BASF We create chemistry

【ネギの害虫】露地栽培で注意すべき被害一覧! 使える農薬と効果的な防除方法

【ネギの害虫】露地栽培で注意すべき被害一覧! 使える農薬と効果的な防除方法
出典 : aki / PIXTA(ピクスタ)

ネギの収量や品質アップをめざすには、害虫の防除が欠かせません。適切な時期に予防や防除対策を行えるように、ネギに発生する害虫の特徴をよく理解するとともに最新の病害虫発生予察情報を常にチェックして、発生状況の把握に努めましょう。

ネギ栽培において注意すべき害虫には、ネギアブラムシ、ネギハモグリバエなどネギ特有のものと、ヨトウムシ類などの広食性でネギにも付くものがあります。害虫の特性を知り効果的な防除を行うために、発生時期、個々の害虫の特徴、有効な農薬などの情報を紹介します。

ネギの露地栽培で注意したい害虫と、主な発生時期一覧

ネギ 農薬散布

川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)

露地栽培ネギで発生が懸念される主な害虫としては、多くの作物に共通して発生するアザミウマ類やヨトウムシ類、アブラムシ類、ネキリムシ類のほか、ネギ類を好むハエの仲間であるネギハモグリバエ、蛾の仲間であるネギコガなどが代表的です。

温暖地(中間地)において、これらの害虫が多発する時期は、ネギアザミウマが6~10月、ネギハモグリバエが5~10月で6月がピーク、シロイチモジヨトウが9~10月、ネギコガが6~10月、ネギアブラムシが5~6月と10~11月、ネキリムシは5~6月です。

ただし、上記は温暖地の例であり、気候によって多少ずれが生じるのであくまでも目安としてください。

害虫の発生は天候などの条件により毎年変動するため、農林水産省の「病害虫発生予察情報」などをこまめに確認し、地域の発生状況も常に新しい情報をチェックしましょう。

農林水産省「病害虫発生予察情報」

これらの害虫からネギを守り品質や収量を上げるためには、それぞれの生態や被害の特徴を知った上で適切な防除対策を実施することが重要です。

そこで、ネギ栽培で特に重要な6種の害虫について、写真とともに生態と被害の特徴、有効な防除方法を詳しく解説します。

なお、この記事で紹介する農薬はすべて、2021年10月現在登録のあるものです。実際の使用に当たっては、ラベルをよく読み、適切な施用方法や施用量を守ってください。

また、地域で農薬の使用について決まりがある場合は、必ず従ってください。

ネギアザミウマ:葉の吸汁された箇所へかすり状の白斑が発生

ネギアサミウマ成虫(体長1mm)

ネギアサミウマ成虫(体長1mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギアザミウマ 被害葉

ネギアザミウマ 被害葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アザミウマ類は非常に種類が多く、被害を受ける作物も多様です。ネギに発生するのはその名の通りネギアザミウマです。

成虫は体長約1mmで細長く、褐色です。幼虫はさらに小さく透き通るような黄色です。4月頃から発生しはじめ6~10月に目立ちます。高温に強く乾燥した環境を好むので、夏期で乾燥気味の場合は多発しやすくなります。

被害の特徴

成虫・幼虫とも葉の汁を吸って食害し、食害痕は色が抜けて白いかすり状になるのが特徴です。見た目が悪くなり、品質が低下します。

ネギハモグリバエ、ネギコガの食害痕とよく似ていますが、被害部の表面にネギアザミウマの成虫や幼虫が見え、その周囲にごく小さな黒いフンが付いていることで区別ができます。

ネギアザミウマの被害は食害だけではなくウイルスを媒介することがあるので要注意です。特にネギえそ条斑病(IYSV)にかかると深刻な被害をもたらします。ウイルス病は治療ができず、かかると大変なので、原因となりうるアザミウマが多発しないように、発見次第、早期に防除しましょう。

有効な農薬・防除対策

施設栽培の場合は、開口部に目合い0.6mm以下の防虫ネットを張るなどして成虫の飛来を防ぎます。露地栽培では防虫ネットをトンネル掛けにします。

食害痕を発見したら、被害部をよく観察して原因害虫を特定し、アザミウマ類であれば早期に殺虫剤などの農薬散布による防除をしましょう。

有効な農薬は、アザミウマ類に登録のある「ディアナSC」、ネギアザミウマに登録のある「コルト顆粒水和剤」や「カスケード乳剤」などがあります。

ネギハモグリバエ:複数の食害痕が重なり、葉全体が白っぽくなる

ネギハモグリバエ老齢幼虫(体長4mm)

