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ネギアブラムシ対策!生態や発生時期、農薬を使った防除方法を解説

ネギアブラムシ対策!生態や発生時期、農薬を使った防除方法を解説
出典 : yuko / PIXTA(ピクスタ)・LAB_MEE / PIXTA(ピクスタ)・colors / PIXTA(ピクスタ)

ネギアブラムシは、ネギや玉ねぎ・ニラなどのネギ属の葉や花に集団で寄生します。繁殖力が強い一方で農薬が効きやすく、発生時期に合わせた適期防除がとても効果的です。この記事では、ネギアブラムシの生態や有効な農薬、農薬による防除と耕種的防除を組み合わせた総合的な対策を紹介します。

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ネギアブラムシの繁殖力は強く、多発すると作物の生長が阻害されます。ベと病やネギ萎縮病の発生にもつながり、収量低下の被害が大きくなりがちです。ネギアブラムシの生態や発生時期について理解したうえで、効果的な防除策を検討しましょう。

ネギアブラムシとは?

ネギアブラムシ 幼虫

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギアブラムシとは、ネギ属の野菜類の葉や花に寄生して汁を吸う黒色の虫で、成虫の体長は1.7~2.2mmです。

ネギアブラムシの生態や発生時期について解説します。

ネギアブラムシの生態

ネギアブラムシは、ネギをはじめ玉ねぎやニラ・ニンニク・らっきょうなどのネギ属の野菜に寄生する虫です。スイセンなどの花やノビルなどの野草にも寄生するケースもみられます。

ネギアブラムシの発育に好適な温度は15~23℃前後で、ネギの発芽・生育の好適温度とほぼ一致します。

羽を持たない成虫(無翅胎生雌虫)が先に増殖するケースが多く、寄生密度が高くなると羽を持つ成虫(有翅胎生雌虫)が発生し、他のほ場や作物に移動して寄生範囲が広まります。

どちらも黒色で光沢を帯びていますが、羽を持つ成虫は羽の脈に黒い縁取りがあるため、羽を持たない成虫との見分けが容易です。

ネギアブラムシは雌だけの単為生殖で繁殖するため、増殖力が極めて強いのが特徴です。

雌が一生のうちに産む幼虫は70匹前後といわれています。毎日5~7匹の幼虫を産み続け、7~10日ほどで成虫となってさらに幼虫が増加します。短期間で増えたネギアブラムシの吸汁によって、寄生された株が枯死に至ることもあります。

ネギアブラムシの生態は詳しく解明されていないものの、1週間~10日前後で成虫となり、日当たりの悪い場所で多発する傾向がみられます。一方、ネギアブラムシは薬剤に弱く、他の害虫防除を徹底しているほ場では発生数が少なめです。

ネギアブラムシの発生時期

ネギアブラムシはやや冷涼で乾燥した気候を好む性質があり、本州以南では3~11月にかけて発生します。

特に発育適温の5~6月や10~11月に多発しますが、気温が高くなる夏には密度が急激に低下し、ほとんど姿を見かけなくなります。

温暖な地域では冬でもネギアブラムシが発生するものの、少数にとどまります。北海道などの寒冷地では、卵の状態で越冬すると考えられています。ただし、ハウス栽培では冬期でもネギアブラムシが発生する恐れがあるため、換気などの温度管理が必要です。

ネギアブラムシの発生によってみられる被害

ネギアブラムシ 寄生株

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ネギアブラムシはネギ属の野菜類の葉や花に寄生して汁を吸い、株の養分を奪って生長を妨げます。

数百~数千匹もの成虫が株全体を覆うため、葉の一部が黒くなったように見えることもあります。その結果、葉の黄変・萎縮を引き起こし、生育不良に陥ります。玉ねぎなどの場合は鱗茎部の肥大が遅れ収量減の原因になります。

