの侵入を防止します。作物の伸長を促進する効果も期待できますが、ナスや黒色系ブドウの果実の着色が不良になったり、ミツバチなどの花粉媒介昆虫の飛来が少なくなったりする点には留意が必要です。

赤色LEDによる防除

緑色の植物に赤色の光を照射することで、アザミウマ類の行動抑制を期待できます。既に定着しているアザミウマ類には防除効果が及ばないため、育苗段階から赤色LEDを照射すると効果的です。夜間に照射すると、反対にアザミウマ類を誘引してしまうため要注意です。

畝を反射シートでマルチングする

mako / PIXTA(ピクスタ)

アザミウマ類が発生すると吸汁などの被害が出るだけでなく、ウイルス病を媒介することもあり、収量減につながります。また、繁殖力が高いため、発見が遅れると完全に防除できるまで時間がかかり、状況によっては、周辺のほ場・施設にもアザミウマ類の被害が及ぶこともあります。

農薬による早期防除が基本ですが、生物農薬や天敵の利用、物理的防除を組み合わせて総合的な防除を徹底しましょう。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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