ネギハモグリバエ老齢幼虫(体長4mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギハモグリバエ幼虫による被害葉

ネギハモグリバエ幼虫による被害葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギハモグリバエは、タマネギやニンニクなどネギの仲間に発生する非常に小さなハエです。成虫は体長2mmほどで、黒い体のところどころに淡黄色の班があります。

幼虫は黄白色の細長いウジ虫で、老熟幼虫は体長4mmほどです。葉に潜っているので見つけにくいことが難点ですが、食害痕の中に透けて見えることがあり、葉を割くと内側に見つけることができます。

被害の特徴

成虫は卵をネギの葉の中に産みつけ、ふ化した幼虫も葉の内部を移動しながら食害します。食害痕は1~3mm幅の白い線状になり、多発すると線が重なって葉の全体が白くなるのが特徴です。

食害痕は目立つので、ネギの品質や収量が著しく低下したり商品価値がなくなったりします。

基本的に食害するのは幼虫だけですが、成虫が産卵や水分を補給するために葉に卵管を差し込んだ痕が丸い点として残ります。

食害痕が、虫が這ったような不規則な線状になっていることで、ネギアザミウマやネギコガと区別可能です。

有効な農薬・防除対策

防虫ネットで覆うことで、成虫の侵入を防ぎ発生しにくくさせます。また、寄生蜂などの天敵を利用する方法もあります。

幼虫は葉の内部にいるため、浸透移行性の高い殺虫剤を選びましょう。有効な農薬には「グレーシア乳剤」「カスケード乳剤」「ダントツ水溶剤」などがあります。

シロイチモジヨトウ:表皮を残した内側からの食害で、葉がボロボロに

シロイチモジヨトウ老齢幼虫(体長25mm)

シロイチモジヨトウ老齢幼虫(体長25mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

シロイチモジヨトウ老齢幼虫の食害

シロイチモジヨトウ老齢幼虫の食害
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ヨトウムシ類のうち、シロイチモジヨトウ、ヨトウガ、ハスモンヨトウの3種がネギに発生します。

いずれも広食性で、ネギ以外にも多くの作物を加害します。シロイチモジヨトウは西日本に多く、初夏から秋にかけて発生し、特に8~10月に多発する害虫です。

成虫は体長10~15mm、明るい灰褐色の小さな蛾です。老齢幼虫には胴部側面にはっきりとした白い線が見られる場合があり、それがシロイチモジ(白一文字)の名前の由来です。

ただし、幼虫の模様は個体変異が激しく、白い線がはっきりしないものも多いので、幼虫を見分ける決め手とはなりません。

若齢幼虫はヨトウガとよく似ていますが、ヨトウガの若齢幼虫期はシャクトリムシのような歩き方をするので、見分けがつきます。

被害の特徴

シロイチモジヨトウは卵を卵塊として産み付け、表面を灰褐色の鱗粉で覆います。ふ化した幼虫は集団で葉先や葉の折れた部分から葉身の内側に侵入し、内側から表皮を残して食害します。

被害葉は白化して枯れてしまい、枯れなかった場合でも、虫の糞が葉身内側の底に溜まるので、商品価値は失われます。

4齢幼虫以降は分散して葉の外側から食害する幼虫も増え、食害痕はハスモンヨトウによるものと区別がつきにくくなります。幼虫を見つけ、頭部の後ろに対になっている黒い斑紋があればハスモンヨトウです。

有効な農薬・防除対策

施設の場合は、成虫の侵入を防ぐために防虫ネットを張るとよいでしょう。発生を確認したら、いち早く卵塊やふ化直後の幼虫の集団を発見し、ただちに防除することが重要です。

葉身内に侵入されてからでは農薬が効きにくく、老齢幼虫になると薬剤感受性が低下するうえに日中は土中に潜むため、農薬の効果は得られにくくなります。

農薬による防除はふ化直後の若齢期に行わなければなりません。

農薬を使う場合は、難防除害虫も含む広範囲の害虫に有効な殺虫剤を選びます。例えば、「アディオン乳剤」「コテツフロアブル」「カスケード乳剤」などです。

ネギコガ:葉表面に、内側からの食害による白い筋を残す

ネギコガ幼虫(体長8mm)

ネギコガ幼虫(体長8mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギコガ幼虫の食害痕と蛹

ネギコガ幼虫の食害痕と蛹
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギコガは、玉ねぎやにんにくなどのネギ属植物だけ食害する蛾の仲間です。高温を好み、梅雨明けの高温乾燥状態で急激に繁殖します。