幼苗期にネギアブラムシが寄生すると株全体が枯死して被害が大きくなるので特に注意が必要です。

ネギアブラムシ被害を受けた株は、ネギべと病にかかりやすくなります。ネギべと病の病原菌が土壌に残ると、翌年以降の栽培に支障をきたすので注意が必要です。

また、羽を持つ成虫がネギ萎縮病ウイルスを媒介し、他の株やほ場にも被害が拡大することもあります。ネギ萎縮病ウイルスに感染した株は、15~20日程度の潜伏期間を経て発病し、葉がでこぼこになったり萎縮したりするなどの症状が現れます。新葉の生育が阻害されて生育が不揃いになるなど、収量減・品質低下につながります。

ネギアブラムシ防除に効果的な農薬

ネギ 防除 農薬散布

川村恵司/PIXTA(ピクスタ)

ネギアブラムシは薬剤に弱い性質を持つため、農薬を使った防除が効果的です。ネギアブラムシ防除に効果的な農薬の種類と使用方法を紹介します。農薬を使用する場合は、あらかじめラベルの記載内容を十分に確認し、使用方法を守って正しく散布してください。

メギアブラムシ 農薬

農薬による防除を行う場合は早期にネギアブラムシを発見できるよう、ほ場の状態を十分に観察することが大切です。

ネギアブラムシが発生した初期に農薬を散布することで、効率的に防除が行えます。農薬に対する抵抗性はみられないものの、同じ農薬を連用すると防除効果が十分に表れない可能性があります。系統が異なる農薬をローテーションで散布するとよいでしょう。

耕種的防除を併用して効果を上げる方法

ネギアブラムシは短期間で増殖してしまうため、あらかじめ耕種的防除を行って発生しにくい環境を整えておくことが重要です。

シルバーマルチを張る

ネギアブラムシは、銀色・白色の反射光に強い忌避反応を示します。そのため、シルバーマルチを張ることでネギアブラムシの侵入を防ぐ効果を期待できます。

羽を持つアブラムシの成虫は光に向かって飛ぶ習性がありますが、反射光を受けると方向感覚がわからなくなり、作物に接近できなくなるのです。

シルバーマルチは、シルバーテープを吊す方法よりも光の反射量が多くなる分、ネギアブラムシの接近を防ぐ効果は高くなります。

シルバーマルチを張ると追肥作業が困難になるため、緩効性肥料の施用を検討するとよいでしょう。他のアブラムシ類やアザミウマ類などの防除にも効果的ですが、コナガやモンシロチョウなど別の虫が接近する可能性がある点に留意が必要です。

除草を徹底する

ほ場付近の雑草や野草にネギアブラムシが寄生して作物に影響を及ぼすことも考えられるため、こまめに除草するようにしましょう。

籾殻くん炭による土壌改良

ネギアブラムシには籾殻くん炭の臭いを嫌う性質があるため、土壌と十分に混和することで防除効果を期待できます。

籾殻くん炭の成分はケイ酸と炭素で、カルシウムやマンガンなどの微量要素も含んでいます。保水性・透水性ともに高いため、土壌改良にも効果的です。10aあたり400~1,200kgを基肥と一緒に混和します。

栽培期間中には、土壌の表面に籾殻くん炭を薄く散布してネギアブラムシの接近を防ぐ方法もあります。ただし、比重が軽いため風で飛ばされる場合もあります。

基肥施用時、栽培期間中の散布とも、施用しすぎると土壌のpHがアルカリ性に傾き、ネギ栽培に適した土壌pH(6.0~7.0)から逸脱する可能性があるのでご注意ください。土壌pHを測定した上で、籾殻くん炭の散布可否を検討するとよいでしょう。

ハゼリソウ栽培による天敵を利用した防除

ネギ類のほ場近くハゼリソウ(アンジェリア)を栽培して、ネギアブラムシの天敵である蜂(寄生蜂)を増やす方法があります。

アブラバチやアブラコバチなどの一次寄生蜂は、ハゼリソウの蜜や花粉を餌として生長し、やがて、ネギアブラムシの体内に産卵します。孵化した幼虫はネギアブラムシの内臓などを食べるので防除につながります。

ハゼリソウ(アンジェリア)

keikok / PIXTA(ピクスタ)

ネギアブラムシは短期間に増殖してしまいます。大発生させないためには、計画的な農薬のローテーション散布と耕種的防除を組み合わせて、増殖させない環境を保つことが重要です。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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