6〜10月にかけて発生し、特に7〜8月に多発します。幼虫は淡緑色に褐色の縞があり、葉の内部に潜って食害します。

老齢幼虫で体長7〜8mmになり、十分に生育すると葉の外に出て粗い繭を作るのが特徴です。
成虫は5mmにも満たない黒灰色の小さな蛾で、前翅を閉じると後縁中央に鮮やかな白色斑が目立ちます。

被害の特徴

幼虫は葉の内部から表皮を残して食害するので、幼虫の移動した分だけ葉の表面に不規則な線状の白斑ができます。多発すると線状の白斑が複数重なり合い、酷くなると葉が白化したり枯死したりします。

食害痕はネギハモグリバエの被害に似ていますが、ネギコガの場合は、線状になった食害痕の端々に小さな穴があいている点で区別できます。

有効な農薬・防除対策

施設内への成虫の侵入を防ぐには、防虫ネットを張るとよいでしょう。

すでに食害が発生した場合は、残効性の高い粒剤または液剤を使うと効果的です。ネギコガに適用のある農薬は、「プレバソンフロアブル5」「アグロスリン乳剤」「ベニカAスプレー」など多数あります。

ネギアブラムシ:葉に大きなコロニーを形成。葉の黄化や枯死を招く

葉に寄生したネギアブラムシ

葉に寄生したネギアブラムシ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギアブラムシ 寄生株

ネギアブラムシ 寄生株
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギアブラムシは、その名の通りネギ属の作物に寄生するアブラムシの仲間で、体が黒く光沢があるのが特徴です。発育も増殖も早く、寄生して間もなく幼虫から成虫まで一緒に大きなコロニーを作り、集団で吸汁加害します。

本州以南では3〜11月と長期間見られ、冬場も発生する場合があります。特に5〜6月や10〜11月の春と秋によく発生します。

被害の特徴

多発すると吸汁される量も増えるので、宿主株は生育障害を起こします。若い苗では枯死する例もあります。また、ウイルスを媒介し、ネギ萎縮病の原因となる場合があります。

有効な農薬・防除対策

アブラムシが光を避ける性質を使って、畝にシルバーのマルチやテープを張る方法や、目合いが1mm以下の防虫ネットで覆う方法で予防します。

多発する場合は、「ダイアジノン乳剤40」「マラソン乳剤」などを散布します。

ネキリムシ類:株の生え際から葉全体を切り倒すように食害する

ネギ カブラヤガ 食害痕

カブラヤガ 食害痕
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネキリムシ類は、まるで根から切り落としたように地際から葉茎を切り倒して食害する幼虫の総称で、具体的にはカブラヤガとタマナヤガの2種類が発生します。

カブラヤガは西日本、タマナヤガは東日本に多いといわれています。

4〜11月にかけて2〜4回発生します。アブラナ科を好みますが、ネギの食害もあります。

成虫は夜間に飛来し、作物の地際の古葉などに1〜2個ずつ卵を植え付けます。孵化した幼齢幼虫は下葉などに潜み、地際部を食害しますが、食べる量が少ないのでそれほどの被害はありません。

老齢幼虫になると夜間に作物を切り倒して茎などを食べ、昼間は近くの土の中で潜んでいます。食欲旺盛で、一晩で数株を切り倒してしまうこともあります。

被害の特徴

ネキリムシはやわらかい幼苗の茎葉を好んで食べるので、定植後間もない幼苗で被害が大きくなります。小さな株が地際から切られ、欠株となることもあります。

多発すると、収量の大幅な減少につながるので、早めに防除対策を行いましょう。

有効な農薬・防除対策

被害がわかりやすいので、朝、切り倒された株を見つけたらその周辺の土を浅く掘り返し、近くに潜むネキリムシを探してみましょう。ネキリムシの発生を確認したら、「ガードベイトA」や「アクセルベイト」を被害下部周辺の作物の株元に散布します。

また、多発するほ場では、「カルホス微粒剤F」などを播種時または定植時に土壌混和処理します。合わせて、夏場の晴天時にほ場をビニールで覆って地温を45〜50度まで上げることで、より効果的に防除ができます。

カブラヤガの食害箇所付近を掘ると幼虫が出てくる

カブラヤガの食害箇所付近を掘ると幼虫が出てくる
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギにはネギ類にのみ発生する害虫も多く、栽培期間中は常にそれらの害虫の発生を予防することが重要です。

地域の害虫発生状況を把握し、発生が予想される害虫が好む環境を作らないようにしましょう。また、発生した場合は害虫を速やかに特定し、防除対策をすることで被害を最小限に食い止めるようにしましょう。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

おすすめ